チップの習慣がない日本。イタリア旅行時に気になることといえば「どの場面でチップはどうすればいいの?」という人も多いのでは?
イタリアでのチップの習慣の有無や、渡し方についてイタリア在住約15年の私の経験も交えて詳しく紹介していきます。最近よく見かけるようになった「チップくれくれ詐欺(私が勝手に命名)」も紹介ます!
イタリアでチップは必要?
チップがほぼ義務のような国もありますが、イタリアはと言えば「チップの習慣はあまりない」国。イタリアで生活していても、日常生活の中でチップを渡す場面なんてほとんどありません。
15年ほどイタリアで暮らしている私も、普段の生活の中でチップを渡した事があるのはほんの数回のみ…。
つい最近チップを渡したのは、久しぶりに行ったアドリア海沿いの小さな町のレストランで。
お料理がおいしかったのはもちろんサービスがとっても良かったので、支払いの際にチップを置いてきました。イタリア人はチップに慣れていない人も多いので、渡すとびっくりされる事も多いです(笑)。
イタリアのレストランでは席に着くと「テーブル代」が自動的にお会計に加算されます。レシートにCoperto(コペルト)と書かれた項目がテーブル代。席に座ると出てくるパン類もテーブル代に含まれています。
そのためか、会計時にチップを残しておくという習慣はありません。でも、ホテルやレストラン、タクシーでもチップを渡すととっても喜ばれます。
「いいサービスだった、大満足!」という場合は、チップを渡すことで気持ちが伝わるので恥ずかしがらずにチップを渡すのがおすすめ。
でもせっかくチップを渡すからには、スマートにそしてさりげなく、妥当な金額を渡したいですよね!
ということで、チップを渡す可能性のある場面ごとに、チップの目安や渡し方について紹介していきます。
イタリアでチップを渡す可能性がある場面と渡し方
ホテル編
ホテルで荷物を部屋まで運んでもらっても、チップを渡す前に出て行ってしまった…という場合もよくあります。
何かの用事で部屋に来てもらっても、用事が終わったらさっさと帰ってしまったのでチップを渡す暇がなかった、という経験をした人もいるかもしれません。
イタリアのホテルでは、チップはなくても問題ありません。もちろんもらえるのは嬉しいことなので、
✓いいサービスを受けた
✓面倒な事を頼んでしまった
などという時は渡すのがベター。それだけであなたの印象がとっても良くなりますよ!
反対に「清掃係のために枕の下に1ユーロを置いておいたのにそのまま残っていた」という話も聞いたことがあります。イタリアのホテルの清掃スタッフはチップをもらう習慣がないため、枕の下にお金を見つけてもそのままにしておいたんでしょうね。
清掃係へのチップは無しで大丈夫です。ただし、もしどうしても渡したい場合は、チェックアウト時にベッドサイドテーブルに一言メッセージを付けて置いておくと分かりやすいですよ!
料金の目安 清掃係に渡す場合:1~5ユーロ 部屋にスタッフを呼んで頼み事をした場合:5~10ユーロ ホテルのレストランで渡す場合 料金の10~20%
レストラン編
前述した通り、イタリアのトラットリアやレストランでテーブルに座ると自動的に「テーブル代(Coperto)」がチャージされるので、通常チップはなくても大丈夫です。
✓サービスがとっても良かった
✓とても楽しく食事ができた
✓お料理がものすごくおいしかった
などの理由でチップを渡したいという場合は、レジでの会計後に直接渡すか、テーブルでの会計時に多めに渡して「お釣りはいりません」というのもあり。
または、席を立つ時にテーブルの上にチップを残しておいてもOK。
【お釣りは取っておいてください、というイタリア語】→Tenga il resto. (テンガ・イル・レスト)
※庶民的なトラットリアやレストランでは、食事が終わったら入口付近にあるレジに行って会計をする所が多いイタリア。「お会計を」と言うとレジを指さして「あそこで払ってね」と言われます。「どうやって払うのか聞くのが恥ずかしい…」という人は、他のテーブルの人達がどうやって払っているのかをチラチラと見ておくと◎!
