シンガポール・コロナ後の最新入国情報!9月から観光客受け入れ検討

ベトナム シンガポール 旅行ライター

長島 清香

ライター/旅行エッセイスト

立ち並ぶ高層ビルと緑が共存する、世界一綺麗な庭園都市と名高いシンガポール。マーライオンやマリーナベイサンズなど有名な見どころもあり、日本からのリゾート旅行先としても人気です。

建国から今年で56年と世界的に見ても若い国というだけあって、新型コロナウイルスに対しても厳しい入国制限や行動制限に加え、アプリを使った感染者の追跡にいち早く乗り出したり、独自の指針「フェーズ」を発表するなど、透明度の高い施策を打ち出してきました。

とはいえ、他国同様シンガポールに入国制限が敷かれてから早1年以上、もう我慢できない!

一刻も早くシンガポールでマーライオンの飛沫を浴びたい!タイガービールが飲みたい……!そんな思いにかられていたところ、何と9月初旬よりワクチン接種を完了した旅行者の入国に対する規制緩和を検討しているとの情報が!!

シンガポールのマーライオンです
9月から隔離なし入国を検討ですって!? これは大ニュースです!!

えっ、やだ本当に!? それってどこまで信憑性のある情報!?

はやる気持ちを抑えつつ、シンガポール旅行を待ちわびている皆様に最新情報をお伝えします!(2021年7月27日現在)

シンガポールでは新型コロナウイルス感染がピーク越え

シンガポールで最初の新型コロナウイルスの症例が確認されたのは2020年1月23日。それからはじわじわと感染が広がり、同2月4日には最初の集団感染(クラスター)が発生しました。

マレー半島の先端にあるシンガポールは、国土が東京23区と同程度の広さで、人口も約569万人(2020年時点)と非常にコンパクトなため、感染が一気に拡大してはひとたまりもありません。そのため、政府も当初から事態を非常に深刻に受け止め、複数の行政機関によって組織された新型コロナウイルス政府タスクフォースを立ち上げました。

部門横断的な政策を迅速に打ち出せるフットワークの軽さが、やはり若い国ならではですよね……!

その後は国民に広くソーシャルディスタンスや自己衛生の徹底を呼びかけるほか、2020年3月20日には「接触追跡アプリ」を世界で初めて配布!2020年4月7日にはロックダウンに当たる外出制限策「サーキットブレーカー」を導入するなどの対応をみせています。

これらの努力の甲斐もあって、現在シンガポールは感染のピークを越えており、現在では人口約569万人のうち累計の感染者は6万4,179人、回復者数は6万2,605人、死亡者数は37人となっています(2021年7月27日現在)。

シンガポールのMRTの看板です
シンガポールの電車・地下鉄(MRT)の改札にもマスク着用を呼びかける看板が

ワクチン接種もかなりスピーディー

シンガポールではファイザー・ビオンテック製とモデルナ製のワクチンを接種しており、シンガポール保健省は6月19日時点で人口の50%強が1回目のワクチン接種を終えたと発表、7月11日時点で人口の39.8%に相当する約227万人が2回目のワクチン接種を終えたと発表しています。

さらに政府は5月18日に、8月末までに国内の対象者全員に1回目のワクチン接種を終えるとの方針を示しました。供給数に限りがあるワクチンが少しでも広く行き渡るよう、接種の1回目と2回目の間隔をそれまでの3~4週間から6~8週間に広げ、その間により未摂取の人に優先して接種をするという、なんとも合理的な運用。これらを鑑みて、年末には2回目の接種が終了すると予測していました。

最新の情報としては、7月26日にタスクフォースの共同委員長を務めるローレンス・ウォン財務相が議会で、9月までには国民の80%がワクチン接種を完了しているという見通しを明らかにしました。

これです……!

これが、後にご説明する9月の隔離なし渡航受け入れ案に大きく関わってくるのです!!

