最近よく聞かれるようになった「ワーケーション」。なんだか「リゾートで休暇の合間に仕事をする!」みたいな夢のような話だけど、現実的にはなかなか難しいと思っている方が多いのではないでしょうか?
そこで今回はライターのかたわらに副業で会社員もやっている私が(逆か!)、今までの経験を基に、みなさまに絶賛「ワーケーションのスゝメ」を語ります。ノマドやフリーランスじゃなくてもワーケーション、十分に活用できるんですよ!
ワーケーション、みんな誤解してない?
「ワ-ケーション」という言葉は「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」の造語で、リゾート地や地方など、普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得を行う仕組みのこと。非日常の空間でリラックスしながらテレワークを行うことで、心身が健康になったり、業務のスピードやクオリティが高まったり、発想力の向上などが実現できる働き方として注目されています。
ところがこのワーケーション、どうもみんなに誤解されているようで、私がワーケーションしていると
「えー、なんで休暇中に仕事しなきゃならないの?」
「私は仕事と休暇はしっかりわけたい」
「ワーケーションなんて、結局遊んじゃうんじゃない?」
こんなことを言われるのですが、これ、大いなる誤解です!
一番ヒドイ誤解が「ワーケーションって、休暇の日に働かされるってことじゃないの?」というものでしたが、私、そんなブラックな職場にはいません(笑)
ワーケーションは「休暇中でも仕事ができる環境を整備して、働いた時間を勤務時間に組み入れる」という考え方です。今まで仕事の進捗や周りの目が気になって、長期休暇を取れなかった人が、安心して長い旅行に出かけられるようになる、まさに企業や団体に勤める人のための新しい制度なんです。
また「仕事と休暇はわけたい」「ワーケーションは遊び」という方に対して、私はこんなふうに説得して仲間に引き込んでいます。
「仕事と休暇を混ぜ合わせて、遊びながら仕事するからこそ普段とは違うアイディアとかイノベーションが起きるんじゃない?」
古今東西で「アイディアは移動距離に比例する」的なことが言われていますが、ワーケーションもこれと同じだと思います。日常から脱出して、普段は目にしないものと出会える環境の中で仕事を行うからこそ、今までとは違った刺激を感じ、新たな発見や着想を得ることができるのです。
だから仕事と休暇をしっかりわけたい人は無理にワーケーションする必要ありません。クリエイティブに生きたい人だけどうぞ!(笑)
いろいろなワーケーションのカタチ
さて、そんなワーケーションですが、その目的によっていくつかの形に分類されています。
「休暇型ワーケーション」はさきほど話したように、個人が休暇に仕事をプラスして長期休暇を取るスタイル。一方の「業務型ワーケーション」は仕事がメインの活動となり個人の裁量だけではなかなか進められません。
注目したいのが出張の前後に休暇を楽しむ「ブレジャー」。個人で行うワーケーションや休暇部分での費用は自己負担となりますが、往復の交通費は出張旅費として会社が負担してくれることが多いので、実はこれ、狙い目なんです。
そんなわけで、今回は比較的個人の裁量で行いやすい「休暇型ワーケーション」と「ブレジャー」を想定した話をします。
会社員の場合のワーケーションの制度や費用は?
ノマドやフリーランスの人は、いつでもワーケーションができますが、会社勤めの場合は会社にワーケーションの制度があることが大前提。
えー、そんな制度うちの会社にはないよ、という方がまだほとんどでしょう。
2020年11月にJTBが行ったアンケートによると、ワーケーション制度がある企業はわずか4%。ただしワーケーションに興味がある、と答えた企業の人事総務担当者は約60%と、今後導入が進むことが予想されます。すでに一部ベンチャー企業や大手企業では導入の準備が進んでいるところもありますので、まずはご自身の会社に制度があるかどうか調べてみてください。
またワーケーション制度はなくてもリモートワークは自宅以外でも自由に行っていい、という企業であれば、緊急時に出社しやすい比較的近場での「マイクロワーケーション」ならできそうです。
意外と穴場なのはブレジャー。出張の前後に休みをつけることを認めている会社は以前からあるようですので、そうであれば積極的に活用したいですね。
ワーケーションにかかる費用は、ほとんどの企業で自己負担です。そのためワーケーションをする頻度の多い人は「Hafh」「ADDress」などのサブスク型の宿泊サービスを利用することが多いようです。また、うまくブレジャーを活用して交通費を節約したり、地域の自治体が募集している「モニターツアー」などを利用するのもおすすめです。いずれ企業も福利厚生などの一環として社員のワーケーションに補助を出すことになるかもしれませんね。
ワーケーション、どんな施設がいいの?
