タイ旅行に早く行きたい。でも2021年9月現在タイ入国時には14日間もの長い強制隔離が必要。とはいえ、タイは観光客の受け入れに関してはアジアの中では最も積極的な施策を次々と打ち出しています。2021年7月からワクチン接種済みを条件に、プーケット島とサムイ島で隔離なしでの観光客の受入がスタートしました!
2021年9月現在、プーケットサンドボックスは「プーケットサンドボックス7+7エクステンション」になり、「サムイプラス」も10月1日には「サムイサンドボックス」に昇格するというちょっと難解な制度により、隔離なしでのタイ入国が可能。
まだたくさんの条件付きではありますが、やっぱり強制隔離なしでタイ旅行が出来るようになったのは嬉しいですよね。プーケットサンドボックスの記事についてはこちらをご覧ください。
プーケットでは、7月1日から「プーケットサンドボックス」がスタート。その後8月16日から「プーケットサンドボックス7+7エクステンション」に改定され、9月4日時点で、すでに28,000人以上の旅行客が利用しています(それでも予想に反して少ないといわれていますが)。
ところが、7月15日に始まった「サムイプラス」は少し遅れて始まったとはいえ、まだ利用者が約600人で、やや遅れをとっている印象。「日本から利用する場合、どっちがいいの?」と迷われている方もいるのでは?
今回は、プーケットサンドボックス7+7エクステンション(以下プーケットサンドボックス)と比較もしながら、2021年9月9日時点でのサムイプラスの詳細をご紹介したいと思います。
サムイプラスの入国方法
「サムイプラス」とは、入国時の隔離なしで7日間サムイ島に滞在した後、8〜14日目にサムイ島の近くにあるパンガン島やタオ島に滞在が可能になり、その後タイ国内への移動が可能になるプログラムです。
到着後3日間は、滞在ホテルの敷地内でしか移動することができませんが、14日間部屋から一歩も出られないバンコクでの強制隔離よりは、断然自由度が高くなります。
また、サムイ島だけに滞在するのであれば、14日間滞在する必要はありません。例えば、5日間だけ旅して、そのまま日本に帰ってくることもできるので、短期間での旅行も可能になります。
短期間滞在ができるとはいえ、2021年9月現在、タイからの帰国者は日本到着時に3日間の検疫待機と、11日間の自主待機があるので、どうせ行くのであれば断然、1か月程度の長期旅行をおすすめしたいところ。旅行している日程より、隔離や待機の日数の方がはるかに多い限り、渡航しようとは思えないはず。
一方、「プーケットサンドボックス7+7エクステンション」では、プーケット島に隔離なしで7日間滞在した後、8〜14日目は近隣のパンガー県(カオラック・ヤオヤイ島・ヤオノイ島)やクラビ県(ピピ島・ンガイ島・ライレイビーチ)、さらにスラータニー県(サムイ島・パンガン島・タオ島)への移動が可能となり、14日目以降はタイの他の地方への移動が可能になります。
サムイプラスの主な利用条件
「強制隔離なし」というキーワードは魅力的ですが、実は細かな条件や必要書類が山ほどあるので注意が必要です。まずはサムイプラスをするための利用条件と必要書類をチェックしてみましょう!
