プーケットの人気観光名所の一つ「ビッグ仏陀」に息子達と行って来た時の一枚。分かってはいましたが、2021年6月下旬。プーケットのサンドボックスという観光客受け入れが始まる直前の光景です。
2021年7月1日に観光客を受け入れ始めたタイのプーケット。7月17日の時点でやっと観光客が5000人を超えたとはいえ、まだまだ一部の国限定。ワクチン接種証明と、多くの書類が必要であることなどから、以前ほどの賑わいは見せていません。
とはいえ!ビーチでもちらほらと旅行者を見かけるようになり、「リラックスしに来た」という欧米人のおじさまの姿をテレビのインタビューで見かけてうれしくなったり、前向きで元気な空気が流れてきたように思います。
そう言えばヨーロッパは7月現在、バカンスシーズン。長くお休みが取れる国もあるので、丁度良いきっかけに?ちなみにプーケットの観光客受け入れのプロジェクトは「サンドボックス」という名前で、「砂場の中では自由に遊んでいいよ」という意味合い。
14日間プーケット内で過ごし、滞在中はPCR検査も行われるため、隔離場所が大きくなった、と考えると丁度良い感じ。ちなみに14日間はプーケットから出られないように、検問もあるくらい厳格です。
「プーケットサンドボックス」での入国方法については後ほど詳しくお伝えしますね!
このモデルを参考にサムイ島では「サムイプラス」が7月15日からスタート。少しずつではありますが、タイに観光客が戻りつつあります。
タイでは感染ピーク!プーケットも繁華街はガラガラ
新型コロナウィルスがタイで最初に確認されたのは2020年1月12日。ワクチン接種は進んでいるものの現在に至るまで、感染拡大は今なお世界中で続いています。2020年4月、多くの国がそうであるようにタイも外国人の入国を基本的に禁止に。観光立国であるにもかかわらず、外国人旅行者がもたらす観光収入がゼロになりました。
1年以上が経過し、やっとサンドボックスで観光客が戻ってきたとはいえ、タイは2021年7月現在、感染拡大のピークを迎え、県内移動が禁止されています。また、不要不急の外出は禁じられ、外出しての食事はできず、飲酒もできないということで・・・観光客は昼はビーチでくつろいだとしても、皆ホテルに戻ってすごすため、繁華街やお土産屋さん、レストランなどをうろつくこともなく、パタヤ随一のバングラー通りもこの様子!
パトンの朝といえば、前日に飲みすぎた旅行者がふらふら歩いていたり、ビーチへジェットスキーを運ぶビーチボーイや、気だるそうにスタッフバスで出勤するホテルの従業員、朝から仕事に励んでいるタクシー運転手の姿をよく見かけました。そんな光景がパトンビーチの風物詩でもありましたが、旅行者がいない今、町の光景は一転しています。
ホテルの稼働率はまだ20%!
パトンビーチのホテル勤務者に確認したところ、海外のゲストが戻ってきていると喜んでいたものの、そのホテルですらまだまだ稼働率も20%。これは良い方で、未だ多くのホテル、お店が無期限の休業状態。
にぎやかであるはずのパトンのビーチロードも閉鎖中のホテルやコンビニ、バーばかり。
まるでゴーストタウンのようでした。日本人観光客にも人気のノボテルビンテージの前にさしかかると、なぜか看板が取り外されていました。
「あれ、前はここにホテルの看板がなかったっけ?」と聞くと、「看板を出すと税金がかかるから外してるんだよ」と、ヤーム(タイ語で門番、セキュリティのこと)が微笑みながら教えてくれました。
「いつ再開するの?」「わからないなあ」
普段から知らない人同士でも会話をする気さくなタイ人ですが、そんな彼らも、本当は深刻なことに違いありません。職を失い、プーケットに住むことができず帰省したタイの方がどれだけいることか。タイ人に限らず、プーケットで働く外国人も同様です。
このホテルも予約が入り、変化が生じている可能性もあるとは思います。一日も早く活気が戻ってきてほしいものです。
それでも、ビーチにも少しだけビーチチェアが並び、出店もあり、歩いている外国人旅行者も見かけるようになっただけでもうれしい!
