EUヨーロッパ連合のデジタル健康証明書をはじめ、観光客受け入れ積極派の国で取り入れられているワクチンパスポートことワクチン接種証明。日本も2021年7月26日から申請が始まり、申請した方も多いのではないでしょうか。
他国がアプリなど電子証明書の中、日本は紙面での発行となり、他国と仕様が違うため、ビジネスパーソンの渡航でもなかなか認めてもらえない国が多いスタートとなりました。もちろん当初から年内には電子化するという話は開始当初から言われていましたが、ついに12月20日から政府公認のワクチン接種証明書が発行できるアプリが登場。
また、当初、日本は海外渡航の際に提示するだけのものとして、この制度を導入しましたが、2021年10月、緊急事態宣言が解除されたと同時に、ワクチン接種証明書活用の実証実験を始め、国内で使用することが明らかに。その時点で海外渡航するひとではなくても、取得可能となりました。
またワクチン・検査パッケージを2022年1月後半再開予定のGoToトラベルキャンペーンに活用することが決まっており、感染拡大時には日常でも提示することで外食などの制限緩和を受けられるものとして報道されています。
ワクチン接種証明書はどんなものなのか見ていきましょう!
目次
日本のワクチン接種証明書とは?
ワクチン接種証明書は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種証明書のこと。予防接種法に基づいて実施されている各市町村での新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の記録を公的に証明するものとして、接種者の申請で交付されるものです。
ワクチン接種証明書があればできること
EUヨーロッパ連合はデジタル健康証明書を導入。加盟国の中には、提示することで入国制限を解除してくれる国や、検閲のための隔離措置の免除などの緩和をする国が多く、新型コロナウィルス感染拡大中の今の渡航には、必要なものとなりつつあります。また、EUを皮切りに、アメリカが入国の際にワクチン接種証明書の提示を義務化し、アフターコロナの入国のスタンダードなものとなりました。
ワクチン・検査パッケージで感染時の行動制限緩和を目指す
政府は10月、12の都道府県と旅行会社や飲食施設で、ワクチン接種証明書提示かPCR検査陰性証明書の提示で、県境を超える旅行などの移動や、飲食店での飲酒、大規模イベントの参加を認める「ワクチン接種・検査パッケージで」の実証実験を行い、GoToトラベル事業での活用と、感染拡大時に利用する考えであることを発表。
感染拡大時ではなくて、積極的に「ワクチン接種証明書を提示した方にはサービス価格」というような試みをを始めた宿泊施設やレジャー施設で、飲食店を見かけるようになりました。
ただし、ワクチンを必要回数接種しても、感染が防げるわけではなく、接種できない人もいます。様々な体制作りが課題となりますが、これまで苦しんできた飲食業界の皆さんや、観光業の皆さんも、今後感染拡大があった時にも営業を止める必要がないという、希望の光が見えてきました。
日本のワクチンパスポートが認められている国※12月20日最新
残念ながら2021年12月20日現在はオミクロン株感染拡大のため、世界中の国が入国制限を厳格化しています。それは日本も同様です。
本来、EUヨーロッパ連合の加盟国の多くが、日本からの渡航は出国72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明、もしくは、ワクチン接種証明書の提示、といういずれかの選択で可能としていました。
しかし、現在は多くの国でワクチン接種証明書と陰性証明書のどちらも必要となっており、陰性証明書の有効期限が、出発前24時間以内という非常に厳しい条件が備わりました。
遠方の国からの入国ができない状態です。
2021年12月20日の時点で日本のワクチン接種証明が認められている国は以下の国々。ただし、ワクチン接種証明書があれば、すべての入国制限が解除されるわけではありません。必ず申請や、陰性証明書、その他の書類が必要になります。渡航を考えている方は必ず渡航国の最新入国状況を把握するようにしましょう。
アジア
インドネシア
韓国※隔離免除書発行に必要な書類のひとつである「予防接種証明書」として認められます。
シンガポール
スリランカ
タイ
バングラデシュ
東ティモール
フィリピン
ブータン
ブルネイ
ベトナム
香港
マレーシア
モルディブ
モンゴル
オセアニア
オーストラリア
サモア
ニュージーランド
パプアニューギニア
パラオ
マーシャル諸島
ソロモン諸島
※事前承認の要件の内のひとつであるワクチン接種証明書提出に際し、日本のワクチン接種証明書が有効と認められています。
北米
カナダ
米国
中南米
アルゼンチン
英領バミューダ
エクアドル
エルサルバドル
グアテマラ
ジャマイカ
コスタリカ
セントクリストファー・ネービス
セントビンセント
ドミニカ国
ニカラグア
※入国制限緩和に有効な書類として認めているものの、なぜか現時点では入国時にワクチン接種証明書の提示は求められていません。
パラグアイ
ベリーズ
ホンジュラス
ヨーロッパ
アイスランド
アイルランド
アンドラ
イタリア
英国
エストニア
オーストリア
オランダ
ギリシャ
コソボ
ジョージア
スイス
スペイン
スロバキア
スロベニア
デンマーク
ドイツ
◎トルクメニスタン
◎バチカン
◎フィンランド
◎フランス
※渡航手続とは別に、フランス国内でレストラン等の入店等に際して求められる衛生パス(pass sanitaire)」があります。QRコードでの読み込みが必要なので、詳細は駐日フランス大使館ホームページの外国人旅行者向け衛生パスの説明)を確認のこと。
◎ブルガリア
◎ベラルーシ
◎ベルギー
◎ポーランド
◎ボスニア・ヘルツェゴビナ
◎マルタ
◎リトアニア
中東
アラブ首長国連邦
イスラエル
オマーン
チュニジア
トルコ
バーレーン
アフリカ
アンゴラ
エチオピア
ガボン
セーシェル
国により入国の緩和条件が異なり、これ以外にも書類や入国許可証など多くの条件がある国が大部分です。なお、こち他の国々の情報は随時外務省の公式ホームページで更新中です。
外務省公式サイト:新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域一覧
ワクチン接種証明書はどこに申請するの?