ワクチン接種証明書が必要
新型コロナウイルスのワクチン接種が必要回数完了した後、14日間以上経過していることを証明するワクチン接種証明書が必要です。サムイプラス、プーケットサンドボックスでは日本のワクチン接種証明が利用可能です。※バンコクでの入国には2021年9月現在、利用できません。
渡航前にタイ指定の低・中リスク国に21日間以上滞在
タイ保健省が指定した低・中リスク国に渡航日までの21日間以上滞在していること。9月9現在、日本は中リスク国に指定されているので条件はクリア。ただし、リスク指定国は毎月1日と16日に更新されるので、最新情報を確認しましょう
入国後の滞在日数で宿泊すべきホテルが変わる
入国後7日間は「サムイ・エクストラ・プラス」の認定を受けたホテルでの滞在、8〜14日間は「SHAプラス(SHA+)」に認定されたホテルに滞在する必要があります。
自費でのPCR検査が複数回
到着時、6日目、12日目に自己負担でPCR検査を受けること(陽性だった場合は、そこから病院に隔離されます・・・)。
サムイプラスの必要書類
1.新型コロナウイルスワクチン接種証明書(日本の接種証明利用可能)
2.宿泊ホテルの支払い済み予約確認書コピー
3.コロナ対応医療保険(タイ滞在期間中有効で補償金額US10万ドル以上)
4.タイ入国許可証(COE: Certificate of Entry)
・日本出発7日前までにタイ大使館/タイ総領事館のサイトより申請
・COE申請に必要な書類:パスポート(タイ入国時残存期間6か月以上)、航空券、コロナ対応医療保険証(英 文)、指定ホテル支払い済み予約確認書、ワクチン接種証明書、PCR検査予約確認書
5.英文陰性証明書(渡航前72時間以内)
6.ビザ(45日を超えてタイに滞在する場合のみ。現在は45日までビザなしでの滞在が可能)
主な条件だけをご紹介しましたが、タイ政府が定める様々なアプリのインストール(つまりスマートフォンがない人は、そもそもの入国ができません)など細かい条件があって、正直言って、かなり大変そう・・・。この点は「プーケットサンドボックス」の場合もほとんど変わりません。しかも、コロナの感染状況によって、条件は頻繁に変更されているので要注意。
実際に旅行を計画する際には、変更されているか、否かもふくめて、最新情報をタイ国観光庁のウェブサイトなどで確認してくださいね。
プーケットサンドボックスとの大きな違いは、プーケットでは初日から「SHAプラス(SHA+)」認定ホテルに滞在することが出来る点です。ホテルについては、後からもう少し詳しく説明しますね。
サムイプラスで滞在できるホテルとは?
サムイプラスを利用する場合、最初の7日間は「サムイ・エクストラ・プラス」認定のホテルに宿泊する必要があります。「サムイ・エクストラ・プラス」とは、サムイプラス利用者専用の安全・衛生基準を満たしたホテルで、現在は12カ所のみ。意外と選択肢が少なく、パッと見たところ有名ホテルはないようです・・・。
ホテルの詳細は、タイ観光庁のリンクをご参照ください。
ホテル到着後はPCR検査が行われ、検査結果が出るまでは客室内で待機。陰性であれば、ホテル内のレストランを利用して食事も出来るようですが、3日間はホテルの敷地から出ることはできません。4日目以降は、サムイ島の指定ルート内の観光が可能になります。
滞在6〜7日目に第2回目のPCR検査があり、ここで陰性であればSHAプラス(SHA+)のホテルに移動することができます。
SHAプラスとは、全従業員の70%以上がワクチン接種を完了していることを保証するタイ政府の衛生・感染予防基準です。ホテルだけでなく、飲食店や交通機関など、あらゆる観光サービスを対象にしています。
現在サムイ島では222のホテルがSHAプラスの認定を受けていて、7日間を過ぎるとようやくホテルの選択肢が大きく広がるという訳です。もちろんタオ島やパンガン島にもSHAプラス認定ホテルがあるので、船で移動して滞在することもできますよ。
SHAプラス認定のホテルや観光サービスは、タイ観光庁のサイトから検索することができます。
既にここでサムイとプーケットでは大きく差が出たように感じた人も多いですよね。
サムイプラスの場合:到着したら限られた「サムイ・エクストラ・プラス」ホテルへ。すぐにPCR検査が行われ、検査結果が出るまで部屋で待機。要請だったら最初の3日間はホテルの敷地内でしか行動できない
プーケットサンドボックスの場合:PCR検査は到着時。その後はすぐSHAプラス認定ホテルに滞在。
