2022年3月1日、日本とタイの渡航条件が大幅に緩和され、最小限の隔離や待機で往復が可能になりました!
筆者はタイ・バンコクに在住していますが、このコロナ関連の規制で2年以上日本に帰国することを断念していました。ところが、この規制緩和の知らせを受けて一時帰国を決断!3月末から4月上旬にかけて、日本に帰国することができました。
ただ、大きく緩和されたとはいえ、コロナ前にはなかった規制がまだまだ残っています。タイと日本を何度も往復したことがある筆者でさえ、いろいろ戸惑うことがありました。そこで、これからタイに渡航する方のご参考に、今回の渡航体験記をまとめてみたいと思います。
実際に筆者が使ったルートは、タイから日本への一時帰国ですが、日本からタイに渡航する方のために、日本からタイへの旅行の順序でご紹介しますね。
2022年4月10日現在の渡航条件でまとめましたが、今後も緩和される可能性があります。また、渡航する方のワクチン接種状況などによって渡航条件が異なります。実際に渡航される場合は、タイ大使館や厚生労働省などのサイトで、最新の情報を確認いただくことをおすすめします。
なお、タイは5月1日から、大幅な入国制限緩和を行いました。この体験記とはすでに異なる入国方法になりましたので、以下の記事を確認するようにしてください。
目次
隔離なしで日本からタイに渡航するための条件とは?
4月10日現在、隔離や自宅待機なしでの日本とタイの主な入国条件は下記の通りです。
条件を満たさない場合は、隔離や自宅待機が必要です。
タイ入国時
・有効なワクチンを接種済みであること
タイがワクチン接種を完了条件は2度。3度目のブースター接種は不要
・入国後1泊目に指定のホテルに滞在しPCR検査で陰性であること
日本入国時
・有効なワクチンを3回接種済みであること
・フライト搭乗前72時間以内のPCR検査で陰性であること
・日本到着後の空港検疫で陰性であること
最初の難関はタイランドパスの申請
2022年4月現在、タイに入国する場合には、タイランドパスというシステムによる事前登録が必要です。
今回の渡航で、一番大変だったのがタイランドパスの申請でした。必要書類を全て揃えてから申請し、承認されるまで4日かかりました。タイへの渡航が決まったら早目に準備を始め、タイランドパスの申請をすることをおすすめします。タイランドパスの申請時期はタイ入国日の60〜7日前までです。
それでは書類の準備方法を順番に説明しましょう!
①旅行日程を決めてフライトを予約
私はタイ国際航空のウェブサイトから自分で航空券を予約して、Eチケットをメールで送ってもらいました。
②ワクチン接種証明書を入手
英文で書かれた新型コロナウイルス感染症予防接種証明書(いわゆるワクチンパスポート)を入手すれば大丈夫。
日本のワクチン接種証明書取得方法
マイナンバーカードを持っている場合:デジタル庁のワクチン接種証明書アプリをダウンロード。マイナンバーと接種履歴は紐づいているため、簡単に取得できます。⇒デジタル庁 新型コロナワクチン接種証明書アプリ
マイナンバーカードを持っていない場合:住んでいる市区町村に申請。郵送・web申請・窓口申請など住んでいる自治体で異なるため、直接問い合わせましょう。紙申請でもQRコードが添付してあり、デジタル表示が可能です。
③タイ到着後のホテル(テスト&ゴー)の予約
タイ到着後は、タイ政府が定めるSHA++認定を受けたホテルに1泊してPCR検査を受け、結果が陰性であることがわかるまで、室内で待機する必要があります。これは、テスト&ゴー(Test&Go)と呼ばれています。各ホテルでパッケージプランを販売しているほか、agoda(アゴダ)でも予約できるようです。
テスト&ゴーのパッケージには、宿泊料金以外に、空港からホテルまでの送迎、PCR検査料金、ATK検査(抗原検査)キットの料金が含まれていなければなりません(4月10日現在)。タイランドパス申請時には、料金支払済みのホテル予約確認書が必要となります。
私は、まず泊まりたいホテルを自分でさがして、ホテルのウェブサイトでテスト&ゴーのパッケージがあるかどうかを確認しました。その後、直接メールでホテルに連絡して予約し、予約確認書をメールで送ってもらいました。
