エンターテイメントの一大都市、ラスベガスは今、どうなっているのでしょうか?
アメリカ全土に新型コロナウィルスの感染が拡大し、ピーク時で1日の新規感染者が30万0077人だったのは、まだつい最近の2021年1月のこと。
ワクチン接種が一気に進み、6月に1日4000人台に新規感染者が減ったことから、様々な制限が解除されたものの、亡くなった方の全体数は63.2万人。実は8月25日にも、1日1,408人がなくなっています。
現在の状況を日本に置き換えると、日本はアメリカの人口の3分の1。単純に3分の1で割れば1日469人が新型コロナウィルス感染で亡くなっている状況の時期と重なるわけですが、日本では最も多く新型コロナウィルス感染者がなくなった日でも200人台。おそらくそんな状態になれば、日本では制限解除どころか、これまでで最高レベルの制限が投じられるはずです。
感染再拡大中のアメリカ。もちろん州によって再び制限を始めています。しかしアメリカの様子は日本とかなり異なるようです。
ラスベガスの現状を2021年7月28日から8月4日にかけて旅行した、ハワイ在住ライターがレポートします!
ラスベガスは6月1日からエンターテイメントが解禁
ラスベガスでは、2021年6月1日よりワクチン接種を終えた人は、屋外だけでなく屋内もマスク着用不要となり、それと同時に3月18日から閉鎖されていた各カジノホテルが、徐々に営業を再開。さらに、コンサート会場やナイトクラブ、スポーツイベントの規制も撤廃され、続々とコンサートやイベントのスケジュールがアップデートされていきました。
注意)ただし2021年7月30日より感染再拡大のため、室内は再度マスク着用が義務付けられました。
ラスベガスと言えば、真っ先に思い浮かぶのは「ギャンブル」かもしれませんが、実は世界トップクラスのコンサートやショーが楽しめるエンターテイメントの街としても有名です。
まだまだ世界的なコロナ禍と言われる7月28日〜8月4日、ブルーノ・マーズのコンサートやサッカーゴールドカップ決勝戦のために、ハワイからラスベガスに出かけた筆者が、コンサートホールやスタジアムでの観客の様子、制限の有り無し、そしてコロナ禍のイベントをみんなどのように楽しんでいたかをご紹介します。
ハワイ出身のスーパースター ブルーノ・マーズのコンサートへ!
ちょうど筆者がラスベガス旅行を計画した時に、ブルーノ・マーズのコンサートが翌週あることがわかり、即チケットを購入。コンサート当日は、奇しくもちょうど「室内マスク着用義務」が開始された日となりました。
場所は、PARK MGM内にあるパークシアター。 PARK MGMは、長年「モンテカルロ」という愛称で呼ばれていたホテルで、2018年より名称が「PARK MGM」に変更となりました。そこにあるパークシアターは、5,200席を有する巨大シアターで、レディーガガ、ブリトニースピアーズ、エアロスミスなど数々の有名アーティストが公演しています。
携帯撮影一切禁止
アメリカでは基本的にコンサート会場では携帯撮影がOKな場合がほとんどです。
実は、今回ブルーノ・マーズのコンサートを見るのは5度目(ハワイで3回、ラスベガスで2回目)だったのですが、いままでどれも携帯撮影が可能であったのに、今回は「撮影一切禁止」という注意書きがありました。
「え?!せっかくのコンサートなのに携帯撮影禁止なんて!!」と残念でならなかったのですが、しかし一体どうやって撮影不可な環境にするのだろう?と思っていました。すると、入り口で携帯を入れる特殊なケースが用意されており、係員に「携帯をこのケースに入れて下さい」と一人一人携帯を入れる作業がありました。
このケースは超強力な磁石で閉じられており、人間の力では絶対開きません。こうしてコンサート中は絶対に携帯を使えないようにしたのです。
こうして携帯が使えなかったため、会場内の様子やコンサートの模様が一切撮影できず、どんな様子かご紹介できないのですが、この日はほぼ満席状態でした。
この日、入場時にワクチン接種の証明を提示を求められることはありませんでした。ただ、この日から室内はマスク着用が必須になったので、全員マスクをつけて会場に入へ…。ところが!席はソーシャルディスタンスもなく、皆、違う世帯の人と普通に隣同士で着席。また、コンサートが始まれば、みなさんお酒など飲みながら見てますし、マスクも結局外していたというのが現状でした。
21時開演予定のコンサートでしたが、やはり定時に始まらないのが大物アーティストのコンサートの流儀。実際に始まったのは21時45分を回っていました。開始早々から総立ちで大盛り上がり!
