イタリア旅行いつから行ける?2021年7月現在のイタリア国内の様子をレポート!

イタリア在住ライター 星畑聡子

SATOKO

イタリア在住│通訳&ライセンスドライバー

イタリアの最新入国情報と現地の状況を現地からお届け!

2020年3月、イタリアでは全国でロックダウンを導入したものの、多数の死者を出し、観光業も完全ストップ。経済的にも甚大な被害を受けました。そして観光大国イタリアから観光客の姿が消えました。
2021年に入ってもまだまだ世界的に感染状況は落ち着かず、旅行業を営む筆者のもとに「今、イタリアはどうなっているの?」「イタリアにはいつ旅行できるの?」という問い合わせメールが届くようになりました。

そこで!今回はイタリアの2021年7月現在の状況を現地からお伝えします。少し長い記事になってしまいますが、イタリアの現状を知りたい人はぜひお付き合いください!

2020年3月の全国ロックダウンから2021年7月現在まで

2020年末から1月中旬頃まで日本に一時帰国していた私。その頃、「ダイヤモンド・プリンセス号」船内に感染者が見つかったり、武漢からの緊急帰国便が相次いで到着したり…というニュースを日本で観ていたのを覚えています。その後イタリアに帰国しましたが、2月中旬頃まではイタリアではほとんど感染者がいなかったので「遠いアジアの国の話、自分たちにはあまり関係がない話」と考えていたイタリア人が大半を占めていました。

2020年2月後半・イタリアで感染拡大

しかしその後、2月後半に北イタリアの小さな町で一気に感染が広がり、そこからイタリア全土に広がりました。中国からのウィルスという事で、もともとアジア人差別が存在したイタリアで、さらにアジア人差別がひどくなることを懸念している在イタリア日本人も多数いました。

この時の私のTwitter

2020年2月23日から北イタリアの学校は休校に。最初は1週間だけの休校予定がずるずると長引き、オンライン授業が始まったものの、結局子ども達は2020年の夏休みまで、学校に行くことはできませんでした。

2020年の休校時は、生徒にとっても先生にとっても初めての事だらけで大混乱!オンライン授業よりも親が見る宿題の方が多かったので親も大変でした…(涙)

休校時、自宅で勉強する我が子たち

2020年の休校時は、生徒にとっても先生にとっても初めての事だらけで大混乱!オンライン授業よりも親が見る宿題の方が多かったので親も大変でした…(涙)

3月初めにはイタリア全土がロックダウンに。「市内から仕事や緊急時などの理由以外では出られない」ことになり、買い物も市内のみ。人口4000人ほどの小さな町(村?)に住んでいる私たちには、お店の選択肢が少なすぎてかなり辛い時期でした。私はいつもヘアーカラーリング剤などは大きめのスーパーで買っていたので、買えなくなることに…。

この時期は、外出時に「氏名、住所、外出の理由」などを記入した指定の用紙が必要でした。

つかの間の自由・バカンスで緩和

5月初めにようやく、買い物時には市外にも出られるようになり、それまで日々の買い物も自由に行けなかったので、かなり開放感があったのを覚えています。「やっとカラーリング剤が買える!」と叫んだような記憶も(笑)。

その後は少しずつ行動制限が緩み、夏のバカンスの時期(6月~8月)には規制はユルユルに。
バカンス命、バカンスのために生きているようなイタリア人なので、6~8月はロックダウン後の開放感もあり、たくさんの人がバカンスに出かけました。

我が家といえば、観光業の仕事が休止中であったこと、バカンス先での感染が恐かったこともあり、2020年はどこにも行きませんでした…。

再び感染拡拡大。第二波へ突入

ソーシャルディスタンスと消毒ジェル設置の制限を守るお店の様子

夏の間は感染者数が落ち着いていたイタリア。9月半ばから新学年が始まり(イタリアの学校は9月始まり~6月終わり)、子供たちの学校がやっと始まったと思ったら…じわじわとまた感染者数が増え始め、11月初め頃には州によるロックダウンが始まりました。

