黒川温泉(熊本県南小国町)は、西日本を代表する人気温泉地のひとつ。高速道路も駅も遠い里山の温泉地ですが、約30軒の旅館が協力し合い、独自の和情緒溢れた温泉風情を形成。近年は全国の温泉地のモデルケースとなり、一躍全国区の温泉地となりました。
黒川温泉の大きな特色のひとつが、各宿の露天風呂を自由に3軒めぐる「入湯手形」です。今回は筆者自ら黒川温泉の露天風呂をめぐり、旅館の日帰り温泉を3ヶ所ご紹介。また、湯めぐりと一緒に楽しみたい食べ歩きグルメも併せてご紹介します。
黒川温泉の入湯手形とは
黒川温泉(熊本県南小国町)は、渓谷の両側に和風旅館が点在する里山の温泉地。かつてはひなびた湯治場でしたが、今や九州のみならず全国屈指の人気温泉地として知られています。
その人気の秘密が、1986年に導入された「入湯手形」。一枚1,500円の入浴手形を購入すると、黒川温泉の旅館26ヶ所の露天風呂の中から3ヶ所の温泉に入浴することができます。これが大ヒット商品となり、その後全国各地の温泉地のモデルケースとなりました。
入浴手形は黒川温泉の各旅館をはじめ、温泉街中心部にある「黒川温泉観光旅館協同組合(風の舎)」で購入することができます。黒川温泉観光旅館協同組合では、各宿の露天風呂の最新営業情報をリアルタイムで発信。露天風呂めぐりの際には、情報収集の点で大変重宝します。
筆者も黒川温泉の入浴手形を購入し、3軒の露天風呂を巡ってみました。
DATA
黒川温泉観光旅館協同組合(風の舎)
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6594−3
電話番号:0967-44-0076
営業時間:9時~17時
アクセス
【車】大分自動車道 九重ICから車で約40分
【バス】JR由布院駅から九州横断バスで約1時間40分。JR博多駅から高速バス(直行バス)で約2時間45分
公式サイト:黒川温泉観光旅館協同組合▶
日帰り温泉おすすめ3選
和風旅館 美里
「和風旅館 美里」は温泉街中心部にある民芸調の旅館。黒川温泉観光旅館協同組合(風の舎)から徒歩1~2分程度、と便利な立地にあります。
※以下、「美里」と略します。
美里の大きな魅力の一つが、温泉そのもの。無色透明~青~緑~白濁などと色が変化する泉質で、お湯の違いを求める温泉ファンに大変人気の高い宿です。
私が入浴した時は無色透明でした。泉質名は「単純硫黄温泉」。ちょっぴり酸味のある弱酸性のお湯がかけ流され、皮膚を引き締めつつも古い角質を落としてくれる美肌の湯です。
上写真は、美しく緑白濁した状態の露天風呂です。色のタイミングは運次第としか言いようがありませんが、これはお湯が生き物のように変化する天然温泉である証。希少な色が変化する温泉を満喫できます。
DATA
和風旅館 美里
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6690
電話番号:0967-44-0331
公式サイト:和風旅館 美里▶
和風旅館 美里の予約はこちらから!
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旅館 わかば
「旅館 わかば」は、温泉街の一角(黒川温泉観光旅館協同組合から徒歩7分程度)にある湯宿。緑豊かな立地にあり、非日常な気分へと導かれます。
※以下、「わかば」と略します。
「わかば」は、黒川温泉の中でもとりわけ美肌効果に定評のある湯宿。女性露天風呂は“化粧の湯”と名付けられるほどです。
泉質名は「単純温泉」。黒川温泉が持つ共同源泉と自家源泉をブレンドして源泉かけ流しで提供されています。無色透明のアッサリしたお湯ですが、お風呂から出た後に違いを実感。驚くほどツヤツヤ肌に変貌し、硫酸塩泉系統の保湿系美肌湯と言えるでしょう。
また「わかば」では、日帰り入浴で内湯も入浴可能。シャワーやソープ類も常備され、サッパリと汗を流せる点も嬉しい限りです。
DATA
旅館 わかば
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺6431
電話番号:0967-44-0500
公式サイト:旅館 わかば▶
旅館 わかばの予約はこちらから!
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里の湯 和らく
黒川温泉は温泉街風情が秀逸な温泉地ですが、温泉街から離れた場所にも魅力的な湯宿が点在。より静寂な環境で温泉を楽しみたい方におすすめです。
「里の湯 和らく」は、黒川温泉観光旅館協同組合から車で5分ほど走った山手にある一軒宿風の旅館。“大人の隠れ家”とでも言うべき高級な雰囲気漂いますが、日帰り入浴も積極的に受け入れています。
※以下、和らくと略します。
和らくでは、時間帯で男女入れ替わる2つの個性的な露天風呂があります。そのうちの一つである「野天風呂」(下写真)は、モミジなどの広葉樹に囲まれ、文字通り野天湯気分を満喫できます。
泉質名は「単純硫黄温泉」。特有の硫化水素臭漂うお湯を源泉かけ流しで提供。また硫酸塩泉系統の保湿系美肌湯でもあり、浴後はしっとりと肌が潤います。
もう一つの浴室である「穴湯」(下写真)は、洞窟風の岩風呂。天然温泉を利用した蒸し湯も設置されており、併せて利用することでデトックス効果も期待できます。
ちなみに「和らく」では、野天風呂・穴湯共にシャワーやソープ類は設置されておりません。それは、泉質の良さを入浴客により一層体感してほしいため。裏を返せば温泉の効能に自信がある表れであり、極上美肌湯を存分に楽しむのがおすすめです。
DATA
里の湯 和らく
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6351-1
電話番号:0967-44-0690
公式サイト:里の湯 和らく▶
里の湯 和らくの予約はこちらから!
