オーストラリアの象徴「シドニー・オペラハウス」は、シドニー旅行に訪れたら絶対に外せないスポットの一つです。オペラや観劇好きの人はもちろん、歴史や建築好きの人、ドラマティックな旅の写真を残したい人、グルメを堪能したい人まで楽しめる、世界遺産の歌劇場の完全攻略方法をご紹介します。
目次
シドニー・オペラハウスとは?
2007年にユネスコ世界遺産にも登録された、オーストラリアのシドニーにある歌劇場「シドニー・オペラハウス(Sydney Operahouse)」。シドニー湾に突き出た岬の突端に佇む様子は、まるで船の帆や幾重にも重なる白い貝殻のよう。シドニーだけでなく、オーストラリアを代表する象徴的な存在です。
シドニー・オペラハウスの建築と歴史
この独創的な建物を設計したのは、当時まだ無名だったデンマーク人建築家のヨーン・ウッツォン(Jørn Utzon)。それまで主流だった、余計な装飾を排除した直線的なデザインのモダニズム建築に対して、有機的なフォルムの自由で個性的なデザインは「ポスト・モダン建築の代表格」だと言われています。
オペラハウスの完成には、何と16年もの歳月が掛かっています。設計者のウッツォンはデザインコンペの際に最初は落選していたり、その独創的すぎる形状ゆえ技術的な問題や金銭的な問題で工事が中断されたり、ウッツォン本人が建築責任者を解任され母国へ帰国してしまったりなど、計画段階から完成までかなり紆余曲折があったようです。
こんなトラブル続きの中、建築に携わった様々な人々の努力で1973年に建物は遂に完成し、2023年で50周年を迎えました。現在は「世界で最も新しい世界遺産」としてユネスコに登録されており、「オーストラリアで必ず訪れたい場所」の筆頭にあがる人気観光地になっています。
オペラハウスの魅力は、何と言ってもそのフォルムでしょう。当時の建築構造技術を駆使したコンクリート・シェル構造の力強い重厚感と、アーチとガラスに囲まれた柱のない軽やかで開放感ある内部。重さと軽さが絶妙なバランスで保たれています。
外壁に貼られた白とアイボリーの2色のタイルは、スウェーデン製のオーダーメイドだそう。全部で100万枚以上のタイルが建物全体に使われていて、汚れを雨で落とすセルフクリーニング仕様なんだとか。と言いつつも、このように定期的に外壁のクリーニングが行われています。
館内には大小7つのコンサートホールやシアターがあり、オペラやコンサート、演劇やミュージカルなどが毎日催されています。オーストラリアの歴史あるシドニー交響楽団の本拠地でもあるんですよ。
シドニー・オペラハウスの場所とアクセス方法
オペラハウスがあるのは、フェリーやクルーズ船ターミナルのある「サーキュラー・キー(Circular Quay)」。ターミナルの東側から真っ直ぐ伸びるベネロン岬(Bennelong Point)の突端にあり、フェリー乗り場や鉄道駅からは徒歩で5分程度です。
すぐ隣にはオーストラリア最古の植物園「ロイヤル・ボタニック・ガーデン(Royal Botanic Garden)」があり、西側の対岸にはハーバーブリッジや歴史地区・ロックスもあります。シドニーの有数の観光スポットが凝縮している、シドニー旅行では必ず訪れたいエリアです。
シドニー・オペラハウスを内部から楽しむ方法
それではいよいよ世界遺産のオペラハウスに足を踏み入れましょう。まずはオペラハウスの内部を楽しむ方法をご紹介します。
オペラやコンサートを観劇
歌劇場であるオペラハウス。中に入る正攻法としてまず思いつくのは、コンサートや演劇を鑑賞する方法です。時期によって異なりますが、「椿姫」「トゥーランドット」などの正統派オペラから著名アーティストのコンサート、コメディショーなどのカジュアルなものまで、さまざまな演目が上演されています。
チケットはオペラハウスにあるボックスオフィスかホームページから購入できますが、演目によっては売り切れてしまうこともあるのでオンラインがおすすめです。まずは訪れる日程の上演されている複数の演目の中から、気になるものをピックアップし、オンライン上でカード決済。あとは送られたきたメールを入り口で見せるだけです。
DATA 【シドニー・オペラハウス】開催中のイベント
2022年2月現在、オペラハウスは2023年のオープン50周年に向けて大ホールを大規模改修工事中です。ただ工事しているのは大ホールのみなので、他のホールで開催される演目は観覧可能ですよ。
館内見学ツアーに参加
実際に客席に座っての観劇もいいですが、じっくり館内を巡りながら建築や歴史の話に耳を傾けたいなら、館内の見学ツアーはいかがでしょう?ツアーは毎日開催されていて、ワイエやホール、タイミングが合えばリハーサル中の劇場内部など、観劇ではできない味わえない体験ができる1時間のツアーです。
30分間と時間は短めながらも、日本語ガイドによるツアーもあるので、英語に不安があっても問題ありません。定員制ですので、事前にネット予約するのがおすすめです。因みにツアーに参加すれば、ギフトショップの商品が10%オフで購入できますよ!
