北海道はレンタカー中心で動く、なんていう人もいるかもしれません。ちょっと待ってください。広大な大地にめぐらされた鉄道を使って、四季折々の自然を眺めながら移動しませんか?ドライバーだけが疲れることもなく、ちょっとビールを飲んでもOK(笑)。
指定エリア内を乗り放題になるタイプ、往復が割引になるタイプなどパターンは様々あり、知ってしまえばどんな状況でどのきっぷが使えるか、臨機応変に使いこなせるはず!
今回は北海道編!JR北海道などで使えるお得なきっぷをまとめました。
はこだて旅するパスポート(2021年度設定)
函館周辺で鉄道を駆使して観光したい人には「はこだて旅するパスポート」というきっぷが断然便利!
JR北海道・函館本線の函館~森間、函館市電全線、道南いさりび鉄道全線と、函館バスの函館市、北斗市、七飯町、鹿部町、森町、木古内町の路線が乗り放題になります。さらに函館港から発着する津軽海峡フェリーの運賃・料金が2割引きになり、提携施設での特典もついてきます。
フリー区間に含まれている大沼駅周辺は、ルートが二つに分かれているのが大きな特徴です。
大沼駅から大沼公園駅を通り、内陸を縦断して森駅まで向かうルートと、海沿いの渡島砂原駅を経由して森駅へ向かうルートがあります。森駅といえばいかめしが有名ですね。また、大沼国定公園の周辺ということで、大沼駅の手前から広がっている小沼と、そのさらに遠くにそびえ立つ駒ヶ岳の絶景も見逃せません。
函館市電は、函館空港に近い温泉地、湯の川電停からJRの函館駅前を通り、谷地頭電停まで走る2系統と、函館どつく前電停まで走る5系統に分かれています。星形の五稜郭跡がある五稜郭公園、青函連絡船記念館摩周丸、海と路面電車が一緒に見える八幡坂など、函館駅周辺の観光スポットを巡るのに大いに活用できますね。
さらに函館市電といえば、1910(明治43)年からの歴史を持つ「箱館ハイカラ號」もオススメ!他の路面電車よりもさらに短く、ドアの無いオープンデッキの路面電車で、暗めの赤色の外観をしているため、懐かしくもオシャレな雰囲気を醸し出しています。新型コロナウイルスの影響で、当面の間「箱館ハイカラ號」は運行を休止していますが、運行を再開したあかつきには、大正ロマンな路面電車で函館の町を探訪してみませんか?
道南いさりび鉄道は函館駅の隣、五稜郭駅から北海道最南端の木古内駅を結ぶ鉄道ですが、実は2016年の北海道新幹線開業とともにJR北海道から移管された第三セクター鉄道です。使用車両はJRと同じですが、塗装デザインが独自のものになり、JRとは似て非なる路線となりました。海沿いの車窓を楽しむならこちらもどうぞ。
「はこだて旅するパスポート(2021年度設定)」は2022年3月31日までの発売。発売額は、1日券は大人・2,960円・子ども1,340円、2日券は大人3,650円・子ども1,810円となります。JR線を利用せず、函館市電のみ、または道南いさりび鉄道のみ巡りたい場合は、函館市電1日乗車券(大人600円・子ども300円)および道南いさりび鉄道「いさりび1日きっぷ」(大人700円・子ども350円)の利用もご検討ください。
DATA
はこだて旅するパスポート(2021年度設定)
料金:1日間 大人2,960円・子ども1,340円、2日間 大人3,650円・子ども1,810円
発売期間:2021年4月1日~2022年3月31日
利用期間:発売期間に同じ(2日間版は2022年4月1日まで利用可能)
公式サイト:JR北海道 おトクなきっぷ「はこだて旅するパスポート」
「悠悠北海道」専用ページからもご覧いただけます
一日散歩きっぷ(2021年度設定)
「一日散歩きっぷ」は、JR北海道の札幌近郊の区間が土休日限定で1日乗り降り自由になるお得なきっぷです。西は小樽駅、長万部(おしゃまんべ)駅、東は新得駅、北は滝川・美瑛までのかなり広い範囲で利用できます。
