千と千尋の神隠しの舞台・四万温泉「積善館」をお得に楽しむ方法

ライター さとちん

さとちん

旅行・グルメ・おでかけライター

群馬県の四万温泉にある老舗旅館「積善館」。300年以上の歴史を持つ日本最古の湯宿建築は「千と千尋の神隠し」のモデルのひとつとも言われ、テレビや雑誌でもよく紹介されています。「そんなに人気の旅館ならお高いし、予約を取るのも大変そう…」なんて思いがちですが、実は本館なら想像しているよりお安く宿泊可能。今回は積善館の魅力とともに、ジブリファンなら見逃せないスポットや予約のコツを、そっと教えちゃいます。

積善館本館は日本最古の湯宿建築

積善館

積善館が四万温泉で旅籠を始めたのは、江戸時代元禄七年(1694)。本館の建物は元禄4年(1691)に建てられたものです。現在も利用されている湯宿建築としては日本最古のもの。新湯川にかかる赤い慶雲橋と歴史が感じられる木造の建物は、映画「千と千尋の神隠し」に出てくる油屋を彷彿させ、事実モデルのひとつだという説があります。

積善館には本館以外に、昭和11年(1936年)に建てられた「山荘」、1986年(昭和61年)に建てられた「佳松亭」の3つの建物があります。

山荘と後ほど紹介する「元禄の湯」は、国の登録文化財と群馬県近代化遺産に、本館の玄関は群馬県の重要文化財に指定されている、歴史的にも価値のある建物。そこを実際に利用できるのですから、まるで映画の世界に入り込んかのようで、気分はもう湯婆婆(そっち?)。

山間の温泉街にある積善館

積善館のある四万温泉は、上信越高原国立公園内に位置する自然豊かな温泉街です。古くから湯治の名所として知られていますが、一番近いJRの駅までバスで40分、一番近いコンビニまで車で20分と、山間の少し不便な場所。

でも、その分落ち着いた雰囲気の、昭和レトロでノスタルジーが感じられる温泉街。都会の喧騒から離れ、ゆったりとした休日を過ごすには最適な場所です。

本館ならとてもリーズナブル!

積善館本館階段

積善館での宿泊は、文化財に指定されている山荘や、贅沢で優雅な時間が過ごせる佳松亭も素敵ですが、私のおすすめは本館。光沢のある木造の手すりや赤い絨毯は、なぜか懐かしく、心がほっと癒される空間です。

湯治を目的としたお部屋なのでサービスは必要最小限。布団の上げ下ろしも自分達で行います。でも、その分ゆっくり自分達のペースで過ごせるんですよ。

しかも本館ならプランによりますが、平日なら1泊2食付きでも、1人あたり1万円以下で宿泊できる日もあるんです。ちなみに山荘と佳松亭は、どちらも2万円以上になります。

え、そんな値段で泊まれるの?と、ちょっと驚いちゃいますよね。

積善館客室

私達が利用したのは3階の角部屋。2方向に窓がある明るいお部屋でした。10畳と3畳の和室が2間続きで、広縁もあります。3畳の和室は荷物部屋として活用。10畳のお部屋を4人でごろごろ寝転がりながら過ごしました。

最小限のサービスといっても十分快適!テレビ、電気ポットはもちろん、広縁には自由に使える冷蔵庫があって、とっても助かりました。

当然ですが浴衣、羽織、足袋、フェイスタオル、バスタオルも、ちゃんと人数分用意されています。

左が前新、川を挟んで右が向新

広縁からは元禄時代に近い姿で保存されている建物、前新(まえしん)と向新(むこうしん)が見えます。前新の1階は、積善館を代表する温泉「元禄の湯」です。

「千と千尋の神隠し」の中で、女中部屋として使われていた建物に似ていますよね。昔は客室が外廊下で繋がっていました。私達が宿泊した本館の広縁も、以前は外廊下だったそうです。こういった興味深いお話は、宿泊者なら無料で参加できる「歴史ツアー」で聞くことができます。

積善館 夜景

夜になってライトアップされると、さらに幻想的な風景に。見学者も増えてきます。そんな様子をお部屋から眺められるのも、本館ならでは。

こんなお部屋が日によっては1万円以下。大事なことなので2度言います。
本当に絶対お得です。

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積善館本館の食事は体にやさしい「食治」

リーズナブルな分、食事が寂しいのでは?と不安に感じますよね。結論からいうと、私は十分満足できました。

本館の食事は夕食、朝食ともにお弁当で提供されます。湯治棟ですから、身体の中から健康になる「食治」を提供。野菜やお豆腐、山菜、群馬名物のこんにゃくなど、ヘルシーでおいしいお惣菜がお弁当箱に詰まっています。

