奈良市内には、当たり前のように鹿がいます。それも、野放し。そして、奈良旅行を終える頃にはむしろそれが当たり前に見えてきてしまい、帰路に着くころにはなぜ鹿がいないのか、自分の家の周りを探してしまうかもしれません…。
大げさだろ!というツッコミはさておき、それほどに奈良に行くと、鹿に魅了されてしまいがち。
「奈良の春日野 青芝に 腰を下ろせば 鹿のフン※作詞:佐伯孝夫」という衝撃の歌詞でかつての日本を騒がせた、若き日の吉永小百合の歌った「奈良の春日野」は、奈良県の公式サイト(外部リンク)によると、今も奈良のご当地ソングなのだそう。いや、今思えば、腰を下ろしたら鹿のフン、は、かなり落ち込む場面になりそうなのですが、それをも許せてしまう奈良の鹿のかわいらしさは数十年前の時を経ても変わらない存在なのです!
そもそも奈良旅行をするまでは、鹿に全く興味がなかった筆者ですが、あまりのかわいさに撃沈。
時折あの黒目がちかつ無表情で、かわいさのすべてがぎゅっと詰まっている鹿の顔面を思い出してしまうのです。
試しに奈良の鹿たちに会いに行ってみてください。これから実際に奈良に鹿に会いに行き、鹿と戯れまくった筆者が様々なシチュエーションで鹿に会えたスポットをご紹介します。
同じく放し飼いの鹿で言えば、広島県宮島の鹿もそれに値するものの、奈良の鹿の数は10年平均して約1200頭!奈良が圧倒的に多いのです!
今度の奈良旅行はぜひ、鹿まみれになってください。
目次
奈良の鹿に会う前に知るべき豆知識
いざ奈良県へ鹿に会いに行くぞ!
何も知らずに闇雲に向かうのはもったいない。まずは奈良の天然記念物「鹿」とは何ぞや?の豆知識を仕入れておきましょう。
奈良県で鹿がいる場所はどこ?
奈良県のシンボル、鹿。一時期は「かわいくない」と恐がられていた奈良県のキャラクター「せんとくん」も、すっかり味のあるキャラクターとして定着していますが、そんな「せんとくん」の頭にも角が。
ここまで鹿を主張するからには、奈良県中を鹿が闊歩しているのかしら!なんて思ってしまいますよね。
ひとえに奈良県と言ってもとても広く、全てのエリアに鹿がいるわけではありません。
奈良県で鹿がいる場所は、奈良市の奈良公園とその周辺。春日大社から続く奈良公園の敷地は広く、付近の世界遺産の寺院などでも見かけます。また、奈良公園付近の道路の植え込みに生えている草を食む危険な光景も見られます。
その中には鹿まみれになれる場所、鹿に追っかけまわされる修学旅行生が面白く見える場所、鹿が横断歩道を渡る不思議な図を見られる場所、ライバルが多すぎて遠征に出てきた1匹の鹿が、観光客に囲まれて独り勝ちしているような場所など様々なシチュエーションで鹿と遭遇できるのです。
なぜ奈良公園には鹿がたくさんいるのか
世界遺産「古都奈良の文化財」の一つ春日大社は、全国に約3000社あるという春日神社の総本社。平城京の守り神として常陸国(現在の茨城県)の鹿島神宮の神様、武甕槌命(たけみかづちのみこと)を守り神として迎え、768年に造営されました。