北海道の鉄道を思い浮かべると、ローカル線の要素が強く感じるかもしれませんが、札幌周辺は都市部となっているのでいろんな列車が頻繁に行き交います。札幌周辺で「一日散歩きっぷ」を使って行ける地域には、港町・小樽や、温泉で有名な登別、ラベンダー畑で有名な富良野・美瑛をはじめ魅力的な町が数多く、鉄道旅もまんべんなく楽しむことができるのではないでしょうか。
国内一の秘境駅として名高い小幌駅も通過することができます。また室蘭駅の一つお隣には、日本で4つしかない「恋」と名の付く駅の一つ、母恋(ぼこい)駅がありますよ。
また、根室本線の幾寅(いくとら)駅は、映画『鉄道員』(ぽっぽや)で、「幌舞駅」として撮影に使用された駅。幾寅駅前には当時撮影に使用されたセットが保存されており、作中で登場した車両のカットボディも残っています。それを一目見るために訪れるファンもいるんですよ。
「一日散歩きっぷ」は普通列車に限って使用可能(指定席利用時は別途追加料金が必要)のため、特急列車には乗ることができませんが一つだけ例外があります。石勝線の新夕張~新得間では、普通列車が1本も走っていないため、新夕張~新得間で乗車し、かつ同区間で下車する場合に限り、特急列車の自由席に乗ることができるのです。ただし乗車駅・下車駅ともに1駅でもずれると、乗車する全区間の乗車料金・特急料金を払うことになるので、くれぐれも乗り越し・乗り間違いには注意しましょう。
「一日散歩きっぷ(2021年度設定)」は2021年11月28日まで発売・利用期間となっており、購入当日のみ有効。発売額は大人2,540円・子ども1,270円です。フリー区間の中で根室本線の東鹿越~新得間は、2016年8月の台風により不通となっており、代行バスによる運行となっています。幾寅駅を訪れる場合も現在は代行バスを利用することになるので、その時間に注意。
DATA 一日散歩きっぷ(2021年度設定) 料金:大人2,540円・子ども1,270円 発売期間:2021年4月3日~2021年11月28日 利用期間:上記発売期間中の土休日、購入当日のみ有効 公式サイト:JR北海道 おトクなきっぷ「一日散歩きっぷ」
道北一日散歩きっぷ(2021年度設定)
先ほどの「一日散歩きっぷ」と名前が似ていますが、「道北一日散歩きっぷ」は旭川駅を中心に、南は美唄駅と富良野駅と新得駅、北は留萌駅と天塩中川駅、東は上川駅までが、土休日限定で1日乗り放題になります。
留萌駅は、深川駅から続く留萌本線の終点。過去には留萌駅から海沿いを進み、その名前で注目された増毛(ましけ)駅まで線路が伸びていましたが、残念ながら留萌~増毛間は廃止。現在は内陸の深川駅から沿岸部の留萌町に抜けるまでの路線となっています。
範囲の広さで特に注目したいのは、宗谷本線の天塩中川駅まで有効ということ。宗谷本線は旭川駅から北海道最北端の稚内駅までの259,4kmを結ぶ路線で、途中には比布(ぴっぷ)駅や名寄(なよろ)駅、黒い麺のそばで有名な音威子府(おといねっぷ)駅などを通ります。フリー区間北端の天塩中川駅は、旭川駅から数えて161,9kmの地点にあります。乗り放題区間で100km超えるって相当なロングランですからビックリ!ただし、宗谷本線は名寄駅を境に本数が激減するため、天塩中川駅に発着する普通列車は1日に10本もありません。
「一日散歩きっぷ」では富良野~美瑛間のみフリー区間だった富良野線は、「道北一日散歩きっぷ」では旭川~富良野間の全線でフリー乗降が可能になります!さらに、2021年内は、9月20までの土休日で「富良野・美瑛ノロッコ号」という列車も運行中!今では珍しくなった機関車+客車形式で運行し、見どころな区間では速度を落としてじっくり景色を楽しめる列車です。ラベンダーが見ごろを迎えていれば、一面紫色に染まる大地がとてもとても美しく目に焼き付くはず!
