ローマでの食事はどうする?ローマ料理10選とマナー・おすすめの店も紹介

イタリア在住ライター ケイコソリーノ

ケイコ ソリーノ

料理&チーズ教室主宰/イタリア公認ライセンス添乗員

イタリアの首都ローマはヨーロッパ有数の観光都市、見どころが集まる美しい「永遠の都」。そんな素敵な目的地ローマに行ったら、観光と同じくらい大切なのが現地での食事。旅の満足度を大きく左右するポイントですよね。でも、いざレストランへ出かけても「何を注文すればいいの?」と困る人も多いはず。

そこで、今回はイタリア在住の筆者が厳選した「ローマの郷土料理」10品をご紹介します。イタリアは全部で20州ありますが、それぞれにご当地の味が存在します。この記事ではローマで食べるべきマストな料理をチェックしてください。

後半では、レストランのメニュー構成や注文の仕方などをご紹介します。事前に現地のマナーを知っておくと安心です。さらに、お店選びの参考として名店情報も盛り込みました。現地での美味しいひとときをイメージしてお読みくださいね!

知ってるようで知らないローマ料理!旅行の前にしっかり知識を身につけましょう

ローマ料理の特徴

知ってるようで知らないローマ料理!旅行の前にしっかり知識を身につけましょう

あなたはローマ料理にどんなイメージをもっていますか?「なんとなく聞いたことがあるけどよく知らない」という人が多いのでは?そこで、イタリアを代表する観光地「ローマ」の料理の特徴を3つご紹介します。

ローマ料理は内臓料理が多い

「内臓料理」は貴族が見向きもしない捨てる部位(内臓や尻尾)を、肉を満足に食べられない庶民がアレンジしたローマ名物。下町エリアのテスタッチョやトラステヴェレ発祥として有名です。この内臓料理の存在は、貧しくても美味しいものを探究する人々が昔からローマにいたことの証です。

ローマ料理は羊肉料理が多い

「羊肉料理が多い」のは、この地が牧羊が盛んな土地であったことに由来します。特に乳飲み子の仔羊を使った料理がメインディッシュに豊富で、後ほどご紹介する「仔羊のロースト」が代表格。反対に魚料理は少なく、主にバッカラ(タラの塩漬けの干物)を食べます。

ローマ料理は塩気が強い

「塩気が強い」のは、料理の材料や仕上げに使う特産の羊乳製チーズ「ペコリーノ・ロマーノ」によるもの。イタリア最古のチーズといわれ、長期間の熟成により塩味がしっかり効いてます。このチーズをたっぷり使うためローマでは塩気が強い料理が多いのです。

知名度が高いローマのユダヤ料理

参考として、ローマには大きなユダヤ人街があり戦争の影響もあまり受けなかったため、彼らの伝統料理も現地で堪能できます。ローマでユダヤ料理?と思う人もいるでしょうが、ローマの食文化の中で大切な役割を担っています。特にアーティチョークのフライ「ユダヤ風アーティチョーク」(写真)は超有名。

ローマの名物料理 10選

ここからは、現地で食べてほしいローマ料理をご紹介していきます。パスタを含む主食5品、メインディッシュ4品、付合せの野菜料理1品の合計10品です。

カルボナーラ

日本とレシピが違うって知ってました?本物のカルボナーラはローマで!

トップバッターは日本でもおなじみの「カルボナーラ」。卵黄とグアンチャーレ(豚の頬肉を塩漬けして熟成させたもの)、ペコリーノチーズを使って作るパスタ料理。あわせるパスタはスパゲッティが一般的です。

名前の由来は仕上げにかける黒コショウが炭に似ていることから、炭焼き職人が作るパスタ料理をイメージして。実はこの料理の起源には諸説あり、一番有力なのは第二次世界大戦後にアメリカ軍の要請でローマの料理人が考案したというもの。

日本のレシピでは生クリームを入れますが、本場ローマではご法度。グアンチャーレを炒めたときにでる脂を使い、卵黄と絡めてコクと濃厚な旨みを出します。さらに、玉ねぎやパルメザンチーズ、ベーコンも使いません。本物のカルボナーラはやはり発祥の地ローマで!