ワーケーションの成否は滞在先の施設に大きく左右されます。WIFIなどネットワーク環境が整っているのは大前提ですが、それ以外で必要なのは「個室」と「オープンなワーキングスペース」。
ワーケーションというとおしゃれなコワーキングスペースのイメージがありますが、個室は必要です。特にオンライン会議がある場合は共有スペースでは発言もままなりません。基本はホテルの客室で問題ありませんが、困るのはチェックイン前やチェックアウト後に個室が必要な場合。その時間帯はできるだけ会議を入れないようにしたり、客室以外の個室スペースを見つけておくのが上級者のテクニックです。
一方でホテル客室にずっと籠っているのではワーケーションに来た効果も半減です。ときどきふらっと外に出て、近くのワークスペースで仕事をするといい気分転換になります。また、ホテル連泊の場合でも昼間は部屋のクリーニングが入ります。そのときに逃げ場がないと仕事が中断してしまいますので近くにワークスペースは必要です。
結論からいうと、館内や近くにコワーキングスペースや静かなカフェがある宿泊施設を選べば大丈夫です。客室以外にも個室スペースが近くにあれば最高ですが、これはオプションでもいいですね。
ワーケーション、どんな場所がいいの?
ビーチ、高原、シティ・・・どこでもOKです(笑)、と言っちゃうとガイドにならないので、それぞれのメリットとおすすめの場所を紹介します。
ワーケーション@ビーチリゾート
まずはビーチリゾート。開放的な気分で仕事ができることからクリエイティブな仕事をしたり発想力を高めたいときにおすすめです。国内では和歌山県の白浜町、淡路島などが有名ですが、沖縄では個人向けワーケーションのサブスクプログラムがあります。
「Re:sort@OKINAWA」は国内初の沖縄特化の定額会員制サービス。提携する県内のコワーキングスペース1年間使い放題権利や、アイランドホッピングができる離島への航空券などがセットになった基本プランをベースに、30泊分ホテル定額パスなどの超オトクなオプションも不定期に発売されます。
ワーケーション@高原リゾート
新鮮な空気をたくさん吸い込みながらワーケーションができる高原リゾートは、心身のリラックスに効果的。ワークの合間に手軽に森林ウォークや自然探索を行えるのも魅力です。長野県の白馬、蓼科、志賀高原や山梨県の八ヶ岳山麓など、日本を代表する山岳リゾートでの取り組みがすすんでいます。
ワーケーション@山村・古民家で暮らすように
ワーケーションの施設として人気なのが、各地に残る古民家。昔懐かしい山村で暮らすようにワーケーションし、地域の人々と交流することによって、都会では気づかなかった視点でものごとを見つめなおすことができます。古民家ワーケーションは三好市や神山町、美馬市脇町など、徳島県に先進地が多いのが特徴です。
ワーケーション@魅力的なシティ
もちろんシティワーケーションもありです。おすすめは札幌、神戸、福岡などの政令指定都市。都会なのに適度に都市緑化されていて、市内に見どころも多く、ちょっと足を伸ばせば観光も楽しめるため「ON/ OFF」の切り替えがしやすく、バリバリ仕事したいときにおすすめですよ。
私のワーケーション@九州
最後に、北海道から九州まで、年間20~30日ワーケーションをしている私の実施例を少しご紹介します。たとえばゴールデンウィークやシルバーウィークの時期、休日の間に余計な平日があってもったいないですよね?そんなとき私はワーケーション勤務を入れ、長期でお出かけしてしまいます。
これは私独自のことかもしれませんが、日程は「勤務」→「休日」→「勤務」(→「休日」)という形で、勤務で休日を挟むといいリズムが出るようです。
例えばこのカレンダーの日程で、私が九州に行った場合のワーケーションは、こんな感じです。
仕事@福岡市内【9月17日~18日】
ワーケーションの前半は企画書など創造力が必要な仕事の「さわり」をやる。企画書はまだ書かず、情報を集めたり、全体の構成やコンセプトをどうするか「徹底的に悩んでおく」。
休暇@鹿児島/宮崎【9月19日~22日】
せっかく九州に来たので、鹿児島や宮崎を周遊観光。
仕事はしないが、ときどき企画のことをもわーんと考えていると「突然アイディアが下りてくる」ことがある。
これがワーケーションの醍醐味。
徹底的に悩んで、頭の中にたまっていた情報と、旅先の普段触れない情報が結びつくことを「セレンディピティ(素敵な偶然の産物)」と言い、ワーケーションの特徴的な効果のひとつ。
仕事@熊本市内【9月23日~25日】
熊本城のパワーを感じるホテルの客室でワーク(気分アガる)。
休暇中にアイディアが下りてきたので、あとはそれを企画書に落とすだけ。もちろん企画書以外もオンライン会議に出たり、人事評価の中間面接(オンライン)や採点(ナマナマしい)も実施。やろうと思えばなんでもできるのがワーケーション!
さあ、ワーケーションやってみよう!
いかがですか?基本的にテレワークでできることはすべてワーケーションでもできます。
特別に気にしたり構えたりする必要はありません。私の経験ではむしろ普段よりサクサクと仕事が進む、ということをお伝えしておきます。
旅をしながら仕事する、その結果、長期でのお出かけが可能になり、休日が分散され、混雑も旅行代金も平準化される…なおかつ、ココロにもカラダにもアタマにもいい効果があるなんて、ワーケーション、最高じゃないですか?
ぜひ、日本中の働く人々がワーケーションを楽しめるような日が来るのを願ってやみません。