ドイツ・コロナ禍の入国情報※2021年10月17日

ライター はるぼぼ

はるぼぼ

60ヵ国旅したトラベルフォトライター

コロナ禍で自由な海外旅行ができなくなって早1年半以上。長い、あまりにも長すぎる…!それが旅好きの本音ではないでしょうか。

果たして、ドイツへの旅行はいつからできるようになるのでしょう。はたまた、コロナ禍の今もドイツ入国は可能なのでしょうか?

中世の面影を色濃く残す旧市街や、自然と調和した古城の数々…ロマンあふれるドイツへの旅が待ちきれないあなたに、ドイツ入国の最新情報をお届けします。

ドイツが日本を「ハイリスク地域」指定から解除

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2020年から続く新型コロナウィルス感染拡大で、ドイツにおいてもさまざまな水際対策が行われており、日本人に対する入国制限は厳しくなったり緩和されたりしながら何度も変化してきました。

最新のニュースとしては2021年9月26日に、ドイツが指定する「ハイリスク地域」指定から日本が解除されたことが挙げられます。

日本国内の感染状況を踏まえ、ドイツ政府は9月7日に日本を入国制限解除対象国から除外し、「ハイリスク地域」に指定しましたが、日本国内の感染状況が落ち着いたことから、わずか3週間足らずでの解除となりました。

これにより、事前のデジタル入国登録やドイツ入国後の隔離義務がなくなりました。

ドイツ旅行はできる

結論から言ってしまうと、2021年10月17日現在、日本人がドイツに入国し、そのままドイツ国内を旅行することは可能です。実際に、筆者の知人で2021年8月末にドイツでの観光旅行を楽しんだ人もいます。

ただし「無条件で」というわけにはいかず、コロナ禍の海外旅行ならではの色々な準備が必要。詳しくは次で解説します。

ドイツの入国制限

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入国時に必要なもの

12歳以上の人がドイツに入国する際は「ワクチン接種証明書」「陰性証明書」「快復証明書」のいずれかの提示が必須です。どの証明書を使うにしても英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語のいずれかの言語で記載されていなければなりません。

ワクチン接種証明書

ワクチン接種証明書でドイツに入国する場合は、ワクチン接種完了から少なくとも14日間経過している必要があります。

新型コロナウィルス検査陰性証明書

陰性証明書で入国する場合は、「ドイツ入国前24時間以内に実施した抗原検査の陰性証明書」または「ドイツ入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書」が必要となります。

快復証明書

PCR検査に基づき、6か月前から28日前までの間に新型コロナウイルスに感染していたことを証明する証明書

日本のワクチン接種証明が使用可能

未だ全世界で使えるわけではない日本のワクチン接種証明書。
しかし、うれしいことにドイツの入国時には日本の地方自治体が発行するワクチン接種証明書が有効です。

コロナ禍以前の海外旅行とは違う!

2021年10月17日現在、日本は入国制限解除対象国になっているため比較的緩やかな条件でドイツへの入国が可能ですが、今後の両国における感染状況次第では、また厳しい入国制限措置が復活する可能性もあります。

ドイツに限った話ではありませんが、コロナ禍で海外旅行を計画する際は、突然ルールが変わって予定通りの旅行ができなくなるリスクを覚悟しておく必要があるでしょう。

ドイツにおける感染状況

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ドイツでは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、およそ430万人の感染者と、9万4000人以上の死者が報告されています(日本:感染者数約171万人、死者約1万8000人)。

日本同様、ドイツにおいても新規感染者数は何度も波を繰り返していますが、ピーク時の2020年12月に比べると徐々に感染状況は落ち着いてきており、2021年9月25日~10月8日の2週間の新規感染者数は、113,028人。1日平均で約8000人となっており、ピーク時の約30%程度にまで減っています。

一方、日本では同期間、1日の新規感染者数が600~2700人程度で推移。「検査数が違う」といった議論を脇に置いて、単純に報告された新規感染者数だけを見れば、現状、日本よりもドイツのほうが深刻な感染状況だといえるでしょう。コロナ禍でドイツに渡航するのであれば、現地での感染にも十分気を付ける必要があります。

ドイツ国内の感染対策

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マスク着用義務

2021年10月17日現在、ドイツ国内では公共交通機関や店舗での医療マスクの着用が義務づけられています。

日本でも外出時のマスク着用は当たり前になっていますが、日本のマスク着用は政府からの要請(いわゆるお願いレベル)であって、罰則などがある命令ではありません。

しかしドイツのマスク着用義務は政府によって定められたものなので、違反した場合は罰金が科される場合もあることに注意しましょう。罰金の額は州によって異なりますが、日本円に換算すると万単位の高額な罰金が科せられることも…

10月初旬にドイツを旅した日本人の知人から「フランクフルトでは、屋内にいる人の9割がマスク未着用」との情報を得ていますが、マスク着用が義務づけられている場所でうっかり忘れてしまわないよう、要注意ですね。

「2Gルール」「3Gルール」

一時期ほどの厳しいロックダウン措置はなくなりましたが、最近のドイツでは何をするにも、新型コロナワクチンの接種証明または陰性証明が必要になりつつあります。

直近7日間の10万人あたりの新規感染者数が35人以上のときに実施されるのが「2Gルール」あるいは「3Gルール」。

「2G」:新型コロナワクチン接種済の人と、新型コロナウイルスに罹患して回復した人
「3G」:「2G」+検査をして陰性証明を取得した人

州によって実施状況は異なりますが、ドイツの多くのレストランや美容院、劇場等では「2Gルール」または「3Gルール」が導入されており、新型コロナウイルスに罹患しておらずワクチン接種もしていない人は「2Gルール」が導入されている場所に入ることができません。