武甕槌命は白い鹿に乗って、春日の地に降り立ったと伝えられており、奈良にいる鹿は神様の使いとして、手厚く保護されるようになったのです。神の使いの末裔であるとされる奈良の鹿は、天然記念物。
あれ?ということは、奈良の鹿の故郷は、茨城ってこと?奈良と茨城の不思議な関係を知ったような気がします。
春日神社の境内は奈良公園の一部にあるため、保護され増えた鹿たちが、奈良公園でのんびりと暮らしています。奈良公園周辺には世界遺産「古都奈良の文化財」を構成する寺院が集まっていますが、そういった寺院にも出没し、アイドル的存在になっているのです。
鹿と仲良くなれる最強アイテム「鹿せんべい」
先にお話ししておきますと、奈良公園の鹿たちは人間を見ると寄ってきます。
理由は彼らの愛する「鹿せんべい」を食べさせてくれる人間なのかなあ?とチェックするためです。
近づいても何も出してくれなかったり、クンクン匂った後、何も持っていなければ「ちぇっ」と言う感じで去っていきます。
鹿にも個性があるのか、全くねだってこない子もいれば(その前にねだりまくってお腹いっぱい食べた可能性もあるものの)、誰に教わったのかお辞儀をしながら鹿せんべいをねだる子、「わあ~!」と叫びながら楽し気に逃げる修学旅行生を楽し気に追っかけまわす子、鹿せんべいを売っている店の前で張り込みをする刑事みたいな子…様々です。
ここには客と一緒に鹿せんべいを売っている店に入る子たち。
「鹿せんべい」持ってるよー、と言うしぐさをしながら「ないよー!」みたいなことをしたら、いきなり蹴りをいれてくる子もいたりして、無表情ながら秘めた熱いパッションを感じさせてくれます。
鹿はこの観光客が与えてくれる鹿せんべいと、奈良公園の芝や、奈良公園に生えている木の実を食べています。他の食べ物は鹿の病気の原因になってしまうので、観光客の心得としては、鹿には鹿せんべい以外、絶対に与えてはいけません。
鹿せんべいは何でできているの?
安心して鹿に与えられるよう、小麦粉と米ぬかだけで作られています。砂糖や塩と言った調味料は一切使われておらず、2024年1月現在、一束200円ほど。 鹿せんべいは一般財団法人 奈良の鹿愛護会の登録商標。売り上げの一部は鹿の保護にあてられています。
鹿せんべいは人間が食べられるのか?
お恥ずかしながら、筆者は修学旅行で奈良に行った幼い日、「お土産に、鹿せんべい買ってくるね!」と両親に言って家を出ました(恥)。当時は真剣に、鹿せんべいを奈良のお土産だと思っていたのです。
さらにその修学旅行で1枚もぐもぐ食べました。…なんでしょう。味はなく、美味しくないと脳の中で変換された記憶があります。
米ぬかと小麦粉だけでできているということもあり、身体に害があるわけではありません。ただ、鹿が食べるものとして扱っているので、お店によっては置き場所も衛生面は厳しくなく、賞味期限も特に定められていません。
奈良公園の公式サイトなどでは「人間は食べない方が無難」としています。
鹿との接し方
おとなしそうに見える鹿ですが、季節によって攻撃的になる場合も。また、何の気なしにしていることが、鹿の命のを奪うことも。以下の心得を読んで、いざ奈良の鹿に会えるスポットへGO!
鹿は野生動物・攻撃してくることも!
