大評判となっている、和テイストを取り入れた「ザ・リッツ・カールトン日光」のアフタヌーンティー。総料理長 早坂心吾氏の卓越した感性と技が生み出すセイボリーに加え、2022年からは、新しくペストリーシェフに就任した新進気鋭のパティシエール野口ゆきえ氏の、繊細で美しいデザートを思う存分味わえます。
これは絶対に行かなきゃ！と思っていたところに、2022年3月8日から、筆者の大好きな栃木のいちご4種を使ったアフタヌーンティー「SAKURA BERRY Experience」がスタートするとの情報が！いてもたってもいられずに、早速行ってきました。夢のような美しい時間を紡いでくれる「ザ・リッツ・カールトン日光」のアフタヌーンティー。その魅力を詳しくレポートします。
避暑地文化を受け継ぐ「ザ・リッツ・カールトン日光」
奥日光の中禅寺湖周辺は、明治期より外国人要人たちの別荘が立ち並んだ国際的リゾート。実は、ザ・リッツ・カールトン日光が建っている場所は、明治27年に開業したレーキサイドホテルが建っていた場所。避暑地外交が華やかかりし頃、たくさんの欧米人の紳士淑女たちが集った場所なんです。
レーキサイドホテルは、後に日光レークサイドホテルとなり、その歴史を引き継ぐ「ザ・リッツ・カールトン日光」が、2020年に開業。国際的観光地「日光」に新たな風を吹き込み、未来へと、さらなる歴史を紡ぎはじめました。
アライバルロビーに飾られているハンドクラフトのシェルフには、かつて「レーキサイドホテル」を飾っていた絵がはめ込まれています。
レイクビューを楽しむアフタヌーンティー
かつて欧米の大使たちが集った奥日光。奥日光が世界的避暑地へと発展した原点は、英国人外交官アーネスト・サトウ。日光を愛したサトウは奥日光に別荘（現・英国大使館別荘記念公園）を建て、登山や植物採集、ヨット遊びや釣り、アフタヌーンティーを楽しんだそうです。
そんな歴史の記憶を残す、中禅寺湖を見ながら楽しむ「ザ・リッツ・カールトン日光」のアフタヌーンティータイムは、やっぱり特別。
ザ・リッツ・カールトン日光 春のアフタヌーンティー
今回、筆者が楽しんだアフタヌーンティー「SAKURA BERRY Experience」は、3月8日から6月上旬頃までのメニュー（終了日未定）。桜といちご、春の香りあふれるアフタヌーンティーです。
筆者は3月9日に行ったのですが、まだ一面の雪景色。4月になると温かな日差しも感じられるようになり、5月になると、若葉が萌える美しい季節となります。
奥日光は気候もヨーロッパに似ていて、長い冬が過ぎ5月になると、いろいろな花々が咲き競います。ホテルの中庭には山桜も咲くのでお楽しみに！
ザ・リッツ・カールトン日光でアフタヌーンティーを体験！
それでは、ザ・リッツ・カールトン日光のアフタヌーンティーの体験記をお届けします。今回筆者は車でのアクセス。駐車場に着くと、スタッフが笑顔でお出迎え。荷物とコートと車のカギを預け、憧れのリッツのエントランスをくぐります。もう、ワックワク～！
アフタヌーンティーはラウンジエリアで！
アフタヌーンティーをいただくのは、ラウンジエリア。ラウンジエリアは3つのスペースからなっています。
こちらは、広々とした空間が心地よい「ザ・ロビーラウンジ」
こちらは２つの暖炉が、くるみの木から切り出した大きなテーブルをはさむ「ザ・ライブラリー」。木を贅沢に使った空間と、苔などの盆栽風アートが、ホテルに居ながらにして日光の自然を感じさせてくれます。
こちらは、スタイリッシュにジャパニーズウィスキーが並ぶ「ザ・バー」。この3つのスペースを窓際にある「縁側スペース」が繋いでいます。