この頃のイタリアは、感染者の数により州ごとに「イエローゾーン、オレンジゾーン、レッドゾーン」に分けられ、色により行動制限の度合いが違っていました。例えば…

イエローゾーン⇒州内なら自由に移動できる
オレンジゾーン⇒市内のみ自由に移動できる。仕事や通院など理由がある場合は市外(州外)へも移動可能(その場合は指定の用紙に記入し持ち歩く必要あり)
レッドゾーン⇒ロックダウン。仕事や通院など理由がある場合のみ移動可能(その場合は指定の用紙に記入し持ち歩く必要あり)

第一波ではほとんど感染者が出なかった私が住む町でも、感染者数が増えた第二波。知り合いや学校関係者にも感染者が出て、より感染の恐怖が身近に感じられた時期でした。
11月には子ども達のクラスからも感染者が出たことで、2人ともPCR検査を受検。

2020年のクリスマスは忘れられない

人口の約80%がカトリック教徒のイタリア。イタリア人にとってクリスマスは、にとって一年の中で最も大切な時期ですが、2020年のクリスマスは彼らにとって忘れられないものとなりました。

イタリアでは毎年家族親戚で集まってクリスマスを祝うのですが、2020年のクリスマスの時期は多くの州がレッドゾーンに。同居する家族としかクリスマスを祝えないことに…。

イタリア人が夫の私の家庭も例外ではなく、いつもは家族親戚で集まり大勢でにぎやかですが、2020年のクリスマスはバラバラで各家で過ごしました。家族の繋がりをとても大切にする人が多いイタリア。

そんなわけで、2020年のクリスマスは(悪い意味で)忘れられないクリスマスになったはず。

イタリア旅行 いつから行ける
多くの家族が寂しい思いをした

感染の拡大、縮小に翻弄される2021年

クリスマスから年始まで厳格な行動制限は続き、1年近く続く行動制限に多くの人が疲れを感じながら迎えた2021年。この頃から、レッドゾーンでも市外のスーパーなどに買い物に行けるようになりました。ただし家から出る時には、政府指定の用紙が必要で、自由度は低め。

イタリアには小さな町がたくさんあるため、「人口5000人以下の町の住人は、買い物時など町から30㎞以内なら移動可能(県庁所在地は移動不可)」と新しい決まりができました。

行動制限や決まりが何度も変わるので、途中から「今、自分が住む州(県)は何色なのか?今、何ができて何ができないのか?」が分からなくなることも。学校もいつ休校になるか分からず、親にとっては毎日ハラハラドキドキの連続。

2021年2月には少しだけ行動制限が緩和され、外出が可能に!こちらは、2月末に家族で出かけた山の中にあるピッツェリア。久々の外食に感動するものの、この後すぐにオレンジゾーンになり市外には出かけられなくなりました…(涙)

やっと外食。美味しいピッツァに泣く。だがしかし!

3月初めから再度私が住む州が2週間ロックダウンに。もちろん学校も休校になり、子ども達はオンライン授業になりました。

そのまま1か月ほどロックダウンが続き、4月初め頃にやっと学校が再開。それでもまだ自由に出かけられず、買い物などの用事がある場合のみ外出が可能でした。

学校が休校になり、子ども達はまたまたオンライン授業に。

その後、ようやく4月末頃に私が住む州がイエローゾーンになり、隣のイエローゾーンの州にも移動ができるようになりました。この時、本当に久しぶりに隣の州に住む義兄家族と再会!

この時点では、レストランなどでの食事はまだテラス席など外の席のみで可能で、店内飲食は禁止されていました。

6月1日からついに店内での飲食も可能になり、ようやく以前のような生活が戻りつつあります。

州を越えての移動が可能になったため、5月末にはフィレンツェ、6月末にはボローニャ、7月初めにはヴェネツィアに行って来ました!観光客に大人気の各都市のリアルな現地の様子を、写真で紹介していきます!

