みなさんは「テト」をご存知ですか?ベトナムでは旧正月のことを“テト(Tết)”と呼びます。
中国の春節と同様に、ベトナムでは旧暦で新年をお祝いします。
日本人にはあまり馴染みのない旧暦のお正月について今回はご紹介させていただきます。
ベトナムのクリスマスや新暦のカウントダウンについてはこちらの記事をお読みください。

2023年のテト休暇が決定!
2023年の新暦の大晦日は1月21日、元旦が1月22日。
11月後半まで検討されていたものの、ようやく2023年のテト休暇が決定!
2023年1月20日から2023年1月26日の7連休と正式に決定しました。
ただし企業の場合、テトの日程より長く休暇を取る場合場多く、8連休・9連休という方もいます。
旧暦を元にしているテトは毎年日付が変わり、政府の発表を基にテト休暇の日数も変動します。
実は祝日が日本よりも少ないベトナム(テト休暇以外は年間5日だけ!)。
べトナムの労働法でテト休暇は最低5連休となっているので、一番長いお休みがテトになり、テト前はスーパーでもカフェでも、いたるところでテトソングが流れ、街も人もワクワクした雰囲気になります。
日本だとお正月の音楽と言えば『春の海』が定番かと思いますが、こちらだと歌入りが主流です。曲の種類も豊富で同じ曲でもリミックス版などもあったり・・しっとりした感じではなく、正月(テト)きたぞー!って感じの音楽が多いです。
なぜベトナムは旧正月を祝うのか?
「テト」の基準になっている旧暦は太陽太陰暦のことを指します。
日本を含め現在は殆どの国が太陽暦を採用しており世界標準のカレンダーとなっていますが、文化的な面では中国を中心とした東アジアや東南アジア、イスラム諸国では現在も太陰暦を用いています。
旧正月に関してはベトナムの他にもシンガポール、マレーシア、台湾、韓国など中国文化の影響を受けた国や華人の多い地域では旧正月を祝う習慣が今でもあります。
ベトナムの太陰暦は基本的には中国のものと同じです。しかし、月の初めを決める月の動きを観測した時点で時差があり、中国とベトナムの太陰暦には若干ずれが生じるので、旧正月と言っても国によって大晦日の日にちが違ったりします。

テトは何をする?
日本人が正月に実家に帰省するように、ベトナム人はテトは家族で過ごします。そのため、日本の大型連休前のようにテト前は帰省ラッシュに!最近は帰省だけではなく長期休暇を利用して遠方に旅行する人も増えてきました。
テトの約1ヶ月前から市場やスーパー、街中などでお正月の装飾品や贈り物、お年玉袋、ベトナム北部では桃の花、桃の花が咲かない気候の南部~中部は黄色い梅の花や金柑の木が売られ始めます。
桃の花は魔除けになるとされており、黄色い梅の花は金運アップ、金柑の木は黄色の実がたくさん生ることから子孫繁栄や金運アップを意味しているのです。
大晦日までに家を大掃除し、新年を迎えるのは日本と同じ。
テト期間中は、道端でよく獅子舞や龍舞の団を目にします。獅子舞や龍舞は、繁栄や富を願うものとされています。

テトに食べるもの

テトにはバインチュン(Bánh trưng、地方によっては筒状のバインテッ・Báng Tết。中身はバインチュンと殆ど同じ)と呼ばれる青豆を潰したものや豚肉などをもち米で挟み、バナナやココナッツの葉っぱに包んで蒸す料理が代表的です。
味はちまきみたいな感じで日本人にも食べやすい料理です。
その他にはもち米粉を丸めて蒸したバインザイ(Bánh giầy)、丸ごと茹でた鶏肉やチャーシュー、紅白なます、ゴーヤのスープなどなど、家庭によって様々ですがテーブルいっぱい料理が用意されています。

テトの贈りものは?
日本で言う「お歳暮」もこの時期に贈ります。
贈り物は様々で、お酒やお菓子などを飾りかごに詰め、お世話になった人に贈ります。
昨年私は大家さんに日本の梅酒を贈りました。
テトの贈り物・喜ばれるもの
輸入菓子や外国産のお酒、高級食材
理由:近年のトレンドは外国産のお菓子やお酒、高級食材(フカヒレ、ツバメの巣など)です。
お菓子やお酒は見た目が煌びやかで可愛らしいものが多いため、高級食材は珍しさに加え滋養強壮や美容効果を期待できるので喜ばれるそうです。
テトに贈ってはいけないもの
時計や刃物
理由:時計は時間を早める=寿命を早めることを意味し、刃物は関係を切ることを意味するため、この時期贈るのはタブーとされています。

