多くの観光都市があるイタリアの中でも、世界中から毎年多くの観光客が訪れる世界遺産「水の都・ベネチア」。旅行会社のイタリアツアーでも訪問都市としても含まれていることが多いですよね。
新婚旅行の行き先としても大人気なベネチア。「ベネチアに行ったらロマンティックにゴンドラに乗ってみたい!」と思っている新婚さんも多いのでは?
でも、ちょっと待って!日本の超有名テーマパークにあるゴンドラのイメージと重ね合わせていませんか?もしそうであれば、実際のベネチアのゴンドラとは、かなり相違点があるかも。
イタリア在住ライターである私が、ベネチアのゴンドラについて詳しく紹介しましょう!
「なぜベネチアではゴンドラが有名なの?」「ゴンドラでぼられた話、よく聞く!実際の料金は?値切ることはできるの?」「ゴンドラに乗ったら漕ぎ手が歌うんだよね!」などの疑問にお答えしてます。
ベネチアに行って、ゴンドラに乗りたい!とコロナ禍の今も夢に出てきちゃう…なんていう方は、必読ですよ。
ベネチアのゴンドラとは?
ベネチアと言えば、すぐにゴンドラをイメージする人が多いかも。でも、ゴンドラについて詳しく知っている人はあまりいないのでは?ゴンドラ(イタリア語ではgondola)とは、ベネチアに昔からある手漕ぎボートのこと。
ゴンドラはベネチア貴族の車代わりだった
昔、ベネチアの宮殿に住む貴族たちの正面玄関は運河側にありました。現在の入口となっている道側のドアは、実は使用人専用の出入口だったのです!そのため、各家族で専属のゴンドラを所有し、日々の移動には常にゴンドラを使用していました。私たちが車を持つように、ベネチア人はゴンドラを持っていたんですね。
ゴンドラの歴史
ゴンドラがいつ誕生したのかについてははっきりしませんが、「gondola(ゴンドラ)」に近い単語として初めて記録に登場したのは、1094年のこと。32代総督ヴィターレ・ファリエール(Vitale Falier)が定めた法令の中に、「gondolam(ゴンドラム)」という形で登場しています。
ゴンドラの漕ぎ手・ゴンドリエーレ
ゴンドラのサイズは全長11m、幅約1.5m、オールは片側だけに付いています。そのゴンドラを船尾から1本のオールで巧みに操るのが、ゴンドラの漕ぎ手「ゴンドリエーレ」。ゴンドラの歴史が約1000年なのに対し、ゴンドリエーレの歴史は約900年。900年も続いている、ベネチアだけの伝統の職業なんですよ!
下の写真はゴンドラを真上から見たところ。1本のオールで操れるよう、左右非対称の形に作られています。
ゴンドラと一言で言っても、観光客向けの豪華な装飾を施されたゴンドラ以外に、ベネチア市民の足として現在も利用されているゴンドラもあります。21世紀の現在でも昔と変わらず市民が利用しているなんて、すごいですよね!
ゴンドリエーレになるには?
ゴンドリエーレになるには数年の修行&試験があり、最終的に試験をパスするとベネチア市の免許がもらえます。ゴンドリエーレはずっと男性の職業だったのですが、2009年には初の女性ゴンドリエーレが誕生!次回あなたがベネチア旅行をする頃には、女性のゴンドリエーレが案内してくれるかも…。
もうぼられない!ベネチアのゴンドラ料金は決まっている!
「ベネチアでゴンドラに乗ってみたいけど…ぼったくられそうで心配」と思っているあなた、もう大丈夫。
以前は決まったゴンドラ料金がなかったため、相手を見て高い値段をふっかけてくるゴンドリエーレもいました。おまけに悲しい事に、強くものが言えない日本人は、大勢の人がカモになっていましたのです(涙)!
現在はベネチア市が定めたゴンドラ料金があります。この料金を知っていれば、高い料金をふっかけられても「決められた料金で!」とキッパリと言う事ができますよ!
