少し前まで「ホテルステイを楽しむ」というイメージがなかった名古屋。そんな名古屋にも2020年以降「泊まってみたい!」と思えるユニークなホテルが増えてきています。
そのひとつが2020年に開業し、楽天トラベルの口コミでも「4.65」という高い評価を得ている「ニッコースタイル名古屋」。実際に宿泊して、その人気の秘密をさぐってきました。
ニッコースタイル名古屋とは
「ニッコースタイル名古屋」は、2020年8月にオープンした、名古屋初の本格的ライフスタイルホテル。オークラニッコーホテルズが展開する「ニッコースタイル」ブランドの第1号店でもあります。
ブランドコンセプトは「新しい旅のスタイルや体験する人々を魅了するホテル」。文化や健康、環境への関心が高く、ホテル滞在にも新しい体験を求めるゲストをターゲットにしています。
旅行メディアの取材で愛知県に行くことになり、ホテル予約サイトで名古屋のホテルをチェックしてみたところ、この「ニッコースタイル名古屋」が目に留まりました。
そのビジュアルに触れた瞬間、「いままで名古屋になかったタイプのホテルだ!これはぜひ泊まってみたい」と思い、前乗りして体験してみることにしたのでした。
ホテルの象徴「コミューナルロビー」
少々ディープな雰囲気漂う「柳橋中央市場」を経由し、名古屋駅から10分強歩いて「ニッコースタイル名古屋」に到着。エントランスをくぐって館内に足を踏み入れると、ホテルの象徴ともいえる「コミューナルロビー」が出迎えてくれます。
「人々が集い、つながる場所」としてつくられた空間で、ひと続きになっているStyle Kitchen「Cafe&Bar」でドリンクなどを購入すれば、宿泊客でなくても利用することができます。
天井からぶら下がるシャチホコや、シャチホコを模した斬新なチェア。ミュージアムのような飾り棚など、感性を刺激するしかけがいっぱい。
「珈琲と音楽にこだわったホテル」ということで、本格的なDJブースも併設。月に1回ほどDJイベントも開催されています。
さらに、館内のBGMは24時間1曲もかぶらないように選曲されたオリジナルなんだそう。もしかぶっていたとしても気づく人はなかなかいないでしょうが、ゲストが気づかないような細部へのこだわりこそ“本物”の証ですよね。
チェックイン前後の作業も可能
筆者がホテルに到着したのは朝9時半。本来ならチェックイン時間まで観光やショッピングといきたいところですが、あいにくこの日は夕方まで作業をしなければならない日でした。「レセプションのスタッフにロビーで作業していいですか?」と聞いたところOKとのことだったので、ここで作業をすることに。
旅をしながら仕事をする人にはわかってもらえると思うのですが、作業をしなければならない日にホテルのチェックインまで時間があると困ることもあります。近くに作業に適したカフェがなかったり、あっても混んでいて居心地が悪かったり…。
その点、「ニッコースタイル名古屋」ではおしゃれかつ、テーブルにコンセントがあるなど作業に適した「コミューナルロビー」でチェックイン時間まで仕事ができるのが嬉しいところ。
このように、共用スペースにもこだわっているところに、ライフスタイルホテルらしさを感じます。のちほどご紹介する客室も含め「ニッコースタイル名古屋」は、出張ビジネスマンや筆者のようなフリーランスなど、“旅をしながら仕事をする層”をかなり意識している印象を受けました。
ニッコースタイル名古屋のチェックインは自然体
チェックイン時間の15時になったので、ようやくチェックイン。オークラニッコーホテルズ系列ですが、「ホテルオークラ」や「グランドニッコー」に比べると、サービスはカジュアルな印象です。
レセプションのスタッフはみなさんテキパキと感じよく接してくださいますが、堅苦しい感じはなく、高級ホテルの丁寧すぎる接客が苦手な人はむしろこちらのほうが心地良いかも。ハイセンスな空間で、プライベートを大切に過ごしたいという人にぴったりです。
30平米の広々とした客室
今回筆者が滞在したのが、デラックスキングのお部屋。デラックスにも「キング」「ツイン」「トリプル」「ハリウッドツイン」の異なるベッドタイプがありますが、1人での宿泊だったので、迷わずベッド1台のキングルームを選びました。
「ニッコースタイル名古屋」には、「デラックス」「デラックス+」「プレミア」の3種類フロアがあり、フロアのグレードが上がるにつれてアメニティなどがグレードアップする仕組み。
特徴的なのが、すべての客室が正方形の間取りで、フロアがグレードアップしても基本的に広さが変わらないことです。筆者が宿泊した最もお手頃なデラックスフロアでも、30平米の広さ!この空間を一人で占有できるなんて、めちゃくちゃ贅沢じゃないですか?
