007最新作ロケ地・イタリアのマテーラであのシーンを探せ!

ケイコ ソリーノ

プーリア旅コーディネーター/料理&チーズ教室主宰

日本の緊急事態宣言が明けた10月1日。新型コロナのパンデミックにより公開が延期されていた映画「007」の最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」が遂に劇場でヴェールを脱ぎました。

現在イタリアでも公開中のこの映画、とても注目を集めています。なぜなら、映画の序盤に登場するボンドとマドレーヌがバカンスで訪れた街がイタリアにあるから。街並みの美しさに見とれて「この街はどこ?」と知りたくなる日本の007ファンも多いのでは?

舞台となったのは、バジリカータ州にある世界遺産「マテーラ」。南イタリアに暮らす私にとってはショッピングで訪れたり友人が住む近くの街。そんな“お隣りの世界遺産”であるマテーラで撮影された映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」。今回はシーン別にロケ地となった場所をご紹介します。

007最新作ロケ地巡りイタリアのマテーラ
マテーラに貼られた映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のポスター

イタリアの世界遺産・マテーラってどんなところ?

007最新作ロケ地巡りシーン別ガイド イタリアマテーラ
マテーラの街並み

イタリア南部バジリカータ州に位置する「マテーラ」は、石器時代から人が暮らす洞窟住居が建ち並ぶ風光明媚な世界遺産の街。グラヴィーナ渓谷の岩肌を削って造られるこの洞窟住居は“サッシ”と呼ばれ、その数は3000~4000といわれています。

20世紀に入り劣悪な衛生状態から“イタリアの恥部”と喩えられたマテーラですが、近年その価値が見直され1993年にユネスコの世界遺産に登録。2019年には欧州文化首都に選ばれ、南イタリアで人気の世界遺産のひとつに君臨しています。

サッシ地区には洞窟住居を利用したホテルやレストランがたくさんあり、非日常の旅時間が体験できるので宿泊や食事にオススメです。

007ノー・タイム・トゥ・ダイとマテーラ

マテーラに貼られた映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のポスター

歴代25本目となる「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」がマテーラで撮影されたのは2019年の夏。期間は4週間で費用は1200万ユーロ。100軒の宿泊施設と400名のスタッフが投じられ、街中に作られた屋外セットは32箇所にも及んだそうです。

マテーラをロケ地として選んだ理由として、キャリー・ジョージ・フクナガ監督は「モノクローム(単色)の風景がネクロポリス(巨大な墓地)を思わせた」と語っているように、セピア色の街並みが元恋人ヴェスパーにボンドが最後の別れを告げる地としてぴったりだったのですね。これが墓地のシーンの存在に繋がります。

さらに、前作でヴェスパーとボンドのロマンスはイタリアが中心だったため、マテーラがイタリアの街であったことも重要なポイントです。

007最新作ノー・タイム・トゥ・ダイのシーン別ロケ地

ここからは、映画のロケ地をご紹介していきます。尚、土地勘がない人にも分かるようにサッシ地区を説明すると、大聖堂がある中央の「チヴィタ」、南側の「サッソ・カヴェオーソ」、北側の「サッソ・バリサーノ」の3つに分かれます。海外旅行が再開して、現地を訪れる際にはぜひ参考にしてくださいね!

洞窟住居群を見下ろす高台

高台から見るマテーラ

ボンドとマドレーヌのバカンスシーンの冒頭に登場する、街を見下ろす絶景。このワンシーンでグッとスクリーンに吸い込まれましたよね?

このシーンが撮られたのは、サッソ・バリサーノにある「サンタゴスティーノ修道院」のテラス。この修道院は坂道の途中にあり、ちょうどよい高さから洞窟住居群と大聖堂を見渡すことができます。

地元では有名な絶景スポットで各国の旅行雑誌にもこの場所から撮影された写真がよく使われます。美しい写真やインスタ映えを求める人には絶対に外せないスポットです!

DATA
サンタゴスティーノ修道院(Convento di Sant'Agostino) 
所在地:Via D'Addozio, 75100 Matera MT, イタリア 
開館時間:10時~14時 
入場料:無料
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩15分敷地内のテラスは24時間いつもで入場可

ジェームズ・ボンドとマドレーヌが泊まったホテル

ボンドとマドレーヌが甘く愛おしい時間を過ごした絶景ホテルは…実は映画のために作られたセット。「ここに泊まりたい!」と思った人も多いはず…残念ながら架空のホテルなんです。

セットが置かれたのは、サッソ・カヴェオーソを見下ろす「ジョヴァンニ・パスコリ広場展望台」の前。セットはすでに撤去されましたが、マドレーヌ目線でバルコニーからの絶景を楽しむことができます。

ジョヴァンニ・パスコリ広場展望台。マドレーヌ気分になれます

スクリーンで見た橙色の灯りが艶っぽい夜景は、展望台からこのように見えます。

マドレーヌが見たマテーラの夜景

この街を訪れ、ボンドとマドレーヌ気分を楽しむのなら、必ず宿泊してマテーラの夜の顔も楽しみましょう!昼と夜で驚くほど印象が変わるサッシの街並みは見る人を虜にする魔力があります。