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食べ歩きグルメのおすすめは?
黒川温泉の楽しみ方は、露天風呂めぐりだけではありません。黒川温泉には魅力的なお店が点在。食べ歩きしながら温泉街をゆるりと巡るのも、黒川温泉流の楽しみ方です。 今回筆者は、スイーツの名店2軒に立ち寄ってみました!
黒川温泉どら焼き家どらどら
「黒川温泉どら焼き家どらどら」は、黒川温泉観光旅館協同組合から「いご坂」という急勾配の道を下りきった途中にある人気スイーツ店です。
中でも人気商品が、どら焼き「どらどらバーガー」。手焼きの皮+北海道産大納言最高級品種「雅」を100%使用したあんこ+大福をサンドしたスイーツです。「阿蘇小国ジャージー牛乳」「抹茶」「カスタード」「カフェオレ」「デコポン」の5種類の味を選べます。
筆者は、「どらどらバーガー 阿蘇小国ジャージー牛乳」を注文してみました。クリーム大福のモチモチとした食感にあんこの上品な甘さが絶妙のお味! 大変美味しく頂けました。
DATA
黒川温泉どら焼き家どらどら
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺黒川6612-2
電話番号:0967-44-1055
営業時間:9時~17時(水曜日定休)
公式サイト:黒川温泉どら焼き家どらどら▶
パティスリー麓
「パティスリー麓」は、いご坂を下りきった場所にある古民家風の洋菓子店です。
ロールケーキ・プリン・焼き菓子など多彩な品揃えで、熊本産にこだわった手造り菓子を提供。途切れることなく観光客が訪れる人気店です。
筆者が注文したのが、「ジャージーシュークリーム」。カリッと焼き上がった表面に、たっぷりとカスタードクリームが詰め込まれています。カスタードクリームは地元阿蘇産の卵や牛乳を原料として使用。上品な甘さの絶品シュークリームを堪能できました!
DATA パティスリー麓 所在地:熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺黒川6610-1 電話番号:0947-48-8101 営業時間:9時~18時(火曜日定休) 公式サイト:パティスリー麓▶
黒川温泉ならではの入浴手形の特色
入湯手形の日帰り入浴と食べ歩きを中心に黒川温泉をご紹介させて頂きました。今回ご紹介した立ち寄り入浴ができる宿や、食べ歩きグルメはほんの一例。他にも魅力的な露天風呂やお店は沢山あるので、開拓してくださいね。
入湯手形は今や日本各地の温泉地でみられますが、黒川温泉の様に爆発的にヒットした事例は極めて希少です。それは一体なぜなのでしょうか?
最後になりますが、黒川温泉ならではの入湯手形の特色を考察してみました。
すべての旅館が露天風呂を所有していること
黒川温泉では、すべての宿と里山の風景すべてを「一つの旅館」ととらえています。つまり、道は廊下・木々や花は中庭の植木・温泉もお宿も一つの大きな旅館の中にあるという考え方です。
かつてこの試みを導入する際、露天風呂が無い宿は、他の宿が敷地を提供することで、すべての宿に露天風呂を設置。自分の宿だけ繁盛すれば良いのではなく、温泉地全体が潤ってこそ未来があるという理念が、黒川温泉の入浴手形の根底にあります。
一見簡単そうに見えますが、様々な利害が絡み合う旅館業界では大変貴重な事例。真の意味で利用者ファーストの温泉地と言え、これが人気温泉地であり続ける理由の一つでしょう。
多くの宿で自家源泉を所有し、宿によって泉質が異なること
黒川温泉の大きな魅力の一つが、泉質の多彩さ。黒川温泉の泉質は、基本的に「ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉」など保湿系の塩類泉が主です。しかし細かく言えば7種類の泉質を楽しめ、酸性から弱アルカリ性まで幅広く揃った温泉地なのです。さらには微量の鉄分や硫黄成分によって微妙な湯の個性・違いを楽しめ、湯めぐりの醍醐味を感じさせます。
これだけ多彩な泉質を楽しめる温泉地は、別府温泉郷(大分県)や鳴子温泉郷(宮城県)など有名な例がありますが、全国的にも貴重な存在。決して雰囲気重視の温泉地では無く、泉質の違いを楽しみたい温泉ファンにこそおすすめしたい温泉地なのです。
入湯手形は一部の飲食・お土産でも利用可能なこと
黒川温泉の入湯手形は露天風呂に入るだけではありません。一部の飲食店やショップでも利用可能です。例えば、露天風呂に入った後にスイーツやドリンクで休憩、最後に別の露天風呂で一浴、などの利用もおすすめです。
黒川温泉の入浴手形は、手形裏面に貼ってある3枚のシールを1施設利用のごとに1枚はがして使用します。シール3枚のうち赤色2枚は露天風呂に、緑色1枚は露天風呂もしくは飲食・土産に利用できます。具体的に言うと、飲食・土産で利用できるお店と商品はあらかじめ決まっており、緑色のシールを使うと指定された商品を無料で頂けます。
※入湯手形の詳細な使用方法・入湯手形で使える飲食・お土産の商品一覧は、本記事最後にある「黒川温泉観光旅館協同組合 入湯手形」のリンクをご参照ください。
DATA 黒川温泉観光旅館協同組合 入湯手形 料金:大人1,500円、子供700円 購入方法:黒川温泉内の各旅館、または黒川温泉観光旅館協同組合(風の舎)にて販売 有効期限:購入日から6ヶ月 入浴時間:8時30分~21時 ※宿によって臨時休業など休みの場合もあります。黒川温泉観光旅館協同組合では最新情報をリアルタイムで発信しているので、利用の際はチェックしてみることをおすすめします。 公式サイト:黒川温泉観光旅館協同組合 入湯手形▶