とんがり屋根で有名な南イタリアの世界遺産「アルベロベッロ」。ここは、おとぎの国を連想させる可愛らしい田舎町。日本でもイタリア南部を紹介するテレビに度々登場するので、一度はその町並みを目にしたことがある人も多いのでは?新婚旅行の目的地としても人気が高いメルヘンの地です。
ここでぜひ体験してほしいのが、この土地が受け継いできた伝統と文化を凝縮させた伝統家屋「トゥルッリ」に泊まる体験。世界遺産に泊まれるってすごく魅力的ですよね?

そこで、今回は現地でトゥルッリ暮らしを実践する筆者がおすすめのトゥルッリのホテルを5つご紹介します。さらに、宿選びのヒントになるよう伝統家屋ならではの特徴も一緒に解説。この記事で現地のリアルな情報を知って、アルベロベッロで充実したとんがり屋根ステイにチャレンジを!
世界遺産「アルベロベッロ」

アルベロベッロは、南イタリア・プーリア州バーリ県に位置する人口約1万人の小さな町です。以前はブドウやオリーブの栽培が盛んな農村でしたが、1996年に世界遺産に登録されてから町は変身を遂げ、現在は州を代表する観光地に。
その存在は世界でも有名となり、とんがり屋根の伝統家屋「トゥルッリ」を目当てにイタリア国内外から観光客が押し寄せる人気の世界遺産へと成長しました。ちなみに、アルベロベッロでは教会やレストランも可愛らしいとんがり屋根の姿をしています。
そして、現地を訪れる旅人に喜ばれているのが「トゥルッリホテル」に泊まる体験です。まるで映画のセットのようなメルヘンの家で過ごす日々は印象深い旅時間になることでしょう。現地を訪れたら、一生に一度の思い出作りだと思ってぜひトライしてください。
2つの文化財指定エリア
アルベロベッロには「モンティ地区」と「アイア・ピッコラ地区」という2つの文化財指定エリアがあり、前者には約1000軒、後者には約500軒のトゥルッリが現存しています。この2つのエリアが観光の中心地です。これからそれぞれのエリアを簡単にご紹介していきますね。
モンティ地区

最初にご紹介するのは賑やかな「モンティ地区」です。ここはアルベロベッロ銀座と呼んでもオーバーでないほど土産物屋や飲食店が密集し、どの道を通っても店員がお客さんを呼び込む声で活気づいています。日本語での呼び込みも聞こえてくるのでついつい吸い込まれちゃうかも(笑)。
食事やお土産探しのために立ち寄る人が多いエリアですが、見どころもきちんとあります。1つは坂道のてっぺんにあるトゥルッリの姿をした「聖アントニオ教会」。そして、もう1つは2つのトゥルッリが合体した双子のような「トゥルッロ・シアメーゼ」です。

ただし、アルベロベッロ駅からは一番遠いエリアになるため、重いスーツケースを駅から引きずっていくと坂道も多くとても大変。このエリアに泊まるなら事前に送迎をお願いしましょう。駅から無料で送迎してくれる宿もあります。
アイア・ピッコラ地区

反対に、「アイア・ピッコラ地区」は今でも昔ながらの佇まいを残す閑静な住宅街です。お店はほぼなく、実際に今でも住民が多く住む地域。尚、ここにもそれなりの数のトゥルッリホテルが点在します。
こちらは商業的な印象を与えるモンティ地区とは対照的で、写真や建築が好きな人はじっくりと時間をかけてこの空間を堪能するといいでしょう。見どころは15軒のトゥルッリの集合体である「地域資料館」です。内部にはトゥルッリ建設で使われる道具や石でできた昔の生活用品などが展示されています。
飲食店がほとんどないことから夜は静かに眠れるため、安眠重視派の人にオススメです。食事の心配をする声が聞こえてきそうですが、歩いて5分でモンティ地区に到着するので全くといってよいほど困りません。

トゥルッリってどんな家?