DATA
ジョヴァンニ・パスコリ広場展望台(Belvedere di Piazza Giovanni Pascoli) 
所在地:Piazzetta Pascoli, 75100 Matera MT, イタリア 
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩15分

ボンドの元恋人の墓地

マドンナ・デッレ・ヴェルジネ岩窟教会

過去との決別のためにボンドが訪れた元恋人ヴェスパーの墓地。橋を渡って墓地へと歩く冒頭のシーンは、マテーラの隣り街「グラヴィーナ・イン・プーリア」で。そして、祈りを捧げてから爆発するシーンは、マテーラで最初に人類が住み始めた原始的な洞窟が残るムルジャ・マテラーナ公園で撮られたもの。

墓地のセットは「マドンナ・デッレ・ヴェルジネ岩窟教会」(写真)の付近一帯に設置されました。洞窟住居があるサッシ地区とはグラヴィーナ渓谷を挟んで対岸になり、このエリアは2004年公開の映画「パッション」も撮影された場所です。

サッシ地区から少し離れた場所にあるためアクセスが不便ですが、車を利用すると15分程度で到着できます。ゴツゴツした岩がたくさんある場所なので必ず運動靴で訪れましょう。

DATA
マドンナ・デッレ・ヴェルジネ岩窟教会(Chiesa Rupestre della Madonna delle Vergini) 
所在地:Localita' murgecchia, 75100 Matera MT, イタリア 
アクセス:マテーラのサッシ地区から車で15分
※教会内の見学は特別なイベント開催時のみ

ボンドが飛び降りた橋

007ノー・タイム・トゥ・ダイでボンドが飛び降りた橋

映画の決定的なシーンとして印象深い高架橋からボンドが身を投じる場面。撮影に使われた橋は隣町グラヴィーナ・イン・プーリアにある「水道橋」。橋の高さは37メートル、長さ90メートル、幅5.5メートルです。

もともとは集落と橋の向こう側にある小さな教会を繋ぐための連絡橋でしたが、18世紀の大地震で崩落。水道橋として修復され、現在はFAI(イタリア環境団体)が保護する文化財に指定され、街を象徴するアイコンになっています。

前述の墓地のシーン(冒頭部分)と橋から飛び降りるシーン(水道橋)は、マテーラではないのでご注意を。マテーラからグラヴィーナ・イン・プーリアへは車で30分程度です。

DATA
水道橋(Ponte Acquedotto) 
所在地:Via Fontana La Stella, 70024 Gravina in Puglia BA, イタリア 
アクセス:マテーラから車で約30分

ボンドがバイクで壁を乗り越え降り立つ教会

マテーラの大聖堂

水道橋から敵に追われてバイクでサッシ地区を逃げ回るボンド。途中、頭上よりはるかに高い壁を渾身の力を込めて「えいっ!」と乗り越え教会前の広場に降り立ちます。

ここで登場する教会は「マテーラ大聖堂」。13世紀に建立され、街の守護聖人ブルーナの聖母が奉られた大切な信仰の場所です。教会前の広場から続く階段を下りると、壁を下からのアングルで眺めることができます。その高さにびっくりする007ファンが続出中。

DATA
マテーラ大聖堂(Cattedrale di Matera) 
所在地:Piazza Duomo, 75100 Matera MT, イタリア 
URL:マテーラ大聖堂公式ページ(イタリア語)
開館時間:10時~19時 
入場料:1ユーロ
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩16分

ボンドとマドレーヌがスペクターに追跡される道

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」でボンドが敵の追跡から逃げる道

ボンドがホテルへ逃げ戻り、マドレーヌを連れてスペクターの刺客から逃げるシーン。渓谷沿いの細い道を車とバイクで追われるボンド。彼の巧みなハンドルさばきが印象的ですよね。

この追跡シーンが撮られたのは、サッソ・カヴェオーソからサッソ・バリサーノへ続く「マドンナ・デッレ・ヴィルトゥ通り」。横から見ると剥き出しの岩肌がばっちり確認できるマテーラならではの道。意外にも車や人が頻繁に往来するサッシ地区の主要な道路なんです。

DATA
マドンナ・デッレ・ヴィルトゥ通り(Via Madonna delle Virtu') 
所在地:Via Madadonna delle Virtu', 75100 Matera MT, イタリア 
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩25分

カーチェイスが繰り広げられた2つの広場

映画「007」シリーズの醍醐味であるド派手なカーチェイス。本作でも悪の組織の刺客とスリル満点&爽快なアクションシーンを繰り広げてくれました! スクリーンではマテーラを代表する広場が2つ登場してます。

サンピエトロ・カヴェオーソ広場

最初はサッソ・カヴェオーソの「サンピエトロ・カヴェオーソ広場」です。この広場の周辺にはマテーラの見どころのひとつである“岩窟教会”が集中しています。ロケ地巡りと一緒に古代のフレスコ画が残る岩の町マテーラならではの教会を見学してください。