とにかく、現状シンガポールではスピーディーにワクチン接種が進んでいるということですね。

ファイザー製のコロナワクチンです
6月19日時点で人口の50%強が1回目のワクチン接種を終えたというスピーディさ!

さすがハイテク国家!新型コロナ対策にもデジタルツールを活用

前述のとおり、シンガポールは2020年の3月に世界に先駆けて「接触追跡アプリ」を配布しました。加えて2021年6月1日より、ショッピングモール、職場、礼拝所、学校、教育機関など来場者数が多く長時間滞在の可能性のあるすべての会場で「TraceTogether-only SafeEntry(TT-only SE)」が、実施されています。簡単にいうと、これらの場所では「TraceTogether(TT)」アプリまたはトークンを使用したチェックインが必要となります。

これらのデジタルツールを併用することで、濃厚接触者追跡に要する平均的な時間を4日から 1.5日以下に短縮することが可能になったとされており、さすがはハイテク国家といったところです。4月27日時点で90%以上の人々がTTアプリをダウンロードもしくはTTトークンを入手しているとのことで、信頼性も高いですね!

シンガポールのトークンです
接触追跡トークン「TraceTogether」。配布場所と時期によって色や形が異なります

感染拡大を受けて、現在は一旦引き締めムードに逆戻り

シンガポール保健省は2020年6月1日でサーキットブレーカー措置を終了し、その後は3段階(フェーズ)に分けて経済活動を再開することを発表しました。この「フェーズ」とは、社会活動に対する引き締めを3段階に分けたものであり、フェーズ1が最も引き締めが強く、フェーズ3が規制緩和に向けた最終段階です。各フェーズごとに「どのような状態になったら行動規制が緩和されるか、そのために国や国民は何をすべきか」という指針が示されており、判断基準が非常にクリアです。

フェーズの移り変わりを見ると、サーキットブレーカー以降、市中のコロナ感染者は多くても1桁台となり、2020年12月には規制措置が最終段階のフェーズ3になりました。

しかし、2021年5月に海外からのコロナ変異種の流入により、再度のコロナ感染クラスターが発生したため、2021年5月16日~6月13日まで段階規制が、第2段階の中でも厳しい規制措置のある「第2段階(フェーズ2厳戒態勢)」となり、外出や集まりの際は原則2名まで、飲食店での外食禁止、ショッピングモールの人数制限などの措置がとられました。

その後、6月14日からは感染防止対策を段階的に緩和しており「このまま収束に向かうんじゃないの」感が強まっていましたが、7月20日にキャバレー関係者や鮮魚販売業者間での感染拡大を受け、7月22日から8月18日まで再び「第2段階(フェーズ2厳戒態勢)」に逆戻り。これまでの「第3段階(フェーズ3厳戒態勢)」から一気に引き締めムードになってしまったのです。

これじゃあ、いつまで経っても旅行なんて夢のまた夢じゃないか……と思ってた矢先!とんでもない情報が飛び込んできたのです!!

シンガポールのソーシャルディスタンスの指導員です
街には適切なソーシャルディスタンスを呼びかける指導員の姿も

全旅行者が泣いた!9月から入国規制緩和を検討中との速報あり!!

なんと!7月26日にシンガポール政府が、9月初旬から新型コロナワクチンの接種を完了した住民や旅行者に対し、帰国・入国の際の規制緩和を検討すると明らかにしたのです。

え?市中は「第2段階(フェーズ2厳戒態勢)」に逆戻りしたのに!?

水面下ではそんなことになってたの!?いや、かなりのビッグニュースなんですけど!!

これは前出のウォン財務相が7月26日の議会で明らかにしたもので、9月頃には人口の80%がワクチン接種を完了する見込みのため、同国が国境開放に進めるだけの状況になる見通しがたったからだそうです。

まずは感染が収束もしくはシンガポールと同程度に感染を抑制している国・地域とからの入国者を対象にし、段階的に対象を広げていくとのこと。この発言を受けてシンガポール航空や空港関連のサービスを手掛けるSATSの株価が上昇したそうです。そりゃそうだよ!えらいこっちゃ!