2021年5月末のフィレンツェの様子

私がフィレンツェ旅行にでかけた5月末は、まだ店内での飲食が禁止されていた時期。やっと「州を越えて移動してもいいよ~」という程度の行動制限緩和直後のため、観光大都市のフィレンツェもまだまだ人が少ない状態でした。本当はこの頃、週末になるとイタリア人が大勢フィレンツェ観光に来ていたようですが、私が行った日は平日だったせいか、かなり人が少い印象です。

あの賑わいが嘘のよう…ドゥオモ広場
シニョーリア広場もこんな状態…
ドゥオモからヴェッキオ橋へ向かう大通りもこんな感じ

いつ行っても観光客が多すぎて、イタリア在住者にとっては行きにくいフィレンツェですが、この時は「もう少し人がいてもいいなぁ…」と思うくらい閑散としていてさみしい感じ。カフェやレストランのスタッフたちもさみしそうでした。

いつもは入場することすら大変なウフィツィ美術館の内部もこんな感じ…。

通路にも人はまばら…
ウフィツィ美術館 ダビンチ
ミケランジェロ・ラファエロの絵がある部屋も広々…

美術館内部は通常の賑わいが嘘のようにさみしい状態でしたが、有名な絵画をゆっくり堪能することができました。同じ日に行ったフィレンツェ中央市場も…

1階部分はほとんどが閉店中。開いているのは3~4軒のみでした

2階のフードコートも閉鎖中でした

この時はまだ店内での飲食が禁止だったため、2階部分のフードコートは閉鎖中で階段にはロープがかかっていました。この時期、私が行った平日はとても寂しい様子でしたが、週末は広場が混雑ほど国内の観光客が来ているようです。少しずつフィレンツェ旧市街への人出が増えていた時期でした。

2021年6月末のボローニャの様子

私がボローニャ旅行をしたのは2021年6月末。6月21日にはヴァッレ・ダオスタ州以外の州がすべてホワイトゾーンになり、屋外ではマスク不要(屋内や屋外でも人が集まるところはマスク必要)、州を越えての移動が自由にできるようになるなど、夏のバカンスに向けて行動制限緩和が始まりました。

1か月前にフィレンツェに行った時に比べると、町への人出は平日でも少しずつ増えていた時期。サマータイムで日も長くなり、夕方からのアペリティーボ(アペリティフ)を楽しむ人たちも多く見かけました。しかし、平日の昼間はまだまだ人がいない。こんなの観光立国イタリアじゃない…。

ボローニャの中心「マッジョーレ広場」。平日の昼間はまだ人が少ない…
ボローニャ市民の待ち合わせスポット「ネプチューンの噴水」も人がまばら
ボローニャのメイン通り「インディペンデンツァ通り」も人が少ない…
こちらのメイン通り「リッツォーリ通り」もガラガラ…

フィレンツェやヴェネツィアの様な観光都市ではないものの、2019年まではボローニャ市が観光に力を入れていたこともあり年々、観光客は増えていました。コロナ禍で一気に観光客が減ってしまったボローニャ。また以前のように観光客が戻ってくるには、他の観光都市よりもさらに時間がかかりそうです。

2021年7月2週目のヴェネツィアの様子

私がヴェネツィアに旅行に出かけたのは7月の2週目。ヴェネツィアはいつ行っても観光客でいっぱいなので、特に暑い季節には絶対に行かない場所なのですが「今はまだ観光客が少ないかも…行くなら今!」ということで、友人と1泊2日で行ってきました。ヴェネツィアを訪れるのは、本当に久しぶり!

歩いている人もまばらな、ヴェネツィア中央駅前の通り。ゴンドラ乗り場のゴンドリエラ達も暇そうにおしゃべりしていました。

いつ行っても観光客で溢れているヴェネツィアも、週末は少しずつ人が増えているようですが、平日はまだまだ人が少ない状態。

いつも人で溢れている「サン・マルコ広場」。平日で人はかなり少ない…

ヴェネツィアの中心「サンマルコ広場」は通常なら観光客でごった返していますが、広々…。広場にある値段の少々お高めのカフェには、ほとんど人が入っていない状態でした。サンマルコ寺院、大鐘楼は人が並んでいましたが、新型コロナウィルス感染拡大以前とは比べ物にならないほどの列の短さ。いつもなら並ばない私も「これくらいなら待てるかも!」と思うほどでした。

サンマルコ寺院入場の列も通常時よりは短い…

イタリアにはいつから行ける?20201年7月現在の入国状況は?