料金の目安 多めに渡す場合:料金の10~20%ほど上乗せして 何かしてもらった場合、個人に渡す場合:5~20ユーロ
タクシー編
普段チップを払う機会がない私も、仕事でタクシーを使う時に一番チップを渡すことが多いです。タクシーでのチップの一番簡単な渡し方は「少し多めに払ってお釣りをもらわない」こと。
例えば料金が12.50ユーロだった場合、15ユーロを渡して「Tenga il resto.(テンガ・イル・レスト)お釣りは取っておいてください」と言えばOK。
もちろん、タクシーに必ずチップを渡さなければならないというルールはないので、きっちり払ったりお釣りをもらってもOK。私はドライバーの態度が悪い場合には絶対にチップは渡しません!お釣りをきっちりもらいます(笑)!
料金の目安 特別に親切にしてもらった場合 料金より2~5ユーロ多めに
専用車編
「ドライバー付きの車を1日(または複数日)貸切って移動したい」場合に便利なのが専用車。タクシーとの違いはこちら。
✓タクシー乗り場に並ぶ必要がない(予約時に待ち合わせ場所・解散場所を指定できる)
✓料金は最初に見積もりを出してくれる(当日渋滞があっても料金は一定)
✓空港送迎の場合は出口まで出迎えあり
スーツケースなどの荷物を載せて移動できるので、
✓グループや家族で旅行する場合(特に小さな子供や年配者がいる場合)
✓荷物が多くて列車移動が大変な場合
✓交通機関では行きにくい場所へ立ち寄りたい場合
という時にも利用するのがおすすめです。
料金の目安 半日利用の場合:5~10ユーロ 1日利用の場合:10~20ユーロ 複数日利用の場合:10~20ユーロ×日数
【専用車のドライバーへの効果的なチップの渡し方】
チップはサービスの最後に渡すのが一般的ですが、
✓途中で予定外の場所へ立ち寄ってもらうかも
✓写真撮影のために何度も車を止めてもらうかも(写真スポットへ立ち寄ってもらうかも)
と最初から分かっている場合は「最初にチップを渡してしまう」のもアリ。私も仕事で貸し切りバスや専用車などを利用する場合に、この方法をよく使います。最初にチップを渡すとドライバーも気分が良くなるので、その後少し無理を言っても快く引き受けてくれますよ!
親切を装う「チップくれくれ詐欺」にご注意を!
最近日本人旅行者から時々聞くのが、駅構内での「チップくれくれ詐欺」。各地の中央駅などの大きな駅によくいるのですが、狙われるのは以下の人。
✓駅の出口やタクシー乗り場、駅前のホテルの場所が分からないためにキョロキョロしている人
✓大きなスーツケースを大変そうに運んでいる人
「〇〇はあっちだよ、連れて行ってあげるよ」「荷物を運ぶのを手伝うよ」と親切な人を装って近づいてきます。
親切な人だな、と思って言いなりになっていると、目的地に着いた時、荷物を運び終わった後に手を出してきてチップを要求されます。
中にはチップを渡しても「これじゃ足りない、〇ユーロくれ」と言ってくる人もいるとか。
イタリアでは「日本人は礼儀正しい、おとなしい」と思われている事が多いため、少々無理を言っても大丈夫だろうと思われている可能性も…。
怪しいな、と思ったら「No, grazie!(ノ、グラツィエ!=結構です!)」とキッパリと断りましょう。
イタリアのチップ事情を知ってスマートに安全に旅行しよう!
いかがでしたか?
イタリアのチップ事情を知ってからイタリア旅行に出かけると、チップを渡した方がいい場面でスマートにチップを渡せますよね。
イタリア人は普段チップ文化が根付いていないので、チップをもらうと皆とても喜びます。感謝の気持ちを伝えたい時はぜひチップを渡してみてくださいね!
最後に、イタリアのチップについてまとめておきます。
✓イタリアにはチップの習慣はない
✓料金にサービス料も含まれているので、チップを渡さなくても大丈夫
✓もらえるととっても嬉しいものなので、感謝の気持ちを伝えたい時はチップを渡すと◎