もともと、タスクフォースの共同委員長を務めるガン・キムヨン貿易相、ウォン財務相、オン・イエクン保健相のお三方は、2021年6月30日に英語紙ザ・ストレーツ・タイムズに寄せた論評の中で、新型ウイルスとの共存を図る政策について言及してはいたんですよね。

新型ウイルス感染症が消滅することはないけれども共存は可能であるとし、通常の生活に戻る道を提案していたんです。それが、このような具体的な形になって出てくるとは……。私、もうマーライオンの口からの噴水と同量に涙が出そうです。

さらに、人口の3分の2が接種完了する見込みの8月初旬には、市中での行動規制の緩和も検討する予定だそう。これは……往来再開がかなり現実味を帯びてきましたね!!

シンガポールのマリーナベイサンズの写真です
待ちに待ったシンガポール旅行が早期に実現できるかも……!!

現在の日本からの渡航条件は?

とはいえ、現段階においてはシンガポールにおける旅行者の受け入れが確定したわけではありません。あくまで「検討」という段階です。ちょっと熱くなってしまいましたが、まずは一息入れて落ち着きましょう。

現在の状況をおさらいすると、シンガポールは2021年3月23日の午後11時59分以降、全ての国からの短期滞在者の入国、トランジットを禁止しており、中国、豪州、NZ、ブルネイを除き、日本を含む全ての国からの短期渡航者は原則シンガポールに入国できません。

現在、シンガポールに入国できるのは労働パス、帯同者パスなどの長期滞在パスを所持している人のみとなっています。長期滞在パスを持っている場合であっても、入国に際しては事前にシンガポール当局の事前承認が必要となりますが、2021年5月7日以降、日本等からの新規入国承認受付は原則として停止されています……!

また、既に承認を得ている場合でも業種により、入国を禁じられ、又は変更を求められるケースも。その他にも日本から入国する場合には原則として

(1)日本出国前72時間以内にPCR検査を受検し陰性の証明書を取得(入国審査時必要)
(2)入国時PCR検査受検(費用160ドルは自己負担。事前予約が望ましい)
(3)入国後14日間政府指定施設での隔離(費用は自己負担)
(4)隔離終了前の指定された日にPCR検査を受検(費用125ドルは自己負担)。
※結果が陽性であった場合は、無症状であってもその結果が出た日から3週間療養施設に隔離されます
(5)到着3日目、7日目、11日目に抗原迅速検査キットによる自己検査

これらの条件を満たさなければなりません。いやもう心より、往来の再開が待ち望まれます……!!

シンガポールのジュエルチャンギです
2019年4月オープンのチャンギ空港の新施設「ジュエル」も今か今かと待ってるよ……

日本からの旅行者受け入れについては今後の状況を注視!!

これまで徹底した入国制限により感染を抑えてきた経緯、また市中の感染が増えている状況から、今後もしばらくは海外との往来に慎重かと思いきや、ワクチン接種を完了した旅行者への入国規制緩和を検討しているというビッグニュース!!これもシンガポール国内でのスムーズなワクチン接種が進んだ結果といえます。

しかし一方で、シンガポールは政策の決定から実行までが非常にスピーディーな国であるため、今後の感染状況によっては方向転換の可能性も大いにあります。また、現時点では日本が規制緩和の対象国になるのかは分かりません。一刻も早くシンガポール旅行をしたい身としてはやきもきしますが、今後のシンガポール国内の状況を注視しつつ、将来の旅行に向けて計画を練っておくのが吉です。日本の旅行者に対する入国規制緩和が現実のものとなった暁には、一緒にマー泣きして喜びましょう!!

シンガポールのガーデンズバイザベイです
バブリーなガーデンズバイザベイのショーを間近に見られる日も近い…か…!?

ベトナム シンガポール 旅行ライター

長島 清香

ライター/旅行エッセイスト