猫の島もいっぱい!瀬戸内海笠岡諸島アイランドホッピング!

さとちん

旅行・グルメ・おでかけライター

瀬戸内海に浮かぶ大小31の島からなる笠岡諸島。有人島は7つで、沖縄に匹敵する透明度の高い海に、新鮮な海の幸、ジブリ映画のような絶景、人懐っこい猫たちと、それぞれが魅力のある島です。今回は5つの有人島を1泊2日でアイランドホッピングしてきました。

六島 猫とビール

笠岡諸島とは

笠岡フェリー
北木島豊浦港に停泊する笠岡フェリー大福丸

岡山県の南西、広島との県境に位置する笠岡市。その笠岡市に属する瀬戸内海に浮かぶ31の島々が笠岡諸島です。国立公園や日本遺産に認定された島もある、歴史と文化が刻まれた自然豊かな観光スポット。高島、白石島、北木島、大飛島、小飛島、真鍋島、六島の7つの有人島には、フェリーや旅客船で渡ることができます。

全国規模ではあまり知られていない笠岡諸島。実は有名人もお忍びで遊びに来るほど、静かでのんびりできる島です。
今回はチャーター船を利用して、1泊2日で六島、真鍋島、白石島、高島、北木島をまわってきました。

海と地ビールと猫の六島

六島の猫
六島の猫

笠岡諸島最南端にある六島(むしま)。島の面積は1㎢で人口は40人ほど。前浦港で降りると迎えてくれるのは猫。とっても人懐っこい猫達で、ずっと後をついてきます。

六島灯台

六島 灯台

六島で訪れたいのが六島灯台。岡山県で最初にできた灯台です。青い空と海に真白な灯台は、とってもフォトジェニック!灯台まで向かう道は、細い山道をのぼるハイキングコースとなっています。
1月上旬~2月中旬は、30万本ともいわれる自生の水仙が丘一面に咲き、小さな島に多くの観光客が訪れます。

六島 水仙
画像提供:三洋汽船株式会社
DATA
六島灯台
所在地:岡山県笠岡市六島
WEBサイト:六島灯台(笠岡市観光協会)

六島のクラフトビール

心地よい汗をかいたら、海沿いにある六島浜醸造所のクラフトビールで喉の渇きをいやしましょう!
かつて六島では麦の栽培が行われていました。六島に移住してきた井関竜平さんが、荒れた畑を耕し六島麦を復活させ、クラフトビールを醸造。
私が飲んだ「麦のはじまり」は、フルーティーで後味も軽く、とっても飲みやすいビールでした。潮の流れが激しい六島の海で育ったひじきは、他にはないコリッコリの食感が特徴!磯の香りも強く、ビールとの相性も抜群でしたよ。

六島 クラフトビール

海を眺めながら猫と一緒に六島ビールを飲む!最高に贅沢な時間が過ごせます。

六島浜醸造所
所在地:岡山県笠岡市六島6153
WEBサイト:六島浜醸造所

映画『瀬戸内少年野球団』ロケ地としても有名な真鍋島

真鍋島は古い漁村の佇まいが残るノスタルジックな島。テレビや映画のロケでもよく利用されています。つい最近では、真鍋島でTVドラマ『ラジエーションハウス2』のロケも行われたんですよ。

真鍋中学校

真鍋中学校
瀬戸内少年野球団のロケ地となった真鍋中学校

『瀬戸内少年野球団』の舞台となった中学校の校舎も残っています。2020年までは実際に使用されていましたが、現在は職員室だけ残っています。校庭には懐かしの二宮金次郎像もあるので、探してみてくださいね。

DATA
真鍋中学校
所在地:岡山県笠岡市真鍋島4240
WEBサイト:真鍋中学校(笠岡市観光協会)

漁師料理 漁火

真鍋島の猫
真鍋島の猫

こちらの島でも港で数匹の猫を見かけました。
真鍋島に渡る人は古い町並みが目当てという人が多いですが、実はもうひとつ、この島に来る目的があるのです。

それは漁師めし。

本浦港の目の前にある「漁師料理 漁火」は、完全予約制で、5,000円のコース料理のみ。

5,000円って高くない?と思ったあなた。食べたら、なにこれめっちゃリーズナブル!と叫んでいますよ(笑)

