新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて、2020年2月中旬から厳しい入国規制を行ってきたベトナムですが、今年9月中旬にはベトナムきってのリゾート地・フーコック島で試験的に観光客の受け入れを10月から再開すると報じられました。この一報に私を含む東南アジア旅行ラバー勢は「ついにベトナム旅行解禁かっ!」と大いに盛り上がりをみせたのですが、9月24日に敢えなく「延期」と報じられることとなりました。
ベトナム国内における昨今の感染者数の増加などからこの展開も頭の片隅にはありましたが、やはり延期が決定的となるとがっかり度は相当なもの。「マジか……」と崩れ落ちる寸前の膝に力を入れ、今回の入国緩和の概要や延期になってしまった理由、フーコック島の魅力についてお伝えしたいと思います。
フーコック島での試験的な外国人観光客受け入れとは!?
今回のフーコック島における試験的な外国人観光客受け入れは、2020年2月より続いていた入国制限を一部緩和し、ワクチン接種済みの外国人観光客の受け入れを再開しようというもの。2021年7月、ベトナムの文化スポーツ観光省からの提案がベトナム政府に承認された形となりました。
当初は2021年10月から6か月にわたって試験運用が予定されており、10月から最初の3か月は感染リスクの低い北東アジア、欧州、米国、中東などの国・地域からの観光客に限定し、受け入れ人数も1か月当たり2000~3000人。続く3か月では受け入れ国・地域を広げ、受け入れ人数も1か月当たり5000~1万人に増やす予定でした。交通手段も当初の3か月はチャーター便のみの到着を認め、次の3か月で一般の商業運航便にも対象を広げる計画となっていました。
また、入国後も外国人観光客と国内観光客や地域住民との接触を極力避けるため、当初は外国人観光客が宿泊できるホテルや移動できる範囲を指定する方針でした。
フーコック島で入国可能な外国人観光客の条件
フーコック島で計画されているこの外国人観光客受け入れ措置で入国できる外国人観光客とは?1か月延期はされたものの、受け入れ予定だった外国人観光客の条件を見ていきましょう。
提示する証明書
・必要回数のワクチン接種が完了したワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)
・新型コロナウィルス感染完治し12か月前に回復したことを証明する書類
フーコック島入国希望者全員が必要なもの
自国出国前72時間以内にRT-PCR/RT-LAMP法による検査の陰性証明証
フーコック島受け入れ対象国・地域
新型コロナウイルスの感染がコントロールできており、感染リスクが低いとされる欧州・米国・北東アジア・オーストラリア・中東で調整中とされていましたが、一部の地元紙ではワクチン接種が比較的進んでいる日本も検討対象になる見込みと報じられていたんですよ〜!!
もちろん、他にも必要なものがありますが、この計画が確実に実施されると決定した際、改めてお知らせします(変更が多いから…)!
外国人観光客の受け入れが延期された理由
フーコック島があるキエンザン省のLam Van Thanh人民委員長によれば、外国人観光客の受け入れ再開計画を実行するために必要不可欠な条件を期日までに整えることができないとのこと。その理由は大きく2点です。
理由1:島民のワクチン接種スケジュールが遅れている
文化スポーツ観光省はこの試験運用に向けて、7~9月中に島民の7割以上に新型コロナウイルスワクチンを接種することを提案しており、キエンザン省もこれに沿った島民へのワクチン接種計画を立てていました。
しかし、9月14日現時点で約16万人の18歳以上の成人人口のうち、少なくとも1回のワクチン接種をした人の割合は35%に留まり、必要回数の接種を完了した人の割合はわずか6%強止まり。フーコック島で集団免疫を獲得するためにはさらに25万〜30万回のワクチンが必要になるとされており(ぎゃふん!)、さらに国内の感染拡大の影響により、フーコック島に割り当てられるワクチンそのものが少ない状態が続いているのです……!
フーコック島はもともと緊急時の医療体制が脆弱。島民へのワクチン接種が十分に行き届かないということが非常に大きな要因のひとつです。Thanh委員長も「経済成長のために住民の健康や生命を犠牲にはしない」と述べており、外国人観光客の受け入れよりも島民のワクチン接種を優先的に考える意向を明らかにしています。
理由2:島内でのクラスター(集団感染)の発生
先にお話したように現在フーコック島のワクチン接種率が低い上に、島内では新たなクラスターも確認され、9月22日(水)までに27人の感染者が確認されています。今回確認されたクラスターの感染源はすでに特定されているものの、島内では警戒感が高まりました。
11月中旬頃には新スケジュールで観光客の受け入れ再開か!?
