軽石被害の状況を奄美群島・与論島から現地レポート

東郷 カオル

トラベルライター

大量の軽石が与論島や奄美大島、喜界島、沖縄本島に漂着し、白い砂浜を灰色に覆っています。いったいなぜ!?実はこれ、8月に起こった、1,200Km以上も離れた小笠原諸島の海底火山の噴火による影響。福徳岡ノ場で戦後最大級の噴火が起き、その噴火でできた軽石が2か月かけて沖縄や奄美群島に押し寄せているんです。

被害状況は?今現在どんな様子なの?2021年11月、気になる現地の様子を徹底リポートします。

小笠原諸島の海底火山噴火が奄美群島に影響!?

今年の4月に訪れた与論島があまりにも天国だったので、観光客も落ち着くであろう11月に再訪の予定を立てた頃のこと。喜界島にどこからともなく灰色の石が流れ着いたという噂が。

2021年4月の与論島。ウソみたいに真っ白なビーチが眩しい!!

その灰色の石の正体は、1200kmも離れた小笠原諸島の海底火山の噴火による軽石ということがわかり、そして、あれよあれよという間に与論島や沖縄本島、徳之島、奄美大島などで被害が広がります。そして軽石被害が収まる気配もないまま、筆者も旅立ちの日を迎えたのでした。

那覇港から与論港へのフェリーの様子

今回の旅は、那覇港からフェリーを利用して与論港へ。約5時間の船旅です。

フェリーが出港した直後は、海を漂う軽石を探すのに苦労するくらい軽石は見当たりませんでした。この時点(11月3日)では、那覇近辺に限っては、それほど酷い状態ではない印象。

ところが!!恩納村の手前辺りから、軽石の帯が多数見つかり、その帯の間隔はどんどん狭くなり、連日ニュースで報道される恩納村の酷い状況に納得。できればこの軽石が恩納村に流れつかないようにブロックしたい!

タッチュー(城山)がシンボルの伊江島近辺では、帯どころか面になって広がる軽石も。恩納村沖を超えたあたりから、明らかに海を漂う軽石が増えた感じ。

運天港と伊是名島、伊平野島の間では、軽石状況は更に悪化!

この翌々日、運天港に大量の軽石が流れ込み、港が使えなくなり、伊是名・伊平屋と運天港を結ぶフェリーが欠航となったらしい…。

軽石被害・与論島の現状

与論島は、沖縄本島の23Km北東に浮かぶ美しい島。沖縄本島と近いのですが鹿児島県に属する島で、近年では「百合ヶ浜」という、年に数回沖合に現れる真っ白な砂浜で知られています。

ニュースでは、軽石の影響で港にタンカーが入れなくて、電力供給に不安が生じているとのこと。いったい今の与論島がどのような様子なのかを、一部、今年4月の状況と比較して詳しくお伝えします。

まずは、フェリーが発着する与論港。

うぉー!!めちゃくちゃキレイです!!白い砂浜も見えるし、もしかしたら軽石、どこかに行った?

しかし、港に迎えに来てくれたレンタカー屋さんのお姉さんに軽石状況を聞いたところ、「酷いです…」とのこと。お姉さん曰く、与論港はマシだけど、町の中心に近い茶花海岸や、美しい白砂の海岸の被害が大きいとか。

早速、酷い状況だという茶花海岸に軽石状況を見に行ってみました。

なんと海面一面が軽石に覆われ、地面が波打って動いているような気持ち悪い感じです。

見渡す限りの軽石。これ、海面です!

うっわ!茶花海岸、酷い…。これは船は無理だわ~。遠く右手に見えるピンクの屋根の白い建物のある場所が、ウドノスビーチです。あとで行ってみましょう。

まずは、島をぐるっと一周。

百合ヶ浜渡しが出る大金久海岸

大金久海岸(おおがねくかいがん)は、約2Kmに渡って真っ白な海岸が続く美しいビーチです。遠浅の海が続き、干潮になるとこの大金久海岸の沖合に百合ヶ浜が出現します。

こちらは百合ヶ浜がよく見える「ゆいの丘」からの大金久海岸の様子(2021年4月)

ここからの景色はとてもキレイで、4月はここで数時間ぼーっとしておりました。特に干潮時の海のグラデーションが最高!何種類もの青、碧、アオ!

この景色がどうなったかというと…

こちらが2021年11月の大金久海岸の様子です。砂浜に見える灰色の帯状のものが軽石です。乾くと灰色になりますが、濡れていると黒っぽく見えます。

軽石は海を漂いながら岸に近づき、波に打ち上げられて帯状に漂着します。干潮時にはこのような筋になって海岸に黒い模様を作りますが、これが満潮になると、海面をゆらゆらと漂うのです。

ただし、海岸に行って、近くから撮ると、意外と軽石の影響のない写真が撮れるもんです。

大金久海岸の様子(2021年4月)

ほぼ同じ場所からの大金久海岸。

大金久海岸の様子(2021年11月)