2024年4月1日から日本語ツアーの料金が、$32.00から$33.00に値上がりするので、ご注意を。
DATA 【シドニー・オペラハウス】館内見学ツアー(英語) 【シドニー・オペラハウス】館内見学ツアー(日本語)
シドニー湾を一望できるホワイエなど、眺望だけでなく、緻密に計算し尽くされた建築の美しさは今でも色褪せることはありません。フォトジェニックなスポットが目白押しなので、くれぐれもスマホやカメラはお忘れなく。
ツアーとオペラ・キッチンでのランチクーポンが付いた「Tour & Dine」というチケットも、1人$80で販売しています。ただこれは選べるメニューも限られていて、実はあまりお得感はありません。普通にハウス・キャンティーンやオペラ・バーに訪れて、好きなものをオーダーした方が楽しめます。
シドニー・オペラハウス観光の裏技!途中までは無料で入場可能
観劇や館内見学ツアーに参加しなくても、実は中のチケットを販売しているボックスオフィスやお土産ショップまでは無料で入場することができます。「時間がないしお金もないけど、ちょっとだけ中を覗きたい」と言う方は、ここまで足を踏み入れてみましょう。ショップに売っている様々なオリジナルグッズも、何気に可愛いものが多くてお土産に喜ばれます。
外からシドニー・オペラハウスを楽しむ
オペラハウスが楽しめるのは、中からだけではありません。オーストラリア唯一無二の象徴的な存在である個性的な外観を、外部からもじっくり楽しみましょう。
正面階段から見上げる
オペラハウスに向かうほとんどの人が最初に目にするであろう、この眺め。正面広場「フォアコート」と、幅100mある約80段の階段「モニュメンタル・ステップ」のダイナミックさはとにかく圧巻です。海に向かって南北に連なる建物が、まるでこちらに向けて大きな口を開けているようにも見えます。
建物の向こうに見えるハーバーブリッジとの対比も、ダイナミックで絵になります。シドニー有数のウェディングフォト撮影スポットなので、天気の良い週末には撮影の順番を待つカップル達が行列を作ることも。風になびく柔らかいヴェールと階段の直線的なラインとのコントラストが、何ともフォトジェニックですね。
オペラハウスとハーバーブリッジとの対比
フォアコート裏手にあるベネロン岬の突端は、オペラハウスとハーバーブリッジ、シドニー湾の壮大な眺めが一度に楽しめる絶景スポット。左手に見えるのが、見学の時に訪れる絶景のホワイエです。こちらに嵌め込まれたトパーズ色のガラスは、フランス製のオーダーメイドのもの。シドニー・オペラハウス独特の渋みのある色合いです。
オペラハウスの住人・オットセイに遭遇!?
ベネロン岬の西端にある、オペラハウスに船で横付けできるセレブ御用達の小さな階段。実はここではセレブならぬ、野生のロング・ノーズド・ファー・シール(long-nosed fur seal)というオットセイに遭遇できることがあります。
2014年からこの辺りを寝床にしていて、ベネロン岬にいるので地元では「ベニー(Benny)」と呼ばれて親しまれています。彼らがここにいる時は大抵泳ぎ疲れて寝ているので、ベネロン岬の先端の階段に行ったら、お昼寝を邪魔しないようにそっと覗いてみてください。
オペラハウスをボタニックガーデンの高台から見下ろす
オペラハウスのすぐ脇にあるロイヤル・ボタニック・ガーデンからも、様々な角度でオペラハウスが楽しめます。筆者のおすすめは、フォアコートの真正面の階段「ターペイアンウェイ(Tarpeian Way)」を上がった場所にある、芝生の広場「ベネロンローン(Bennelong Lawn)」からの眺め。
鉄柵の向こうにそびえ立つオペラハウスと人とのコントラストで、オペラハウスの大きさがより実感できますね。因みにここは映画「ミッション・インポッシブル 3」のエンディングシーンが撮影された場所でもあります。時々イベントなども行われていますが、意外に観光客が少ない穴場スポットです。
オペラハウスをフェリーに乗って様々な角度から堪能
もっとさまざまな角度からオペラハウスを楽しみたい!という方は、是非フェリーに乗って海からのオペラハウスを眺めてみましょう。シドニー市民達にとって日常的な移動手段であるフェリーも、旅行者にとってはカジュアルにクルーズ気分が楽しめるアクティビティになります。
遠出するのもいいですし、対岸のノースシドニー方面にちょっと足を伸ばすのにも、フェリーは大活躍。フェリーに乗っているだけで、陸地からは見られない少し違った表情のオペラハウスが一度に楽しめますよ。
オペラハウスを対岸のノースシドニーから眺める
ハーバーブリッジを渡ったノースシドニー側からは、正面とは違ったオペラハウス北側のファサードが楽しめます。サーキュラー・キーからフェリーで一駅の閑静な住宅地「キリビリ(Kirribilli)」では、建物の間からオペラハウスが顔を出します。
