バンコク旅行で最も便利な都市鉄道といえばBTS。バンコク都心で1999年に初めて開通した最も古い都市鉄道です。高架式の鉄道で、スカイトレインとも呼ばれています。
バンコク都心を走っていて渋滞知らずのBTSはとても便利。これまでにバンコクを訪れた人なら、一度は利用したことがあるのではないでしょうか。
ところで、BTSというとバンコクの都心を走っているというイメージがありますが、実は最近バンコク郊外への延伸工事が進められていて、新しい駅が続々と出来ているんです。
以前なら車でしか行けないような場所にもBTSで気軽に行けるようになって、行動範囲がぐんと広がりました。バンコク郊外にはまだあまり観光客には知られていない穴場の見どころもあって楽しいですよ。
BTSにはシーロムライン(緑)とスクンビットライン(黄緑)がありますが、この2つの路線の延伸状況と沿線の見どころを2回に分けてご紹介したいと思います。まずはシーロムラインのご紹介です。
BTSシーロムラインの延伸概要
BTSシーロムラインは、バンコク都心のビジネス街シーロム通りを中心に走る路線で、1999年開通当初は、ナショナルスタジアム駅からサパーンタクシン駅までの7駅でした。
BTSシーロムラインで特に覚えておきたい駅はサパーンタクシン駅。チャオプラヤ川沿いのサトーン桟橋の近くにあるので、チャオプラヤ川のボートへの乗り継ぎが出来て、川沿いのホテルや観光地へのアクセスには欠かせません。
また、たくさんのショッピングモールが建ち並び、バンコクで一番にぎやかな商業地区にあるBTSサイアム駅は、シーロムラインとスクンビットラインが乗り継ぎできる唯一の駅です。
BTSシーロムラインは、1999年開通以来、ずっとこの7駅だけだったのですが、2009年にサパーンタクシン駅からチャオプラヤ川にかかるタクシン橋を通過して、川の向こう側にあるクルントンブリー駅とウォンウィエンヤイ駅まで延伸。その後さらに2013年にバンワー駅までの4駅が延伸されました。
ちなみに、サパーンタクシンの「サパーン」はタイ語で「橋」という意味です。
さらに2021年には、チョンノンシー駅とスラサック駅の間に、新しく「セントルイス駅」が追加され、現在シーロムライン全体の駅数は、当初の7駅から14駅にまで増えました。
一方、シーロムラインの始発駅でもあるナショナルスタジアム駅の方はそのままで、現時点では延伸の計画も発表されていないようです。
シーロムラインで行くトンブリ地区の見どころ
シーロムラインの延伸でアクセスがしやすくなったチャオプラヤ川西岸は、以前トンブリ王朝の首都だったことから、通称「トンブリ地区」と呼ばれています。現在の王宮があるチャオプラヤ川東岸に比べると、あまり発展していませんが、昔ながらの素朴な街並みが魅力。それでは、シーロムライン延伸区間の沿線にある主な見どころをご紹介しましょう!
①BTSゴールドラインで行くアイコンサイアム
サパーンタクシン駅の次のクルントンブリー駅。チャオプラヤ川を越えた最初の駅です。2020年12月、このクルントンブリー駅始発のゴールドラインという新しいBTSの路線が開通したばかりなんです。
ゴールドラインは、シーロムラインとスクンビットラインに続く第3のBTS路線で、タイで初めての全自動無人運転モノレール。現在はまだ3駅しか走っていませんが、始発クルントンブリー駅の次のチャルンナコン駅は、バンコク最大のショッピングモール「アイコンサイアム」の目の前に停車。アイコンサイアムへのアクセスがとてもよくなりました。
以前は、クルントンブリー駅からシャトルバスが出ていましたが、渋滞などでスムーズに行けないことも。ゴールドラインが出来て、渋滞の心配もなくなりました(サパーンタクシン駅からのシャトルボートサービスも継続中)。新しく出来たモノレールの乗車体験もわくわくして楽しいですよ。
DATA アイコンサイアム(ICON SIAM) 所在地:299 Charoen Nakhon Soi 5 , Charoen Nakhon Road, Khlong Ton Sai Sub District, Khlong San District, Bangkok 10600 営業時間:10:00am - 10:00pm 公式サイト:アイコンサイアム
②100年以上の歴史を持つ市場町タラートプルー
BTSクルントンブリー駅から3つ目のタラートプルー駅周辺は、100年以上前に市場町として賑わっていた地域です。「タラート」とは、タイ語で「市場」という意味。今でも歴史を感じさせる古い街並みが残っています。
タラートプルー駅は、BTSタラートプルー駅と国鉄タラートプルー駅の2つの駅があります。目的地のタラートプルーは、この国鉄タラートプルー駅の周辺。BTSタラートプルー駅からは少し離れていて、徒歩15分ほどです。
国鉄タラートプルー駅の周辺には美味しいローカルフードの食堂が立ち並んでいて、地元の人たちでとても賑わっています。国鉄の線路ギリギリの場所で営業している食堂もあって、非日常感満点です。
地元の人たちも素朴でフレンドリー。古い街並みを散策したり、美味しいものを見つけて味見してみてくださいね。
③インスタ映えで有名なワットパクナム
トンブリ地区の観光のハイライトは、なんといってもあのエメラルドの仏塔で有名なワットパクナム(正式名称はワット パクナム パシー チャルーン)でしょう。2012年に建立されたエメラルド色の仏塔が、インスタ映えスポットとして大人気です。
当初はバンコク市街からタクシーなどで行くしかなかったのですが、シーロムラインの延伸でアクセスがとてもよくなりました。BTSウタカート駅、あるいはBTSバンワー駅からタクシーで5分ほどです。
あるいは、先ほど紹介したタラートプルーからも徒歩15分ほどなので、ワットパクナムとタラートプルーをセットで見学するのもいいでしょう。
また、2019年にはMRTブルーラインという別の鉄道路線がトンブリ側まで延伸しました。ワットパクナムへは延伸したMRTブルーラインのバンパイ駅から徒歩で行けるようになったので、BTSよりも便利です。BTSバンワー駅でMRTバンワー駅に乗り換えることもできますよ。
DATA ワット パクナム パシー チャルーン(Wat Paknam Phasi Charoen) 所在地:300 Ratchamongkhon Prasat Alley, Pak Khlong Phasi Charoen, Phasi Charoen, Bangkok 10160 見学時間:8:00am - 6:00pm
拡大しつづけるバンコクの都市鉄道ネットワーク
今回はBTSシーロムラインの延伸部分についてご紹介しました。
コロナで2年ほど渡航条件が厳しくなってしまったタイですが、その間にバンコクではたくさんの都市鉄道の延伸工事が進んでいて、将来は東京並みの複雑な鉄道網になることが予想されています。
都市鉄道延伸の大きな目的は、悪名高いバンコクの渋滞を緩和すること。新しい路線はバンコク郊外の住宅地の方までずっと延び続けています。路線沿いには新たなショッピングモールやコンドミニアム(マンション)がどんどん出来て、バンコク都市圏は広がり続けています。
コロナ収束後にバンコクを再訪したら、その変貌ぶりに驚いてしまうかもしれませんね。
次回はBTSスクンビットラインの延伸状況についてレポートさせて頂く予定です。お楽しみに!