奈良の鹿たちは保護されている上に、毎日たくさんの観光客を見ているため人なれはしているものの、野生動物であることに変わりはありません。特に春は出産後の雌が小鹿を守るために、秋は雄が発情期に入るため、気が荒くなります。
主に鹿に追い回される、角で突かれる、押し倒される、噛み付かれる、蹴られるという被害が届けられており、かわいいからといって鹿に触れたり、写真を撮るために顔を近付け過ぎたりしないように。
また、前述の鹿せんべいを与える際は、じらしたりせず、すぐに食べさせましょう。優しい鹿は、多少じらされてもおとなしくついてきたり、小さな人間の子どもには「仕方がないなあ」と、遠慮がちに接してくれますが、荒い性格の鹿は「よこせー!」と手にかみついてきたり、追いかけまわしたりします。
実際に鹿せんべいをエサに、スマホに接近させようと極限までおびき寄せていたところ、怒り狂った鹿に激突され、ひっくり返ってしまった旅行者を見かけました。
鹿を怒らせないために、鹿せんべいがなくなった場合などは手のひらを鹿の前でぱっと広げて「もうないよ」というジェスチャーをすると理解してくれます。
ペット旅行者は要注意!犬の散歩は極力避ける
広い奈良公園。世界遺産の神社仏閣の一部の敷地はあるものの、それ以外は芝の広がる広い公園。そうなると、ワンちゃんとの旅行を楽しんでいる方は、ついお散歩させたくなるものです。
ただ残念なことに、鹿は犬に驚いて走り出して、道路に出て交通事故を起こしたり、身を守るためにワンちゃんに襲いかかることもあります。
「お散歩をするな」とは制限されていませんが、鹿の近くを通るときは小型犬であれば抱きかかえる、カートに入れる、リードを短めにするなどして、犬を鹿に近づけないようにしてください。
大型犬の場合は鹿が恐怖を感じる可能性があります。なるべく鹿の近くを通らないようにする、故意に犬を連れて鹿に近づかないなど、心遣いをお願いします。
鹿せんべい以外のものを食べさせない
前述しましたが、観光客が鹿に与えても良いものは鹿せんべいのみ!鹿せんべいがなくなったからと、何も考えずスナック菓子を与えたり、ティッシュペーパーを食べさせているとんでもない観光客を見かけますが、鹿の喉に詰まったり、虫歯の原因や内臓の病気になりかねません。
意識していなくても鹿の近くでゴミを捨ててしまったら、鹿は何でも食べてしまいます。バックの中からはみ出していた紙のメモや地図を食べてしまうこともあり、保護されている動物へ接しに行くという自覚は持ち、手荷物周りは気をつけましょう。
さあ、知識が付いたところで、鹿に会いにレッツゴー!
法相宗大本山 興福寺
近鉄奈良駅や、ならまち方面から鹿に会うための行動をすると、最初の場所が世界遺産「古都奈良の文化財」を構成する資産の一つ、法相宗大本山 興福寺。
歴史的建造物である寺院内部や、男前すぎる国宝「阿修羅像」に会える国宝館に入るには、拝観料や入場料が必要ですが、境内を散策するのは無料。
鹿の数は少ないものの、素敵な写真が撮れる
興福寺にいる鹿は、後述する登大路園地の鹿が遠征してきたと思われ、そんなに数がいるわけではありません。奈良公園近くにはコンビニまでもが鹿せんべいを販売していますが、興福寺から観光を始める旅行者は多く、また鹿せんべいを手にしていない人が多いことを知っているかのようです。ただ、まだ鹿にまみれていない観光客にとって、興福寺で会えた鹿は偶然会ったアイドル並みに喜ばしいらしく、鹿は取り囲まれておりました。
登大路園地に行けばどれだけ鹿に人間が取り囲まれるか、まだ知らない皆さんたちがこちらです(こら!)。
筆者もまさか興福寺の境内で鹿に会えると思っていなかったので、遭遇してびっくりしましたが、人のいない早朝などはもう少し練り歩いているようです。
この日であった鹿さんは親子2頭。
とてもおとなしく、寄っては来るもののそこまでせんべいクレクレビームを発しておらず。
しっかりと五重塔の前でポーズを決め、多国籍のスマホカメラの撮影に快く応えておりました。
ちなみに東金堂には、こんなに素敵な暖簾が。
奈良の鹿が神の使いであることを、かわいらしく表現していますね。
「きゃー!かわいい。お部屋に欲しいわあ!」と思いましたが、この旅を終え、鹿熱が収まった時には「いや、いらんかったな」と思いました。スミマセン…やはりこれは興福寺にあるべきです。
DATA
法相宗大本山 興福寺
アクセス:JR奈良駅より徒歩約14分/近鉄奈良駅より徒歩約5分
所在地:奈良県奈良市登大路町48
時間:9時~17時
料金:国宝館・東金堂連帯共通券(拝観料)大人・大学生900円/高校生・中学生700円/小学生350円
※共通券の販売は16:15まで ※東金堂工事中の間は中金堂の見学が可能です。
公式サイト:法相宗大本山興福寺▶
登大路園地
登大路園地は奈良公園の玄関口的存在です。興福寺の旧境内を園地にしているので、東大寺や春日大社へ、なるべく車道を通らず奈良公園内を歩きたいという人にとっては、歩きやすい歩道が嬉しい存在。
近鉄奈良駅方面から徒歩で直接やってくると、最初に大量の鹿と会えるので、びっくりする場所でもあります。
立派な角を持つ牡鹿もいますが、危険なので鹿を保護している鹿苑(しかえん)で見事に切られてしまいます。これは観光客に突撃してけがをさせないようにするための配慮です。
気のせいかしょんぼりしているように見えるのですが…。
奈良名物・道路を渡る鹿
登大路園地は県庁前の車道と隣接しているため、ここでは奈良名物とも言える、横断歩道を渡る鹿や、車道の植え込みで通り過ぎる車を横目に草を食む鹿などに遭遇します。
いやいや、危ないって!危なーい!