サムイと比較するとプーケットは到着後のPCR検査が陰性であれば、すぐに自由に行動できるという点が大きく違います。貴重な休日を少しでも有効に使えるのは一番の魅力ですよね。しかも、プーケットのSHAプラス認定ホテルは917箇所もあって、ホテルの選択肢も幅広くなります。ホテル滞在に関して言えば、プーケットの方がサムイよりも断然有利といえるでしょう。
サムイ島への日本からの渡航ルート
サムイプラスを利用する場合、サムイ島までのフライトにも様々な条件があります。まず知っておきたいことは、サムイ島の空港の敷地は、バンコクエアウェイズという航空会社の所有地であるという事情もあり、現在はバンコクエアウェイズ以外の航空会社以外は運航していません。
また、サムイプラスのフライトの条件は
①サムイ島への国際直行便を利用すること
②経由便の場合はバンコクから「サムイプラス専用便」を利用すること
という2つの条件があります。
現在、バンコクエアウェイズの国際線はシンガポール−サムイ線のみで、週3便しかありません。一方、バンコク経由であれば「サムイプラス専用便」は、1日2便毎日運航しているので、こちらの方が利用しやすいでしょう。
ただし、他にも条件があって、乗り継ぎ時間は最低3時間、最大24時間と決められているのですが、乗り継ぎの際、サムイプラス専用ラウンジしか利用することが出来ないのです。
「サムイプラス専用便」というのは、要するに隔離フライト。一般の国内線とは分けられています。空港ラウンジも一般客とは隔離されていて、自動販売機しかない殺風景な場所のようです。ここで延々と何時間も待つというのは、苦行としか言いようがありません。ですから、できる限り乗り継ぎ時間が少ないルートでアクセスすることがとても重要なんですよね。
ということで、バンコクの旅行代理店で問い合わせたところ、現在日本からであれば、往路はシンガポールとバンコクを経由して、日本(東京・大阪など)→シンガポール→バンコク→サムイ島というルートがおすすめだとか・・・。
コロナ禍の現在、日本発の国際線が大幅に減便されているため、乗り継ぎ時間がぴったりなフライトを探すのも一苦労のようです。ただ、シンガポールからサムイ島への直行便が週3日だけ運航されているので、もし日程が合えばそちらのルートも利用できるかもしれません。
また、サムイプラスの利用条件として、「全てのフライトの予約番号が同一」である必要があるそうです。ですから、複数の航空会社を利用する際も、一度に予約を入れるように注意する必要があります。現在、シンガポール航空とバンコクエアウェイズはコードシェアをしているので、予約がしやすいそうです。予約の際には、旅行代理店や航空会社できちんと確認してくださいね。
一方、「プーケットサンドボックス」に関しては、バンコク経由での入国は禁じられていて、プーケット行きの国際線を利用しなければならないという条件があります。というと、「じゃあ、サムイプラスの方が行きやすいんじゃない?」と思われそうですが、プーケットの場合、実は、第三国経由でのアクセスが意外と便利なんです。
一番おすすめはシンガポール経由。東京→シンガポール→バンコクのルートがよく利用されているようです。フライトも毎日あるし便数も多いので、現時点ではサムイ島よりも断然アクセスしやすいのではないでしょうか。
サムイプラスとプーケットサンドボックスの条件まとめ
ということで、サムイプラスの内容や利用条件を、プーケットサンドボックス7+7と比較しながらご紹介しました。条件がいろいろありすぎて、混乱してしまったかもしれませんので、もう一度整理してまとめておきますね。
サムイプラス
問題点
①到着後3日間はホテル敷地内から出られない
②バンコクエアウェイズとの乗り継ぎが不便
③最初の一週間のホテルの選択肢が少ない
④隔離ルートでのアクセスとなるので、決して快適ではない
うれしいポイント
①10月1日から「サムイサンドボックス」に格上げ。「プーケットサンドボックス」同様の条件になるため、10月からはほぼ変わらなくなります。
プーケットサンドボックス
問題点
①到着時はバンコクからの国内線の利用ができないため、日本からは第三国経由でしか行けない
うれしいポイント
①シンガポール経由であれば、フライト数も多く、日本からも行きやすい
②到着時にPCR検査で陰性であればすぐに自由に行動できる
③ホテルの選択肢が多い
④7日間プーケット滞在後、クラビ、パンガー、サムイ島にも移動可能
私ならズバリこっち!