④海外旅行医療保険への加入
タイへの渡航には、タイ滞在期間中有効で、2万USドル以上補償される医療保険に加入する必要があります。
タイランドパス申請時には、医療保険に加入していることを証明する英文証明書も必要となります。保険に加入する際、英文証明書の発行が可能かどうか、確認しておきましょう。また、証明書の補償額は、日本円ではなく、USドルで記載されている必要があります。
※私はタイ在住のため、タイの社会保険の証明書を準備しました。
⑤すべての必要書類をJPEG形式で用意
上記①〜④の必要書類、及びパスポートをタイランドパス申請用に画像(jpegファイル形式)で準備します。
ここが意外とめんどくさいのですが、私は全ての書類を一旦紙に印刷して、スマホで写真を撮ってパソコンに保存しました。
パスポートの写真のページは、見開きではなく、写真のページのみを準備します。
ワクチンパスポートは、証明書全体の写真とQRコードのみをトリミングしたものを用意しておくといいでしょう。
⑥オンラインでタイランドパス申請
準備が出来たら、いよいよタイランドパスの申請です。入力事項が多いので、時間的に余裕をもって挑みましょう。ちなみに、私は写真の撮り直しなどで手間取って、申請に2時間以上かかりました。もし可能であれば、スマホよりもパソコンで入力する方が、作業がしやすいと思います。
タイランドパス入力手順
1.タイランドパス申請用サイト(https://tp.consular.go.th/)のホーム画面を開いて「Non-Thai」を選びます。画面は全て英語で表示されます。
2.入国方法は、ワクチン接種済みで、隔離なしでの入国の場合は、「Test & Go」を選びます。入国条件の説明や指定ホテルリストのリンクがあって、最後にある「Select」をクリック。
3.Complianceに関する説明文のページは、最終行の「I hereby certificate that…」で始まる宣誓文の行頭をクリックしてから「Confirm」をクリック。
4.次に、渡航目的、日程、フライトなどを漏れなく入力して「Register」ボタンをクリック。Complianceに関する注意文がでてくるので「Confirm」をクリック。
5.個人情報(Personal Information)を入力して、用意してあったパスポート画像をアップロード。
6.ワクチン接種情報(Vaccination)を入力して、ワクチン接種証明書とQRコードの画像をアップロード。ワクチン接種情報は接種した回数分入力しますが、接種証明書の画像は同じものを何度もアップロードしました。
7.宿泊予約情報(Booking Accommodation Info)は、テスト&ゴーのパッケージプランの内容を入力して、予約確認書をアップロード。
8.最後に海外旅行医療保険の加入内容を入力し、証明書をアップロード。サイト上でも保険が購入できるようでした。
・全て入力すると、入力情報の最終確認ページが表示されます。入力間違いがあると承認されない可能性もあるので、しっかりと確認しましょう。
・入力が完了すると、最後に6桁のアクセスコードが表示されます。登録後に送られてきたEメールにも同じアクセスコードが書いてありました。
・アクセスコードは、承認待ちの間に進捗確認する際に必要です。
⑦タイランドパス承認後のQRコード
申請が終了したら、承認されて、QRコードが送られてくるのをひたすら待ちます。申請から承認までの時間は、タイランドパスのシステム上は「3〜7日」と書いてありますが、かなり個人差があるようです。
私は申請から4日後にQRコードが届きました。知人の中には、10日以上かかった人もいれば、9時間で届いた人もいます。いつ承認されるかわからないので、QRコードが無事届くまで落ち着かない気分で、一番ストレスを感じました。
万一承認されなかった場合は、承認されなかった理由とともに通知が来るようです。その場合、再申請が必要になります。
QRコードはEメールで送られてきます。Eメールに添付されたQRコードに記載されたPDFファイルを印刷しておきましょう。
日本を出国時、空港で必要な書類は?