奈良市内を走るドライバーさんは人間と車と、加えて鹿にも注意しなければいけないんです。大変ですよねえ。
おっと観光客の皆さんも他人事ではありませんよ!
マイカーやレンタカーで奈良観光する方は十分鹿に注意して運転をしてくださいね。
DATA 登大路園地 所在地:奈良県奈良市登大路町
春日大社
筆者は何も調べず奈良に行き、「春日大社にも世界遺産だから寄らないと―」くらいに思っていましたが、甘かった!春日大社は一之鳥居から本殿までその距離、片道約1.3キロ!敷地内と摂社などもまわったので、片道2キロ近くは歩いた気もします。
春日大社の鹿は茨城県の鹿島神宮から神様を乗せてきた鹿の末裔。特別感があるのかなあ、なんて思いましたが、この春日神社も東大寺も興福寺も、奈良公園の敷地内にあるので、同じ鹿です(笑)。
個人的な感想ですが(笑)なんだかこの春日神社の長い参道にいる鹿たちは、個性豊かでチャーミングでした。
うーん、なぜだろう。鹿たちと歩いた往復2.6キロは、忘れられない思い出に。
春日大社の一之鳥居から延びる参道は奈良公園を突っ切っています。両サイドとも鹿、鹿、鹿のオンパレードです。
鹿のフンを踏まないように下を向いて歩いていたら、いきなり鹿に顔を覗き込まれてびっくり!
鹿が大量にくつろぐ敷地と歩道は、竹で柵で仕切られているのですが、それを乗り越えて鹿が寄ってきます。
うわあ、こんなにモテたの初めて(鹿である)!
きゃー、かわいい!ヤダー、私のこと好きなの(鹿せんべいを持っていないか見に来ただけである)?
などと、有頂天になってしまうくらい、鹿が近づいてきます。
この時は晩秋だったので、コートのポケットあたりのにおいをかいでくるんですよ!あったまイイ~。
あれ?何かに気づいたように「けっ!」という顔をすると…いなくなってしまいました。実はこの時までは「絶対に鹿せんべいでてなづけないぞ!」と思っていたんですよ。
鹿せんべい屋で待ち伏せするあざとい鹿たち
参道には鹿せんべいだけを売っている、鹿せんべい屋台と鹿せんべい「も」売っている商店や、茶屋があります。鹿は無表情で、怒っているのか喜んでいるのかさっぱりわからないのですが、賢さとあざとさを持ち合わせているようで…鹿せんべい屋台前にたむろしています。
しかもこの鹿たちの凄いところは、鹿せんべいを売っている売り子さんにはすり寄っていかないのです。つまり売り子さんは、鹿せんべいをくれない存在であることを理解しているんですね。
鹿せんべいをお客さんが買って、その人の物になったことで、初めて自分たちが食べさせてもらえることを長年の観察力で理解しているんです。
凄いなあ…。
小鹿は親鹿に教わってるんでしょうか…「この店で鹿せんべいを買っておくれよ」という目力が異常に強い小鹿さんも。
鹿飛び出し注意!の標識は奈良ならでは
春日大社の参道の途中には車道もあります。鹿がたくさん住んでいるエリアなので、この「鹿飛び出し注意!」の看板もここならではのもの。観察しているとドライバーさんが止まって鹿にどうぞ、と手で促しているのが微笑ましい。しかも車が止まれば鹿も横断歩道を歩きだします。
人間と共存してきた貴重な存在の奈良公園の鹿は、750年にはその存在があったと記されています。1300年近く人間の生活の変化を見てきたわけですから、車道が渡れるように知能も発達したのでしょう。
春日大社の鹿、個性豊かすぎ!