さりげなく名古屋の伝統をフィーチャー
客室インテリアは、一見すっきりとしたナチュラルテイスト。明るい色合いの木材をふんだんに使い、ナチュラルで心地良い雰囲気を演出しながらも、名古屋の伝統をさりげなく散りばめた遊び心がポイントです。
ソファに置かれたクッションには、名古屋の伝統工芸である「有松絞り」を採用。
飾り棚の上段には白いシャチホコの置物が置かれています。こんなにモダンですっきりとしたデザインのチャチホコもあるんですね。欲しくなる…!
さらに目を引くのが、名古屋城の金シャチから着想を得て「鱗紋」をデザインした円形のミラー。ナチュラルテイストのお部屋ではある種異質な感じもするのですが、このミラーが遊び心あふれるアクセントとなって、お部屋で時間を過ごすのがもっと楽しくなります。
とにかく居住性が高い!
滞在して感じたのが、「ニッコースタイル名古屋」の客室は、とにかく居住性が高くリラックスできる空間であること。
その理由のひとつが、部屋の中に仕切りを極力設けず、もともと広い空間をさらに広く使える設計になっていること。バス・トイレはセパレートで独立した空間になっているのですが、お部屋と洗面台のあいだに壁がなく、視界をさえぎるものが少ないんです。
また、広々としたデスクや長時間座っても疲れにくいチェアなど、作業環境もバッチリ。「暮らすように滞在する」という表現がぴったりのお部屋で、長期滞在したくなる空間です。
こだわりの詰まった朝食
ホテルステイといえば「朝食が楽しみ」という人も多いはず。ニッコースタイル名古屋は、朝食にもこだわっていて、期待を裏切りません。
生産者の顔が見えるこだわりの食材を使った朝食は、できたてを持ってきてもらえるメインのプレートと、スープやパン、ペストリー、ヨーグルト、飲み物などからなるライトビュッフェを組み合わせたスタイル。メインは「スクランブルエッグプレート」「フレンチトーストプレート」「和ご膳」の3種類から選べます。
筆者がチョイスしたのは「フレンチトーストプレート」。このフレンチトースト、面白いことに生ハムとチーズが入っているんです。もっちりとした生地ととろーりチーズ、八ヶ岳の生ハムが調和した、新感覚のフレンチトースト体験が楽しめますよ。
ヨーグルトには、栄養価の高い三重県桑名市の「九華のはちみつ」をかけて。
フルーツジュースだって、そんじょそこらのものではありません。「夢工房くまの」のみかん100%ジュースは、完熟の温州みかんを使った無添加ジュースで、2016年の伊勢志摩サミットでも提供された逸品なんです。
品数が特別多いというわけではありませんが、東海の食材をふんだんに使い、ひとつひとつにこだわった朝食に大満足。特に「量より質」重視の方は感動するはずです。
総括「ニッコースタイル名古屋」はコスパ最高
実際に「ニッコースタイル名古屋」に宿泊してみて、「4.65」という超高評価にも納得。
接客こそ典型的な日本の高級ホテルに比べるとややカジュアルですが、施設全体の空間デザインや客室、朝食が最高で、宿泊費に対する満足感がきわめて高いからです。
今回筆者が宿泊したのは、朝食付で11,000円の平日限定プラン。コロナ禍でホテル全体の相場が下がっているとはいえ、名古屋の同レベルのホテルと比較したところ、この値段でこんなに広く快適なお部屋に泊まれるホテルはここだけでした(筆者の独断による)。
これだけコスパが良いのも、名古屋駅から徒歩10分強と、名古屋駅前からは少し距離があるからでしょう。
名古屋駅前や栄のど真ん中のホテルに比べると、立地面では「超便利」とは言い難いですが、コスパの良さを踏まえると、「快適さ」や「デザイン性」を重視する人には、これ以上ないほどおすすめのホテルです。
DATA ニッコースタイル名古屋 所在地:名古屋市中村区名駅五丁目20番13 TEL:052-211-8050 公式サイト:ニッコースタイル名古屋