「道北一日散歩きっぷ」は2021年11月28日までの発売で、購入当日のみ有効。発売額は大人2,540円・子ども1,270円です。根室本線の東鹿越~新得間は代行バスによる運行となっています。また、フリーエリアのうち、富良野・美瑛周辺のみの観光に特化する場合は、そのエリアのみがフリー区間になる「ふらの・びえいフリーきっぷ」または「ラベンダーフリーパス」の利用もご検討ください。これらは2021年10月31日まで有効です。
DATA 道北一日散歩きっぷ(2021年度設定) 料金:大人2,540円・子ども1,270円 発売期間:2021年4月3日~2021年11月28日 利用期間:上記発売期間中の土休日、購入当日のみ有効 公式サイト:JR北海道 おトクなきっぷ「道北一日散歩きっぷ」 JR北海道の富良野・美瑛観光情報はこちら
航空便対応 ひがし・きた北海道フリーパス
北海道外から飛行機で訪れる旅行者向けに、「ひがし北海道フリーパス」「きた北海道フリーパス」というきっぷも発売されています。Peach航空便・AIRDO航空便・ANA航空便で北海道を訪れた人のみが購入・利用できるフリーきっぷで、「ひがし北海道フリーパス」はPeachとAIRDOが、「きた北海道フリーパス」はPeach・AIRDO・ANAが対応しています。
「ひがし北海道フリーパス」は、小樽駅と新千歳空港駅を西端に旭川駅を通り、北は上川駅、南は帯広駅を通りつつ、網走や釧路、果ては根室までの超広範囲が5日間も乗り放題!対する「きた北海道フリーパス」は、旭川駅までは共通ですが、深川駅から留萌駅までの留萌本線にも乗れるようになり、さらに宗谷本線の終点、稚内駅まで4日間も乗り放題に!また、駅レンタカーを特別料金で利用可能になり、提携施設での特典を受けることもできます。
旭川駅から北の稚内駅までは259,4m、東の網走駅までは237,7km、滝川駅から根室駅までの根室本線を全線乗り通したら驚異の443,8km…。「あまりにも遠すぎる!!」と嘆いてしまいたくなりそうですがご安心ください。「ひがし北海道フリーパス」「きた北海道フリーパス」どちらとも、普通車自由席に限り特急列車に乗車できます!「ひがし北海道フリーパス」においては、石勝線新夕張~新得間の特急列車しか走っていない区間も何も気にせず往来できそうですね。
それぞれのフリーエリア内をくまなく移動し、北海道の鉄道旅を満喫したい人の中で、航空便で北海道入りをする場合は、この2つのきっぷを検討してみてはいかがでしょうか。北は稚内に近づけば、稚内方面に向かって左側遠方に利尻富士(利尻山)がみえるようになり、東は釧路湿原や、摩周湖などの近くにもこのきっぷでアクセスできます。
「ひがし北海道フリーパス」発売額は大人16,380円・子ども8,190円、「きた北海道フリーパス」発売額は大人13,150円・子ども6,570円。12歳以上25歳以下の場合、それが分かる公的証明書(健康保険証・運転免許証など)を提示することで料金が割引となり、前者12,680円・後者10,250円となります。いずれも2022年3月31日までの発売で、前者は同年4月5日まで、後者は4月4日まで利用可能です。1日2日のみ有効なフリーきっぷに比べれば値段が跳ね上がりますが、その分広い範囲を何日もかけてめぐったり、特急列車で移動したりしたい場合に役に立つことでしょう。もちろんこれはあくまできっぷだけの料金。ホテル宿泊費は別途必要なのでご注意ください。
航空便の到着先ときっぷ発売駅の関係ですが、新千歳空港到着便(全社)は新千歳空港駅、釧路空港到着便(Peach・AIRDO)は釧路駅、女満別空港到着便(Peach・AIRDO)は北見駅または網走駅、旭川空港到着便(AIRDO・ANA)は旭川駅、帯広空港到着便(AIRDO)は帯広駅、稚内空港到着便(ANA)は稚内駅か南稚内駅にて、対応するフリーパスを購入可能になります。必ず、登場当日の航空便到着案内を駅窓口で見せましょう。
DATA ひがし・きた北海道フリーパス 料金(ひがし):大人16,380円・子ども8,190円・U25 12,680円 料金(きた):大人13,150円・子ども6,570円・U25 10,520円 発売期間:2021年4月1日~2022年3月31日 利用期間:2021年4月1日~2022年4月5日(ひがし)・4月4日(きた) 公式サイト(Peach対応版):JR北海道「Peachひがし・きた北海道フリーパス」 AIRDO対応版・ ANA対応版も合わせてご覧ください
北海道の大地を鉄道で旅しよう!
今回は北海道で使えるお得なきっぷの中で、今こそ使いたいフリーきっぷを5種類ご紹介しました。とにかく北海道は広い!その広さに比べて北海道の鉄道は路線数が少なく、末端区間に行けば運行本数も激減してしまいますし、天候が悪い方向に傾けば足止めを喰うリスクもあります。しかしそれを攻略できれば、北海道ならではの町・景色・グルメなどを存分に楽しむことができるので、そのお助けアイテムとしてフリーきっぷの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
旅行の際は無理のないプランでお楽しみくださいね。