ベネチア市が定めた料金
ベネチア市が定めた料金はこちら(2021年9月現在)。
- 8時~19時:30分80ユーロ
- 19時~8時:35分100ユーロ
※最大5人まで乗船できます
ベネチア市公式サイト(イタリア語のみ)
ゴンドラの営業時間
ゴンドラ乗り場の営業時間については、サイトによって情報が様々。例えば、こんな感じ。
サイト | 営業時間 |
Googleマップ | 9時~23時 |
ゴンドラ乗り場にある看板 | 24時間(8時~19時通常料金、19時~8時夜間料金) |
ベネチア市公式サイト | 9時~3時 |
ゴンドラ予約サイトA | 4月1日~10月31日 9時30分~12時30分、14時~18時 11月1日~3月31日 9時30分~12時30分、14時~17時30分 |
ゴンドラ予約サイトB | 4月1日~10月31日 9時30分~20時30分 11月1日~3月31日 9時30分~17時 |
さすがイタリア、見事にバラバラの時間帯です(笑)。予約サイトの時間帯については事前に予約ができる時間帯なので、直接ゴンドラ乗り場に行く場合は9時~23時の時間帯なら大丈夫だと言えそう。ただ、この時間帯は2021年9月現在のものなので、冬の期間(11月1日~3月31日)は夕方には乗り場が閉まってしまう可能性もあり。
「絶対にゴンドラに乗りたい!」という人は、ゴンドラ予約サイトから事前に予約を取っておくのがおすすめ。予約を取っておけば、「あ~、夜に乗ろうと思っていたら乗り場が閉まっていた…」「乗り場がめちゃくちゃ混んでいて結局乗れなかった…」と後悔する事もないですよ!
お昼休みに注意!
イタリアらしく、ゴンドリエーレは一斉にお昼休みを取ることがあります。(日本人からすれば、交代で休みを取ればいいのに、と思ってしまいますよね。笑)お昼休憩に当たる12時30分~14時の時間帯は、ゴンドラ乗り場に誰もいない…なんてことになる可能性も。この時間帯は避けてプランを立てて!
ゴンドラの漕ぎ手はみんな歌ってくれるの?
日本人にとって「ゴンドラではゴンドリエーレがいい声で歌ってくれるもの」というイメージが定着していますが、実はこれは間違い。ベネチアのゴンドラに乗っても、全員が歌ってくれるわけではありません…(涙)。
ゴンドラの上で歌も歌ってほしいなら、「セレナーデ」というオプションを付ける必要があります。ゴンドラの予約サイトを見てみるとセレナーデの予約ができるようになっているところもあるので、「ゴンドラはやっぱり歌付きじゃないと!」という人は忘れずにセレナーデコースを選択してくださいね!
※ゴンドリエーレによっては、乗る時に新婚旅行や誕生日などと伝えるとサービスで歌ってくれることも。通常料金で歌ってもらえたあなたはめちゃくちゃラッキー!(笑)
セレナーデコースについての注意点
セレナーデコースの出発時間は夕方のみ、通常は18時30分または19時30分出発のコースが多いです。(2021年9月現在はコロナ禍のため予約できる日が限られている場合があります)
セレナーデは料金が一気にあがるので注意!「えぇ!こんなに上がるの?」とびっくりするかも。予約前に料金をよく確認してくださいね。
また、時期によってはミュージシャンの乗ったゴンドラを囲むように、複数台のゴンドラが進む(1台ごとにミュージシャンが乗らない)ことも。
ベネチアのゴンドラ乗り場とルートを紹介!
ゴンドラ乗り場はベネチア旧市街にいくつもあり、乗り場によって通るルートが変わります。ここではゴンドラ乗り場とコース、各乗り場のおすすめポイントを紹介するので、あなたのお気に入りのルートを見つけてくださいね!