昔ながらの民家であるトゥルッリは石(石灰岩)を積み上げてできた簡素な造りです。愛らしいその姿はおもちゃの家のようですよね?もともとは税金を逃れるために屋根が崩せる家を建てたことが由来です。当時は接着剤(モルタル)を使わずに建てていましたが、現在はきちんと壁や屋根は固定されています。
簡素ながらもその構造には人々の知恵がぎっしり。石を積み上げた分厚い壁は外の暑さや寒さから住民を守り、屋根の形は雨水を貯水槽に溜めやすくするためにとんがり屋根に。そして、屋根の頂点にはトゥルッリを建てた職人の目印だといわれるピナクルが置かれています。

さらに、屋根には不思議な記号が。なぜ描かれたかははっきり解明されていませんが、信仰心を表現したり宇宙との交信のためとも…!?ちなみに、現在のトゥルッリは現代人の生活にあわせてバスルームや冷暖房、インターネットを完備。不便なく泊まれるので安心してくださいね。
トゥルッリホテルの特徴
それでは、ここでトゥルッリホテルに泊まる場合に知っておくべき特徴を6つご紹介します。意外と知られていない情報もあるので、現地で不意な落とし穴に遭わないためにもぜひ一読を。
一軒まるごと貸切

なんと!トゥルッリに泊まる場合は一軒貸切が通常です。一軒ごとに間取りやインテリアが異ります。物件によっては庭やキッチン付きの場合も。郊外のトゥルッリにおいては専用プールまであります。豪華ですよね?束の間ですが、海外暮らしをする感覚を楽しんじゃいましょう。
ただし、気をつけたいのが大型ホテルではいろんなエリアにトゥルッリを抱えているため、当日になるまでどのエリアのどんな部屋に泊まるのか?は分かりません。予約時は部屋のカテゴリー(クラシックやジュニアスイートなど)を選んだだけでトゥルッリそのものの選択はできないからです。ある意味、運次第。
よって、当日、自分が泊まるトゥルッリが気に入らない場合は「交換できるか?」をぜひ聞いてみてください。さらに、家族やグループ旅行の場合などで複数のトゥルッリを予約する場合は、すべて近い場所にしてもらうよう忘れずに依頼しましょう。
ミニサイズの設計
トゥルッリは貧しい農民の家だったことからさほど広くなく、18~30平方メートル前後が一般的です。昔はバスルームもなかったため、居間、キッチン、寝室の3つの要素で完結していました。現在でもバスルームには場所をとるバスタブは少なく、省スペースの観点からシャワーが一般的です。
トゥルッリは屋根はある程度の高さがあります。これは屋根裏を食料等の保存庫にしていたためです。ただし、昔のイタリア人(特に南イタリアの人)は小柄だったため、その名残で現在でも入り口扉は小さいまま。このサイズ感が童話に出てくるような小人の家を思わせるポイントなのかもしれませんね。
夏は涼しく、冬は寒い
前述したように、分厚い石壁に覆われたトゥルッリは夏は暑い外気を遮断し、冬は夏の間に壁に蓄積された熱で寒さから住民を守ってくれる構造です。したがって、夏は40℃以上と驚くほどの暑さになるアルベロベッロでもエアコンなしで十分に過ごせます。
反対に、冬は州内でも標高の高い場所にあり雪が降るため、暖房や暖炉は欠かせません。
室内はさほど明るくない

石を積み上げて造った家なので、構造上大きな窓を設けるのが難しいのも特徴です。特に陽の光が入りやすい屋根は三角錐のため、緻密な計算が必要な石積みの技術では採光用の窓は1つあればよい方です。よって、採光の点からは入口の扉がとても大切にされています。
このことからトゥルッリの内部はさほど明るくはありませんが、室内の壁も白く塗っているため少ない光で最大限の明るさを保つ工夫が施されています。
ダブルベッドのサイズが小さい