カチョ・エ・ペペ

チーズと胡椒が主役の素朴なパスタ料理「カチョ・エ・ペペ」

次は、チーズと胡椒を意味するパスタ料理「カチョ・エ・ペペ」です。主役に君臨するチーズは言わずもがなのローマ名物「ペコリーノ・ロマーノ」。あわせる「トンナレッリ」というパスタは、卵入りの断面が四角いもっちりとした食感です。

作り方は驚くほどシンプルですが、だからこそ料理人の腕が問われるひと皿。味は塩味が主張するローマらしさで、後味はパンチの効いた胡椒がしっかりと引き締めます。表面がザラザラしたパスタとソースがよく絡み、口の中で濃厚なチーズの美味しさが爆発。一緒にワインが進むこと間違いありません。

ローマ風ニョッキ

木曜限定の「ローマ風ニョッキ」は優しい味わい

ローマには「木曜はニョッキ、金曜は魚、土曜はトリッパ」という、キリスト教や土地の食文化に関連した曜日ごとのメニューを表した言葉があります。3つ目にご紹介するのは、木曜の定番「ローマ風ニョッキ」(伊語名ニョッキ・アッラ・ロマーナ)です。

ニョッキと聞くとジャガイモが入ったものを想像しますが、ローマ風はセモリナ粉(小麦やトウモロコシなどの穀物を粗く挽いた粉)で作ります。他の材料は牛乳とバター、ペコリーノチーズ。最大の特徴は茹でずにオーブンで焼くこと。

表面はカリッ内側はモッチリとした食感で、ソースをかけずにそのまま食べるのも意外です。ひと口頬張ると優しくほっこりする味わいで、五臓六腑にスーッと染みわたります。尚、伝統的なローマ料理店では木曜限定のメニューなのでご注意ください。

アマトリチャーナ

羊飼いのために発明されたトマト味のパスタ「アマトリチャーナ」

4つ目はローマ近郊の町で生まれた「アマトリチャーナ」。羊飼いのために作られた料理といわれ、現在はその美味しさがラツィオ州全体に広がり、州の名物料理に。漏れることなくローマでも人気の一品です。

2020年に欧州連合(EU)から昔ながらの製法で伝統的に作られた食品に与えられる「STG」(伝統的特産品保証)を獲得。規定の材料はグアンチャーレ、トマト、唐辛子、ペコリーノチーズで、あわせるパスタはブカティーニまたはスパゲッティが推奨されています。

尚、この料理には前身となる「グリチャ」というパスタ料理が存在します。イタリアにまだトマトがなかった時代にできたアマトリチャーナのトマトなしバージョン。このグリチャも現代に受け継がれ、ローマ料理の定番メニューのひとつです。

小腸のトマト煮込みパスタ

庶民料理の代表選手「リガトーニ・コン・ラ・パイアータ」

貴族が高級な肉を食べ、庶民は内臓や尻尾を使って美味しい料理を発明しつづけたローマの食文化はとても有名です。このパスタ料理はローマの方言で「パイアータ」と呼ばれる仔牛の小腸で作る一品。庶民料理の代表です。

料理名は「リガトーニ・コン・ラ・パイアータ」。しっかり2時間以上煮込んだソースにあわせるのは、外側に筋状の模様が入ったショートパスタ「リガトーニ」が伝統。イタリアではローマ料理として鉄板ですが、日本ではまだ知られていない隠れ名物です。

ローマ風トリッパ

「ローマ風トリッパ」はミントとトマト味でさっぱり

続いては、牛の胃袋(ハチノス)を煮込んだ「ローマ風トリッパ」(伊語名トリッパ・アッラ・ロマーナ)。イタリアでトリッパは北から南までどこでも食べられるポピュラーな食材。ローマ風の特徴はトマトで煮込み、ご当地のミントとペコリーノチーズで風味付けすること。

しっかり下処理をすることで臭みを消し、本来捨てられる部位が立派なメインディッシュに。中世の貴族もびっくりなローマ庶民のナイスなアイデア。イタリア版モツ煮込みだと思えば、現地で挑戦するハードルも高くないですよね。

仔羊のロースト

羊肉料理の王道「仔羊のロースト」はローマで必食のひと皿

次は、塩コショウとローズマリーで風味付けした仔羊を炭火焼にした「仔羊のロースト」(伊語名アバッキオ・ア・スコッタディート)。元々は復活祭に食べるローマ料理でしたが、現在は年間を通じてレストランで味わえます。

名前の由来が面白く、指をやけどするという意味の「スコッタディート」が料理名に(笑)。これはやわらかい肉を堪能するためには焼きたて熱々を食べるのが一番だ!と、ヤケドをするほどの勢いを表現したもの。インパクトのあるネーミングセンスもローマっ子らしいですね。

牛テールの煮込み

意外な隠し味が入った「牛テールの煮込み」は2つの食感を楽しんで!