「パスポート」という通称があるくらいだから、パスポートセンターで申請するの?なんて思ってしまいそうですが、申請先は、新型コロナウィルス感染症のワクチン接種を受けた際の、接種券を発行した市町村(通常は住民票のある市町村)で申請します。
接種後に引っ越した場合は、引っ越し先で申請でき、1 回目の接種と 2 回目の接種が別の市町村の接種券を使用して接種した…という場合には、それぞれの市町村が申請先となります。
申請に必要なものは?
申請に必要な書類は以下です。
(1)各市町村で準備される申請書
(2)海外渡航時に有効なパスポート(旅券番号・ローマ字氏名が確認できるページ)の写し
※接種証明書に記載されるパスポート番号と海外渡航に使用するパスポートの番号が一致する必要があります
※接種証明書を取得した後にパスポート番号が変わった場合には、接種証明書を改めて取得する
※パスポートを申請中の方は、パスポートが交付された後に接種証明の申請を開始してください
※外国籍の方等、外国政府の発行する旅券でも申請は可能です。
(3)接種券のうち「予診のみ」部分
※(3)がない場合、マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーが記載された住民票の写しでも可能)が必要です。マイナンバーが確認できる書類が提示できない場合は、接種時の住所が記載された本人確認書類でも可能です。
(4)接種済証又は接種記録書
※(4)を紛失した場合は、予診票の写し(本人控え)でもかまいません。
注)各自治体により、必要書類が微妙に異なる場合があるので必ず接種を受けた自治体の公式サイトを確認すること!
接種証明には何が書いてあるの?
接種証明書には、接種者の氏名、生年月日などの個人情報、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種記録(ワクチンの種類、接種年月日等)、海外渡航時に利用できるよう、旅券番号等が記載され、日本語と英語で表記されます。また紙面は偽造防止対策を行うとのこと。
市町村によって申請方法が異なる!
ワクチンパスポートの各市町村の申請方法は、それぞれ異なります。
・郵送
必要書類と返送用の切手を貼った封筒を同封。市区町村によって異なりますが、到着後一週間程度で送られてきます。例えば東京都大田区は羽田空港のある区なのに当面、郵送だけで対応予定です。
・窓口
郵送と窓口での両方の対応を行う市町村が大部分を占めますが、中には急な海外出張などに備えて、当日中に発行できる対応を取る市町村もある模様。
・ごく稀にインターネットで申請可能な自治体も
郵送や窓口での受付が、あまりにもアナログだと驚いている皆さん。兵庫県神戸市はなんとインターネット申請を行うそうです。非常に稀ですが、今後申請が増えれば、環境が変わることもあります。このような市町村もあるので、ワクチンの必要回数を打ち終えた方で渡航が必要な方は、接種を受けた市町村の公式サイトをチェック。
2021年12月20日ワクチン接種証明書発行アプリが遂に登場
これまでコロナ禍にビジネスなどで渡航をしたことがある人は「うわあ、日本のワクチン接種証明書、紙かよ。だっせぇ!」という目で入国時に見られたことがある人も多いのではないでしょうか(口悪いぞ)。
その悔しさを吹き飛ばす画期的なアプリが登場したのです。その名も「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」。日本らしく何の面白みもない名前です!
その名も新型コロナワクチン接種証明書アプリ
新型コロナワクチン接種証明書アプリは、日本政府が公式に提供する、新型コロナワクチン接種証明書を取得できるアプリです。そのまんまです。
新型コロナワクチン接種証明書アプリの使い方は?