シングルベッドのサイズは通常のホテルと変わりませんが、ダブルベッドはフランス式ベッドと呼ばれる1.5人用のタイプ(140×190cm)が一般的です。これはアーチを用いた空間にベッドを設置するため、このスペースでは1.5人用がやっとだから。ミニサイズの家だけに現代のダブルベッドが置けないのが実情です。
これは意外と知られていない情報なので事前に知ると心構えができますね。恰幅がよい人は一人1台ずつベッドを用意してもらうとよいでしょう。
チェックイン時間に気をつけよう
注意したいのがチェックインの時間です。残念ながら、24時間体制の受付をおいているトゥルッリホテルはごくわずか。そのため、夜20時くらいまでに到着する必要があります。旅の移動スケジュールを立てる時はこれを忘れずに。
おすすめのトゥルッリホテル5選
ここからは、お待ちかねのオススメのトゥルッリホテルを5つご紹介していきます。どれもトゥルッリを多く抱える割と大型のホテルです。立地はどれも中心にあるため観光にとても便利。日本人に欠かせないバスタブ付きのホテルもあるのでしっかりチェックを!
トゥルッリデア(モンティ地区)

1つ目はモンティ地区にある「トゥルッリデア」。レストランや土産物屋が続く賑やかな中心地から徒歩3分ほどの静かなエリアに貸出し用のトゥルッリが集中しています。尚、アルベロベッロ駅からは距離があるため、無料のシャトルバスを駅とホテル間で運行しています。
こちらのトゥルッリは2名用の22平方メートルから 4名用の50平方メートルと全部で9軒。バスタブ付きの部屋はありませんが、キッチン付きのタイプがほとんどなので自炊派の人にも便利。簡単な料理を作って部屋飲みも楽しめますね。

さらに、朝食はルームサービスまたは提携するカフェのどちらかを選べるのもうれしいポイント。提携しているカフェは農場直送のチーズが自慢なので、チーズ入りのサンドウィッチが個人的におすすめです。

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DATA トゥルッリデア(Trullidea) 所在地:Via Monte Sabotino, 10, 70011 Alberobello BA, イタリア 公式サイト:Trullidea(英語) アクセス:アルベロベッロ駅から徒歩15~18分
ロマンティック・トゥルッリ(モンティ地区)

続いては、同じくモンティ地区にある「ロマンティック・トゥルッリ」(全6室)です。ふかふかのベッドにレースのチュールで飾りつけされたお姫様の寝室を想わせるインテリア。女の子の願望を満たす甘~い雰囲気の部屋でロマンチックに浸れますよ。

ココのこだわりは、シーツやベッドカバーなどの布製品。なぜなら、オーナー家族がもともと手織りの布製品を作る職人だから。自社の製品を上手に活用して旅する女性のハートをわしづかみ!(笑)気に入ったものがあれば直営ショップで購入もできます。
そして、日本人にとっての最大の魅力は大きなバスタブがあること。ここまでの大きさはアルベロベッロでも希少です。これがお目当ての人はスイートルームを予約しましょう。尚、無料の駐車場を完備しているのでレンタカーで旅する人にも安心です。

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DATA ロマンティック・トゥルッリ(Romantic Trulli) 所在地:Via Monte S. Michele, 64, 70011 Alberobello BA, イタリア 公式サイト:Romantic Trulli(英語) アクセス:アルベロベッロ駅から徒歩18~20分
トゥルッリ・ホリデー(アイア・ピッコラ地区)

3つ目は、アイア・ピッコラ地区を拠点にする「トゥルッリ・ホリデー」。こちらは20軒以上のトゥルッリを運営する超大型店。イタリアのテレビ番組「4 hotel」にも登場した有名ホテルです。近年リフォームを施し、どのトゥルッリも可愛いカントリー調のインテリアに。
バスタブ付きの部屋はありませんが、キッチン付きを希望するならジュニアスイート以上のランクを。また、専用レストランで提供される朝食は大型ホテルならではの充実したメニューが自慢です。その他に、有料でトゥルッリ職人を体験するプランやワイナリー訪問など豊富なアクティビティが手配可能。