ローマで「庶民料理の女王」の異名をとるのが「牛テールの煮込み」(伊語名コーダ・アッラ・バッチナーラ)です。牛または仔牛の尻尾を茹でて香味野菜と一緒に炒め、トマトとじっくり煮込むというもの。その煮込み時間は驚きの6時間以上!

レシピには2通りあり、1つは煮込むときに松の実と干しぶどうを入れ、隠し味にココアパウダーを使うもの。2つ目はこれらを入れないシンプルなタイプ。どちらもオリジナルとして定着し、手間暇がかかる料理として知られています。

発祥は屠殺場があった下町地区で、昔は売り物にならない内蔵や頭、尻尾などを賃金の代わりにもらって食べてました。味は肉の濃厚な旨みが凝縮され、口の中でトロトロと崩れる食感とコラーゲンたっぷりのプルプルとした食感の2つが同時に楽しめます。

ローマ風サルティンボッカ

北イタリアで生まれた!?ローマ名物「ローマ風サルティンボッカ」

9つ目は「口の中に飛び込んでくる」という意味の料理「ローマ風サルティンボッカ」(伊語名サルティンボッカ・アッラ・ロマーナ)。仔牛肉に生ハムとセージの葉をのせて焼いた料理で、簡単に作れてすぐに頬張ることができるため、このように命名されました。

ローマではどの郷土料理店にも必ずあるポピュラーなメニューで、家庭料理としても広く普及しています。発祥は北イタリアのブレシャという街ですが、その後イタリア全土に広がり、最も積極的にこの料理を取り入れたのがローマでした。そして、今ではローマを代表する一品に成長。

生ハムの塩味がよく効きバターの量が多いため、日本人には少し消化が重たいかもしれません。よって、個人的には二人で1人前をシェアするのがオススメです。

ローマ風アーティチョーク

インパクトのある盛付けにびっくり!「ローマ風アーティチョーク」

最後は、前菜やメインディッシュの付合せとして人気の「ローマ風アーティチョーク」(伊語名カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ)。アーティチョーク(朝鮮アザミ)は冬から春にかけてイタリア全土で食べられる野菜です。

この料理には大ぶりで丸い形をした「ロマネスコ」という品種を使い、刻んだニンニクとミントをつぼみの中に詰めて蒸し煮にします。盛付けがユニークで丸ごと1つ、長い脚(茎)が上に伸びた姿で登場します。写真映え間違いなしのインパクトですね。

さらに、ローマで有名なもうひとつのアーティチョーク料理が前途の「ユダヤ風アーティチョーク」。こちらも丸ごと1つを揚げた豪快さ。ローマ名物として「ローマ風」と同じくらい有名です。

レストランのメニューと注文方法

ここでは、イタリアで食事をするときの「メニュー構成」と「入店から退店までの流れ」をご紹介します。事前に知ることで現地でスマートに振る舞うことができます。

基本のメニュー

日本料理とは勝手が違うイタリア料理のメニュー構成は?

イタリアのレストラン等では、次の5つのカテゴリーでメニューが構成されます。

  1. アンティパスト/Antipasto(前菜)
  2. プリモ・ピアット/Primo Piatto(パスタやリゾットなどの主食)
  3. セコンド・ピアット/Secondo Piatto(肉や魚などのメインディッシュ)
  4. コントルノ/Contorno(サラダや野菜料理などの付合せ)
  5. ドルチェ/Dolce(デザート)

皆さんがよく疑問に思う「レストランではフルコースで注文しないといけない?」については、大丈夫!必要な料理だけを選べばOKです。イタリア人もパーティーのときくらいしかフルコースは食べません。