ということで、残念ながら行きやすさも到着後の自由度の高さも、断然プーケットサンドボックスが有利なんです。だからこそ実際の観光客数も、プーケットの方が多いのは納得ですよね(この記事ってサムイプラスをご紹介する記事なのに、すみません・・・)。
特に、ホテル好きな私のこだわりとして、やはり最初の一週間に宿泊できるホテルの選択肢がかなり物足りない気がします。好きなホテルに滞在するのであれば、ホテルの敷地内にずっといてもかまわないんですけどね・・・。
ただ、もうすぐサムイサンドボックスの開始が予定されていて、今後はプーケットサンドボックスと同様、最初からSHAプラスのホテルに滞在して、到着時のPCR検査が陰性であれば、すぐに自由行動ができるようになるかもしれませんので、もう少し様子をみた方がいいでしょう。
これで終わってしまうと、サムイプラスをご紹介した意味がなくなってしまうので、最後に一つだけ、今サムイ島に行くべき理由も付け加えておきましょう!
実は、プーケットは今は雨季真っ最中なんです。プーケットの雨季は5月〜10月ですが、特に9月〜10月は本格的に雨が多くなるので、今の時期の旅行はおすすめしません。一方、サムイ島の雨季は10月〜12月。まだ雨季には入っていません。サムイ島とプーケット島は、マレー半島を挟んで反対の場所に位置。雨季が2〜3か月ほどずれます。
特にビーチリゾートに滞在する場合、雨が降ると何もすることがなくなって、一日が台無しになってしまうこともあります。天気に大きく影響されますから、旅行する時期の天候チェックは重要ポイントなんですよね。ということで、今すぐ南国の晴れた空と青い海を満喫したいなら、サムイプラスが断然おすすめだと思いますよ!
今後のタイ入国制限緩和計画は?
長らく続いたタイの入国制限。実は、10月1日からは、チェンマイ、パタヤ、ホアヒン、チャアムなどでの強制隔離なしでの入国が開始されることが発表されています。入国条件やアクセス方法などは、今のところまだ発表になっていませんが、詳細がわかったらお知らせしますね。
ただ、パタヤは当初9月1日開始予定だったのですが、新型コロナウイルスの感染状況が収まらないことから、一旦延期して10月1日になったという経緯があります。また、バンコクも同様に、10月1日から規制緩和される予定だったのですが、一度11月1日に延期すると発表後、やはり10月1日に開始するとか、情報が錯綜しています(タイをよく知る人にはわかっていただける「タイあるある」事情)。そんなこともあって、今後また急に変更がないとは言い切れない状況です。
さらに、10月15日からは、「サムイサンドボックス(その頃にはこの名前に)」「プーケットサンドボックス7+7エクステンション」で7日間滞在した後に旅行できる地域が22県に拡大されます。タイは全部で77県ありますから、すでに規制緩和されている地域も含めると、全国の約3分の1が海外からの旅行客に開放されることになります。
このように、タイでは一気に全国の制限を緩和するのではなく、少しずつじわじわと緩和する方法で、最終的にタイ全国での全面的な制限緩和をめざしています。
9月9日現在、タイ全国の新規感染者数は、約15,000人前後で推移していて、ワクチン接種率も全国で約30%と、まだまだ厳しい状況。果たして本当に予定通りに緩和されるのか、予断は許さない状況ではあります。
とはいっても、このままでは経済的にも本当に厳しいというのも事実。2021年9月1日から、バンコクをはじめとする多くの地域で、2021年7月から2か月間も続いたロックダウンが一部緩和されたところです。ショッピングモールが再開され、レストランでの店内飲食が可能になりました。
タイの国内線や長距離バスなども、ロックダウンで運行がストップしていましたが、ようやく運行再開。但し、搭乗時には、ワクチン接種証明や陰性証明の提示が必要という条件が追加されました。
10月1日からは、特に感染者が多い地域では、レストランなどを利用する場合にも、ワクチン接種証明や陰性証明が必要になるなど、制限緩和に向けた準備が進められつつあります。
しばらくは、様々な条件付きでのタイ旅行になるだろうと予想されますが、強制隔離なしでのタイ入国が実現するのは、そう遠くない将来だと期待しています。今後もタイの入国情報についてアップデートしていきますね。