コロナ禍のプーケット生活を振り返る
コロナ禍を経験することはきっとこの先ないと信じ(!?)そしてサンドボックスを経た先に、プーケットの復活があると信じ、これまでのコロナ禍のプーケットの生活を振り返りたいと思います。
プーケットでは各地区を封鎖するロックダウンが行われ、限られた地区内で移動するしかなかった時期もありました。そのころ各学校は休校を余儀なくされ、サラリーマンは出勤もできませんでした。
プーケット在住者の私も、生活面では随分不便な思いをしました。
病院へ行こうと出かけてみたら、地区と地区の境界線に設置されたゲートでまず予約表を提示しなければなりません。
そして帰宅時には、たとえ外来患者であっても、そのゲートで提示するための診断書を医師から発行してもらう必要がありました。もちろん、ちょっとそこまでお買い物なんて到底できません。違う地区に住むお友達はもちろん、家族に会いに行くことすらできませんでした。
当時、タイ政府からのひと世帯に対する援助は1バーツもなく(!!)また、とても多くの企業や店舗が廃業に追い込まれたのですが、唯一あったのが社会保険加入者(企業と雇用契約を締結している労働者)への給与補助のみ。当時、最高で月次給与の50%が、条件によって3か月から6か月間の支給されるものだったと記憶しています。
もちろん、雇用主に対しては何の保証もなく、企業や店舗への支援金もありませんでした。その代わりに、お寺や自治体、民間の飲食店がボランティアでお弁当の配布を行うと、毎朝毎晩多くのタイ人が検温、一定の距離を保ちながら、それらを求めて並んでいました。
さらに、自治体による全家庭へのお米や卵、缶詰の配給、検温・所在確認、健康確認も行われました。食品の配給は、サイドカー付きのバイクやピックアップトラックに乗せて、各家庭に配布してくれました。
こちらは検温の様子。各家庭に訪ねてきてくれるので、タイ人はIDを、外国人はパスポートの提示、家族構成を確認し、家族全員の検温を実施。その時にいなかった家族は後で検査をし、異常がなければ専用のシールを門の目立つところに貼られて完了。
政府からの金銭的援助がじゅうぶんでないタイではありますが、タイ人のボランティア精神には、心の底から感謝しました。
タイに新規感染者数がピークに
そして2021年7月、タイは連日新規感染者数が1万人を超え、ワクチン接種す感染者数。首都圏に比べるとプーケットは少ないものの、人が動けば感染が広がるのはどうしても避けられません。プーケットの学校でも、始業式を迎えたばかりだというのに、学校内で再び新規感染者が発見され、プーケット内の全教育機関は再びオンライン授業となりました。
タイ政府は7月18日、新型コロナウイルスの感染者数が3日連続で過去最高を記録したことを受け、首都バンコクと高リスクの県についてロックダウン措置を強化する方針であると発表。大部分の国内線フライトの運航を停止すし、夜間外出禁止令も、より多くの地域で発令されます。
プーケットサンドボックスで国際線は開かれたとはいえ、国内線は閉鎖されていて、誰も降り立つことはありません。プーケットに降り立ち、2週間後にはバンコクや他のエリアに旅行しようとしていた観光客もいたことでしょう。その夢はかなわぬものとなる可能性があります。
プーケット・サンドボックスとは?