「3Gルール」が導入されている場所であれば、陰性証明を提示することで入ることができますが、ワクチン接種ができない特段の事情がある人を除き、検査費用は原則自費となるので、コロナワクチンの接種を受けていない人がドイツで普通に観光を楽しむのはなかなか厳しいのが現実…。

前述の通り、現状、日本からの渡航者は陰性証明があればドイツ入国が可能となっていますが、入国後のレストランでの食事や観光のことを考えると、コロナワクチン接種は事実上必須といえそうです。

日本帰国時の水際対策

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「コロナ禍でもドイツ旅行は可能」とはいっても、現実にはさまざまなハードルが。まずは日本の入国制限がドイツと比較するとかなり厳しいということがドイツへの旅行を妨げています。

14日間の自己待機

コロナ禍での海外旅行の最大のハードルとなっているのが、日本帰国時の14日間の自己待機です。冒頭でお伝えした通り、日本からドイツに入国する際は隔離義務がありませんが、ドイツから日本に入国する際に隔離が必要になるのです。

2021年10月17日現在、ドイツからの帰国者には検疫所が指定する宿泊施設での強制待機はありませんが、帰国から14日間は自宅等で待機をしなければなりません。

待機期間短縮か?と思ったら…

10月1日から入国時に新型コロナワクチン接種証明書が提示できる人は、自宅等での待機期間を短縮できるという入国制限の変更がありました。

これは「検疫所が確保する宿泊施設での待機対象が6日以上となっていない国・地域」からの帰国であることが条件(3日間の場合、接種証明書で免除可能)10月17日現在、ドイツからの帰国はこの待機期間短縮の対象となります。

このニュースが流れたときは海外旅行好きのあいだで歓声が上がったのですが、そう甘くはないのが現実。自宅等での待機期間が短縮できるとはいっても、最低でも10日間は待機しなければならないのです。しかも、日本入国後10日目以降に自費で検査(PCR検査または抗原定量検査)をして、陰性の結果を厚生労働省(入国者健康確認センター)に届け出ることが条件。決して、大幅な緩和とはいえません…。

ドイツで出発72時間以内にPCR検査を受検した陰性証明書が必要

2021年10月17日現在、日本入国時には現地出国前に72時間前に検査したPCR検査の陰性証明書が必要です。どこの検査施設でも良い訳ではなく、厚生労働省指定の検査方法と陰性証明書フォームに記入する必要があるため、それが可能な病院などの施設を前もってリサーチする必要があります。旅行中にPCR検査を受け、結果を受け取るというのは、旅慣れていないと難しいことです。

またほかにも帰国便の中で宣誓書を書き、帰国したらスマートフォンに厚生労働省指定のアプリのダウンロードをする作業など、様々なことが待ち構えています。

今ドイツ旅行に行かなければならない、という人は、必ず厚生労働省公式サイトで内容を確認し、陰性証明書のダウンロードなどを行いましょう。

DATA
日本帰国時についての最新情報詳細⇒厚生労働省公式サイト

今ドイツ旅行ができる人とは

日本帰国時の自己待機が海外旅行の障害になっているのは今も変わらず。フルリモートで働ける人など、よほどスケジュールや居場所に融通がきく人でなければ、日本帰国時の自己待機期間が緩和されない限り「普通に海外旅行を楽しむ」という日はまだ来ないのが実情です。

もし「10日間でも14日間でも待機できるよ!」という人がいても、待機期間中は公共交通機関の利用ができないことに注意。ここでいう「公共交通機関」には、国内乗り継ぎの航空便も含まれるため、国際空港から離れた地方在住者の帰宅は非常に難しいこととなります。

コロナ禍で海外旅行を敢行している人は、みなさん空港まで家族に迎えに来てもらったり、事前にレンタカーを手配して空港から自ら運転して帰ったりと、さまざまな努力をしています。

ドイツ旅行は日本の水際対策緩和にかかっている

現実問題としてはまだまだハードルの高いドイツ旅行。日本国内では第6波の懸念もあり、「いったい海外なんていつ行けるんだろう」と気が遠くなるような感覚に陥っている方もいるかもしれません。

一方ドイツでは、ワクチン接種をしていない人にはさまざまな不都合が生じているとはいえ、ワクチン接種済みの人は「ずいぶんと日常が戻ってきた」と感じている様子。なにしろ、ずっと“自粛要請=お願い”ベースだった日本のコロナ対策とは違って、ドイツでは何ヵ月も外食や美容院通いができない日が続いたわけですから…。

ドイツ在住の筆者の義父母も、「近い将来また日本に行けるようになるのでは」という期待感を抱いているようです。

日本帰国時の14日間の自己待機を始め、日本の水際対策がすべて受け入れられる人は、今現在でもドイツ旅行が可能ではありますが、それができるわずかな人以外は、日本の水際対策がいつ緩和されるのかが焦点になりそうですね。

ライター はるぼぼ

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60ヵ国旅したトラベルフォトライター