「あわら温泉」がある福井県あわら市。福井県随一の温泉街です。
福井県の北部に位置し、温泉街を中心とした観光と農業の街は、開湯から140年という歴史に裏付けされたぬくもりと、新しく頑張る人を応援する気風にあふれています。
宿泊した「みのや泰平閣」は、純和風の懐かしさと自家源泉の温泉、そして旬を大切にした料理自慢の宿でした。北陸新幹線「芦原温泉駅」開業に沸く「越前・あわら温泉」を紹介します。
越前の名湯「あわら温泉」の起源
「芦原温泉(あわら温泉)」の開湯は、明治16(1883)年。この年は干ばつで、農家を悩ませていたそうです。そこで、井戸を掘ってみたところ、湧き出た水は湯気を出し、なめてみると塩分がある。持ち帰って風呂の湯として使ってみると、五体が温まり休まったとか。
それが評判になり、隣接する地域でも温泉が湧き出たことから知られるようになり、大正から昭和初期にかけての旅行・観光ブームで大いに発展し「関西の奥座敷」「永平寺の精進落としの湯」として、文人墨客にも愛される日本屈指の温泉地となりました。
始まりの場所は「温泉発祥地公園」で見ることができ、発祥井戸が残されています。現在、あわら温泉では74本もの源泉があるといいます。共同管理ではなく、それぞれ自前の源泉を施設ごとにもっており、泉温や泉質が微妙に異なっているそうです。
純和風旅館「みのや泰平閣」宿泊記
今回紹介するのは、開湯130年を越える名湯をもつ「みのや泰平閣」。昭和レトロを感じさせてくれる純和風旅館です。
風格ある門構え
まず目にするのが、どっしりとした門構えの「瓢門」。
「瓢門」をくぐれば美しい緑に包まれた前庭が、旅の疲れを忘れさせてくれます。
広々としたロビー。その向こうには、庭園があります。あわら温泉では、中庭がある宿が多いそうです。元が、田園や沼地だった場所なので、温泉旅館を建てるときに中庭を造った宿が多いのだとか。
浴衣は、女性、子ども用の浴衣レンタル(1着500円)があり、18時までなら着付けもしてくれます。館内には、撮影にピッタリなスポットもあるので、いい記念写真が撮れますよ。
これぞ純和風温泉宿の佇まい
お部屋は、もちろん純和風。落ち着きあるしつらえで、くつろげます。写真は10畳和室の豊楽。1人宿泊にはもったいない広さでした。そう、「みのや泰平閣」は、一人旅や出張利用も大歓迎の旅館なのです。
部屋は全部で35室。中庭を望め四季を感じることができる「泰平」と外を望む「豊楽」の2種類があり、二間続きの部屋やツインベッドを入れた和室などがあります。
部屋には、ユニットバスがありますが、せっかくのあわら温泉。大浴場を紹介しましょう。
露天風呂は源泉かけ流し
あわら温泉の湯は、やわらかさが魅力の美肌の湯です。
「みのや泰平閣」は、敷地内の自家源泉だから湯量もたっぷり。毎分約58リットルも湧き出ています。特に露天風呂は、かけ流し。熱くなりすぎた時だけ温度調節に加水がされています。
庭園を眺めながら入る露天風呂。疲労回復効果もある湯なので、ゆっくり時間を忘れて楽しみたい気持ちのいい湯です。
「みのや泰平閣」の湯は、日帰りでも利用できます(おとな1,000円)。
みのや泰平閣の夕食は旬の会席、朝食も豪華
お楽しみの夕食。福井の「旬」を知り尽くした料理長の自慢の逸品づくしです。前菜には、零余子真丈(むかごしんじょ)や数の子の粕漬けなどがならびます。
そして、冬の旬の「蟹」。
鍋は和牛のしゃぶしゃぶ。
他にも、次々と料理がでてきます。
お酒は、全員が利き酒師の資格を持つ「あわら温泉女将の会」が醸した、その名も「女将」。
女将自ら田植えや稲刈りなどの酒米作りをこなし、さらに、三段仕込みなどの作業までをおこなって造ったお酒です。
甘口と辛口の2種類があり、どちらも飲みやすく食事にぴったり。お酒好きで福井の食材を知り尽くした人たちが造ったお酒と思うと、なおさら美味しさを感じます。
最後に食べた白飯。米どころの福井ならではの味わいに、朝食が楽しみでなりませんでした。
一夜明けて、その朝食です。
期待以上の豪華さ。品数の多さと、何杯でも食べられてしまう白米のおいしさ。朝からついつい食べ過ぎてしまう朝食でした。
ホテルロビーでお土産選び
ホテル内の売店も充実しています。
福井の名物お菓子といえば「羽二重餅」。オーソドックスなものから、あん入り、黒豆入りなどバラエティーにも富んでいます。
部屋のお茶菓子としても使われている「くるみゆべし」もおすすめです。
夕食で美味しく味わった日本酒「女将」も、もちろんあります。発泡日本酒の「OKAMI no AWA」も人気だそうです。
あわらの温泉街を楽しもう
「みのや泰平閣」で温泉と美味しい料理だけでも十分楽しめるのですが、せっかくの温泉街。ぶらりと散策したいものです。
