JR「越前たけふ駅」は、2024年3月16日に金沢駅から福井県の敦賀駅まで延伸・開業する北陸新幹線新駅のひとつです。新幹線単独の駅ですが、道の駅「越前たけふ」と直結する珍しいスタイル。越前ガニなど福井県自慢の鮮魚をはじめとするグルメの数々、コンサート会場にもなる交流広場など魅力が詰まった駅になっています。
周辺には、2024年大河ドラマ『光る君へ』ゆかりの地「紫式部公園」や「紫ゆかりの館」がある注目のスポットです。
北陸新幹線新駅「越前たけふ駅」ってどんな駅?
JR「越前たけふ駅」は、田園の中にある実にのどかなところにあります。
近くに北陸道武生ICがあり、車でのアクセスは良好。越前市の中心的な役割を担っているJR「武生駅」(北陸新幹線開業後には第三セクター化され「ハピラインふくい」の「武生駅」になる)とは、実質の移動距離で5キロメートル、時間にして車で10分ほど離れた場所にあります。
北陸新幹線開業の頃には、路線バスの整備などが進み移動しやすくなることでしょう。
JR「越前たけふ駅」のデザインコンセプトは「伝統・文化を未来につなぐシンボルとしての駅」。その外観は、コウノトリが翼を広げて飛翔しようとしている姿がイメージされています。
構内の天井には、越前和紙の技法「流し漉(す)き」の動きを表現した和紙照明を配置するなど、郷土色を打ち出したデザインになっています。
伝統工芸といえば観光案内所にも注目。カウンターが越前箪笥をイメージしたデザインになっています。
JR「越前たけふ駅」の最大の特徴は、北陸新幹線開業前から人気の道の駅「越前たけふ」と直結していることではないでしょうか。
道の駅「越前たけふ」の人気の理由
道の駅「越前たけふ」は、北陸新幹線の開業に先駆け2023年3月にオープンし、年間目標来場者数に掲げた25万人を半年で突破する人気施設として稼働しています。
海鮮を始め福井の美味しいものが集結!
福井県のイメージといえば「海鮮が美味しい!」こと。道の駅「越前たけふ」は、そのイメージをそのまま現しています。
運営しているのは地元福井の人気鮮魚店。1階のお土産売り場の半分が鮮魚コーナーで占め、その日に獲れた鮮度抜群の地元産鮮魚が並ぶのです。
冬は越前ガニ。しかも、市価より割安。扱う量が多いため、訳あり品もあってオトクに買い物ができるのも魅力です。たくさん、購入しても大丈夫。138台分の大きな無料駐車場があるので、買い出し気分で立ち寄れます。
もちろん、越前そばや福井の地酒、へしこなどの特産品、産直野菜などが数多くそろっています。
アウトドア派に嬉しい!買ったらすぐバーベキュー
交流広場(道の駅敷地内)では、道の駅で買った鮮魚やお肉・産直野菜で、バーベキュー(冬季休業)が楽しめます。イベントスペースでは、コンサートや催し物なども開催され、道の駅にとどまらない交流の場として賑わっています。
冬は越前ガニのメニューも!新幹線に乗る前に福井の味を食べて帰ろう!
2階には「海鮮レストラン越前丸松」があり、海鮮丼や定食類をはじめ、越前地方の名物「ボルガライス」、「ソースカツ丼」など豊富なメニューがあります。
レストラン内には寿司店「寿司割烹丸松」もあり、靴を脱ぎゆっくり寿司を味わえるスペースが用意されています。
昼だけではなく、夜も営業(夜限定の居酒屋メニューあり)しているので新幹線に乗って帰る前に福井の味を存分に楽しんで帰れます。また、マグロの解体ショーなどのイベントも定期的に開催されているので、公式サイトでしっかり確認をして旅をするのがおすすめです。
2階のレストランは新幹線ビューの席も!