ベトナムにお年玉はある?
日本ではお年玉は子供にあげるものですが、こちらでは渡す対象が幅広いのが特徴です。
社会人・既婚者が両親や親戚などの年長者(収入がない、自分より低い)・未婚者、未成年者へ、テト期間中に会った知人の子供や、職場では管理職から部下、社員警備員さんや清掃スタッフなどなど。
金額はまちまちで20,000VND(約100円)~1,000,000VND(約5,000円)です。
特に50,000VNDや200,000VNDの紙幣は赤色で縁起が良いとされており、1USDや2USDも縁起がいい紙幣だそう。
会社の場合はテト前にボーナスを支給するので配りません。
配る場合は個人の判断になるので他の管理職の方と相談して決める会社も多いそうです。

ベトナム語で「あけましておめでとう」
ベトナム語で“あけましておめでとう”は「Chúc mừng năm mới(チュックムンナンムーイ)」です。
お年玉袋を始め、テトの装飾や贈り物にも書かれていることが多いです。

テト中の労働は給与が3倍!?
テト休暇中と言っても働かなければならない職業の人もいます。テト休暇期間の労働に対する給与は少なくとも3倍以上とベトナムの労働法では決まっています。
そのため、通常と変わらない就業時間でもテト休暇期間中は給与が3倍、企業によっては4倍以上貰えるんです。
「なら働く方が得じゃない!?」と思う方も多いかもしれませんが、ベトナム人にとってテトは大事な行事なので、給料が3倍・4倍になっても働きたくない!という人が大部分を占めます。

カウントダウンはある?
新型コロナウィルス感染拡大以前は各地でカウントダウンイベントや花火が定番でしたが、2022年の際は自粛のイベントが多かったものの2023年は復活します。
ハノイ市はテトを祝福する花火を市内中心地の一か所(トンニャット公園)で2022年2月1日の午前0時から15分間打ち上げる計画を発表していますが、まだ感染が落ち着いていないので今後中止の可能性もあります。
ホーチミン市やカントー市やドンタップ省、バクリュウ省など南部地域の市・省は感染拡大のため花火の打ち上げの中止を発表しており、オンラインで新春を祝うプログラム(ライブ演奏など)を行うと発表しています。

テト期間中の旅行は要注意
テト期間と知らずにベトナムに旅行へ来るとちょっと大変かもしれません。テト中に旅行者が来た場合、どのようなことになるかお教えします。

物価が上がる
テト期間は労働者の給料が上がる分、全ての料金や値段が高くなります。
大体通常価格の20%割増〜ですが、お店によって割増のパーセンテージが違うのでご注意を。
観光地やお店が休業に
テト期間中は飲食店だけでなく、観光地の一部や市場、公共の施設も休業や時短営業になっていたりするのでお目当ての場所が開いているか、予め調べておくことをお勧めします。
治安が悪くなる
テト前やテト中は空き家を狙った泥棒や、人混みでのスリや盗難が多くなる傾向があります。
渋滞が増える
またイベントや花火が行われる場合は道の渋滞が多くなり、タクシーなどもなかなかつかまりません。いざ乗れても移動にかなり時間がかかる場合もあるので、時間に余裕を持って行動してください。
テトを楽しみたい場合、渡航エリアに注意が必要
テトを楽しみにベトナムに来る方は、行く地方の気候に注意してください。
ホーチミン
乾季の暖かい時期です。カラッとした晴れの日が多いので外を観光するのであれば半袖で十分ですが、商業施設の中は冷房が強く寒いこともあるので羽織れるものがあると安心です。
ハノイ
テトの時期は13~14℃程度まで下がります。気温だけ見ると「そんなに寒くない?」と思われるかもしれませんが、霧雨が降る&湿度が高いので体感温度はそれよりもっと低く感じます。ダウンやコートを着ている人が多いです。
ダナン
ダナンはテトの時期に雨季が当たることが多いので、ビーチや屋外観光が楽しめない可能性も。
旧正月の雰囲気を楽しみたい方はいいですが、もしビーチリゾートを満喫したい!という方であれば3月以降の旅行がお勧めです。

テト期間限定のオススメ土産
もしテト期間にベトナムへ旅行に来られた場合のお勧めのお土産は「テトの石鹸(Xà bông Mùi Tết)」。
ベトナム北部ではテト前に種をつけるまで育ったコリアンダーを入れた薬湯で体を清めてから新年を迎える慣わしがあるのですが、それを由来に近年販売されているのがこちらの石鹸です。
コリアンダーには体の中に溜まった毒素を排出する解毒作用や抗菌作用、頭痛や痛みを緩和する作用や、香りにはストレス解消効果など様々な効能があります。(※肌が弱い方やアレルギーのある方は使用を控えてください)
残念ながらダナンではまだ目にしたことがないのですが、ハノイやホーチミンのオーガニックコスメブランドなどでテト前の1月〜テト後3月あたりまでの期間限定で販売されているそうです。

ダナンにはないのでオンラインで購入してみました。1個50,000VND(約250円)。爽やかな香りと干支にちなんだパッケージが可愛い。
祝・ベトナム旅行再開!
ベトナムの入国制限が大幅に緩和され、日本も3度のワクチン接種が完了していれば陰性証明書取得が不要となったので、海外旅行で帰国難民になる人が大幅に減りました!2023年はベトナムでテト気分を味わうのもいいかもしれませんね!
