知床観光ドライブコース&知床クルーズ・世界遺産で安全にヒグマ見学

東郷 カオル

トラベルライター

世界自然遺産知床。大自然の中で自分自身のちっぽけさを感じてみるのもたまにはいいかも。今回は、日本が誇る世界自然遺産知床半島を陸地からドライブ、海からクルーズ船で堪能しつくすコースをご紹介します。船ならクマに遭遇しても襲われる心配はなく、安心して「かわいい!」と言っていられます。

知床 世界遺産

世界自然遺産知床とは

世界自然遺産に登録されている知床は、道東にある知床半島の主にウトロの温泉街や羅臼の温泉街よりも更に奥(岬に近いほう)にあります。希少な動植物の生息地で、その生態系や、その保全のための管理体制が評価され、2005年7月に登録に至りました。

世界自然遺産は日本では知床のほかに、屋久島、白神山地、小笠原諸島、そして2021年に新たに加わった「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の5つが登録されています。

知床へのアクセス

本州から知床へは、女満別空港を利用するのが便利でしょう。女満別空港からウトロの知床世界遺産センターまではレンタカーで1時間半ほどです。道中にはSNSで話題になった「天に続く道」もありますので、立ち寄ってみるといいでしょう。

まっすぐにのびる「天に続く道」
どこまでも真っすぐで、天に続くかのような道
DATA
天に続く道展望台
住所:北海道斜里郡斜里町朱円東

知床ドライブ

北海道での運転はついついスピードが出がち。安全のためにもスピードの出しすぎは注意すべきですが、知床では野生動物を守るためにも、ゆっくりとドライブを楽しんでいただきたいと思っています。

知床世界遺産センターで情報収集

まずは、レンタカーでの知床の楽しみ方をご紹介します。ウトロの知床世界遺産センターで、マップや野生動物に関する情報を得ておきましょう。知床に限らず、北海道には沢山の野生動物が人間の近くで暮らしています。いや、人間が野生動物の近くで暮らしていると言ったほうが正しいでしょう。

知床世界遺産センター
まずは知床世界遺産センターで情報収集。隣は道の駅でトイレ休憩もここが便利。
DATA
知床世界遺産センター
住所:北海道斜里郡斜里町ウトロ西186-10
時間:夏期(8:30~17:30)
   冬期(9:00~16:30)
休館:夏期無休(4月20日~10月20日)
   冬期火曜日(10月21日~4月19日)
   年末年始(12月29日~1月3日)
公式HP:知床世界遺産センター

ちなみに、ウトロの手前に「オシンコシンの滝」という知床八景のひとつがあります。遊歩道が設けられていて、迫力のある滝が間近に見られます。マイナスイオンたっぷりで気持ちのいい場所なので、時間があれば立ち寄るといいでしょう。

オシンコシンの滝
DATA
オシンコシンの滝
住所:北海道斜里郡斜里町ウトロ西
駐車場:無料
Webサイト:知床斜里町観光協会

野生動物が間近に…!

知床は本当に野生動物との距離が近く、運転も慎重にお願いします。道路の近くにキツネの家族がウロウロしていることもザラです。

車から見た子ぎつねたち
数年前の6月の画像。このシーズンは子育てシーズンの模様。

子育てシーズンには、こんなカワイイ姿も。コギツネたちはもっふもふなんですが、親はボロボロの姿で、野生の子育ての大変さがにじみでていました…。万が一、野生動物が近づいてきても触ってはいけません。例えばキツネは、エキノコックスという寄生虫を持っていることも。

道路わきの子ぎつね
子ぎつねたちは毛並み良く、もっふもふ。

こちらはウトロから知床五湖への道ですが、道路脇にエゾシカが。

道路わきのエゾシカ

触るのもダメですが、餌やりなんてもっての外です。特に鹿慣れしている関西人のみなさんは注意が必要です。エゾシカは奈良の鹿とはベツモノだと思ってくださいね!

左:知床のエゾシカ(エサNG) 右:奈良公園の鹿(鹿せんべいウェルカム)

奈良の鹿には鹿せんべいをあげてもいいですが(あげないと逆に鹿にキレられる)、エゾシカには例え鹿せんべいでもあげてはいけません(鹿せんべいを持ち歩いている人はいないと思いますが)。生態系を壊さないように注意して自然を楽しみましょう。

知床五湖

知床に来たほとんどの人が立ち寄るのが、知床五湖です。その名の通り、5つの湖があって、周遊することができます。基本的に大自然の真っただ中を歩きますので、クマと遭遇する可能性もなきにしもあらず。だって、下の写真のようにエゾシカも普通にいますしね…。

知床五湖にいたエゾシカ
サファリパークではありません。100%野生です。

クマが怖い人は、木道がおすすめ!ただし、木道を利用する場合は、第一湖しか見学できません。五湖すべてを見たいなら、やはり地上遊歩道を歩くしかないのです。

知床五湖の木道
高架木道の両サイドを注意深く見ていると、野生動物がいることもありますよ

地上遊歩道を利用する場合も、何の知識もないまま野生に放り出されるわけではありません。知床五湖フィールドハウスでレクチャーを受けて、団体で行動します。ヒグマが出た場合は、この地上遊歩道は閉鎖されます。いや、これ、事前にヒグマが出たとわかっている場合ですからね。遊歩道を散策中にヒグマに出会った場合は、もうその時次第。2021年7月には、一か月で30回の目撃情報があったようです。

ちなみに、知床五湖フィールドハウスのホームページによりますと、「遊歩道内でヒグマと絶対に遭遇したくない、という方には高架木道の散策をお勧めします」とのことです(笑)

DATA
知床五湖フィールドハウス
住所:北海道斜里郡斜里町遠音別村 字岩宇別549番地
時間:季節によって細かく異なります。下記Webサイトごご確認ください。
Webサイト:知床五湖
知床峠を通る道からの景色

時間がある人は、知床峠を経由して羅臼へ。私が行った時は、峠は濃霧でまっちろ。何も見えませんでしたが、少し下ると、絶景ドライブが楽しめました。

ヒグマに会っても怖くない!知床クルーズ

私がここまでしつこくクマクマ言うのは、北海道でヒグマに遭遇したことがあるからです。そういえばカナダでも…。別に山菜取に山に入ることもないし、林業に携わっているわけでもないのに、まぁまぁのクマ(ヒグマ、グリズリー、ブラックベア)体質なんです。

このヒグマ、私が遭遇した子にそっくり!!