春日大社、往復2.6キロの道のりの中で(敷地内や、摂社・末社も巡ったので、正確には3.4キロくらいあったかもー)特にユニークだった鹿を3頭紹介します。
お辞儀する鹿
本殿近くの燈籠の裏から「とてとてとて…」と歩いて出てきたこの子。お辞儀をしたら、誰が教えたのか知りませんが「ぺこり」とお辞儀を返してくれるんです。あまりの可愛さに「えええええ?」と衝撃を受けていると、どうやら他にもぺこり、ぺこりとお辞儀。
人間がお辞儀をするから、マネするんでしょうね。そしてそのことで人間が喜んで「丸い美味しいものをくれる」と信じているのでしょう。ごめんよ。せんべい持ってないんだ(意地悪)。
役者か?モデルか?鹿の像の前で観光客の要望に応える鹿
どういうことなんでしょう。この貫禄ある子は、観光客からむけられるスマートフォンのレンズや呼びかけに答え、この像の前でキメッキメのポーズを取ってくれます。
しかも「おせんべいちょうだい」的すり寄りはなし。鹿界にも役者やモデルがいるんでしょうか。
商店の呼び込みを買って出る鹿
奈良公園の鹿たちは鹿せんべいが売っている店に客が入り、せんべいを買うと、自分たちがもらえることを知っています。だからといって、誰もまだいない店の前に陣取り「はいはい、観光客の皆さん!ここに鹿せんべい売ってますよ!買ったら真っ先に下さいね!」と呼び込みをしているかのようにこの場を動かない鹿にはびっくり。
DATA 春日大社 アクセス:JR大和路線「奈良駅」または近鉄奈良線「奈良駅」から奈良交通バス「春日大社本殿行き」乗車。「春日大社本殿」下車徒歩すぐ/奈良交通バス(市内循環外回り)「春日大社表参道」下車徒歩約10分 所在地:奈良県奈良市春日野町160 時間:6時30分~17時30分(11~2月は7~17時)詳細は公式サイト参照 料金:敷地内の散策は無料/回廊内特別参拝500円(9時~16時) 公式サイト:春日大社公式サイト▶
東大寺
奈良の大仏で有名な東大寺にもたくさんの鹿がいます。
こちらも、敷地内であれば無料で散策可能。大仏殿や博物館などに入る場合に初めて料金が発生するので、鹿探しの散策は無料!