メニューはあってないようなもの。その日水揚げされたばかりの新鮮な魚介が、次から次へと出てきます。そのボリュームといったら、男性でもかなりきついくらい。
胃袋に自信のある私でも、すべてを食べきることはできませんでした。

漁火 料理
漁火のお料理 すべて1人前です。
漁火
漁火の料理の一部 さらに焼車海老、天ぷら、あら汁など…

おもしろいのは、本当にその日の魚介を使って料理しているから、同じ料理でも隣の人のお皿と中身が違うこと。豪快すぎ!

真鍋島にはプライベートで遊びに来る有名人も多いそうですよ。

DATA
漁師料理 漁火
所在地:岡山県笠岡市真鍋島4476
TEL:0865-68-3519

白砂のビーチが広がる白石島

白石海水浴場
白石海水浴場

白石島は岡山の三大海水浴場のひとつです。青い海と白砂のビーチでは、マリンスポーツも盛んで、夏場は多くの海水客が訪れます。ちらほらと猫の姿も見かけます。

白石島の猫
白石島の猫

開龍寺

巨石や奇岩でも有名な白石島。天然の巨石に守られているかのような開龍寺は必見!この巨石は、弘法大師が唐から帰国する際(806年)、この下で37日間の修行を行ったと伝わっています。本殿からさらに歩いた奥の院となっているので、気づかず帰ってしまう人もいるとか。もったいないので、忘れずに出かけてくださいね。

訪れたときは見事な紅葉を楽しむことができました。

開龍寺
巨石にすっぽり包まれた開龍寺
開龍寺
所在地:岡山県笠岡市白石島855
WEBサイト:開龍寺(笠岡市観光協会)

ハイキングコース

白石島ハイキング
展望の開けた稜線歩きが気持ちいい!

国の天然記念物に指定されている鎧岩や、高山展望台と見所たくさんのハイキングコースも整備されているので、時間があったらこの島で1日過ごすのも良いですよ。

私たちは開龍寺から歩いて10分ほどで行ける「はと岩」に出かけました。足場があるので、小学生でも登れると聞いていたのですが、ボルダリングのようで、体が大きく運動不足な私には無理でした。でも、岩に登らなくても、島全体が見渡せる絶景スポット。朝の散歩にはちょうど良い距離でした。

はと岩
Googleマップにも載っていない「はと岩」。ホテルなどで手に入る白石島ガイドマップに地図が載っています。

お多福INNに宿泊

白石島は日本の夕日百選にも選ばれています。笠岡諸島からは前述の真鍋島と2つ、選ばれているんですよ。

白石島の夕陽
画像提供:三洋汽船株式会社

そんな夕陽をお部屋から楽しめるのが、日本夕陽の宿 百選に選出されたこともある「お多福INN」です。海水浴場のちょうど中央に位置し、春から秋はお部屋から海に沈む夕陽を眺めることができます。

お多福INN
お多福INNの和洋室

お部屋からの夕陽もいいですが、屋上貸切露天風呂が最高!お風呂に浸かりながら夕陽を眺めるという贅沢な過ごし方ができます。夜は海の向こうに福山の工場夜景が煌めきロマンチック!湯上りは波の音と満天の星空に癒されます。

屋上露天風呂スペース
屋上は貸切露天風呂と休憩スペース。海の向こうは広島県の福山市

夕食はイタリアンと和食がコラボしたコース。瀬戸内の新鮮な魚介をイタリアンでいただけるというのが斬新!

お多福INN 食事

日本と同じく蛸を食べるイタリア。バジルが香るやわらかい蛸とバジルのアミューズは、ここが日本だということを忘れてしまいそう。(イタリア行ったことないけど)

そうかと思えば次は、新鮮なお刺身が供されます。ワタリガニのねっとりとした身の濃厚な旨味は、悶絶級のおいしさ!バターナッツカボチャのスープ、ステーキと続き、〆はメバルが丸ごと1匹のった魚介たっぷりのペスカトーレ。シャコ入り!

