毎年1月下旬から2月中旬頃にかけて「中国の春節祭スタート!旅行者が続々入国」といったニュースを見る機会が多いはず。春節とは、中国(中華圏)における旧暦の正月のことで、伝統的な祝日。春節は、旧暦に基づいているため、毎年日にちが異なります。2024年は2月10日(土)、2025年は1月29日(水)。
春節前後1週間が大型連休となり中国各地でイベントが行われますが、実はそんな春節を祝うイベントが大阪でも開催されているのです。実はこれがかなりディープで楽しく、おいしいイベント。大阪で春節祭を楽しむ2つのイベントに参加して全力でレポートします!来年の大阪食い倒れ旅行の一つに、加えてみてください。
大阪春節祭・天王寺(てんしば)
2024年2月9日(金)から2月11日(日)まで、大阪の天王寺公園にある「てんしば」で行われた大阪春節祭。コロナ禍で一時中止になったものの2024年で8回目の開催となり、大阪の新たな伝統行事となりつつあります。
メインステージは赤一色。中国では赤がラッキーカラーとされているので、必然的に広場は真っ赤になります。ステージでは、中華太鼓や獅子舞、民族舞踊、手や扇子を顔にかざすと一瞬で面が変わる変面ショーのほか、大阪在住らしきおばちゃんたちのオリジナルの踊り、同じく大阪在住の子供たちによる演奏など、本格的なものから素通りしたくなる素人っぽいものまで盛りだくさん。
広場自体は広いので、天気がよければ芝生の上に座って春節祭気分を味わうのも楽しい。
中国ほか東南アジアグルメ満載。パック詰めが買いやすい
広場を囲むようにしてグルメ屋台が多数連なっています。屋台を彩るのはやはり赤い提灯。提灯が飾ってあるからと言って中華料理と思うなかれ。ベトナム料理、タイ料理、ミャンマー料理と多種多様。何を食べようか迷うほどです。
テイクアウトしやすいのが揚げ物系。すてにパックに入れてあるので指差しで簡単に購入できます。しかも、食べきれなかったら自宅用のお土産にもOK。
出来立ての水餃子にはたっぷりのトッピング
もちろん出来立てほやほやが食べられるのも魅力。屋台からのいい香りに誘われてついついあれもこれもと食べたくなっちゃいます。
福建省名物の海蛎揚げ物は、ぜひとも食べてみたいB級グルメ。たっぷりのキャベツに海苔、蛎(牡蠣)、豚肉を特製スパイスで混ぜ、薄く溶かした小麦粉で挟み、揚げて食べるおやつのようなもの。お玉の上に小麦粉で作った皮を薄くひき、その上に具材、そしてまた皮をさっとかけ、おたまごと油にドボンといれる豪快な調理方法は、順番を待っている間ずっと眺めても飽きないほど鮮やか。
ここであえて書かなくてもわかると思いますが、揚げたてはとにかく中の餡が熱い。ふうふういいながら食べても口の中がやけどして大わらわになるのでご注意を。特製スパイスがいい味を出していて、濃すぎず薄すぎない絶妙なスパイシーさ。外はカリカリ、中はほっくほっくで2、3個ぺろりといけちゃいます。
忘れてはいけないのが「水餃子」。春節の前日に家族で手作り餃子を作り始め、春節当日の深夜1時ごろに食べると、その年に富がもたらされる(お金が入ってくる)といわれています。春節をお祝いするなら水餃子はかかせません。こちらも鮮やかな手さばきであっという間に水餃子が作られていきます。
皮が厚いのでゆで時間がかかり、水餃子ゲットまでかなり並びますが、待った先にあるもっちもっちの水餃子に思いをはせ待ちましょう。水餃子がゆであがったら一気に行列が動きます。このとき忘れてはならないのがトッピング。酢と醤油が無造作に置かれているのでお好みでかけます。ラー油たっぷりの真っ赤なタレは辛そうに見えますが、たっぷりかけても、それほど辛くはないので、ラー油が苦手でなければたっぷりと。筆者はこのタレを買って帰りたいほどはまりました。
中国東北部で愛される羊肉串と麻辣麺
火事か?!と思ってしまうほど煙まみれの一体があります。中国の東北地方と呼ばれているエリアで愛されている羊肉串です。
羊は苦手という人は、羊臭にやられるかもしれないほどかなりの煙と匂い。ですが、羊が苦手でもこの羊肉串はきっと食べられるはず。
理由はスパイス。羊独特の臭みを全部取り除いてくれるのが麻辣粉と呼ばれるまさに麻薬のようなスパイス。クミンや山椒、唐辛子など独自の配合でブレンドされたこの粉はすべての食材をこのスパイスの味にしてしまう破壊力。エキゾチックな香りと病みつきになる味わい、まさに麻薬。ぜひご自分の舌で確かめてください。
もう一つのおススメが麻辣麺。お店で食べる場合は自分で食べたい野菜を選べるのですが、屋台では、そんな余裕はないのか「麻辣麺」と注文するとおばちゃんが一通りの野菜をお椀にギュウギュウにつめ、麵と一緒に豪快に鍋にいれ、数分煮込んでまたお椀に戻してくれます。
「辛い?辛くない?」
と聞かれるので「少し、普通、多め」などと答えましょう。ツウな中国人たちは、この野菜を多めになどといっていますが、中国語がしゃべれない筆者のような人たちは食べたい野菜を指さすと多めにいれてくれたりします。試してみてください。