私は今回、名古屋の中部国際空港(セントレア)からタイ国際航空のバンコク行きを利用しました。
チェックインカウンターでは、パスポートと航空券のほか、タイランドパスのQRコード、タイランドパス申請に使用したワクチン接種証明書、ホテルの宿泊証明書、海外旅行医療保険の証明書を再度チェックするので、あらかじめ印刷したものを準備しておきましょう。
チェックインカウンターでの書類のチェックは思った以上に時間がかかり、私の場合は20分くらいでした。当日はバンコク便の乗客が少なかったので何とか間に合いましたが、時間に余裕をもってチェックインした方がよさそうです。
チェックインが終わったら、通常の手荷物検査と出国手続き。飛行機が離陸すると、コロナ前と同じように、機内食もサービスされました。
タイ・スワンナプーム空港での入国手続き
いよいよバンコクに到着。飛行機から降りて空港内を歩いていくと、まずタイランドパスのチェックポイントがあります。スマホ上でQRコードを提示し、係員が機械で「ピッ」と読み取ったら終わり。混んでいなければ1分もかからず終了です。
その後入国審査を終え、スーツケースを引き取り、税関を通って外に出ます。出口は通常3カ所ありますが、4月時点では1カ所しか通過できませんでした。
外にでたら、テスト&ゴーで宿泊するホテルの送迎業者を探します。迎えの人がホテルの看板を持っていますが、とても混雑していて、すぐに見つからなかったので、その辺にいる人にホテルの名前を告げると、迎えの人を探してくれました。
乗客が到着したのを確認してから車を入口に移動させているらしく、30分近く待ってやっとホテルの送迎車に乗り込みました。
タイ入国時のPCR検査の受け方
テスト&ゴーのパッケージでは、ホテルと提携した病院でPCR検査を受けます。私が泊まったホテルの場合は、ホテルに行く途中でドライブスルーがある病院に立ち寄りました。車の窓を開けると、係の人が鼻腔と喉から綿棒で検体採取して、わずか2〜3分で終わりました。宿泊するホテルによっては、病院の人がホテルまで来てくれる場合もあるようです。
病院では、入国後5日目に使用する抗原検査(ATK検査)キットも手渡されました。
検査後はホテルに行ってチェックイン。検査の結果がわかるまで、ホテルの客室内で待機します。待機中は食事もルームサービスしか頼めません。
チェックインしてから約3時間後、客室の電話が鳴り、結果が陰性だったという連絡がありました。ようやく自由の身です!
その夜はホテルに宿泊しましたが、翌日は通常の宿泊客と同じように、朝食ブッフェも利用することができました。テスト&ゴーでの宿泊体験記は、別の記事で詳しく紹介しました。
タイ入国後5日目にATK検査をしたが・・・
到着時にPCR検査を受けた病院で、抗原検査(ATK検査)キットが渡されました。これは、タイ滞在5日目に自己検査をして、「モーチャナ(Mor Chana)」というタイの位置情報追跡アプリを通じて結果を報告するのだと聞いていました。
通常だと、入国5日目にモーチャナから「Notification」のメッセージとATK検査報告用リンクが送られてきます。リンクを開くと、Lab No.(ATKと記入)、検査日、検査結果などを入力して、検査結果(ATK検査キットに表示された線)の写真をアップロードするようです。
ところが・・・。筆者の場合は、5日たっても報告用のリンクは送られてきませんでした。たまに7日目にリンクが届いたという話も聞いたことがあったので、ためしに1週間待ちました。けれども、何にも音沙汰なく・・・。
待ちきれずに、タイ到着後7日目に渡されたキットで自己検査をしてみました。検査キットの使用方法は、全てタイ語で書かれていました。今までに自分で検査したことがない人にとっては、かなりの難関かもしれません・・・!