いや、さすがに奈良に来て大仏を見ない人はいないと思うのですが…(笑)。
もし鹿に会いたい!と言う場合は、修学旅行生たちが鹿たちに追い回されて、間近によってこないことをさけるために、東大寺の拝観が始まる時間を狙い、早めに行くことをおすすめします。そうすると、まだ鹿せんべいをたかりにこない、日常の美しい鹿の姿を見ることができます。
修学旅行生・旅行者慣れした鹿多し
東大寺には、とんでもなくサービス精神がある鹿さんも多め。こんなに接近して写真撮らせてくれる鹿はなかなか珍しいです。
何度も振り返ってアイコンタクトとってくる鹿もいて「ねえ、丸くて美味しいあれ、もってないよね?ね?」と確認されているような気になりました。
DATA
東大寺
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約20分/JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス「東大寺大仏殿・春日大社前」下車徒歩5分/近鉄奈良駅から「ぐるっとバス(大宮通ルート・奈良公園ルート)」乗車「大仏殿前駐車場」下車すぐ
所在地:奈良県奈良市雑司町406ー1
拝観時間:4月〜10月:7時30分~17時30分/11月~3月:8時~17時
料金:大人(中学生以上)800円/小学生500円※団体割引・セット料金あり
公式サイト:東大寺▶
浮雲園地
筆者が初めて鹿に鹿せんべいをあげることに、異常な喜びを感じたのはここ浮雲園地です(異常ってね…)。
とにかくすごい数の鹿で、さらに観光客の皆さんも鹿と戯れに集まって来るせいか、鹿も人もなんだかハイテンション。特に修学旅行生のテンションはマックスで、ほんとうはやったらいけないけど、鹿せんべいをじらして食べさせようとしたがために、かなり大きめの鹿の怒りを買い、追っかけまわされていました。
まるで「もののけ姫」のシシガミの怒りを買ったようなその姿を、周りの鹿たちが無表情に見守る姿がとてもシュール。
鹿たちも、お得意の会釈をしながら「おねがいします!せんべいください」という子から、溝に入って落ち葉を食べ、全然鹿せんべいをねだらない子、そして選挙中の候補者並みに「ワタクシ、鹿!鹿!鹿でございやす!ワタクシにあげる、まるくて美味しいものはありませんか?」と、ずーっと後ろをつけてくる鹿も。
しかもその鹿が、小さな子供から大人まで、色々な人に何枚も鹿せんべいをいただいているにもかかわらず、黒目がちの目をクワッと見開いて、ストーカー並みにつけてくるから、かわいげがないのなんの!
ついつい無欲な鹿に鹿せんべいをほいほいあげたくなってしまうわけですよ。
そんな環境から、無欲でカワイイ鹿に、鹿せんべいをさし上げることが楽しくなり、2束、3束と買ってしまいました…。
夕方近くに立ち寄った際は(何度も通った)、もう売店も閉まり始めていたので「すみません、まだ鹿せんべいありますか?」と尋ねたら、売店のおねー様が「鹿せんべい?捨てるほどありますよ!」と言ったのが衝撃的でした(爆笑)。
それくらい鹿せんべいは鹿たちの胃の中に消えていくのですね!
DATA
浮雲園地
アクセス:近鉄奈良駅より徒歩約15分/JR奈良駅・近鉄奈良駅より市内循環バス外回り「大仏殿春日大社前」下車すぐ
所在地:奈良県奈良市雑司町469
時間:終日
公式サイト:奈良県(奈良公園について)▶
他にもある!鹿と会えるスポット
ここまでは筆者が奈良旅行で実際に行って鹿とコミュニケーションを取ったスポットを紹介してきましたが、他にも有名な観光スポットで、鹿と会える場所はあります。
最後にいくつか紹介しますので、自分の観光ルートに合う場所で、鹿に鹿せんべいをあげてみてください。最初は「鹿せんべいなんかにお金使うか!」と思うかもしれないあなたも、いきなり顔を覗き込まれたり、後ろからわざとぶつかられて「わあ、びっくりしたあ!」とか言うと、つぶらな黒い瞳に見つめられ洗脳されていくのです。
ああ。奈良の鹿ってなんてかわいいの!