筆者が案内されたのは、「ザ・ライブラリー」の縁側スペースの席。中禅寺湖と男体山が目の前に広がります。今回は、幼なじみの友人と、久しぶりの2人女子会。コロナ過で会えなかった日々の話に花が咲き…と思いきや、この空間とアフタヌーンティーの美しさに酔いしれて、感動のため息ばかり（笑)。
極上の日本茶の奥深さを知るアフタヌーンティー
ラウンジと湖にうっとりしていると、ウエルカムドリンクが運ばれてきました。この日のウエルカムドリンクは、長崎の「あさつゆ」というお茶。10時間かけて抽出した水出しのお茶は、甘みとコクがあり、爽やかな香り！
まずは茶葉をセレクト
ザ・リッツ・カールトン日光のアフタヌーンティーにあわせるドリンクは、紅茶ではなく日本茶。6種類の茶葉から、ひとり1種類選びます。
写真はこの日のお茶のラインナップ。私は桜の香りが漂うブレンドティー、友人はほうじ茶をチョイス。
ほうじ茶は、注文後、ラウンジ内で煎ってくれるので、ロビーはとてもいい香り。
1～３煎目の味と香りの違いを楽しもう
お茶はガラスと磁器、それぞれに違う急須でサーブされます。1種類の茶葉で、3煎まで楽しめます。お茶の種類によってお湯の温度も違い、さらに1煎目、2煎目、３煎目と、温度を変えて淹れるものもあるのだそうです。興味があったら質問をすると、丁寧に教えてくれます。筆者も説明を聞いて、お茶って奥深いんだなあと感嘆しました。１煎目、2煎目、３煎目の、味わいの違いを楽しんでくださいね。
とちぎ自慢のいちご４種を使ったデザートがずらり！
まもなく、選んだ茶葉が「本日の茶葉」に入ったメニューが運ばれてきました。
おお～っ！栃木県が誇る4品種のいちごが並んでいるではありませんか！
使われている4種のいちごは、栃木県を代表するブランドいちご、とちおとめ（左上）・とちあいか（左下）・スカイベリー（右上）・ミルキーベリー（右下）。メニューには、それぞれのいちごの魅力と特性も書かれています。
「とちおとめ」は宇都宮市のハート＆ベリー、鹿沼市のフレッシュ園渡辺、「とちあいか」はハート＆ベリー、「スカイベリー」と「ミルキーベリー」は日光市の だいもん苺園のいちごを作っています。3つのいちご園は、それぞれに減農薬や有機栽培に取り組み、いちご王国栃木県の中でもトップクラスの優れたいちごを栽培しているファームです。
※写真のいちごは上記ファームのものではありません。
踊りだしそうな気持を抑えながら、ケーキスタンドが運ばれてくるのを待つひととき。窓の外には、霊峰・男体山と中禅寺湖。一面の白銀の世界も美しかったです。
そしていよいよ！アフタヌーンティーの3段重ねのケーキスタンドとスコーンの箱が運ばれてきました。
まるで日本庭園！早坂シェフ渾身のセイボリー
ケーキスタンドは伝統的な3段のスタンド、下のお皿からいただきます。下段のお料理は、早坂心吾総料理長の手によるセイボリー（甘くない軽食）。まるで日本庭園のような一皿で、その世界感と美しさに、なんだかもう、涙が出そうに感動してしまいました。
※ ケーキスタンドからお皿を外すのは、マナー違反ですが、今回は取材という事で、特別にスタッフがお皿を外して撮影用にセッティングしてくださいました。
こちらは「海老原ファームのケールとじゃがいものヴィシソワーズ コンソメジュレ」。ナスタチウムの葉が傘のようで、まるでトトロがでてきそう！お味も素晴らしく、 ヴィシソワーズとコンソメジュレの舌触りと味、それぞれの個性が口の中に広がりながら、二つの味が一つになっていく瞬間の美味しさに、ただただうっとり。