ところでその「プーケットサンドボックス」ってなに?と思った方。これは
・ワクチン接種を完全に終えること
・プーケット到着時のPCR検査で陰性であること
これをクリアすればプーケット到着後、14日間隔離が免除されるとのこと!しかし、プーケット以外のタイの都市への移動は、14日間禁止されるというものです。
条件の詳細と滞在のルール
やった!これでタイで無制限にいける!と思ったあなた方もいると思いますが、ちょっと早いかも。他にも「サンドボックス」でプーケットに入境するには必要なことがたくさんあります。
・10万ドル以上の医療保険加入
・SHAPlus+認定ホテルの予約(宿泊料は支払済みであること)
・COE(タイ入国許可証)の取得
COE(タイ入国許可証)とは?:2021年7月時点でタイに入国するすべての者が取得しなければならない許可証。事前にオンラインで申請、登録を行います。
渡航目的などにより必要書類も異なり、入力項目には、ワクチンの接種証明書を添付したり渡航目的、利用旅行会社などの情報も必要となってきます。また、フライトに変更などが生じた場合は、最初から申請しなおすなど、かなりハードルが高く、申請はすべて英語もしくはタイ語となるので、英語が苦手な方は、代行会社を利用すると良いでしょう。
まだまだありますよ!
・対象は、コロナ感染低~中リスクの国の旅行者限定。日本も7月9日から認められました
・プーケット旅行14日前までにワクチン接種を完全に終えていること
・プーケット到着時のPCR検査で陰性であること
・ワクチン接種を完全に終えた保護者と一緒に旅行する6歳未満の子供は接種を受けていなくても、陰性証明も必要ない
・ワクチン接種を完全に終えた保護者と一緒に旅行する6~18歳の子供は自費でPCR検査を受ける
・ワクチンはタイ保健省及びWHOにより承認されたメーカーのワクチンであること
・入国時にGPS機能が搭載されたアプリをダウンロードする
・14日以内の帰国はプーケット空港から国際線で出国すること
・タイ国内へ移動する場合はプーケットに14泊後に可能となる
・すべての旅行者は、ソーシャルディスタンス、マスクの着用、手洗い、検温、必要な場合はPCR検査、GPSアプリのダウンロードを要請
これまで自由にタイ旅行をしてきたひとたちからは考えられない厳しいプーケットの滞在条件。さらにダメ押しで「プーケットからタイ国内で他の目的地がある場合は、15日目以降に目的地でワクチン接種証明書とPCR検査での陰性証明を提示し、その県の規制に応じる必要があり、国外への訪問はその国の規制に対し、タイは一切の責任を負わない。」という注意文というかプーケット以外、行くのが不安になるようなお言葉も。
うーん、これでもプーケットに来てくれる観光客の皆さんってすごいと思います。
「プーケットサンドボックス」再開以降については以下の記事で詳しく現地からレポートしています。お読みください。
静かになったプーケットで見つけた優しい時間
「プーケットサンドボックス」の計画が持ち上がった際は、まさか実行日以降にタイで新型コロナウィルス感染拡大がかつてないほどのレベルになるとは、誰も予想していませんでした。プーケットやサムイでは海外からの観光客受け入れが始まっても、タイ在住の方や他のエリアへは、ロックダウンで移動ができません。
いいことのないプーケットにも、人がいなくなったことで一つ、素敵なニュースがありました。
人気ビーチのひとつであるカタビーチは、パトンビーチの次に旅行者の多いビーチで、乾季は透き通ったエメラルドグリーンの海が視界一面に広がり、雨季はサーファーが集まる一年中楽しめるビーチでした。
2021年を迎えようとする大晦日、いつもはこのビーチまで来ないウミガメが、産卵のためにやってきたのです。孵化するその日には、地元の警察や有志の方々が集まり、ウミガメを保護。すべての赤ちゃんガメは鳥につつかれるということもなく、無事に海へ帰っていくことができました。
新型コロナウィルスのせいで、荒んでいくこともあったはずのタイの人々。しかし、その一方、静かで優しい時間が流れていることにも気づきました。
一日も早く、元通り、日本とタイの行き来が活発になり、ビーチを歩く観光客が笑顔で過ごしている姿を見たいと心から願っています。