とびしま海道でサイクリングも!瀬戸内海の島でワーケーション

東郷 カオル

トラベルライター

ここ数年で定着しつつあるワーケーションという働き方。自然豊かな環境でワーケーションを楽しむ人々をSNSで目にして、羨ましく思っている人も多いのではないでしょうか。今回ご紹介するのは広島県の呉市の島々。瀬戸内海に浮かぶ下蒲刈島(しもかまがりじま)の梶ヶ浜に、穏やかな海を望む絶景コワーキングスペースが誕生しました。レンタサイクルも利用できますので、お仕事しながらとびしま海道アイランドホッピングを楽しむこともできますよ。

安芸灘とびしま海道って?

広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの「しまなみ海道」は広く知られていますが、実は広島の呉市には“裏しまなみ海道”とも呼ばれる「安芸灘とびしま海道」というものがあるんです。

蒲刈大橋と安芸灘大橋が同時に見れるスポット

とびしま海道は、本州の呉市から下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、平羅島、中ノ島、そして愛媛県の岡村島を結ぶ、飛び石のような連絡架橋ルートです。

下蒲刈島「キャンプ&コテージ梶ヶ浜」

とびしま海道が結ぶ島のひとつ、下蒲刈島の梶ヶ浜にある「キャンプ&コテージ梶ヶ浜」は、海水浴やキャンプなどが楽しめるスポットで、家族連れで訪れる人も沢山。

梶ヶ浜にはキャンプサイトや古民家風コテージもあり、日帰りだけではなく、泊まりでも楽しめるスポットです。バーベキューや鯛めしの用意もあるので、予約さえしておけば手ぶらで来ても大丈夫。

私が子どもの頃は、サラリーマンは“企業戦士”、“24時間働けますか”などと言われ、父親は先ほどのキャッチフレーズのように常にお仕事。週末も、どこにも連れて行ってもらえないということがありましたが、現代では、週末に梶ヶ浜に家族で来て、お父さんはコワーキングスペースでお仕事という選択肢が生まれましたね。今の子どもたちが羨ましいです。

コワーキングスペース梶ヶ浜誕生

「コワーキングスペース梶ヶ浜」は、2021年11月に「キャンプ&コテージ梶ヶ浜」の敷地に誕生した、海を望むワークスペース。もともとは、ふるさと産品加工センターの研修室だった場所です。

利用可能人数は20名。とっても広々としていて、空間が贅沢に使われています。本棚や、寛げるソファーなども完備。


コピーやプリントは、20枚までなら無料です。

部屋に入るにはカードキーが必要です。また隣には鍵のかかるロッカールームも。セキュリティーも万全です。

こんな絶景が目の前にあったら、誘惑が多くて仕事がはかどらないのでは…という心配を抱えつつ、やはりここは海が見える席を確保。

仕事の区切りがつくごとに、顔を上げたら目の前に海が広がる幸せ…。コーヒーブレイクでは、表のウッドデッキに出て、海風を感じながらリフレッシュできます。

充実の設備と目の前が海という素晴らしい環境。しかも安い!料金は4時間まで200円、8時間まで400円。コーヒーや紅茶などは給湯室で自由にいただけますので、お財布にも優しいですよね。

DATA
コワーキングスペース梶ヶ浜
所在地:広島県呉市下蒲刈町下島839番地の16
電話:0823-70-8151
時間:9:00~17:00
web:コワーキングスペース梶ヶ浜

とびしま海道レンタサイクルでアイランドホッピング

総合受付では、「とびしま海道レンタサイクル」も利用できます(要予約)。せっかく梶ヶ浜に来たなら、仕事とセットでアイランドホッピングを楽しんでみましょう。

もちろん電動アシスト付きの自転車もありますので、筆者のように在宅ワークで体力の低下を感じている人にもおすすめ。仕事を早々に切り上げて、島をサイクリングしてみました。

今回お借りしたのは、上の写真のオシャレなミニベロではなく、下の写真のパワフルなスポーツタイプのクロスバイク。

いくつ島を渡れるかしら…?その前に腹ごしらえと思い、下蒲刈島のじゃこ天で人気の「海駅三之関」に立ち寄るも、既に売り切れ。多い人だと20枚とか大人買いして行かれるそうなので、午前中に売り切れてしまうこともあるらしい。楽しみにしている人は、注意してくださいね。

ちなみに、「とびしま海道レンタサイクル」は、配車や乗り捨てが可能(有料)。旅程によって、便利に利用できるのが嬉しいシステムです。

DATA
とびしま海道レンタサイクル
所在地:広島県呉市下蒲刈町下島839番地の16
電話:080-2927-2504(予約専用、08:30~17:00)
時間:9:00~17:00
web:とびしま海道レンタサイクル