まずは、App StoreまたはGoogle Playで「接種証明書アプリ」と検索すれば、インストールできます。
利用できるのはマイナンバー所有者のみ
やった!もう紙なんかで申請するもんか、と意気込んでダウンロードしようとしている方、ストップ!まずはこのアプリ、マイナンバーカードを持っている人しか使えないものなのです。
マイナンバーカードと、使用時、マイナンバーカードの券面入力補助用暗証番号(カード受取の際に設定した4桁の数字)・パスポート(海外用を発行する方)が必要で、動作環境としては、マイナンバーカードが読み取れる(NFC Type B対応)端末に限定されます。
◎iOS 13.7以上
◎Android 8.0以上
というわけで、マイナンバーカードを持っていない筆者は、マイナンバーカードから始めたいと思います(涙)。マイナンバーカードをお持ちの方は、以下のシンプルすぎるデジタル庁の公式サイトをご参照ください。
デジタル庁:新型コロナワクチン接種証明書アプリ
日本は海外への渡航制限は継続中
ワクチン接種証明書が簡単に発行されるのであれば、海外旅行ができるの?とついついパスポートを見始めてしまいますね。しかも、観光客の受け入れを始めた国も増え始め、一部ではありますが「ワクチン接種証明書提示と陰性証明書の提示で日本からの入国制限を解除する」としている国すらあります。
しかし…日本は全世界に対し、「感染症危険情報」レベル3(渡航は止めてください)を、レベル3の国・地域を除く全世界にレベル2(不要不急の渡航は止めてください)を引き続き発出中。残念ですがまだ海外旅行へ気軽に出かけよう!という状況にありません。
特に2021年11月30日0時から、日本は新型コロナウィルス変異株「オミクロン株」の上陸を防ぐために入国制限を厳格化。せっかく少しだけ緩和に動いていた日本でしたが、再び全世界からの入国を一時停止しました。特に警戒されている国からの帰国時は、日本の検閲所が指定する施設で待機しなくてはなりません。これは自宅などの自己待機と異なりかなり隔離に近いもの。
詳しくは厚生労働省公式サイトを確認してください。⇒厚生労働省公式サイト 検閲所が確保する施設での待機
また帰国時にはどこの国であっても、帰国便搭乗72時間前に受検したPCR検査の陰性証明が必要で、それは日本政府が認める証明書しか受け付けられません。⇒厚生労働省公式サイト 有効な陰性証明
ほかにも14日間の自宅などでの自己待機、空港からの公共交通機関利用の禁止など厳しい制限があり、最近では制限を守る人が増えたため日本政府への誓約書を書かされることになっています。そしてそれが提示できない方は、入国を拒否され、14日間空港検閲が管理する宿泊施設に隔離同然の待機を強制されることになります。
ワクチン接種証明で日本入国時に緩和されるものとは?
オミクロン株の影響で一時停止中ですが、日本帰国の際、ワクチン接種証明書の写しを提出することで、以下の緩和が可能です。
・入国後14日間の待機期間の一部が免除され10日間に
・渡航国によって義務とされている検疫所が確保する宿泊施設での3日間の待機が免除
おお、10日間になるだけでも進歩だぁなんて思わないでくださいね。ニュース番組やワイドショーでは「10日間に短縮!」なんて大々的に言っていましたが、入国後14日間の待機期間の一部を短縮するためには
入国後10日目以降に自主検査を受け、厚生労働省の入国者健康確認センターに陰性の結果を届け出ることが必要
なんだそうです。もちろん実費です。
正直言ってもいいですか。そんな面倒な思いをするくらいなら、14日間自己待機した方が良くないでしょうか!?
しかし、もし、いま日本がワクチン接種証明書を提示することで入国制限を全部解除するようなことになれば、他国の陰性証明書も認めざるを得なくなってしまいます。ワクチン接種では感染を防ぐことはできず、ウィルスが体内に入っても発症しない、重症化しないなどの確立が高くなるだけです。
いくら接種証明書があっても、新たな変異株も含め大量に新型コロナウィルスが入ってくるわけで、それを阻止しないといけない事情があります。
実際の入国体験を元に、2021年11月10日現在の入国制限についてまとめました。以下の記事を合わせてお読みください。
それでも海外旅行への第一歩こそワクチンパスポート
なんだ…ワクチンパスポートが申請できても、海外旅行がすぐできる状況ではないのか…とがっかりしているみなさん。それでも渡航した方が困らないよう、国内での使用ができるよう日本が動き始めたということは、ビジネスなど必要な渡航からとはいえ、そのずっと先に、海外旅行の再開の日が待っているということを忘れないでください。
いつか笑顔で空港にいる自分を夢見て!
※ワクチンを接種するかしないかは個人の判断であり、接種証明書の発行により、ワクチン接種を強制するものではありません。
※接種証明書を所持していないことで、海外への渡航ができなくなるものではありません。
※そのほか注意事項は厚生労働省公式サイトをご参照ください。