ただ泊まるだけでなく、自分流の滞在プランを計画できるのはとても魅力的ですよね。ただし、注意したいのが、ガスのないエリアに泊まるとシャワーのお湯が40分で終了します。次にお湯が出るまでは40分待つことに(苦笑)。これも日本では味わえない経験と思ってポジティブに受け止めてください。

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DATA トゥルッリ・ホリデー(Trulli Holiday) 所在地:Piazza XXVII Maggio, 38, 70011 Alberobello BA, イタリア 公式サイト:Trulli Holiday(英語) アクセス:アルベロベッロ駅から徒歩10分
ル・アルコーヴェ(市役所付近)

4つ目にご紹介するのが、町で1、2を争う高級ホテル「ル・アルコーヴェ」(5つ星)です。ラグジュアリーリゾートを約束する全6室の客室は、詩人、夢見る人、騎士など人にちなんだ名前が付けられ、とてもユニーク。どの客室も15~25平方メートルとこじんまりしてますが、珍しくシングルルームもあります。

室内は高級感溢れるインテリアでまとめられ、床暖房までも完備。バスタブ付きの客室は2つあり、希望する人は「助産婦」(Levatrice)または「夢見る人」(sognatore)のどちらかを選んでくださいね。 朝食は敷地内の優雅なレストランで地元の食材を使った料理が提供されます。
さらに注目したいのが、今回ご紹介するホテルの中で唯一受付が24時間体制であること。どの客室も受付からすぐの場所にあるので、夜間や急なハプニングなどの場合も対応が安心です。

ル・アルコーヴェの予約はこちらから! |
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DATA ル・アルコーヴェ(Le Alcove) 所在地:Piazza Re Ferdinando IV di Borbone, 7, 70011 Alberobello, イタリア 公式サイト:Le Alcove(英語) アクセス:アルベロベッロ駅から徒歩8分
チャーミング・トゥルッリ(聖メディチ聖堂付近)

最後は、旧市街の北側に位置する「チャーミング・トゥルッリ」です。全12室のうちトゥルッリの客室は11室。他と比べて平均30平方メートルと広めの客室が人気の秘密です。クチコミでは清掃が行き届いている点も高く評価されています。
立地は2つの文化財指定地区からそれぞれ徒歩10分程度。トゥルッリの暮らしを再現した博物館「トゥルッロ・ソヴラーノ」の隣りに受付があり、客室となるトゥルッリはその周囲に点在。なんといっても、こちらの特徴は日本人スタッフがいること。言葉の壁が不安な人にはうれしいポイントですね。

バスタブ付きの客室も2つあるので公式サイトでチェックを。さらに、系列のレストラン「トラットリア・テッラ・マードレ(Trattoria Terra Madre)」は世界の歌姫マドンナも訪れた野菜畑のある名店。胃にやさしい食事を求める人は滞在時に一緒に訪れてみてはいかが?

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DATA チャーミング・トゥルッリ(Charming Trulli) 所在地:Piazza Sacramento, 8, 70011 Alberobello BA, イタリア 公式サイト:Charming Trulli(日本語) アクセス:アルベロベッロ駅から徒歩10分
アルベロベッロでトゥルッリに泊まろう!

おとぎの国のような可愛いらしい町「アルベロベッロ」。ここを訪れたら、昔ながらの民家であるトゥルッリに宿泊する体験をしてみませんか?観光を楽しむのはもちろんですが、この土地ならではの世界遺産のホテルで過ごす時間もあなたのイタリア旅行できっと忘れらない思い出になるはず。
宿選びをする時は記事内でご紹介したトゥルッリの特徴を考慮して、自分らしい滞在ができる一軒を見つけてください。個人的には郊外よりも観光や移動に便利な町中のトゥルッリをオススメします。
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