参考として、よくある注文のパターンは「前菜+プリモ・ピアット」または「前菜+セコンド・ピアット」です。二人で2品ずつ注文して、お腹の空き具合でドルチェの追加を検討してください。

入店から退店までの流れ

開放的なテラス席での食事は身の回りの持ち物に注意して

次は、レストランでのマナーやオーダーの仕方を覚えて注文してみましょう。

入店時は挨拶をして着席

ランチでは「ブォン・ジョールノ」、ディナーでは「ブォナ・セーラ」のひと言を!
勝手に席に座るのではなく、必ず店員に声をかけてから着席するのがマナーです。
屋外席では身の回りの持ち物に十分注意を。近くにスリがいるかも…という緊張感を忘れずに。

メニューを見て注文

基本は店員がテーブルに来るまでオーダーするのを待ちましょう。
10~15分経っても店員が来ない場合は、ようやくここで手を挙げて呼びます。
イタリア語での注文はメニューを指差して「クエスト・ペル・ファヴォーレ」といえば完璧。

食事が終わったらテーブルで会計を済まして退店

基本的に後払いです。
会計をお願いする場合はイタリア語で「イル・コント・ペル・ファヴォーレ」といいます。

チップについて

チップはテーブルチャージに含まれるので基本払う必要はありません。
ですが、気持ちよいサービスを受けたり、特別なお願いをしたときには必要に応じて会計の端数を切り上げたり、一人1~2ユーロ程度置きます。
尚、注文しなくても運ばれてくるパンはテーブルチャージに含まれますが、水は日本と異なり有料です。

ローマ料理のおすすめレストラン

ローマで誰もが知る名店「フェリーチェ・ア・テスタッチョ」

ここで、美味しいローマ料理が食べられる名店をご紹介します。創業1936年、下町テスタッチョ地区にある老舗トラットリア(カジュアルなイタリア料理屋)「フェリーチェ・ア・テスタッチョ」です。超有名店のため訪れる際は必ず予約を。

モダンにリニューアルされ温かみのある店内

かつては地域の肉体労働者御用達のお店でしたが、時代とともに在り方も変わり、現在は地元の人から世界中の観光客まで幅広く愛されています。お店の料理はどれも正真正銘のローマ料理で創業当時から続く伝統の味。ソムリエが常駐し、料理と共に楽しむワインの品揃えも自慢です。

ひと皿ごと目の前で完成させる名物の「カチョ・エ・ペペ」

看板メニューは、お客の目の前で仕上げる「カチョ・エ・ペペ」。食べた感想はチーズの旨さが凝縮された、ローマらしいパンチの効いたお味。他にもカルボナーラ、仔羊のロースト、ローマ風サルティンボッカ、ローマ風アーティチョークをいただき、前述のローマ料理の紹介でお店の料理写真を載せてます。

そして、接客はトラットリアだけあって気取らなくラフ。ドレスコードもないので気軽です。ただ1つだけ注意点があり、予約方法は電話のみなので言葉の壁がある人はホテルのコンシェルジュ等に依頼しましょう。

DATA 
フェリーチェ・ア・テスタッチョ(Felice a Testaccio)  
所在地:Via Mastro Giorgio, 29, 00153 Roma RM, イタリア  
電話番号:(+39)06-574-6800
URL:フェリーチェ・ア・テスタッチョ公式ページ(英語)  
営業時間:12時~16時/19時~24時  
定休日:なし  
アクセス:地下鉄B線「ピラミデ駅」から徒歩10分

ローマ郷土料理に舌鼓を!

ローマでは観光とグルメのどちらも楽しもう!

海外旅行で一度は訪れてみたい街「ローマ」。見どころ万歳の観光都市ですが食文化もとても豊かです。今回ご紹介した10品はレストランや定食屋でよく見かけるローマの伝統料理ばかり。事前にローマのご当地料理を知って現地での滞在に役立てましょう。

尚、ストリートフードにも有名なものがあり、子豚の丸焼き「ポルケッタ」やローマ風ライスコロッケ「スップリ」が代表選手。さらに、生地が薄くクリスピーな食感が特徴の「ローマ風ピザ」もお見逃しなく。ただし、ピザはレストランではなく「ピッツェリア」と呼ばれるピザ専門店で。

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