DATA 天王寺公園 エントランスエリア てんしば 所在地:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町5−55 アクセス:JR、大阪メトロ御堂筋線「天王寺駅前」すぐ 公式HP:てんしば ▶
大阪中華学校の「大阪春節祭」
大阪春節祭はもう一つあります。こちらは2024年で22回を数える知る人ぞ知る春節祭。主催は大阪中華總會ですが、中華学校(台湾系)の校内で行われるため、日本の文化祭のような雰囲気です。
入り口のアーケードに書かれているように、台湾系の学校のため台湾文化を体験でき、台湾グルメを食べられるイベントになっています。
開催日は1日のみ。冒頭でお伝えしたように、毎年日にちは異なるので、大阪中華總會のHPで確認することになります。2024年は2月11日(日)に開催されました。
10時からスタートする開会式では中国のお祝いでは欠かせない爆竹がものすごい音で鳴り響きます。学校で、爆竹…とかなり驚きますが、これもお祝いの一種。
鏡開きをした紹興酒は無料で配られるので、ステージ横に取りに行きましょう。
ステージ上では学生たちによる民族舞踊、中華武術、伝統楽器演奏などさまざまな出し物がみられます。必見なのが、獅子舞。二人一組で舞っているのですが、大人顔負けの演舞。びよーんと伸びるところは圧巻。
この獅子舞が舞台から降りて観客席のところにやってきます。獅子たちにかまれると幸福がやってくるそうなので、近づいたら頭を突き出してみてください。ただ、子ども優先なのでなかなか噛んでもらえません(笑)
台湾グルメ満載
天王寺の大阪春節祭とは違い学校の校庭で行われているので大混雑。お目当てのグルメをゲットしたら校庭のはじに設置されているフリースペースで食べましょう。といってもここもだいぶ混雑しているのでほぼ立ち食いになります。
ネギをたっぷりいれたネギ焼きはもっちもっち。卵がたっぷり入っているのでボリューム満点。牛肉麵も太麺かつスープが味わい深く間違いないおいしさ。
大根と餅で作る大根餅はほんのり甘く、もちろんもっちもっち。日本ではなかなかない味わいで、病みつきになる一品。
学校で開催されているからか生徒のお母さんたちで運営している屋台もあり、素朴な味わいがたまりません。大根餅はお持ち帰り用も販売。食べる分だけカットしてフライパンで焼いたら出来上がり。冷凍庫にいれれば1か月もつそうです。
特別なお祝いのときに食べるお餅
中国では特別な日にお餅を食べる習慣があります。春節祭でも普段はなかなかみかけないお餅に出会えます。
きなこ餅なのですが、パクチーがトッピングされていたり中にあまから醤油のようなタレが入っていたりと初めての味わい。日本ではなかなか味わえないグルメです。
屋台のおばちゃんが「家庭的なお餅」といっていたお餅。餅よりもご飯の粒感が残る感じで、おこわに近い食感。中には醤油で煮た山菜やキノコがたっぷり入り、ご飯感覚で食べられます。
個人的には点心のように醤油を少したらして食べたいなという味わい。
他にも豚まんやタロイモマンなどさまざまな台湾グルメが目白押しです。
台湾にあるお寺が学校に出張?!
学校の教室の一角に「大阪佛光山寺」の文字を発見。台湾の高尾にあるお寺の別院が兵庫にあり、春節祭の日だけ出張しているのだそう。
学校の教室とは思えない本格的なしつらえ。
入り口でろうそくのフェイクを受け取り、お参りをします。ろうそくをおいて、一度お辞儀をして手をあわせるそう。
お土産に飴と何やらポスターのようなものをいただきました。家に飾っておくと、幸福が訪れるとのことで貼りましたが、家の中が一気に中国っぽく(笑)
大人気抽選会に参加するには8時目途に
ステージイベントや生徒のお母さんたちが屋台をやっている店をみると文化祭のようなイメージがありますが、区長や議員さんが開会式に参加するなどかなり本格的。大阪市内で営業している台湾料理店も出店しているので味も本格派です。
ということで、毎年大人気なのが「大抽選会」。台北往復航空券や高級ホテルのランチやディナー券、ルンバなどの掃除機、iphoneの最新機器など賞品が超ゴージャス。この抽選券を目当てに来る人も多いほど。
大抽選会は1回で、抽選券販売は10:30と13:30の2回。1枚500円の抽選券は枚数限定なので、誰でも買えるわけではありません。10:30の分をゲットするには8時ころから、13:30の分をゲットするには10時前くらいから並ぶ必要があります。
DATA 大阪中華学校 所在地:大阪市浪速区敷津東1-8-13 アクセス:大阪メトロ御堂筋線、四つ橋線「大国町駅」徒歩2分
大阪で本場さながらの春節祭体験
中華街がある横浜、神戸、長崎でも春節祭イベントはありますが、大阪の春節祭はグルメ屋台が豊富かつ、学校の文化祭のようなものも楽しめるレア感があります。ただ、春節祭を利用して日本に旅行に来る訪日観光客も多いので、この時期に大阪のホテルを取るのは年々困難になっています。
大阪旅行に春節祭の食べ歩きを予定に入れたい、と言う場合は、2025年の春節の日を確認して早めに宿を予約しましょう。
大阪にある日本一長い天神筋橋商店街では台湾グルメの食べ歩きもできるので、大阪で中国、台湾料理の食い倒れも楽しいかも?!