そして、Bruno Mars がMCで「You know what makes you special tonight? (今夜は何が君をスペシャルにすると思う?)」と問いかけ、何かと思ったら、「I took your phone away!(君の携帯を奪ってやったことさ)」と言い、会場は大爆笑でした。
彼は、ここ数年コンサート中みんな携帯撮影に一生懸命で、全くコンサートに集中してくれないことを憂い、また(携帯電話がなかった頃のように)一緒に歌って欲しいと思って、今回わざわざ特殊ケースも用意して開催することを決めたそうです。彼の狙い通りに、開始から終わりまで、観客全員コンサートに集中していました。終了後には、また係員がケースを開ける作業をしてくれました。充分に楽しんだ観客たちは、撮影禁止だったことに文句を言うこともなく、大満足で会場を去りました。
まるで新型コロナウィルス感染拡大などなかったような、空間でした。
サッカーゴールドカップ決勝戦を新スタジアムで観戦
翌日8月1日は、サッカーゴールドカップ決勝アメリカ対メキシコ戦を観に行きました。
これは、北中米カリブ海地域のサッカー最強国を決める大会で2年ごとに開催されています。2021年は7月10日から開始となり、16チームが参加。10都市で予選が行われました。そして、決勝戦は、2020年7月末にオープンしたばかりのアレジアント・スタジアムで行われることになったのです。
当日はアメリカのサッカー公式ジャージを着て参戦。ところが、ホテルの部屋を一歩でたところから、刺さるような視線をたくさん感じるのです。それはメキシコチームのサポーターたちでした。ラスベガスは、もともとメキシコ人観光客が多いことでも有名なのですが、特に、このサッカー決勝戦を観に来た人たちも大勢いて、アメリカにいるはずなのにアウェイ感満載でした(笑)
アメリカチームサポーターたちは、試合前にマンダレイホテルのバーに集合という情報が流れており、筆者たちも向かいました。面白いことに、そこにいる人たちのみが味方で、バーの外はまるでメキシコなのではないかと思うような雰囲気。時々メキシコサポーターたちが通ると、敵視剥き出して「U.S.A! U.S.A!」と叫び、相手を牽制したり、または、逆に、両チームサポーターが仲良く記念撮影をする場面もあったり、試合前から両サポーターたちの熱気むんむんでした。
試合会場に向かうと、すでにスタジアムの外には大衆がいて、パッとみただけでもメキシコチームサポーターの人ばかり!という印象。そして、実際スタジアムに入る時は、持ち込みできるバッグのサイズなども厳しく、もちろんペットボトルのドリンクも不可。厳重なチェック後、場内へ入りました。
この日もワクチン接種証明の提示は不要。ただし、このスタジアムは屋内型ドームスタジアムなので屋内扱い。入場時はマスク着用は必須でした。
ラスベガスにはNFL(ナショナル•フットボール・リーグ)のレイダースが地元チームとしてあり、このスタジアムはまさにレイダースのホームスタジオとなります。昨年2020年9月NFLのゲームがこけらおとしでした。しかし、昨シーズンは、このアレジアント・スタジアムでのNFLの試合は無観客で開催。2021年6月、ネバタ州は無観客の規制が撤廃となったので、今回のサッカー・ゴールドカップ決勝戦は、観客ありとなったわけです。
そして、この日は65,000人収容できるこのスタジアムに62,000人弱の人が実際に観戦にきました!
試合中観客席でウェーブをやったり、メキシコチームのサポーターたちは、ドラムのようなものを叩きながら一丸となって終始応援。もうまさに「コロナは終焉した」と言わんばかりの光景でした。
試合は、ずっとメキシコの方が優位にみえたのですが、両者なかなかゴールがきまらず、延長戦へともつれこみ、後半戦残り5分のところでアメリカがゴールを決め、1-0でアメリカが勝利し、優勝!
最後の最後まで固唾を飲む試合展開だったので、特にアメリカのサポーターたちは終わった後も喜びの余韻にひたり、本当に楽しいゲームでした。
しかし、この時期ちょうど日本ではオリンピックが無観客で開催されていて、同じ地球に存在しながらも全く真逆の環境にいて、とても不思議な感覚でした。正直にいうと、この決勝戦を観戦中も、ほとんどの人たちはマスクを外していました。ただ、試合終了後はマスクをつけて退場するわけですが、マスクをつけてない人たちを警備員が呼び止めて注意していて、そこでエスカレーターになかなか乗れずに、長蛇の列となって、また大混雑に!
マスクをつけていても、日本の満員電車のようなぎゅうぎゅうとした人混みの中にいる状態で、マスクをつけていても無意味なのではないか?と思ったほどです。
安心してエンターテイメントが楽しめる日が来ますように!
私の住むハワイは、まだまだ規制が厳しかったので、今回のラスベガス旅行では、そのギャップにすごく驚きました。アメリカは、ワクチン接種を奨励し、ワクチンさえ打てば普通の暮らしに戻れますよ。ラスベガスがその象徴の街の一つですよ!という流れにしているのかな?と感じたのですが、しかし、ここにきてデルタ株が猛威をふるい、感染が再拡大しています。まだまだ油断ができない状況になってきました。
さすがにハワイに戻ってから2週間は極力人に会わないように過ごした筆者。本当に早く安心してエンターテイメントを楽しめる日がくることを祈るばかりです。
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