私のようなヒグマ体質の人におすすめなのが、ヒグマに出くわしても安全な船からの見学です。

船の選び方

知床を船で観光する場合、大きな船で安定性のある大型観光船か、小型で海岸近くまで近寄れるクルーザーかの2択です。クルーザーは小回りが利くため、野生動物発見時などに柔軟な航路修正も可能で、ヒグマを見たい場合はこちらがおすすめ。船酔いの可能性も多少はありますが、事前に酔い止めを飲んで挑めば問題なしでした。

停泊しているクルーザー

クルーザーと決めたら、次はどの業者を選ぶかが問題です。まぁ、どこでもいいです。「無責任なことを言って!!」と思われるかもしれませんが、例えば、「ドルフィン」と「ゴジラ岩観光」はお隣同士で、どちらかの船に問題があったり、どちらかが催行人数に至らず欠航となった場合に、お客さんを融通するシステムになっているのです。

実は私が乗るクルーザーが、前日の夜に修理が必要だということが判明したため、私にはこのシステムが適用され、もう一方の業者のクルーズを利用することになったのです。

業者によってクルーズの名前は若干違いますが、内容はほぼ同じ。往復1時間の「カムイワッカの滝クルーズ(硫黄山コース)」、2時間の「ルシャ海岸クルーズ(ヒグマウォッチングコース)」、3時間の「知床岬クルーズ」があります。

断崖の近くを航行するクルーザー
小回りのきくクルーザーは、断崖近くまで近づけます

私がチョイスしたのは、所要時間3時間の「知床岬クルーズ」。3時間も…と若干心配していたのですが、あっという間でした。

クルーザーへの乗り込み順序は、当日の到着順ではなく予約順です。予定が決まれば早めに予約をするのがベター。私はまぁまぁ後ろのほうだったんですが、おひとりさまの利点を活かし、船首の空いているスペースに滑り込むことができました。こういうのって、本当におひとりさまのメリットだと思うんですよ。2名とか3名だったら、まとまって空いているブロックにしか座れませんからね。

船首は波を被る可能性もあるので、カメラなどは注意が必要です。同じ船首でも場所によって、しぶきの飛び具合は微妙に異なります。私は船首のかなり先頭部分に座っていたのでマシでしたが、船首部分の後ろのほうは、結構しぶきがかかって悲鳴が上がっていました。

滝
カムイワッカ湯の滝

こちらはカムイワッカ湯の滝。1時間コースはここで折り返します。カムイワッカ湯の滝は、温泉が流れる滝を一の滝に向かって登っていくのも楽しいですよ。あ、もちろんこの写真の場所からではなく、崖の上に駐車場もあって、そこから歩いて10分ほど場所から登っていきます。もちろんクマ注意ですが、足元が滑りやすいので、滑落しない注意も必要です。

滝
ヨウシペツの滝(硫黄の滝)

この時…あっ!!クマ!!!との声!
えっ!どこどこどこ???(実はこれより前にも親子クマがいたのですが、その時は写真に撮れなかったのです…)

子熊
いた!!犬?(笑)

船長さんによると、今年親離れしたばかりの子かも、とのこと。ヒグマは1年半(もしくは2年半)で親離れするんですって。まだ小さいのに厳しいですよね…。

実は、今回のクルーズ、「ヒグマのメッカ」と言われるルシャ海岸ではヒグマが見られず、ヒグマに遭遇できたのはルシャに着くまでの2カ所の海岸でした。このクルーズの前の「ヒグマウォッチングコース(ルシャ海岸クルーズ)」では、5頭ほどいたらしいです。川の近くには、遡上するマスやサケを狙ってヒグマが集まるそうですが、今年はカラフトマスもサケも少ないらしく、ヒグマも苦労しているらしい。もしかしたらそんな理由で今年は市街地でのクマの出没が多いのかもしれませんね。

ヒグマだけではなく、運が良ければ海の生き物(クジラやイルカ)に遭遇することもあるらしい。ですが、本気でクジラなどが見たい場合は、羅臼側へどうぞ。

知床岬

クルーザーは知床岬で折り返して港へ。帰路も景色が楽しめるのですが、ヒグマを安全に楽しめて大満足の私は、船室で爆睡でした(笑)

DATA
知床クルーザー観光船ドルフィン
住所:北海道斜里郡斜里町ウトロ東52
公式HP:知床クルーザー観光船ドルフィン

ゴジラ岩観光
住所:北海道斜里郡斜里町ウトロ東51
公式HP:ゴジラ岩観光

ヒグマならウトロ、クジラ・イルカなら羅臼へ

今回の観光船はウトロから乗船。ヒグマや知床半島の自然を楽しみたいならウトロから、クジラやイルカを見たいなら羅臼からの船に乗るといいでしょう。船に乗らなくても、ドライブ途中で野生動物に遭遇する可能性も大!車の運転にもじゅうぶん気を付けて楽しんでくださいね!

東郷 カオル

トラベルライター