ワインと言えばフランスやイタリアなどヨーロッパ諸国が世界的に有名ですが、実はオーストラリアのワインは世界6位の生産量を誇る「新世界(ニューワールド)」ワインとして注目されています。
数あるワイナリーの中でも、今回はシドニー近郊にあるオーストラリア最古のワイナリーの街「ハンター・バレー(Hunter Valley)」を、シドニー在住ワイン大好きな筆者がご紹介します。
新世界ワインとして世界的にも話題のオーストラリアワイン
2000年以上の歴史があると言われるフランスをはじめとする「旧世界(オールドワールド)」のワインに対し、まだ歴史の浅いオーストラリアやアメリカ、チリなどのワインは「新世界(ニューワールド)」ワインと言われています。
オーストラリアのワイナリーでは、新しい製法に挑戦しながら品質管理ができることから、比較的リーズナブルながらも高品質なワインを作り続けています。
ワイナリーは広大なオーストラリア大陸の南側に集中していて、エリアや土壌、気候によってそれぞれ特徴を持ったワインが作られています。今回は数あるワイン銘醸地の中でも、シドニーから車で2時間ほどで行けるワイナリーの街「ハンター・バレー(Hunter Valley)」をご紹介します。
オーストラリア最古のワイナリー「ハンター・バレー」
ハンター・バレーはオーストラリア最大の都市シドニー(Sydney)から北へ約170km、車で約2時間ほどのワイナリーの街です。シドニーのあるNSW州には他にもたくさんワイナリーがありますが、シティ中心部から一番アクセスしやすいこともあり、ハンター・バレーは観光客に一番人気のデスティネーションです。
ハンター・バレーは植物学者のジェームズ・バズビー(James Busby)氏が欧州からオーストラリアにブドウを持ち込んで初めて大規模なワイン用のブドウ畑を作った「オーストラリアン・ワインの発祥の地」であり、オーストラリアで一番歴史あるワインの銘醸地です。
他のワイン生産地よりも緯度が低く昼間は比較的温暖ですが、夜には海からの冷たい風で気温が下がり、適度な雨量もあるため高品質なブドウが成長すると言われています。ヨーロッパではブレンドに使う品種としてお馴染みのセミヨン(Semillon)を、単独で使用するのはオーストラリアならでは。スッキリ辛口の「ハンター・セミヨン」も有名で、他にもシャルドネ(Chardonnay)やシラーズ(Shiraz)も外せない品種です。
数あるワイナリーの中からお気に入りを見つけよう
ハンター・バレーに訪れたら、まずはこちらの「ビジター・インフォメーション・センター(Visitor Information Centre)」へ。ハンター・バレーに点在するワイナリーの地図を手に入れ、係の人にオススメのワイナリーやレストラン、アトラクションなども教えてもらいましょう。
DATA 所在地:455 Wine Country Dr, Pokolbin NSW 2320 電話番号: +61-2-4993-6700 営業時間:月 - 日 9:00〜17:00 公式サイト:ビジター・インフォメーション・センター
ハンター・バレーには小さな家族経営のワイナリーから大規模な老舗、ワインに合うチョコレートやチーズを作っているワイナリーからレストランを併設しているワイナリーまで、個性的なワイナリーが150以上あります。訪れたいワイナリーを決めて、いよいよワイナリー巡りのスタートです!
