ここ数年でせとうちの旅がオシャレに進化しています。リーズナブルに泊まれる宿泊特化型のホテルや、海岸線ギリギリを走る観光列車、アマン創業者が手がけた宿まで!そして瀬戸内海を巡る足にも変化が。
2020年に誕生した、島々を観光しながら広島港と三原港を移動するクルーズ船「シースピカ(SEA SPICA)」で、移動そのものを楽しめるせとうちの旅をご紹介します。
目次
デザイン性に富んだクルーズ船「シースピカ(SEA SPICA)」
2020年に運航を開始した「シースピカ(以下SEA SPICA)」は、広島港とJR三原駅すぐ近くの三原港を結ぶ観光型高速クルーザーです。瀬戸内海の中でも特に風光明媚なこの区間を、途中の島々で下船して散策しながら、目的の港に向かいます。
実は、私、「SEA SPICA」は2年連続で乗船するほどのお気に入り!というのも、船の上からは素晴らしい景色に出会え、穏やかな瀬戸内海の風と陽射しに癒される極上の時間が過ごせるからです。まさに国内にいながらにして味わえる非日常!
しかも、航路は東向きコースと西向きコースがあり、それぞれ観光できる島に違いがあるんです。「SEA SPICA」の魅力は語ればキリがないのですが、サクッと「SEA SPICA」のお気に入りポイントを挙げてみました。
・美しい瀬戸内海を海の上から楽しめる
・面倒な移動が必要ない
・個人で巡るには時間がかかる島々で下船・観光できる
・繁忙期には島に渡るフェリーも数時間待ちという、うさぎの島(大久野島)へ連れて行ってくれる
・クルーズという優雅な響きと非日常感
・移動そのものが旅になる
・開放的なデッキで日光浴と潮風が楽しめる
・観光ガイドの説明付きなので、下調べが不要
特に、移動せずに観光が楽しめる点などは、小さな子連れファミリーや、高齢の親を連れた親孝行旅には有難いポイントです。
ここからは、細かく「SEA SPICA」での旅の様子をお伝えします!
ゆったりと寛げる船内
「SEA SPICA」は、全席指定になっていて、乗船するには予約が必要です。突然港に行って乗れるわけではないので、ご注意くださいね。予約先については、記事の最後にURLを掲載しておきます。
船内の座席は、寛げるソファー型で、ドリンクホルダーも付いています。後方にはドリンクやお土産を販売するカウンターもありますので、オリジナルグッズを手に入れるチャンスですよ。
また、「SEA SPICA」は「御船印めぐりプロジェクト」に参画しているので、神社でいただく「御朱印」の船バージョンの「御船印」も販売しています。収集している人は、忘れずに入手しましょう。
潮風と太陽を感じる開放的なデッキ
「SEA SPICA」の醍醐味は、この開放的なデッキからの眺めといっても過言ではありません。
デッキは、指定された座席に関係なく誰でも使えるフリースペース。中央にはせとうちの島々をイメージしたユニークなソファーを配置。後方部にはデッキチェアが置かれていて、流れていく景色を惜しむのに最適。
船内では、観光ガイドによる説明が行われていますが、デッキではスピーカーから聞くことができます。しっかりと聞きたい場合は、デッキ中央に座るようにしましょう。サイドのデッキチェアや後方のデッキチェアでは、風や波の音を感じるのには最適ですが、スピーカーの音は聞き取れませんので、ご注意ください。
「SEA SPICA」で楽しめる観光スポットをご紹介
「SEA SPICA」は、東向きコースと西向きコースで上陸する島に違いがあります。また、どちらのコースでもまわれる共通する島もあり。それぞれのポイントをご紹介します。
下蒲刈島(東向きコース)
「SEA SPICA」は、広島港発三原港行き(東向きコース)では下蒲刈島(しもかまがりじま)に上陸し、三ノ瀬地区を散策する時間が設けられています。時間の制約がある観光客が個人で訪れるにはハードルの高い島々に連れて行ってもらえるのは嬉しいサービス!