イタリアでワクチン接種が始まったのは、2020年12月27日。2021年7月19日時点で3442万人が1回目のワクチン接種済み、2712万人が2回目のワクチン接種を完了しています。そして、人口の45.8%が2回目のワクチン接種完了させている計算となり、イタリアは観光客受け入れを再開。

40代の私も1週間ほど前に2回目の接種(ファイザー)が終了!イタリアのワクチン接種の詳しい現場の状況については、また別の記事でお知らせしますね!

イタリアは日本からの観光客受け入れも再開!

2021年7月現在、ワクチン接種後に発行される「グリーンパス」があれば、ヨーロッパ内は自由に移動できるようになりました。また、日本からイタリアへは14日間の隔離なしに入国できるようになっています(観光目的でも入国可)。ただし、入国時には下記の3つのうち一つの証明書が必要。

  • ワクチンを必要回数接種後、14日間が経過していること(各国の政府が発行したワクチン接種証明を提示)
  • コロナウィルスに感染し、治癒したことを証明するもの
  • イタリア入国48時間以内のPCR検査陰性証明書 

日本では7月26日からワクチン接種証明、いわゆるワクチンパスポート発行のための申請が始まりました。イタリア政府は、日本政府のワクチンパスポートを入国制限緩和の条件として認めてくれています。

ワクチン接種証明がない場合は、イタリア入国にはPCR検査の陰性証明書(または感染後治癒したことを証明するもの)があれば、14日間の隔離無しで入国できますが、日本帰国時に「14日間の自宅等での待機義務」があるため、まだしばらくは日本からの観光目的での入国は難しそう…。

2021年7月現在、在イタリア日本国大使館のサイトに記載されている「イタリアから日本への入国時の注意点」はこちら。※日本入国後3日間の検疫所指定の宿泊施設での待機、入国後3日目の再検査は不要になりました!

【イタリア出発前、入国時にご注意いただく事項】

●7月1日現在、日本入国後3日間の検疫所が確保する宿泊施設での待機及び入国後3日目の再検査は不要となっています。日本到着後の14日間の自宅等での待機義務はそのまま。   

●「出国前検査証明書」の確認が厳格化されます。以下ご注意ください。  

 ・原則、厚生労働省の所定の検査証明フォーマット(イタリア語版日本語版)を使用願います。 NEW

 ・有効と認められる検体及び検査方法等の所定の事項を十分にご確認願います(7月1日から有効な検体に「鼻咽頭ぬぐい液と咽頭ぬぐい液の混合」が追加されました)。   

https://www.it.emb-japan.go.jp/itpr_ja/covid_19.html

2021年7月現在、日本の入国時には渡航国で出発72時間前に受けたPCR検査の陰性証明書が必要です。限られた日程のイタリア旅行で、日本帰国の際、イタリア出発前72時間以内にPCR検査を受けなければならないのも、旅行者にとってはかなりハードルが高い!さらにこのPCR検査陰性証明は、日本の厚生労働省が認める有効なものでなければ、日本への入国を拒否されます。

実はこの日本政府が認めている検査証明フォーマットでPCR検査をしてくれる検査施設や病院は、イタリアでは限られて、医療機関を見つけるにも手間がかかる状態!

また、有効と認められる検体及び検査方法も決められているため、それ以外の方法で検査をしても日本に入国することができません。実は現在、これらの点で、日本への一時帰国を泣く泣くあきらめている在伊日本人がたくさんいます…(涙)旅行者はもっと大変ですよ!

日本からイタリアへ観光目的で行けるのは、日本帰国時の日本が求める陰性証明の提出が不要になった時と、日本が「ワクチンパスポートがあれば、日本入国時の制限を解除する」とし、14日間の自宅等での待機義務や、公共交通機関の利用が認められるようになった時から、と言えそうです

もちろん、ビジネスなどでどうしてもイタリアに渡航しなければならない場合は、日本でリモートワークをし、帰ってからたっぷり時間がある、帰国時に自己待機も可能で公共交通機関を使わずに帰宅できる、という人は、イタリア政府が認める陰性証明があれば、現在でもイタリア入国は可能です。

「イタリアに早く行きたい!」という人も多いと思いますが、イタリア旅行ができるようになるにはもう少し時間がかかりそう。日本側の入国制限の緩和を待ちましょう。

イタリア在住ライター 星畑聡子

SATOKO

イタリア在住│通訳&ライセンスドライバー