ワインがあいそうですが、ここは地元の日本酒で。グローバルオーガニック認証を獲得し、オーガニック米にこだわった丸本酒造の「竹林 さわやか」は、名前の通りクセがなくさわやかな飲み口で、どんな料理とも相性が良かったです。

白石島は片岡義男の小説『彼のオートバイ彼女の島』の舞台ともなった島。ホテルには片岡義男の小説がたくさんありました。Hanesの白いTシャツとブルージーンズをはいてバイクに乗っていた、二十歳の自分に会えた気がします(笑)。

DATA
お多福INN
所在地:岡山県笠岡市白石島357
WEBサイト:お多福INN

歴史とパワースポットの高島

笠岡諸島の有人島で最北端にある高島は、岡山県本土に一番近い島です。古くから瀬戸内海航路の要衝として栄え、古事記や日本書紀に記されている神武天皇東征の際の高島行宮が置かれた島という説もあることから、神武天皇ゆかりのスポットが多くあります。

時間に余裕のある方は、神武天皇が吉凶を占った場所といわれている神ト(かみうら)山に登ってみましょう。山の中腹には、神武天皇が天つ神にお供えする水を汲んだと伝わる眞奈井(まない)の井戸、山頂付近には高さ8メートルもある巨大な高島行宮遺阯碑(いしひ)が建っています。

子はらみ石

子はらみ岩

私たちは、高島港から歩いて7分、良縁・子授け・安産・婦人病に御利益があると伝わる子はらみ(子妊)石へと出かけました。海を一望できる高台にある大きな石…にしか見えませんが、実は子はらみ石は西日本最大の陰石なんです。陰石というのは、女性の陰部の形をした石のこと。下に降りて反対側から見るとわかります。
男性の陰部の形をした岩は陽石といい、陰陽石揃って祀るところが多いのだとか。
子はらみ石の隣には島の人が奉納した、陽石の代わりとなる大きな幸精龍王神像が祀られています。

子はらみ岩

子はらみ石の中央には通り抜けできる通路があり、そこは産道なのだそうです。潜り抜けると新たな自分に生まれ変われるそうですよ。

DATA
子はらみ石
所在地:岡山県笠岡市高島
WEBサイト:子はらみ石(笠岡市観光協会)

カーサ・タケダ

カーサ・タケダの海苔

高島に来たらカーサ・タケダで海苔を買って帰りましょう!カーサ・タケダは現役の漁師さんがやっている旅館で、食事のおいしさに定評があります。そして、こちらで製造販売している海苔は、初摘みの一番海苔を使用。味の濃さとパリパリとした食感が、今まで食べていた海苔とは全然違うんです!この海苔を食べてしまうと、他の海苔が食べられなくなるかも。笠岡市のふるさと納税返礼品にも選ばれている逸品です。

DATA
カーサ・タケダ/竹田水産
所在地:岡山県笠岡市高島5208
WEBサイト:カーサ・タケダ

ジブリ映画のような北木島

笠岡諸島は瀬戸内海国立公園に指定されていますが、北木島だけは外れているんです。理由は「石の島」として知られているほど昔から採石で栄えた島で、景観が刻々と変わっていくため国定公園とはなりませんでした。

でも、この島ならではの石の絶景があるんです。

北木の桂林

北木の桂林
北木の桂林

まずは豊浦港から歩いて10分ほどの採石場跡へ。北木島で採石される花崗岩は、大阪城の石垣や靖国神社の大鳥居、東京駅丸の内駅舎など、歴史的建造物にも使用されるくらい光沢があり、品質もよいもの。掘り進んだあと断崖絶壁となり、深く掘り下げていった跡地に、雨水や湧き水などが溜まって丁場湖となりました。
その光景は、まさに中国の桂林のようで、北木の桂林と呼ばれています。