ここからは、レンタサイクルで楽しめる、とびしま海道の島々をご紹介します。

下蒲刈島

時間がない場合や、体力に不安を感じる場合は、他の島には渡らず、下浦刈島(梶ヶ浜のある島)を楽しみましょう。

下蒲刈島は、主に江戸時代に行き来した朝鮮通信使の歴史が残る島です。

朝鮮通信使のおもてなしは浅野藩が担当し、それはそれは豪華なものだったとか。松濤園(しょうとうえん)の中には、伝統建築物を移築して作られた朝鮮通信使資料館「御馳走一番館」があり、山海の珍味を使った豪華なお膳や、朝鮮通信使船模型などを見ることができます。

ここで朝鮮通信使のお勉強をしておくと、レンタサイクルで島々を走る時に昔の人々の長い航海に思いを馳せることができて、なかなかエモい感じのサイクリングになりますよ。

DATA
松濤園
所在地:広島県呉市下蒲刈町下島2277-3
電話番号:0823-65-2900
開館時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
料金:800円
web:松濤園 

上蒲刈島

上蒲刈島には「県民の浜」があり、海水浴だけではなくシーカヤックなどのマリンスポーツも楽しめます。また、古代土器による「藻塩作り」などの珍しい体験が可能。

島々を走っていると、あちらこちらにレモンやみかん、野菜の無人販売が。都会では見かけない、地元の生活が垣間見れるのも、車にはないサイクリングや徒歩ならではの魅力ですね。

自転車を借りる時にスタッフの方がオシャレなカフェなどをいろいろと教えてくれたのですが、筆者の目に留まったのはこちらのうどんやさん。なんと、車のお尻の部分がビニールハウスで囲まれていて(見た目は天然素材ですが)店舗になっています。車内が厨房スペースで、その中でお母さんがお料理を、お父さんがホールスタッフ(?)を担っている、素朴で味のあるお店です。

天ぷらうどん500円!安い!四国に近いので、なんとなく香川のうどんのようなコシの強い麺を想像していましたが、麺もお出汁もかなり優しい味わい。お客さんがひっきりなしに訪れ、人気店の模様。

DATA
うどんの原
所在地:広島県呉市蒲刈町大浦3103
電話:0823-66-0976
営業:11:00~15:00
定休:水曜、木曜

豊島

下蒲刈島、上蒲刈島を経由して、豊島へ向かいます。とびしま海道はさすが“裏しまなみ海道”と言われるだけあって、交通量が少なく走りやすいです。そして、海が近い!穏やかな海に浮かぶ島々と、時おり顔を出す橋を眺めながらの快適なサイクリングです。

上蒲刈島から豊島へ向かう

豊島へは豊島大橋を渡るのですが、橋がよく眺められる展望スポットがありますので、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

筆者は3時間レンタルだったので、この豊島大橋で引き返しまた。一般人の足で3時間だと豊島までが限界かもしれません。豊島の次は大崎下島なんですが、以前訪れた時の様子をご紹介しておきますね。

大崎下島

大崎下島には、かつては風待ち・潮待ちの港として繁栄した町のひとつで、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている御手洗地区があります。御手洗地区は、伊藤蘭さんのノスタルジックなCMが記憶に残っている人もいるのではないでしょうか。

シースピカ クルーズ
瀬戸内クルーズ シースピカ

レンタサイクルを8時間借りるのなら、この大崎下島まで来て、情緒ある町並をぶらぶらするのがおすすめ。時間だけではなく、体力とも相談してスケジュールを立てるといいでしょう。たどり着いたはいいけど、帰る体力が残っていないというのも困りますからね。

DATA
御手洗町並み保存地区
所在地:広島県呉市豊町御手洗
web:呉市豊町観光協会 

もっと気軽にワーケーション

はじめてのワーケーションではついつい意気込んで、あれやこれやと予定を立ててしまい、予定通りにいかないと「失敗した」と思ってしまうかも。ワーケーションではあまりガチガチに予定を立てず、「仕事が終わればサイクリング」や、目的地を定めず「自転車で行けるところまで行ってみよう」くらいのユルさでちょうどいいように思えます。

日本の企業ではワーケーションはまだまだ難しいかもしれませんが、コロナ禍で在宅ワークが進んだように、いつどのように変化の波がやってくるかわかりません。ぜひ、ワーケーションという新しい働き方を試して、その魅力に触れてみてください。

東郷 カオル

トラベルライター