夜の「あわら湯のまち駅」前を散策
あわら温泉MAPを手にするとわかるのですが、えちぜん鉄道「あわら湯のまち駅」の北側に温泉街が開けています。「みのや泰平閣」は、温泉街の東に位置しています。駅までは、徒歩で約7分。夕食後の酔い冷ましを兼ねた散策に、ちょうどいい距離です。
温泉街には、居酒屋やそば屋、お土産店など、広い範囲に店があります。旅館で夕食をとる人が多いためか、比較的早い時間に店が閉まる雰囲気を感じますが、営業している飲食店はどこも人気。そのなかでも注目は、駅のロータリー前にある「あわら温泉 湯のまち広場」に建つ「あわら温泉屋台村 湯けむり横丁」です。
1店舗9席ほどの小さな店が10店舗入った屋台村です。
ここの面白いところは「各屋台店の将来的な独立を前提とした屋台村」ということ。出店条件には、最低でも一品は地産地消のメニューを用意することなど、地域色を打ち出しながら営業をしています。
そして、ある程度期間が経てば卒業となり、新たに店を始めたい人が入居し入れ替わる仕組み。そのためもあってか、若く元気で活気ある店が多いように感じます。
「あわら温泉屋台村 湯けむり横丁」に隣接する建物では、足湯ならぬ「芦湯」(無料足湯)があります。7時から23時までの営業で年中無休。ここでゆっくり語らい合う観光客の姿や、ひとり読書にふける人など、さまざまな使い方がされています。
夜の「湯〜わくDori」
温泉街の中で最も目を引く通りは「あわら温泉 湯のまち広場」の北側から北へと延びる「湯〜わくDori」ではないでしょうか。石畳の歩道と足元を照らすライティングが、情緒ある風景を浮かび上がらせています。
「湯〜わくDori」沿いの店舗はもちろん、交差点の度に見渡す左右では、赤い提灯やネオンサインなど居酒屋やBARの灯りが目に入り、ついフラフラと。これも旅の楽しみのひとつではないでしょうか。
朝の散歩は温泉街を見下ろす高台へ
翌朝、散歩がてらに温泉街を見下ろせる高台に建つ春日神社へ参拝。途中、湯けむりが立つ場所もいくつかあり、温泉の匂いを感じることも。商店が開く前でしたが街がきれいなので気持ちの良い散歩が出来ます。
あわら温泉へのアクセス
JR「芦原温泉駅」は、2024年3月16日に北陸新幹線駅が開業。関東地域からは、金沢までだった北陸新幹線ですが、福井・敦賀駅まで延伸されることで、あわら温泉へも行きやすくなりました。
駅近くに温泉旅館はないものの、かつての宿場町らしく飲食店が立ち並んでいます。
駅から温泉旅館へ
温泉街にある、えちぜん鉄道「あわら湯のまち駅」は、JR「芦原温泉駅」から西へ直線で4Kmほど(車で約10分)離れたところにあります。
この間の移動手段は、路線バスもしくはタクシーになりますが、旅館によっては送迎バスがあるので、宿泊するならばそちらを利用するのがいいでしょう。
例えば「みのや泰平閣」の場合は、「JR芦原温泉駅」間の送迎は到着時刻の事前連絡が必要となり、「あわら湯のまち駅」間の送迎は電話をすれば随時対応してくれます。
周辺観光には「あわらぐるっとタクシー」
あわら温泉の周辺には、フルーツ園や公園、休校になった小学校を活用したカフェなどの観光スポットがあります。これらも楽しみたい場合は「あわらぐるっとタクシー」の利用がおすすめ。片道1回500円(1台4名まで)で利用できます。
もちろん、「JR芦原温泉駅」と「あわら湯のまち駅」間でも利用ができます。利用時間は9時〜17時(最終受付16時30分)まで。詳しくは、あわら市の公式サイトから「あわらぐるっとタクシー」で確認下さい。
福井随一の温泉スポット「あわら温泉」と福井を代表する博物館「福井県立恐竜博物館」を結ぶ「あわら恐竜号」も1日1便運行されているので、福井旅の際には参考にしてみてください(運行期間 2024年3月8日~3月31日)。
福井県を満喫する旅に出たいなら、宿泊先は「あわら温泉」がおすすめです。歴史を感じながら、心も体も元気になれる街でした。
DATA 福井県あわら温泉「みのや泰平閣(みのやたいへいかく)」 所在地:福井県あわら市舟津50-1-1 電話番号:0776-78-5566 アクセス: 【車】北陸自動車道「金津IC」から車で約15分 【電車】北陸新幹線:「JR芦原温泉駅」からバスで約15分、えちぜん鉄道:「あわら湯のまち駅」から徒歩7分 *両駅ともに送迎可(「JR芦原温泉駅」の場合は事前連絡が必要) 駐車場:無料(玄関前 約30台、第2駐車場 約70台) 公式サイト: 福井県あわら温泉「みのや泰平閣」
※本記事は「福井県 関西メディアを通じた北陸新幹線開業PR」のプレスツアーに参加し、現地での体験を記事にしたものです。