このように軽石が見えないような撮り方もできます。この写真の場合は、砂浜と海の境目の傾斜部分に軽石があって、写真では隠れています。

ちなみに大金久海岸にはマリンアクティビティの業者さんやお土産を売るおばあちゃんがいるのですが、まぁまぁ高齢の地元民同士の会話が、本土の私たちには全く聞き取れないという事実がわかり、衝撃でした!私、与論語よりも英語とか中国語とか韓国語のほうが聞き取れるかも(笑)

大金久海岸は、与論の言葉だと「ウフガニク・ナーガニク」というらしいです。多分、島の若い子はもう使わない言葉なんでしょうね。軽石被害も衝撃でしたが、この方言(言語?)も衝撃。景色もそうですが、こういうその土地特有の言葉は、ずっと残ってほしいなぁと思うもののひとつです。

DATA
大金久海岸
住所:鹿児島県大島郡与論町古里
web:ヨロン島観光ガイド

気になる百合ヶ浜は…

みんなが気にしていた百合ガ浜の無事を確認!!良かった。軽石は全く見られず、安心しました。

ただし、百合ヶ浜は、冬の間は見られないので、来年の春までお預けです。

DATA
百合ヶ浜
住所:鹿児島県大島郡与論町 大金久海岸の沖合い約1.5km
web:ヨロン島観光ガイド

ウミガメとお散歩できる皆田海岸

皆田海岸は、遠浅の青い海が美しい海岸で、地元では「ミナタ」と呼ばれているようです。干潮時にはすぐ沖合に浮かぶ島まで歩けるほどの遠浅。足が届くので、SUPやシュノーケルなどのマリンアクティビティを楽しむのにも安全でおすすめです

2021年4月のミナタ

美しいミナタにも、やはり軽石が押し寄せていました(涙)

スロープの脇に軽石が漂っていますが、海は変わらずめちゃくちゃキレイです

干潮時は海岸の上に帯状に黒い模様を作り、満潮時には写真のようにアメーバのごとく海を漂います。

〇で囲んだ部分が軽石

でも、海に入ってしまえばさほど気になるものではありません。実際、ほとんどの場所はアクティビティをするのに影響がありません。そして、心配していたウミガメも、カクレクマノミも、元気でした!

DATA
皆田海岸
住所:鹿児島県大島郡与論町古里783
web:ヨロン島観光ガイド

嵐のMV撮影がされたウドノスビーチ

さきほど茶花海岸から見えていたウドノスビーチです。ウドノスビーチは島の中心地に近いのですが、白い砂浜と青い海がとってもキレイな海岸。2020年には、嵐の5人が『IN THE SUMMER』のMV撮影に訪れたそうですよ。

2021年4月のウドノスビーチ。きめの細かいキレイな砂浜です。

茶花海岸から見えるほど近いのに、こちらはそれほど軽石の影響を受けていませんでした。

浜辺に少し黒い筋が付いていますね。茶花海岸は壊滅的状況だったのですが、ウドノスビーチはそこまで酷くはない。ちょっとした向きや地形、潮の流れでかなり違うようです。

DATA
ウドノスビーチ
住所:鹿児島県大島郡与論町茶花2352-3
web:ヨロン島観光ガイド

軽石回収作業に参加

せっかくなので、滞在中に軽石回収作業のお手伝いをしてきました(というか、手伝う気満々で、軍手持参で旅に出ました)。町の中心から近い茶花海岸などではボランティアによる大規模な回収作業が行われたのですが、まだミナタや大金久海岸などには救いの手が届かず、個人・グループレベルでの活動になっているようです。

私はミナタで、お世話になったアクティビティ業者の活動に参加させていただきました。手作業で軽石を大きな袋に詰めていきます。「重機で取ればいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、重機だと軽石の下の白いキレイな砂浜までも持っていかれそう…。

ミナタでアクティビティを行う「SUPよろん」さんの呼びかけで集まった仲間と一緒に軽石回収作業

果てしない作業なのですが、小さな一歩も積み重ねていけば未来のための大きな力になるかもしれない…と祈って!

みなさんも浜辺で軽石を見かけたら、少しでも、環境課が用意したこの黒い袋に入れてくださいね。

軽石問題で旅行できないわけじゃない!

この記事はアフターコロナの観光ムードに冷や水を浴びせるものではなく、訪れる人に現状を知ってもらい、その上で楽しんでもらいたいと思って、与論島の現状を紹介したものです。まだまだ詳しいことはわかっていませんが、軽石の被害はその時々で場所や規模が異なるようです。沖縄では、昨日まで軽石でびっしりだったのに翌日にはなくなっていたというニュースもあるほど。

この自然現象は1~2年続くという専門家の見方もあるので、「軽石がなくなるまで南の島には観光に行かない」なんてことになると、観光産業が大きな収入源となっている沖縄や奄美群島の経済に大きな打撃を与えかねません。実際行ってみたら、場所や時間を選べば普段と変わらずキレイな海を楽しめることがわかりました。

南の島への旅行を考えている皆さんには、状況を理解したうえで、島旅を楽しんでいただきたいと願っています。軽石状況は日々異なります。旅行日程が近づいてきたら、軽石に関するニュースなどに注意しておくことをおすすめします。

東郷 カオル

トラベルライター