DATA
北木の桂林
所在地:岡山県笠岡市北木島8783

石切りの渓谷展望台

石切りの渓谷展望台

絶対に見逃せないのが採石現場の見学!
高さ60mの「石切りの渓谷展望台」からの景色は、まるでジブリ映画の「天空の城ラピュタ」を彷彿させます。今にもシータが空から降りてきそうです。
足がすくみそうになりますが、ここは必見ですよ。

石切り場

北木島はお笑い芸人「千鳥」の大悟の出身地でもあります。石切り渓谷前の看板の男性は、大悟のお父さん!こちらもお見逃しなく!

国定公園からは外れてしまいましたが、日本の建築文化を支えてきた北木島は日本遺産に認定されています。(他にも高島・白石島・大飛島・真鍋島・六島が日本遺産となっています)

DATA
石切りの渓谷展望台
所在地:岡山県笠岡市北木島町8703
TEL:0120-68-2120(鶴田石材株式会社)
入場料:大人 1,000円、小学生 500円 ※小学生未満無料
※営業時間等は事前に電話で問合せてから出かけてください。

猫岩

北木島の猫

有人島の中では一番栄えている北木島。猫はお家の屋根で昼寝している1匹しか出会えませんでした。でも、北木島には猫岩と呼ばれる、表面に猫の顔が浮き上がって見える岩があるのだとか。

画像提供:笠岡市観光協会 表面に斜め左を向いた猫の顔が見える猫岩

源平水島合戦の時、戦死した武将の愛猫がこの岩に泳ぎついて事切れ、その姿が岩肌に残っていると伝わる岩。北木島の東端(楠港周辺)の海の中にあり、チャーター船を利用すると見ることができるとのこと。

今回、見ることはかないませんでしたが、猫好きとしては一度は見てみたい岩です。

DATA
猫岩
WEBサイト:猫岩(笠岡市観光協会)

K’s LABO

笠岡ラーメン
歯ごたえのある親鶏チャーシューは、噛むたびにジュワッと旨味が広がります。

歩いてまわると少し距離がある北木島の観光は、レンタサイクルがおすすめ!豊浦港近くのストーンミュージアム「K’s LABO」で借りることができます。こちらでは石の文化や歴史を知ることができるミュージアムのほか、カフェもあり、名物の笠岡ラーメンもいただくことができます。鶏ガラと鯛だしの醤油味のラーメンは、シンプルでだしの旨味を堪能できます。

DATA
K's LABO
所在地:岡山県笠岡市北木島10364-25
WEBサイト:K's LABO

笠岡諸島へのアクセス

住吉港
住吉港

JR笠岡駅から歩いて5分の住吉港からは、旅客船で7つの島に渡ることができ、乗船券は「笠岡諸島旅客船ターミナル みなとこばなし」内にある券売機で購入します。

笠岡→大飛島→小飛島→六島とまわる六島航路と、高島→白石島→北木島→真鍋島→佐柳島(香川県)とまわる真鍋島航路があるので、間違えないようにしてくださいね。

フェリーはJR笠岡駅から歩いて12分の伏越港より乗船します。フェリーで行けるのは白石島と北木島です。

時刻表・運賃・所要時間は笠岡市観光協会の下記サイトを参照してください。
笠岡観光協会 旅客船時刻表 フェリー時刻表 

島に渡るには他にもチャーター船や海上タクシーがあります。人数によってはそちらの方がリーズナブルで自由度が増します。

人も気候もあたたかい島でパワーチャージ

温暖な気候で、穏やかな瀬戸内の海に浮かぶ笠岡諸島は、住んでいる人も温かく、旅人にも笑顔でニコニコと接してくれます。海と空を眺めながら猫のようにボーッと過ごすも良し、ワイルドな自然を楽しむのも良し、グルメを満喫するのもあり!笠岡諸島には、その人にあった様々な楽しみ方が待っています。日常を忘れてリフレッシュして、心と体にパワーチャージしましょう!

さとちん

旅行・グルメ・おでかけライター