ハンター・バレーおすすめワイナリー「クリンクル・ウッド」
数あるワイナリーの中でも筆者がお勧めするのはオーガニック・ワイナリーの「クリンクル・ウッド(Krincle Wood)」。ワイナリーの集中するポコルビン(Pokolbin)からは少し離れていますが、その牧歌的な雰囲気や小屋のようなセラードア(Celler Door / テイスティング・ルームのこと)が他にはない可愛さに溢れています。
クリンクル・ウッドのワインは、バイオダイナミック農法で育てたブドウで作られた完全オーガニック。ブドウを育てる過程で有害な農薬などの化学肥料を一切加えないのはもちろん、種まきや収穫などの過程を月の満ち欠けなど自然のサイクルに合わせて行う製法を取っています。
ワインの味はドッシリ重めというよりは、スッキリしてエレガントな印象です。是非セミヨンやシャルドネなど白ワインを試してみましょう。何だか自然由来のパワーを体全体で感じられるような気もします。
山に囲まれた広い敷地には牛や羊などの動物もいて、シャビー・シックな雰囲気がヨーロッパの田舎のような雰囲気です。セラードアの目の前にある外のテラス席でもテイスティングできます。この風景を眺めながらワインが楽しめるなんて最高ですね。
DATA 所在地:712 Wollombi Rd, Broke NSW 2330 電話番号:+61-2-6579-1322 営業時間:月・ 木・ 日 10:00〜16:00 金・ 土 10:00〜17:00(火・水 休み) 公式サイト:クリンクル・ウッド
*現在、COVID-19の影響によりテイスティングには予約が必要な場合があります。 詳細はホームページなどでご確認ください。
ワイナリー併設のレストランでランチ
ワイナリー巡りで美味しいワインのテイスティングをしていると、段々お腹も空いてきます。そんな時にオススメなのがワイナリーに併設されているレストランです。
スパークリンを飲みながら絶景ランチ「レストラン・キュベ」
ハンター・バレーの中にはさまざまなワイナリーやホテル併設のレストランがありますが、そんな中で筆者のオススメはワイナリー「ピーターソン・ハウス(Peterson House)」に併設されている「レストラン・キュヴェ(Reataurant Cuvée)」。
レストラン・キュヴェがあるのはピーターソン・ハウスのセラードアのお隣。ワイナリー併設と言うだけあって、豊富なメニューの脇には料理に合うワインが提案されています。どの料理も本格的で美味しく、食事だけでも訪れたいほどのクオリティです。
夏の収穫時には窓が開け放たれ、その向こうには緑のブドウ畑が広がる中でお食事が楽しめます。外にはテラス席もあり、敷地内には大きなイベント会場もあるので、ワイナリー・ウェディングもできるみたいですよ。
ピーターソン・ハウスはオーストラリアでも珍しい「スパークリング専門」のワイナリー。スパークリングと言うとシャンパンのようなシャルドネとピノ・ノワールを使った白いワインが思い浮かびますが、こちらではシラーズを使った赤ワインのスパークリングがあります。
ヨーロッパで「シラー(Syrah)」と呼ばれる品種はオーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれ、オーストラリアワインを代表する品種の1つです。果実味豊かでボリュームのあるシラーズがスパークリングワインになると…重さと爽やかさのバランスが絶妙で何とも美味しいです。
世界でもまだ珍しいシラーズ(シラー)のスパークリングは、ここ、オーストラリア生まれなので是非味わってみましょう。
DATA 所在地:Broke Rd, Pokolbin NSW 2320 電話番号:+61-2-4998-7881 営業時間:月〜 日 8:30〜10:30 / 12:15〜15:00 公式サイト:レストラン・キュヴェ
ワインに酔ってもゆったり過ごせるホテルステイ
またハンター・バレーは有名な観光地の1つなので、シドニーから出発するワイナリー・ツアーもたくさん開催されています。宿泊するホテルまで送迎があり、車に乗ってハンター・バレー内の様々なワイナリーを巡るツアーはおすすめ。ワインを飲んだら気になるのが運転ですが、運転手だけ飲まない、という微妙な気遣いをしなくてよい上に、効率よく巡れます。
ツアーを使わず個人で訪れる場合は、旅行者の場合、レンタカーなど車が主流となります。ただワイナリーを巡ってテイスティングを楽しみたい時には、車の運転をするのは不安で十分に楽しめないですよね。そんな時は、ハンターバレーのホテルに宿泊しましょう。
ハンター・バレーにはホテルからコテージタイプまで、様々な宿泊施設があります。中でもオススメはラグジュアリーなホテルをオーストラリアで展開するSpicers Retreatの「スパイサーズ・ヴィンヤード・エステート(Spicers Vinyard Estate)」。レストランもあるのでホテル内で食事も楽しめ、併設されているスパでアルコールで漬けになった体をリラックスさせましょう。
DATA 所在地:555 Hermitage Rd, Pokolbin NSW 2320 電話番号:+61-1300-192-868 公式サイト:スパイサーズ・ヴィンヤード・エステート
今回はハンター・バレーをご紹介しましたが、オーストラリアにはまだまだたくさんのワイナリーの街があります。オーストラリアを訪れたら是非ワイナリーに足を運んで、「新世界ワイン」であるオーストラリアン・ワインを味わってみましょう。