ちなみに栃木県下野市の「海老原ファーム」は、一流シェフたちが絶賛する野菜を生み出しているファーム。ゆっくりと時間をかけ、与える水をぎりぎりまでセーブし、野菜が持つ旨味と栄養を最大限に引き出しています。
こちらは、枯山水に描かれた砂紋と植栽を思わす「ポロ葱とオリジナルベーコンのキッシュロレーヌ 季節の豆」。エディブルフラワーのスイートアリッサムが、超キュート！ プチっとはじける甘いグリンピース、シャキッとしたスナップえんどう、ベーコンとポロ葱のやわらかな食感の多彩さと、春の香りを楽しめます。
そして「なにこれ～！」と、思わずつぶやいてしまったのが、こちらの「ブルーオマールと千葉ファーム ほうれん草のクリームコロッケ バジル」。どう見ても苔玉に見える愛らしさ。てっぺんにはオブジェのようなアスパラガスが載っています。
筆者、実は魚介類が大の苦手。海老の香りもNGなのですが、これ、全然大丈夫で、おかわりしたいくらいの美味しさでした。そして、コロッケの衣がほうれん草ですよ～！どうしたらこんなアイディアが浮かぶのでしょう。このほうれん草の衣からあふれ出てくるクリーミーで濃厚な具と、バジルソースの爽やかな香りが、脳内の味細胞をグワングワンと刺激してくる感じ！フレッシュなアスパラの春の香りにも胸がときめきました。
こちらは、サンドイッチの中身がわかるよう、上に乗ったリーフを除いて撮影した「瑞穂農場 黒毛和牛とセミドライトマト、季節野菜のサンドイッチ」。とろけそうにやわらかい和牛とセミドライトマトに、菜の花の歯応え、ふわっとしたパンの食感がなんとも贅沢な逸品。
ザ・リッツ・カールトン日光のロゴ入りの木箱に入っているのは、スコーンといちごの香りが際立つジャム、そしてクロテッドクリーム。スコーンはプレーンと桜の2種。サクサクほろほろのスコーンに薫り高いジャムとリッチなクロテッドクリームをのせていただきます。
パティシエール野口シェフの美なるデザート
ケーキスタンド中段と上段は、2022年からペストリーシェフとして就任したパティシエール野口ゆきえシェフによるデザート。繊細な細工が生み出す愛らしく美しいデザートは、もはや芸術品のよう。甘く優しい夢の世界へと誘ってくれます。
とちおとめとスカイベリーのデザートが並ぶ中段
ケーキスタンド中段には、全国で愛されている「とちおとめ」と、栃木県が誇るプレミアムいちご「スカイベリー」の、ケーキとムースが並びます。
こちらは「スカイベリーのムース 桜のフィナンシェ」。桜の香り豊かなフィナンシェの上には、色鮮やかなスカイベリーのムース。このムースがとろけるように滑らかでやわらかく、とちおとめと桜の華やかな香りが口の中に広がります。さらに ムースに添えられたラズベリーの酸味が、甘さの中でキラキラと宝石のような輝きを放ちます。
こちらは「とちおとめのチーズケーキ あまたにチーズ工房のフロマージュ・フレ」。初々しい赤が際立つとちおとめと白い小さな花、ホテルのロゴマーク入りホワイトチョコの何と美しいこと！
あまたにチーズ工房は、品質の高いチーズを手作りで作る、那須のチーズ工房。フロマージュ・フレは、搾りたての牛乳を乳酸発酵させ、さらに水分を抜いて固めたクリーミーなチーズです。濃厚なチーズに、とちおとめの酸味が加わり、とても爽やかなチーズケーキでした。
こちらは「とちおとめと桜のショートケーキ 日光御養卵」。長年栃木県のいちごのトップを走り続けている「とちおとめ」は、新品種にも負けない濃厚な味と香り。桜の香りと共に、酸味と甘みのバランスも抜群なとちおとめの魅力を、たっぷりと味わえる贅沢なショートケーキです。
栃木の新種いちご2種！とちあいか＆ミルキーベリーを楽しむ上段