一方で、文化スポーツ観光省は、島民への新型コロナウイルスワクチンの接種状況を踏まえて11月中旬から観光客の受け入れを試験的に再開し、11月末〜12月頭を目途に試験事業を本格化する方針を明かしています。同島への観光客の受け入れ試行期間は、以前と変わらず6か月間となるようです。
また、現在ネックとなっている島民へのワクチン接種ですが、保健省は新たなスケジュールに合わせてキエンザン省へのワクチン配分を行うことを明らかにしています。
観光客受け入れ再開に向けた具体的なスケジュール(2021年10月4日時点)
ベトナム政府は新たに3段階のスケジュールを提示しています。
11月20日以降
ワクチン接種証明を所持する観光客を乗せた海外からのチャーター便1~3便を受け入れる
12月20日~2022年3月19日
チャーター便で毎月3000~5000人を受け入れる
2022年3月20日~6月30日
受け入れる観光客数を毎月5000~1万人に増やす
とはいえ、フーコック島内の状況が整わない限りは前に進まない計画ですので、まずは10月中にどのような展開をみせるのかに注目したいところです!
新スケジュールの入国緩和策で対象となる国
現在のところ・欧州・中東・米国・韓国・中国・インド・中国・台湾・香港・ロシア・イタリア・オーストラリアなどからの観光客が対象とされており、日本からの観光客が対象となるかは未定です。「ちょっと!日本も!あとひと声!」とメガホンを片手に訴えかけたいところですが、日本もこの度、9月末で緊急事態宣言解除もあり、嬉しい続報もあるかも!? 今後どうなるのか続報を待ちたいところです。
フーコック島の魅力を予習
残念ながら今回は延期になってしまった観光客受け入れの再開ですが、近い将来必ずチャンスはやってきます!その時のために、フーコック島の観光ポイントを先んじて押さえておきましょう。
フーコック島へのアクセス
フーコック島はベトナムの西側にあるタイランド湾に浮かぶベトナム最大の島です。ベトナム最西端、カンボジアとの国境地帯にあるハーティエンという街から約40kmの沖合にあり、2013年頃から本格的な観光開発が始まった、比較的新しい観光スポットです。
フーコック島にも空港はありますが、日本からの直行便はないため、ホーチミンまたはハノイで乗り継ぐアクセスが一般的です。
フーコック島の見どころ
豊かな自然が残るフーコック島は、白砂のビーチと透明度の高い遠浅の海とのコントラストが美しく「ベトナム最後の楽園」とも呼ばれています。島の面積は約590平方キロメートルとこぢんまりとしており、都会の喧騒を離れてのんびりした時間を過ごせることから、新型コロナウィルス感染拡大以前は国内外から多くの観光客がリゾート目的で訪れていました。夜はナイトマーケットも開催され、リゾート気分をたっぷり味わえます。島内で有名なビーチは「ロングビーチ」と「サオビーチ」。
ロングビーチ
島の西側に約20kmも続く白砂のビーチ。砂がきめ細かく歩くたびにキュッキュッと音がする「鳴き砂」が有名です。ベトナムでは珍しく、サンセットが望めます。飲食店も多く、夜はバーなどが賑わいます。
サオビーチ
フーコック島の南東部にある、島内で最も美しいと言われるビーチ。周りには船も民家もなく、島内では穴場のビーチです。レストラン併設の海の家があり、透明度の高い遠浅の海を眺めながらゆっくりと過ごせます。
フーコック島のグルメ
フーコック島のグルメと言えば、やはり新鮮なシーフードを使った料理!島内にはシーフードレストランが数多く並び、魚介類のグリルやシェルクラブのフライなど目移りしてしまいそうなメニューが多数!レストランはもちろん、大衆食堂や露店、マーケットでも安価で手軽にローカルフードを楽しめます。
フーコック島のお土産
フーコック島の特産品は2つあり、1つ目はベトナム料理に欠かせない調味料「ヌクマム」。小魚と塩を原料とする魚醤の一種です。ヌクマム自体はベトナム各地のスーパーなどで見かけますが「フーコックのヌクマムは一味違う!」とローカルの友人も太鼓判を押していました。
2つ目はコショウ!ベトナム国内でもフーコック産のコショウは上ランク物として扱われています。農園も見学でき、コショウの試食や販売もあるので足を運んでみても面白いでしょう。
フーコック島に上陸できる日を夢見て!
2021年10月1日からのフーコック島ベトナム入国は惜しくも延期となってしまいましたが、決して中止になったわけではありません。ベトナムで、新プランでの外国人観光客受け入れ計画が練りなおされている今、日本からの観光客が対象となるか詳細な決定を待たなければなりませんが、その日が来ることを信じてリサーチを進め、今しばらく続報を待ちましょう!
DATA ベトナム全土の十国情報はこちら⇒在ベトナム日本国大使館