※ゴンドラのルートは、上記で紹介したゴンドラの予約サイトからお借りしていますが、ゴンドラ会社によって同じ30分コースでも通るルートが少し違うこともあります。
Gondola Stazio Danieli(ゴンドラ・スタツィオ・ダニエリ)
5つ星ホテル「ホテル・ダニエリ(Hotel Danieli)」前にある乗り場。このルートのおすすめポイントは、「ため息橋の下を通る」こと!ため息橋の下を通れる乗り場はここだけなので、ゴンドラでため息橋の下を通ってみたい!という人はここから乗ってくださいね。
Gondola Stazio Danieli(ゴンドラ・スタツィオ・ダニエリ)からのルート VENICE IN GONDOLAのルート GONDOLIERI TRAVELのルート
DATA Gondole Stazio Danieli(ゴンドラ・スタツィオ・ダニエリ) 所在地:Riva degli Schiavoni, 30122 Venezia VE 営業時間:毎日9時~23時
Gondola Bacino Orseolo(ゴンドラ・バチーノ・オルセオロ)
サン・マルコ広場のすぐ裏手にある乗り場。ハードロックカフェ前にあります。このルートのおすすめポイントは「リアルト橋近くの大運河(カナルグランデ)を通る」こと!ゴンドラからリアルト橋を眺めてみたい!という人はこの乗り場から乗ってくださいね。
Gondola Bacino Orseolo(ゴンドラ・バチーノ・オルセオロ)からのルート VENICE IN GONDOLAのルート GONDOLIERI TRAVELのルート
DATA GONDOLA BACINO ORSEOLO(ゴンドラ・バチーノ・オルセオロ) 所在地:Bacino Orseolo, 30121 Venezia VE 営業時間:毎日9時~23時
Gondola Dogana Vallaresso(ゴンドラ・ドガーナ・ヴァッラレッソ)
サン・マルコ広場近くの水上バス乗り場「San Marco Vallaresso」の隣にあるゴンドラ乗り場。ハリーズ・バーのすぐ前にあります。このルートのおすすめポイントは、サン・マルコ広場の対岸に見える「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂近くの大運河(カナルグランデ)を通る」こと!ゴンドラから聖堂を眺めてみたい!という人はこの乗り場から乗ってくださいね。
Gondola Dogana Vallaresso(ゴンドラ・ドガーナ・ヴァッラレッソ)からのルート VENICE IN GONDOLAのルート GONDOLIERI TRAVELのルート
DATA Gondola Dogana Vallaresso(ゴンドラ・ドガーナ・ヴァッラレッソ) 所在地:Calle Vallaresso, 30124 Venezia VE 営業時間:毎日9時~23時
Gondole Accademia(ゴンドラ・アッカデミア)
アカデミア橋のすぐ側にあるゴンドラ乗り場。ここから乗ると、大運河(カナルグランデ)からアカデミア橋の眺めを楽しんだり、ゴンドラ造船所を見ることができますよ!
Gondole Accademia(ゴンドラ・アッカデミア)からのルート VENICE IN GONDOLAのルート GONDOLIERI TRAVELのルート ※この乗り場は会社によって乗り場の場所が違うので注意!VENICE IN GONDOLAはサン・マルコ広場側、GONDOLIERI TRAVELはアカデミア美術館側に乗り場があります。
DATA Gondole Accademia(ゴンドラ・アッカデミア) 所在地:Calle del Scaleter, 2259, 30123 Venezia VE 営業時間:毎日9時~23時
Gondola Stazion S.Tomà(ゴンドラ・ステーション・サン・トマ)
リアルト橋を渡った向こう側、サン・ポーロ地区にある乗り場。リアルト橋近くの大運河(カナルグランデ)とサン・ポーロ地区の小さな運河を巡るコースです。
この乗り場はトラゲットの乗り場もあり。トラゲットについては下記で紹介しています。
Gondola Stazion S.Tomà(ゴンドラ・ステーション・サン・トマ)からのルート GONDOLIERI TRAVELのルート
DATA Gondola Stazion S.Tomà(ゴンドラ・ステーション・サン・トマ) 所在地:Calle del Traghetto, 30125 Venezia VE
ゴンドラに乗る時の注意点は?
乗り心地が良いように作られているゴンドラですが、それでもやっぱり船。水の上に浮かんでいるため、特に乗り降り時には注意が必要です。ここでは、ゴンドラに乗る時の注意点を紹介。
「あ~、あの時もっと気を付ければ…」なんて事にならないように、ゴンドラに乗る時に注意してほしい点はこちら。
- 乗る時はゴンドリエーレが支えてくれます。勝手に乗っちゃダメ!
- ゴンドラのバランスを考えて、ゴンドリエーレが座る場所を指示してくれるのでそれに従って。「こっちの方が景色が良さそう!」なんて勝手に好きな場所に座っちゃダメ!
- 座るとすぐ脇に水面が来るので、カメラやスマホは落とさない様にしっかり持って!乗る前に、いらない物はバッグに全部入れておきましょう(カメラやスマホはストラップがあると安心♪)
- ゴンドラの乗り降り時は揺れるので気をつけて!慌てずゆっくり歩きましょう
- ゴンドラツアーが終わっても、勝手に立っちゃダメ!ゴンドリエーレの指示があるまで座ったまま待ちましょう
ベネチアのゴンドラに安く乗る方法はある?
「ベネチアに行ったらゴンドラに乗ってみたいけど、料金がちょっと…」という人のために、ここではゴンドラに安く乗る方法を2つ紹介します。ぜひ参考にしてくださいね!
相乗りをしよう!
ゴンドラの料金は一艘当たりのものなので、乗る人数が多くなるほど一人当たりの料金が安くなります。例えば、30分80ユーロの場合の料金の変化はこんな感じ。
人数 | 一人当たりの料金 |
1人 | 80ユーロ |
2人 | 40ユーロ |
4人 | 20ユーロ |
2人で乗るのと4人で乗るのでは、一人当たりの料金がかなり変わりますよね!