下蒲刈島は、釜山から大坂(今の大阪)を目指した朝鮮通信使が立ち寄る島でした。朝鮮通信使は、釜山から対馬に渡った後、壱岐、筑前、瀬戸内海の各港を経て大坂へと向かったのです。
「松濤園」では朝鮮通信使の歴史や、豪華にもてなした膳など、当時の様子が学べます。
DATA 松濤園 住所:広島県呉市下蒲刈町下島2277-3 電話番号:0823-65-2900 開館時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで) 休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日) 料金:800円 web:松濤園
大崎下島(西向きコース)
三原港発広島港行き(西向きコース)では大崎下島(おおさきしもじま)に上陸し、御手洗地区の散策が楽しめます。御手洗は、かつては風待ち・潮待ちの港として繁栄した町のひとつです。
御手洗は、伊藤蘭さんの素敵なCMで「ここ、どこだろう!?」と調べた人もいたのではないでしょうか。
私も、あまりの風情ある景色に、webで検索した一人。私の旅好き仲間も、何人もがあのCMに心奪われて、御手洗の重要伝統的建造物群保存地区を訪ねているという場所です。
西向きコースでは、この大崎下島で下船して、まるで時間が止まったようなノスタルジックな町歩きをしばし楽しめます。あのCMに憧れた人は、迷わず西向きコースで!
DATA 御手洗町並み保存地区 住所:広島県呉市豊町御手洗 web:呉市豊町観光協会
大久野島(共通)
大久野島(おおくのしま)は、東向きコース、西向きコースのどちらでも立ち寄る島です。大久野島は、言わずと知れた「うさぎの島」。ここでも下船し、約30分間うさぎとの触れ合いが楽しめます。
うさ耳の集音器に頭を入れて、風の音や波の音を聞いてみましょう。もし聞こえなくても記念撮影スポットとして優秀です(笑)。
大久野島では500~600羽の野生のうさぎが暮らしています。観光にも一役買っていて、忠海港などでは「うさぎのおやつ」としてペレットの販売もされています。キャベツやにんじんなどのお野菜も好物なので、持っていると人気者になれるかも。
うさぎは繊細です。うさぎと触れ合う前は、必ずHPで注意事項を確認しておきましょう。
DATA 大久野島 住所:広島県竹原市忠海町大久野島 web:ひろしま竹原観光ナビ
海上自衛隊呉基地を船上から見学(共通)
東向きコース、西向きコース共通の見学スポットが、海上自衛隊呉基地。停泊している海上自衛隊呉基地の護衛艦や補給艦、潜水艦を間近で見ることができます。また、タイミングによっては、護衛艦と並走することも!
呉には「呉湾艦船めぐり」というものもあり、海自ファンにはよく知られてますが、時間が許せば「SEA SPICA」に乗って見学するのも一味違って、おすすめですよ。
「SEA SPICA」から見られる景色
「SEA SPICA」の旅では、瀬戸内海の島々を結ぶ橋の光景も楽しみのひとつ。大三島(おおみしま)と生口島(いくちじま)を結ぶ多々羅大橋の美しい姿や、音戸の瀬戸の音戸大橋、安芸灘とびしま海道にかかる安芸灘大橋、オレンジ色の高根大橋などが眺められます。
DATA 高根大橋 場所:高根島と生口島を結ぶ 料金:無料 web:ひろしま観光ナビ
DATA 安芸灘大橋 場所:本州と下蒲刈島を結ぶ 料金:普通車730円 web:ひろしま観光ナビ
「SEA SPICA」の旅は、たっぷり半日かけて瀬戸内海を巡るもの。半日と聞くと、長いと思うかもしれませんが、景色を眺め島々に立ち寄りながらの時間は、あっという間。たまには時間を贅沢に使って、瀬戸内海を船でゆったりと楽しむ旅もいいものですよ。
「SEA SPICA」東西コース選びのコツ
「SEA SPICA」に乗ると決めたら、東向きコースと西向きコース、どちらを選べばいいか迷うかもしれませんね。どちらのコースもそれぞれ魅力的なので、他の旅程との兼ね合いで選べば問題ありませんが、どちらも選択肢としてある場合は、以下のポイントで選んでみてはいかがでしょうか。
・御手洗地区に立ち寄りたい、瀬戸内海の夕景を見たい→「西向きコース」
・朝鮮通信使の歴史に興味がある、生きた軍艦島「契島」を見たい→「東向きコース」
次回の旅ではぜひいつもと違う目線で瀬戸内海を楽しんでみてくださいね。
DATA SEA SPICA 料金:6,000円~ web:瀬戸内しまたびライン「SEASPICA」 JRおでかけネット せとうち広島デスティネーションキャンペーン アフターキャンペーン