タイ滞在中に日本帰国用のPCR検査を受ける
現在、日本に帰国する際には、フライト搭乗前72時間以内の陰性証明書が必要となります。つまり、タイ滞在中にどこかでPCR検査を受ける必要があります。
バンコクであれば、日本語窓口のある私立病院があるので心配はありません。
私は、BTSプルンチット駅から徒歩で行けるバムルンラート病院を利用しました。
事前に予約して、朝7時に検査をしたら、当日夜19時に証明書の受領が可能です。
所用時間は医師の問診を含めて約30分。料金は4700バーツ(約17,000円)でした。
陰性証明書は、病院に行って原本を受け取るか、Eメールで送ってもらうか、どちらかが選べます。私は念のため、病院に原本を受け取りに行きました。
渡航用の陰性証明書は、タイでは「Fit & Fly(フィット・アンド・フライ)」と呼ばれています。日本入国時は、日本政府指定の証明書の様式を使用しなければなりません。バムルンラート病院では、パスポートと航空券を持っていけば、陰性証明書の日本の様式は病院で用意してくれました。
バムルンラート病院やサミティベート病院など、日本人の利用が多い大手の病院は日本語通訳もいます。対応に慣れているし、一番確実だと思いますが、料金は少し高めです。
料金が安いところを3つほど明記します。日本の陰性証明書の対応もしてくれるようです。
・MedConsult Clinic(1500バーツ)
・Sakura Cross Clinic(2500バーツ)
・Renewme Skin Clinic(2900バーツ)
タイ出国前にMySOSのファストトラック登録も忘れずに
タイから日本に帰国する際、陰性証明書を取得する以外に、MySOS(入国者健康居所確認アプリ)を使ったファストトラックの入力(検疫手続事前登録)をしておくと、入国時の手続きがスムーズになります。登録は日本入国前2週間から16時間前まで可能です。
まず専用QRコード又は専用URLからアプリをダウンロードして、個人情報や宣誓書などの必要事項を入力。jpeg形式のワクチン接種証明書をアップロード。私はスマホで証明書の写真を撮ってアップロードしました。
(MySOSの詳細はこちらから→https://www.hco.mhlw.go.jp/fasttrack/)
必要事項を入力すると、画面の色が赤から黄色に変わり、最後に陰性証明書をアップロードすると緑に変わりました。念のため、QRコードのスクリーンショットを撮っておき、これで準備完了。
MySOSのほか、「cocoa」という接触確認アプリのダウンロードもしておきます。
バンコク・スワンナプーム空港でのチェックイン
タイからの出国は深夜便でしたが、タイ航空のチェックインカウンターはびっくりするほどの長蛇の列。出発時間の3時間前には空港に到着した方がよさそうです。
チェックインカウンターでは、MySOSのQRコードと陰性証明書を提示しました。その後、手荷物検査と出国審査を終えて搭乗ゲートへ。特に問題はなく、スムーズに手続きが終わりました。
空港ターミナル内の免税店や飲食店は、以前はクローズしている店が多く、閑散としていましたが、現在は多くのお店が営業を再開しています。だんだんとコロナ前に戻りつつあるようですね。
日本到着後の空港検疫が一番時間がかかった
フライトは深夜便でしたが、機内では離陸後すぐにサンドイッチと水、着陸前に朝食のサービスがありました。いつもなら、深夜便の時は少しでも睡眠をとりたいので、食事はパスしてしまうのですが、今回は到着後の空港検疫に時間がかかると聞いていたので、しっかり朝食を食べておきました。
飛行機が名古屋国際空港に到着。空港に降り立つと、検疫のためのチェックポイントがあって、延々と列が続いていました。3つくらいチェックポイントを通過した後、唾液の検体採取。その後さらに検査結果が出るまで列に並び、ようやく自宅待機なしでの入国が許可されました。
空港に飛行機が到着してから全ての入国手続きが終わるまで、約2時間!
その間、椅子もなくずっと立ちっぱなし。深夜便の後だったので、少し忍耐が必要でした。
何はともあれ、帰国後すぐに公共交通機関の利用ができて、自宅待機もなくなったのは、海外渡航者にとって大きな前進です。
タイの入国規制はさらに緩和される予定
タイ政府は、今後さらに入国規制を緩和し、予定では7月1日から規制をすべて撤廃。コロナ前と同じように自由に旅行が出来るよう準備を進めています。
第一弾として、4月1日からタイへの渡航前72時間以内の陰性証明書の提示が廃止されたばかり。
現在、入国後のホテル滞在とPCR検査を廃止して、空港でのATK検査に替えることが検討されています。こちらは5月頃の実施といわれていますが、タイ国内での新規感染者数が高止まりしているなか、予定通りとなるかどうかは、まだ予断を許さない部分もあるでしょう。
もし本当にタイランドパスとテスト&ゴー(入国後のホテル1泊)が廃止されたら、タイ旅行へのハードルは一気に低くなりますよね。同時に、日本帰国時の水際対策の緩和も、これからもっと進んでいってほしいと思います。待ちに待ったタイ旅行、いよいよ2022年には実現するといいですね。