サーキュラー・キーの真正面にあるミルソンズ・ポイント(Milsons Point)周辺の公園からは、オペラハウスとハーバーブリッジ、その間に連なるシティのビル群が一望できます。特におすすめは夕陽の沈む時間帯。沈む夕日に照らされるオペラハウスやハーバーブリッジ、徐々にライトアップされるシティのビル群はため息ものの美しさです。
オペラハウス内のレストランでグルメを堪能
シドニー屈指のロケーションにあるオペラハウスは、観光や観劇だけでなく、実はグルメスポットとしても有名です。オペラハウスに訪れたら是非レストランやバーにも訪れてみましょう。
眺望抜群のオープンエア・バー「オペラバー(Opera Bar)」
オペラ・バー(Opera Bar)はオペラハウスの麓にあるオープンエアのバー。シドニーに数あるロケーションや雰囲気抜群のバーの中でも、オペラハウスを見上げながら波打ち際でお酒が楽しめるのはここだけです。ワインやカクテルの種類も豊富で、シドニーの有名シェフMatt Moran氏がプロデュースしている料理も間違いありません。
「オーストラリアで最もアイコニックな絶景が楽しめるバー」と言われ、ローカルにも観光客にも大人気です。日中は少々日差しが強いので、ここに訪れるならサンセットの時間帯がおすすめ。夕方になると毎日生バンドの演奏も入って、よりいい雰囲気の中で美味しいお酒が楽しめます。
DATA 所在地:Opera Bar, Lower Concourse Level Sydney, New South Wales, 2000 電話番号:+61-2-8587-5900 営業時間:月 - 木 12:00〜20:00 / 金 11:30〜0:30 / 土 11:00〜0:30 / 日 11:00〜22:00 公式サイト:オペラ・バー
オペラバーのお隣「ハウス・キャンティーン(House Canteen)」
ハウス・キャンティーン(House Canteen)は、オペラ・バーのすぐお隣にあるカフェ&レストラン。オペラ・バーとは柵で仕切られているだけなので眺望などはほとんど変わりませんが、朝早くからオープンしているので、コーヒーとサンドイッチでブランチしたり、モダンなアジアンフードでランチやディナーを楽しんだり、夜景を見ながらカクテルを飲んだり、より長い時間オペラハウスを満喫できます。
オペラ・バーと同系列店なので料理も美味しくて眺望も抜群ですが、何故かいつもオペラバーより空いています。若干ワインなどのバラエティが少ない気がしますが、長蛇の列で席が取れないオペラ・バーでただ空席を待つよりは、こちらのお店でのんびり食事をするのが断然オススメです。
DATA 所在地:House Canteen, Lower Concourse Level Sydney, New South Wales, 2000 電話番号:+61-2-9192-4954 営業時間:月 - 日 7:30〜23:00 公式サイト:ハウス・キャンティーン
オペラハウスにある豪版ミシュラン2ツ星レストラン・ベネロング
オーストラリア版ミシュランと言われる、グルメ雑誌「オーストラリアン・グッドフード・ガイド(Australian Good Food Guides)」のシェフズ・ハット・アワード(Chef’s Hat Award)。オペラハウスには、その格付けで2ツ星(2ハット)を獲得しているレストラン「ベネロング(Bennelong)」があります。
繊細で美味しいと評判のモダンオーストラリアンとフレンチのフュージョン料理もさることながら、店内の優雅な雰囲気とサービス、世界遺産の中でお食事をする体験も含めて、特別な日に訪れたい高級レストランです。
DATA 所在地:Bennelong, Bennelong Point, Sydney NSW 2000 電話番号:+61-2-9240-8000 営業時間:水 - 金 5:30〜20:45 / 土 12:00〜14:15 5:30〜20:45 / 日 12:00〜15:00 公式サイト:ベネロング
オペラハウスで五感を刺激
岬の突端から白い輝きを放つオペラハウスは、劇場でありながら神々しく荘厳な雰囲気を漂わせつつも、常に人々が集まり賑わう、皆に愛される存在です。ベタな観光地と揶揄されることもありますが、それでもオーストラリアだけでなく世界中の人々を魅了して止みません。
演劇を観て、音楽を聴いて、建築や歴史を感じ、美味しい料理を味わう。私達の五感の全てを刺激するオペラハウスに、是非訪れてみませんか?
DATA 所在地:Sydney Opera House, Bennelong Point Sydney 2000 電話番号:+61-2-9250-7111 公式サイト:シドニー・オペラハウス