夕食は三段弁当。お肉のメニューもあります。私たちが宿泊した日のお弁当は、つくね、焼魚、角煮、鶏肉の串焼きでした。これに茶碗蒸しと蕎麦までついて、ご飯と上州麦豚こしね汁はおかわり自由です。

+2,750円(税込)で、お刺身や岩魚の塩焼きがつく「四季御膳」へのグレードアップも可能。その場で一品料理の追加もできますが、我が家はお弁当で十分お腹いっぱいになりました。

積善館 夕食
夕食の三段弁当

朝食もお弁当です。焼鮭や温泉卵、煮物に納豆、おから、おひたしと、身体によいものばかりです。サラダのドレッシングは自分で選ぶのですが、野菜のすりおろしドレッシングは、野菜の甘さにびっくり!試してみて!

ご飯は白米か温泉粥が選べます。もちろん、お味噌汁ともにおかわり自由。

積善館本館の朝食

デザートのヨーグルトまでついているのですから、これで文句いったらバチがあたるというものです。

しかもお弁当なので、どちらもお部屋に持ち帰って食べてもいいんです。夕食時には冷蔵庫で冷やしておいたビールや日本酒と一緒に、お部屋で一杯なんてこともできますよ。

大広間で食べる場合も、お酒の持ち込みは自由!太っ腹すぎて、申し訳なくなってしまいます。

積善館の5つ温泉はすべて源泉かけ流し

四万温泉で300年以上の歴史を持つ積善館。四万温泉の名前の由来は、「四万(よんまん)の病を癒す霊泉」という伝説から来ています。積善館に宿泊したら、温泉をとことん楽しみ尽くしましょう。

積善館には本館に2つ、山荘に1つ、佳松亭に2つ、それぞれ趣向の違う5つの浴場があり、どこに宿泊してもすべて利用できます。

本館 元禄の湯

積善館元禄風呂

積善館で一番有名なのが、本館前新の1階にある「元禄の湯」です。昭和6年に建てられたモダンな建物は、国の登録有形文化財に指定されています。文化財のお風呂に入れるって、なかなかできない体験ですよね。自分のレベルがワンランクアップした気分。

5つの湯船はかけ流しでザブザブお湯があふれています。源泉はすぐ横を流れる新湯川の川底から沸いているので、温泉が新鮮!壁にあいているアーチ形の中は蒸し風呂。温度は低めですが、昔のサウナが体験できる貴重な場所です。

積善館元禄風呂

ドアを開けるともう浴室です。小さな脱衣所で浴衣を脱いで温泉に入ります。温泉に入るだけなのに、タイムスリップしたような不思議な感覚。

本館に宿泊すると近くて便利ですよ!

本館 岩風呂(混浴)

積善館岩風呂

本館にはもうひとつ、「岩風呂」があります。大きな岩が豪快な、ワイルドで渋い温泉。こちらもかけ流しの温泉がザバザバと溢れています。岩風呂は脱衣所は男女別なのですが、なかで一緒になる、いわゆる混浴です。

元禄の湯と岩風呂は、日帰り湯でも利用できるのですが、混浴の岩風呂は女性にはなかなかハードルが高いですよね。でも、宿泊すれば女性専用、男性専用の時間をもうけてあるので、安心して入ることができます。積善館の魅力を十二分に堪能するなら、日帰りではなく宿泊しましょう。

山荘 山荘の湯(無料貸切風呂)

積善館無料貸切風呂

山荘には無料で利用できる貸切風呂、「山荘の湯」が2ヶ所あります。予約は不要で、空いていたら中から鍵をかけて、自由に使うことができます。

チェックインしてすぐの時間帯や歴史ツアー、夕食の時間がねらい目。

佳松亭 杜の湯

積善館露天風呂
画像提供:佳松亭

佳松亭は浴室も豪華!まるで森の中にいるような内風呂と露天風呂がある「杜の湯」があります。ウォーターサーバーや基礎化粧品なども揃っていて、ここがいつも一番利用者が多かったです。私も家族も夜と朝2回利用しました。

佳松亭 積・善(有料貸切風呂)

積善館貸切風呂

佳松亭には、もうひとつ有料の貸切風呂「積」と「善」があります。こちらは事前予約制で、45分3,300円(税込)。緑に囲まれた源泉かけ流しの湯船を、ゆっくりと楽しむことができます。45分は意外に長いので、最初男性、次に女性と家族別々にはいっても、十分満喫できます。

積善館貸切風呂

バスタオルやミネラルウォーター、基礎化粧品も用意されていて、3,300円払っても十分元が取れた気がします。本館の宿泊費で節約した分は、このくらいの贅沢許されますよね。

この場所は?積善館で見逃せないスポットはここ!