2階レストランからの眺めは、もちろん新幹線ビュー。これだけでも撮り鉄さんには、たまらない環境ではないでしょうか。
1階には、そば店や焼鯖寿司、和スイーツ店があります。
DATA 「道の駅 越前たけふ」の基本情報 所在地:福井県越前市大屋町38-5-1 営業時間:観光案内所8:00〜18:00、1F物産販売所9:00〜18:00、2Fお食事処11:00〜15:00/17:00〜22:00 (※20時以降閉店する場合あり) 定休日:第2水曜日(祝日の場合は翌日が休業)、元日 電話:0778-43-5661 公式サイト:道の駅 越前たけふ
越前たけふ駅に観光スポットはある?2024年大河ドラマゆかりの地も
田んぼの中の「越前たけふ駅」ですが、周囲に今注目の観光スポットがあります。それは「紫式部公園」と「紫ゆかりの館」。2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部ゆかりの地です。
紫式部公園
今から1200年ほど前の平安時代、武生にあった越前国府(国ごとに置かれた地方行政府)に紫式部の父・藤原為時が越前守(越前国司とする資料もある)として赴任する時、紫式部も同行しているのです。20歳頃といわれています。
紫式部が都(京都)を離れたのはこの時のみで、わずか1〜2年後に単身帰京します。この地でどう暮らしたのか、何を感じとったのか。後に夫となる藤原宣孝との文のやり取りなど、その後の人生を左右する大切な時間を武生で過ごしています。
「紫式部公園」は、3000坪もの広大な敷地に、平安時代の貴族の住居(寝殿造)を模して造られた全国的にも類をみない庭園公園です。
公園に入れば、池の中央にある反橋と平橋の朱塗りの2橋を中心に、8の字で池の周囲を散策するのがおすすめ。武生盆地を囲む山々を借景に、遣水や滝口、州浜、池中立石といった寝殿造庭園を雅な平安貴族になったつもりで散策しましょう。
他にも和歌が刻まれた歌碑がいくつか建てられています。
中でも有名なのがこの歌。
「ここにかく 日野の杉むら 埋(うず)む雪 小塩(をしお)の松に けふやまがへる」
紫式部が越前で初めて迎えた冬に、日野山に積もる雪を見て京都の小塩山を思い出して詠んだ歌です。園内の紫式部像も日野山を眺めています。
もう1首、興味深い歌があります。
「春なれど しらねのみゆき いやつもり とくべきほどの いつとなきかな」
求婚してくる藤原宣孝に対する贈答歌ですが、つれない返事をしています。本音なのか恋の駆け引きなのか、想像するだけで楽しくなってきますね。
DATA 「紫式部公園」の基本情報 所在地:福井県越前市東千福町20 営業時間:入園自由 電話:0778-22-3012(越前市都市計画課) 公式サイト:越前市観光協会公式サイト
「紫ゆかりの館」で紫式部に会おう!
「紫ゆかりの館」は、「紫式部公園」に隣接する展示施設で紫式部と越前国府について、映像やパネル、越前和紙で作った人形など、平安貴族や源氏物語のイメージをかき立てる、とても美しい展示になっています。
特に、越前への旅立ちから帰京し『源氏物語』を描くまでの心模様を几帳(きちょう:薄絹などで仕立てた間仕切り)風グラフィックや絵巻物語風の映像で美しく紹介する「百花繚乱」(6分間)は必見です。
「紫式部の間」の展示は、越前和紙で作られた紫式部和紙人形が座っています。十二単(じゅうにひとえ)をまとった後ろ姿というのも想像を膨らませてくれます。
館内にはショップもあり、伝統的工芸品で作られた日用品や雑貨、紫式部や源氏物語をモチーフにしたコーヒーなどのオリジナルを含むさまざまなグッズが販売されています。
2024年2月には、大河ドラマ館がオープン。場所は「紫式部公園」から徒歩15分のところにある武生中央公園内の「まさかりどんの館」。2024年の12月下旬までの会期予定ですので、この機会にぜひ訪れたいですね。