ケーキスタンドの上段には、2019年に品種登録された、栃木県のいちごの新しいホープ「とちあいか」と「ミルキーベリー」を使ったデザート3種。とちあいかは酸味が少なく優しい甘さと豊かな香りが際立つ品種、ミルキーベリーはトロピカルな香りと、滑らかな食感を持つ白いちごです。
こちらは「とちあいかのヴァシュラン レモンクリーム」。ヴァシュランとは、焼いたメレンゲにホイップクリームやアイスクリーム、フルーツを合わせたデザート。メレンゲの甘さと豊かなとちあいかの香り、軽やかなホイップクリームのハーモニーの中に、ガツンと現れるラズベリーの酸味のきいた小粒のチョコレート。やられた！って思わずつぶやいた逸品でした。
こちらは「ミルキーベリーのタルトレット ピスタチオ」。ミルキーベリーの上には爽やかな香りのライムの皮が散りばめられています。ピスタチオの香りとナッツ特有の食感、トロピカルともいえる個性的な香りと滑らかな食感を持つミルキーベリー、二つの個性がちいさなタルトの上で踊りだしそうなステキなタルトレットです。
こちらは「桜の杏仁豆腐 とちあいか グロセイユ」。桜の香りの優しい杏仁豆腐に、爽やかなとちあいかとグロセイユが、プルプルのジュレに包まれています。小さなアマランサススプラウトと金箔が華やかにあしらわれ、ゴージャスな気分にさせてくれる一品。
そして、気が付けば、すべて完食！アフタヌーンティーは大好きで、いろいろ食べ歩いていますが、最後には「美味しかったけど、甘いものは当分、もういいわ」と思ってしまいがち。でも、今回のザ・リッツ・カールトン日光のアフタヌーンティーは、そんなこと、かけらも感じませんでした。
思うに、それぞれのデザートに、甘さの中に溶け込んでしまわない、爽やかな酸味があり、その甘さと酸味のバランスが素晴らしいのです。そしてセイボリーもデザートも、選び抜かれた極上の素材が持つ個性・・・食感や味わいが際立ち、さらにそれらが一つとなった時に、その魅力が倍増するような一品一品でした。
美味時間のエピローグはオリジナルのハーブティー
お茶も3回おかわりしたし、これで終わりだなあ、とちょっと寂しく、思っていたら、またまたお茶の葉が運ばれてきました！
このハーブティーが、また、すごかった。 これ、絶対に買っていきたい！と思ったのですが、残念ながら非売品。レストランでもメニューに出しておらず、アフタヌーンティーをご利用いただいたゲストのみに提供されるホテルからのサービスだそうです。至福のアフタヌーンティータイムの、最高のエピローグでした。
春のアフタヌーンティーは6月上旬まで
中禅寺湖を望む絶景と、極上の空間で、日本の料理界に名だたる二人のシェフの技を堪能できる素晴らしいセイボリーとデザート。絶対にまた来たい！と思える大きな満足感と幸せをいただけたスペシャルな時間でした。
ちなみに早坂シェフが「東京のホテルでは、一日100人を超すお客様に提供しなければならなかったけれど、日光では1日に40人ほどのお客様。だからこそできることがここにはあって、それがとても楽しい。」とおっしゃっていました。
日光の春を彩る「桜＆いちごのアフタヌーンティー」。ぜひ、その幸せを味わってみてくださいね。
DATA 施設名：ザ・リッツカールトン日光 所在地：栃木県日光市中宮祠2482番地 電話：0288-25-6666 アフタヌーンティー 提供時間：12：00～16：00（スタート時間） 価格：6500円 公式サイト：ザ・リッツ・カールトン日光 ザ・リッツ・カールトン日光 アフタヌーンティー
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