この場所に見覚えはありませんか?

積善館通路

「千と千尋の神隠し」で、最初に千尋が迷い込んだトンネルのようですよね。実はこのトンネルも積善館の中にあります。本館と山荘をつなぐトンネルです。地下水が流れていて、本当に別世界へのトンネルのよう。

映画で紹介された場所以外にも、見所がたくさんあります。そんな場所を知りたい人は、19代目当主が案内してくれる「歴史ツアー」に参加しましょう。以前は自由参加でしたが、新型コロナウィルス感染症対策のため、1回20人まで、事前予約制となっています。開催日が決まっていますので、公式ホームページで確認してください。

私たちが宿泊した日は15時30分からの開催でした。

積善館本館廊下

最初は映像などを見ながら説明を聞き、その後本館の中を歩いてまわります。「千と千尋の神隠し」が有名ですが、吉永小百合さん主演の「天国の駅」、昨年公開された蒼井優さん主演の「スパイの妻」などでも、ロケが行われています。

ただ、歩いているだけでも楽しいですが、歴史を知るともっと積善館が楽しめますよ。

古いお宿だからこそ注意すべき点は?

積善館本館から見た新湯川

私的にはほとんど文句のない本館なのですが、古い建物ですので、気になる人は気になるかも…。

  • トイレは共同。特に3階のトイレは男女兼用なので、ドアを開けると男性用の小便器が!気になる人は2階へ。2階のトイレは男女別々です。
  • 角部屋は景色がいいですが、雨戸がなければ二重サッシでもありません。よって、川の音がかなり響きます。我が家は全員朝まで爆睡していましたが、音が気になる繊細な人や悪天候にあたりそうな時は耳栓を持参すると良いかも。
  • 本館に宿泊する人は本館の入口から入りましょう。古い建築に興味のない私以外の家族は、豪華な佳松亭の入口から入り、上で紹介したトンネルを通って本館へ来て、あまりの建物の落差にがっかりしたそうです。なんてバチあたりな!赤い橋を渡って本館に入った方が「千と千尋の神隠し」の世界にすっと入ることができます。

積善館の予約方法

積善館本館受付
本館受付

積善館の予約は6ヶ月前から受付可能です。6ヶ月前になったら忘れず予約しましょう。
歴史ツアーは宿泊の1か月前から、公式サイトで予約を受け付けています。

積善館へのアクセス

積善館

積善館へのアクセスは車が便利。観光スポットの奥四万湖や四万の甌穴群に行くのにも、車があると便利です。車で行かない人は観光にはレンタサイクル「四万チャリ」を利用しましょう!電動自転車もあるので、山を登る奥四万湖も楽々行けちゃいますよ。

車でのアクセス

東京方面:関越自動車道渋川・伊香保ICよりR353経由で約50分
関西方面:上信越道上田・菅平ICよりR144・R145経由で約110分

鉄道でのアクセス

JR中之条駅から「四万温泉」行きの路線バスに乗車して約40分、終点「四万温泉」バス停下車後徒歩2分。

東京在住&関東在住で東京駅が近い方にはこんな方法も!

四万温泉号:東京駅八重洲口から直通バス「四万温泉号」が、1日1往復出ています。乗り換えなしで楽々四万温泉まで出かけられる上に、往復5,200円でリーズナブル!東京駅を9時に出発して、四万温泉に到着するのは大体12時半前後。

伊香保・四万温泉号:12月1日~5月5日の間は、四万温泉号のほかに伊香保温泉を経由する「伊香保・四万温泉号」も1日1往復します。こちらは東京駅を9時40分に出発、伊香保温泉を経由して、四万温泉には14頃到着。

4~5時間以上の乗車時間は長いと感じるかもしれませんが、途中、サービスエリア休憩もあるので、乗っていると意外と短く感じます。私も以前利用しましたが、バスの振動が心地よくがっつり爆睡!バスの中でパワーチャージできました。

ジブリ好き・歴史好き・コスパ重視の人におすすめ!

古い建築が好き、ジブリアニメが好き、温泉が好き、なるべく安く宿泊したいという人なら、積善館本館は絶対満足できることでしょう。高級旅館と思いきや格安で宿泊でき、温泉の魅力や貴重な建物の魅力が感じられ、コスパも最高!そろそろ温泉が恋しくなるころ。この宿は本当におすすめです!

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DATA
住所:群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
電話番号:0279-64-2101(受付時間 9:00~19:00)
公式ホームページ:四万温泉「積善館」

ライター さとちん

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