DATA 「紫ゆかりの館」の基本情報 所在地:福井県越前市東千福町21-12 営業時間:9:00〜17:00 休館日:月曜日(月曜日が祝日または振替休日の時はその翌平日)、年末年始(12月29日から1月3日) 入館料:無料 電話:0778-43-5013 公式サイト:紫式部と国府資料館 紫ゆかりの館
周辺観光はオトクに楽しく
越前たけふ駅周辺の観光スポットは、紹介した紫式部関連だけではありません。移動手段とあわせて紹介しましょう。
越前たけふ駅周辺の観光スポット
平安時代ゆかりのスポットとしては、越前国府の遺跡発掘が境内で行われている本興寺があります。京へと帰る前に紫式部が白梅を植えたとの言い伝えがあり、後に娘の賢子が母を偲んで紅梅を植えたといわれています。現在、境内にある紅梅は4代目で、春に見事な花を咲かせています。
また、同時代に活躍した安倍晴明ゆかりのスポットが点在しています。全国的にも珍しい天文学に関する資料館「暦会館」など、他にはない展示が楽しめます。
伝統工芸品では、紫式部ら平安貴族らも使っていた越前和紙があり、「越前和紙の里」では越前和紙の文化にふれることができます。他にも越前打刃物や越前箪笥など、伝統工芸品を製造・販売する工房で見学や体験ができるので、福井県公式観光サイト「ふくいドットコム」もしくは越前市観光協会公式サイト「手仕事を巡る旅 越前叡智」を参照ください。
近代産業では眼鏡フレームが有名です。眼鏡をテーマにした体験・学習・見学・購入ができる施設「越前めがねの里」には、カフェも併設されているので、くつろぎながら福井の眼鏡文化に親しむことができます。
オトクで便利な500円定額タクシー「迎車でGO!」
観光の移動手段ですが、タクシーがおすすめです。越前市では500円の定額タクシー「迎車でGO!」を実施しています。乗降可能場所間の移動が500円でできる安くて便利なシステムです。乗降可能場所はかなり多く、利用できる範囲も広いので、観光客にはとてもうれしい内容になっています。
利用方法は、タクシーチケット(乗車手形)を観光案内所や購入可能施設で購入し、迎車可能なタクシー会社のタクシーを利用。乗車手形1枚につき、乗降可能場所間1区間1回(片道のみ)の乗車ができます。
利用期間は、現在のところ2023年4月1日〜2024年3月31日。利用時間は8時から19時です。
2024年度の実施については、2024年1月現在では決まっていませんが、検討されているとのことです。2023年度の500円定額タクシー「迎車でGO!」については、こちらを参照ください。
お泊まりスポットは
越前たけふ駅周辺の観光を満喫するための宿泊スポットは、JR「武生駅」や「越前たけふ駅」周辺にビジネスホテルや旅館が数軒あります。武生以外の地域も楽しみたい人には、JR福井駅周辺や芦原温泉がおすすめ。JR「福井駅」へはJR武生駅から約20分。もしくは、福井鉄道で「たけふ新駅」から「福井駅」まで約60分。
芦原温泉へはJR福井駅前で、えちぜん鉄道「福井駅」に乗り換え「あわら湯のまち駅」へ約40分です。
開通した北陸新幹線の「福井駅」や「芦原温泉駅」を利用するという方法も(在来線でも行けます)。「芦原温泉駅」から芦原温泉街へは、路線バスやタクシーのほか、宿の送迎バスでの移動になります。
来て見てわかる面白さ「越前たけふ駅」周辺
福井県の観光スポットといえば、福井県立恐竜博物館や永平寺などがあり、武生駅周辺で観光というイメージを持っていない筆者でしたが、来て見ればその面白さに心が躍りました。
伝統工芸を守り続けるひた向きさや美味しいグルメというしっかりとしたものがあるところに、北陸新幹線の延伸、NHK大河ドラマ『光る君へ』の放送などスポットが当たり、見逃せない地域になりそうです。
ゆっくり1日観光を楽しめる「越前たけふ駅」周辺。おすすめです。
※本記事は「福井県 関西メディアを通じた北陸新幹線開業PR」のプレスツアーに参加し、現地での体験を記事にしたものです。