知らない人と一緒に乗るのはいや!という場合は使えませんが、できるだけ安い料金でゴンドラに乗ってみたい!という人にはおすすめのこの方法。
知らない人に声をかけるのは勇気がいりますが、ゴンドラ乗り場付近で迷っているような人がいれば思い切って声をかけてみて。意外にすんなり相乗りしてくれる人が見つかるかも…。
ベネチアのゴンドラ料金は値切れる?
ベネチア市が定めているゴンドラ料金。「もうちょっと安くして!」って交渉することは可能なんでしょうか?
結論は…時期や時間帯、交渉次第では値切れます!
交渉のポイントは…
- 観光客が少ない時期や時間帯なら、ゴンドリエーレによっては安くしたり時間を長くしてくれる可能性あり
- 料金を安くしてもらうより、時間を少し長くしてもらう方が交渉しやすい
- 乗り場ではなく、道などで客引きをしているゴンドリエーレに値段交渉(または時間延長の交渉)をしてみる
ただし、カーニバルの時期や繁忙期(4~10月頃)は空いているゴンドラを探す方が難しいことがあるので、どうしても乗りたい人は値切るのはあきらめて、ゴンドラのが予約できるサイトで事前に予約しておきましょう(事前に予約する場合は、料金の交渉はできません)。
ゴンドラの予約サイトはたくさんあるので、いくつか紹介しておきますね。
VENICE IN GONDOLA(英語ページ) GONDOLIERI TRAVEL(英語ページ)
ベネチア市民の足「トラゲット」を利用しよう!
「相乗りの相手を見つけるのが難しい…」「もっと安い料金でゴンドラに乗ってみたい」という人におすすめなのが「トラゲット(traghetto)」。トラゲットは、大運河(カナルグランデ)を渡る時にベネチア市民が利用する渡し舟。観光用のゴンドラとは違い、質素な作りの庶民派ゴンドラです。
トラゲットの魅力は何といっても安い料金!なんと1回2ユーロ(2021年9月現在)で乗ることができるんです。大運河を渡るだけなので優雅なゴンドラツアーとは違いますが、どうしてもゴンドラに乗ってみたい!という人は一度お試しを。気軽にゴンドラ体験ができますよ!
料金は、ゴンドラに乗る時にゴンドリエーレに直接渡してくださいね。
ベネチア旧市街のトラゲット乗り場はこちら。
Traghetto Dogana(トラゲット・ドガーナ)
DATA Traghetto Dogana(トラゲット・ドガーナ) 所在地:Fondamenta Salute, 30123 Venezia VE, Italia 時間:9時~18時
Traghetto Santa Maria del Giglio(トラゲット・サンタ・マリア・デル・ジリオ)
DATA Traghetto Santa Maria del Giglio(トラゲット・サンタ・マリア・デル・ジリオ) 所在地:Campiello Traghetto, 30124 Venezia VE, Italia 時間:9時~18時
Traghetto San Tomà(トラゲット・サン・トマ)
DATA Traghetto San Tomà(トラゲット・サン・トマ) 所在地:Calle del Traghetto, 30125 Venezia VE, Italia 時間:月~金曜日8時30分~19時、土日祝9時~18時30分
Traghetto Carbon(トラゲット・カルボン)
DATA Traghetto Carbon(トラゲット・カルボン) 所在地:Riva del Carbon, 30124 Venezia VE, Italia 時間:月~金曜日9時~12時、土日祝休み
Traghetto Santa Sofia(トラゲット・サンタ・ソフィア)
DATA Traghetto Santa Sofia(トラゲット・サンタ・ソフィア) 所在地:Campo Santa Sofia, 30121 Venezia VE, Italia 時間:月~金曜日8時30分~19時、土日祝9時~18時30分
ゴンドラ以外の船でベネチアを楽しみたいなら…
ゴンドラ以外の船でベネチアを楽しみたいなら、水上バスがおすすめ!ベネチア旧市街だけでなく、周辺の離島へも水上バスで行くことができますよ。
水上バスについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ベネチア旅行の思い出にゴンドラに乗ってみよう!
昔一つの共和国だった上に、海洋都市であるベネチアはイタリアの他の都市にない独自の文化が根付いています。ゴンドラはその一つ。ベネチアを旅するのであれば、ベネチアにしかないゴンドラに乗って、中世の人々と同じ景色を見てください。
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