DATA
サンピエトロ・カヴェオーソ広場(Piazza S.Pietro Caveoso) 
所在地:Piazza S.Pietro Caveoso, 75100 Matera MT, イタリア 
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩22分

次は、サッソ・バリサーノを見下ろす「ヴィットリオ・ヴェネト広場」。この広場の下には巨大な貯水槽があり、見学ツアーを開催してます。また、広場の片隅には観光客に人気の展望台があり、バリサーノ地区と大聖堂を一緒に愛でる絶景が広がります。

ヴィットリオ・ヴェネト広場
DATA
ヴィットリオ・ヴェネト広場(Piazza Vittorio Veneto) 
所在地:Piazza Vittorio Veneto, 75100 Matera MT, イタリア 
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩10分

番外編

ここまでが、マテーラ近郊に住む私が映画を観て「ここだな!」とピンときたシーン別のロケ地です。続いては、番外編として主役のダニエル・クレイグが撮影時に泊まったホテルと通ったカフェを紹介します。

ダニエル・クレイグが泊まった5つ星ホテル

ホテル「パラッツォ・ガッティニ・ラグジュアリーホテル」

主役であるダニエル・クレイグをはじめ出演者が滞在した5つ星ホテル、それが「パラッツォ・ガッティニ・ラグジュアリーホテル」。マテーラでは有名なセレブ御用達の格式高いホテルです。

大聖堂の向かいにある18世紀の貴族の邸宅をホテルに改装。品のよい黄色の外観が目印です。2008年の開業以来ハリウッドセレブや政財界の重鎮をもてなしてきました。 客室は全部で20室。スイートには専用プール付きの豪華な部屋もあります。

ダニエル・クレイグが束の間のリラックスタイムを楽しんだこのホテル、マテーラ旅のホテル候補にいかがですか?ただし、マテーラの名物である洞窟ホテルではないのでご注意を。

DATA
パラッツォ・ガッティニ・ラグジュアリーホテル(Palazzo Gattini Luxury Hotel) 
所在地:Piazza Duomo, 13, 75100 Matera MT, イタリア 
URL:パラッツォ・ガッティニ・ラグジュアリーホテル公式ページ(英語)
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩16分

ダニエル・クレイグが通ったカフェ

カフェ「モンキー・ドリンク・ハウス」

ホテルから歩いてすぐの「モンキー・ドリンク・ハウス」は、ダニエル・クレイグが撮影の合間によく通った馴染みのカフェ。

店内にはお店の女性スタッフと彼が撮った記念すべき一枚が飾られています。ここのエスプレッソコーヒーはたった1ユーロ!ロケ地巡りの合間に休憩で訪れてほしい一軒です。

お店の向かいには、イタリア映画音楽の巨匠ニーノ・ロータが教鞭をとったマテーラ音楽院があります。

DATA
モンキー・ドリンク・ハウス(Monky Drink House) 
所在地:Via Duomo 11, 75100 Matera MT, イタリア 
URL:モンキー・ドリンク・ハウスのフェイスブックページ
営業時間:9時~27時
定休日:なし
アクセス:マテーラ中央駅から徒歩14分

マテーラ旅で見逃せないグルメ

マテーラ旅で欠かせない美味しいイタリアグルメ。ここにも人々を魅了する伝統の味があります。代表的な2つのグルメをご紹介!

マテーラのパン

マテーラのパン(IGP)

小麦の産地であるマテーラには自慢のご当地パンがあります。デュラム小麦(硬質小麦)、水、塩、天然酵母の4つの原料だけで作るシンプルなパンで、ひと口頬張ると、誰もが滋味豊かで味わい深いパンの虜になります。

EUから「IGP」の認定を受けたマテーラの名産品であるこのパン。その特徴のひとつが大きさ。両手にずっしりと感じる重さは最大のパンでなんと2キロ。“コルネット”と呼ばれる唇のような形も珍しいですね。マテーラのレストランならどこでもこのパンを食べることができます。

黒豚料理

黒豚のサルシッチャときのこのパスタ

続いては、黒豚料理。マテーラがあるバジリカータ州一帯の名物です。

特に「サルシッチャ・ペッツェンテ」(貧乏人のソーセージの意味)と呼ばれる黒豚のソーセージは豚を解体する際、最後に残った一番脂身が多い部位で作ったソーセージ。現地ではきのこやトマトと一緒にパスタ料理(写真)にしたり、炭火焼にしてメインディッシュとして提供されます。

マテーラでノー・タイム・トゥ・ダイの世界観を楽しもう!

マテーラは南イタリアで近年人気の世界遺産の街。映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」のロケ地となったことで、映画公開後、早くもヨーロッパの「007」ファンで賑わっています。日本の皆様もコロナ明け最初の海外旅行としてマテーラでロケ地を巡る旅はいかがですか?

イタリア以外のロケ地はこちら!

ケイコ ソリーノ

プーリア旅コーディネーター/料理&チーズ教室主宰