霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき

ライター 権丈俊宏

権丈俊宏

一級建築士

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき

霧積温泉「金湯館」(群馬県安中市)は、上信越高原国立公園内にある秘境の一軒宿。手付かずの豊かな自然に囲まれ、避暑や保養にピッタリ! 一方で源泉かけ流しかつ泉質の良さでも知られ、知る人ぞ知る名湯でもあります。

日帰り入浴も可能ですが、のんびりと宿泊するのがベスト。そこで今回、その魅力をたっぷりとご紹介。また、山奥の不便な立地にあるため、アクセス面での注意点も併せてご説明します。

霧積温泉とは

霧積温泉(読み方:きりづみおんせん)は、有名観光地である軽井沢(長野県軽井沢町)と峠を挟んで隣接する地。しかし軽井沢の賑やかさとは打って変わった秘境です。

明治時代初期から避暑地として知られ、伊藤博文や与謝野鉄幹・晶子夫妻など多くの政治家や文化人も訪問する温泉地でした。ちなみに「霧積」の名は、霧が多い地であることが由来です。

霧積温泉の一軒宿「金湯館」

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金湯館 外観

現在、霧積温泉は「金湯館」(読み方:きんとうかん)一軒のみ現存。映画ファンには「人間の証明」の舞台となったことでも知られる宿です。

一本道をひたすら上る山深き地ですが、冬季も休まず通年営業。宿周囲には民家など建物は一切無く、宿の前に架けられた深紅の橋が秘境感を漂わせます。

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき
金湯館 エントランス

玄関をくぐると、いかにも山奥の秘湯と言った佇まい。所々天井から吊るされたランプが、歴史の深さを感じずにはいられません。華美さは一切ありませんが、飾らない素朴な佇まいに不思議と心が癒されます。

源泉100%かけ流しの極上湯でのんびり!

金湯館の大きな魅力の一つが、温泉そのもの。不便な立地にもかかわらず、日本全国から温泉ファンがこの名湯を求めて訪れます。

金湯館の浴室

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金湯館の浴室

浴室は男女別の内湯が各々1ヶ所有るだけ。露天風呂や貸切風呂などは一切ありません。しかし温泉好きからしたら、それだけで十分。なぜならば泉質が優れているからです。

金湯館の温泉の泉質

泉質名は、カルシウム-硫酸塩温泉(石膏泉)。泉温は38.9度で、加温も加水も一切無い源泉100%かけ流しで利用されています。硫酸塩泉は三大美肌の湯として知られ、保湿や肌の蘇生効果に優れる泉質。一見あまり特徴が無さそうな泉質ですが、一部の温泉ファンに熱狂的な支持を集める泉質なのです。

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき
極上湯が湯船から贅沢に溢れ出しています。

しかし金湯館では硫酸塩泉の美肌効果に加え、甘い硫黄の香りとゆで卵の様な味も特徴。
※金湯館では飲泉場が設置され、源泉を飲むことも可能。少々癖がありますが、意外と飲みやすい味です。

また、温泉に含まれる微細なバブル(気泡)が湯の中を浮遊。そのバブルが肌に付着するため、肌をさするとツルっと泡が弾け、これがたまらない心地良さ! 40度弱のややぬるめの温度と相まって、のんびりと極上湯を楽しめます。

伊東博文も逗留!歴史ある客室

「金湯館」の建物は、木造2階建ての細長い形状が特徴です。エレベーターも有りません。客室は本館と別館に分かれ、別館の方が比較的近代的建物で一般客向けと言えるでしょう。

本館客室

筆者は、あえて明治時代に建造された歴史ある本館に宿泊しました。

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伊藤博文が逗留した本館客室

私が宿泊した客室は、かつて伊藤博文が逗留し、明治憲法を草案したとされる角部屋。築100年を超えますが丁寧に使われ、令和の現代においても現役で使用されています。

和室10帖の部屋は廊下と障子で仕切られ、鍵はかかりません。貴重品が気になる方は、フロントに預けましょう。また建物の構造上仕方ないのですが、音が廊下や隣の部屋にもれやすいので、ドンチャン騒ぎなどしないようにしましょう。

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アメニティ類。浴衣・タオル(大小)・歯ブラシ等、最低限のものは揃っています。

このように不便な点もありますが、歴史ある客室に泊まれることは、やはり貴重な体験。都会の喧騒を忘れ、非日常のゆるりとした時間を過ごせます。

山の恵みたっぷりの食事

夕食・朝食は、いずれも部屋出しで用意されます。地元の食材に徹底的にこだわり、派手さはありませんが山の恵みたっぷりの食事です。

金湯館の夕食

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき
夕食の一部

地元で採れた野菜やキノコをふんだんに使った季節の天ぷらは、サクサクとした歯ごたえのサッパリヘルシーなお味。群馬名物のさしみこんにゃくは日本酒の相性にもピッタリです。煮物は家庭的な味付けで、不思議と箸が進みます。

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豚汁

豚汁は、シイタケをはじめとしたキノコや野菜たっぷりのお味。白味噌ベースの汁にそれらのダシがしっかりとしみ込んでいます。

金湯館の朝食

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朝食

朝食も手の込んだ料理です。山菜や手作りの佃煮、温泉玉子、なめこ汁…、と地産地消にこだわった家庭料理を味わえます。もちろん豪勢でスタイリッシュな朝食も魅力的ですが、この様な愛情たっぷりの家庭料理はお腹も心も癒してくれます。

霧積温泉「金湯館」へのアクセスの注意点

秘境感たっぷりの非日常ステイを楽しめる「金湯館」ですが、一方で不便な立地にあるため、中々訪問に踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、アクセス面での注意事項を記します。

公共交通機関のアクセス

公共交通機関利用の場合は、宿泊者に限りますが、JR信越本線の横川駅から宿までのマイクロバス送迎(要予約)があります。東京方面からならば上越新幹線の高崎駅で信越本線に乗り換えて、横川駅で下車します。

車でのアクセス

ちなみに筆者は今回、レンタカーで訪問しました。車の場合、最寄りのインターチェンジは、上信越自動車道 松井田妙義ICです。

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道中の玉屋ドライブイン。ここで必ず宿に連絡。

ここでナビを「玉屋ドライブイン」(住所:群馬県安中市松井田町坂本1011-1、Tel:027-395-2457)にセットし、ここから宿に電話連絡して到着予定時刻を知らせます。なぜならば、これ以降は携帯電話がつながらない可能性があるためです。

玉屋ドライブイン以降は、県道56号線をひたすら上ります。道中は道が狭く街灯もほとんどないので、明るいうちに訪問しましょう。また付近は野生動物が生息しており注意が必要です。ちなみに筆者は、道中で野生のニホンザルに遭遇しました。

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき
霧積温泉 駐車場

玉屋ドライブインから車で約20分。一本道である県道56号線の突き当りが金湯館の無料駐車場です。ここで事前予約したマイクロバスに乗り換えます。これ以降は、国土交通省管轄の林道を通るために、許可者以外の一般車両は通行できません。
立ち寄り入浴の際は、駐車場に車を停めて徒歩で金湯館へ行きます。(所要時間は徒歩約20分)

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき
金湯館へ降りる下り坂の階段

マイクロバスの終着点は周囲が川と山に囲まれているため、宿の横に車を付けることができません。そのため、宿よりも山手にバスを停めます。その後は、上写真にある下り坂の階段をひたすら降ります。未舗装の急な階段なので、スニーカーなど滑りにくい靴を履くのが望ましいでしょう。

霧積温泉「金湯館」はどんな人におすすめ?

以上、霧積温泉「金湯館」の宿泊記をご紹介させて頂きました。

霧積温泉「金湯館」宿泊記・群馬の秘境で過ごす非日常のひととき

最後になりますが、「金湯館」は以下のような方におすすめです。

・自然豊かな地で非日常を楽しみたい方
・温泉街よりも静かな温泉がお好きな方
・豪勢な宿よりも素朴な宿がお好きな方
・泉質重視の温泉ファン
・ぬるめのお湯がお好きな方

以上、ぜひ参考にされて下さい!

  DATA
 霧積温泉「金湯館」
 住所:群馬県安中市松井田町坂本1928
 電話番号:027-395-3851
 アクセス:
 【車】上信越自動車道 松井田妙義ICから駐車場まで車で約35分。マイクロバスで約15分または徒歩約20分。
 【バス】JR 横川駅から駐車場までマイクロバスで約30分、もしくは徒歩約3時間。
 ※マイクロバス送迎は宿泊者のみ利用可(要予約)
 公式サイト:金湯館

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