鹿苑(ろくえん)
鹿目当てで奈良を訪れるなら絶対外せないスポットが鹿苑。
妊娠中の鹿、ケガや病気など野生で生きるのが大変な鹿の保護と治療を行っていますが、そういった状況の鹿たちの様子を見学することができます。
特に人気の特別公開は、鹿の赤ちゃんの公開(有料)。毎年6月に実施しており、2024年の実施時期は公式サイトでの発表をお待ち下さい。また、毎年10月上旬は秋の伝統行事「鹿の角きり(有料)」も行われます。
鹿の保護活動についての展示もあるので、ただ「かわいい」だけではなく、鹿と人間の共存について学ぶことができます。
DATA
鹿苑(ろくえん)
アクセス:近鉄奈良駅より徒歩約30分/JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バスで「春日大社表参道」下車、徒歩約7分
所在地:奈良県奈良市春日野町160ー1
営業時間:10時~16時(特別公開期間を除く)
休館日:月曜日(特別公開期間を除く)・鹿の角きり行事期間(10月上旬)・年末年始(12/29~1/3)
※ 鹿の体調等の理由で予告なく中止になる場合があります。
料金:無料(鹿苑公開協力金100円・任意)※赤ちゃん公開など特別公開時は別料金
公式サイト:奈良の鹿愛護会▶
若草山
年に一度行われる「若草山焼き行事」で知られる若草山。実は入山できる期間が限られており、真冬には入れないので注意。なだらかで、高い山ではないので登山というほどではないものの、山麓ゲートから山頂までは徒歩約30分~40分。長い階段が続くので、歩きやすい靴で登りましょう。
鹿と会えるだけではなく、山頂からは、東大寺・興福寺など世界遺産を上から望むことができ人気のスポットです。
DATA
若草山
アクセス:JR奈良駅・近鉄奈良駅から市内循環バス「大仏殿春日大社前」下車、徒歩約12分
所在地:奈良市雑司町469
時間:9時~17時
公式サイト:奈良県(若草山について)▶
春日野園地
冒頭にお話しした、名女優・吉永小百合が若かりし頃に歌った衝撃の奈良ご当地ソング『奈良の春日野』の舞台でもある春日野園地。腰を下ろせば間違いなく鹿のフンがあることでしょう。とか言っちゃっていますが、遠足では事実お弁当を食べる定番の場所となっています。
非常に美しく整えられた園地で、東大寺の南大門と鹿の写真が撮れたり、桜の時期は桜と鹿の写真が撮れたりと、映え鹿写真が期待できます。
DATA
春日野園地
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約20分/JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス(市内循環外回り)「東大寺大仏殿・春日大社前」下車、徒歩約5分
所在地:奈良県奈良市雑司町
時間:終日
公式サイト:奈良県(春日野園地について)▶
浅茅ヶ原園地(あさじがはらえんち)
浅茅ヶ原園地は、奈良公園や春日大社表参道の一之鳥居をくぐり、約10分ほどの場所にあります。園内には片岡梅林があり冬の終わりには梅の花が、桜の時期には桜の花が、紅葉の時期には紅葉が…といつ訪ねても美しい景観の中で過ごす鹿の姿を見かけます。
奈良公園内随一の景勝地とも言われ、鷺池の上に建てられた浮見堂はフォトスポットとして人気。
DATA
浅茅ヶ原園地(あさじがはらえんち)
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約20分/JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス(市内循環外回り)「東大寺大仏殿・春日大社前」下車、徒歩約5分
所在地:奈良県奈良市春日野町50
時間:終日
公式サイト:奈良県(浅茅ヶ原園地について)▶
奈良国立博物館
東大寺、興福寺、春日大社と世界遺産の神社仏閣が集う奈良公園の中で、異質を放つ本格的西洋建築の奈良国立博物館。この建物は仏像館(本館)で、明治27年(1894)に完成。フレンチルネサンス高揚期の様式はひときわ目を引きます。昭和44年(1969)に「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財に指定されました。
目の前の青々とした芝生には、凄い建物、そして凄い展示物にお構いなく、鹿が寛いだり、芝を食んだりマイペースに過ごしていて、不思議な光景が楽しめます。
ここまでくると、奈良公園について分かってきた皆さんはお判りでしょうが、博物館の営業時間、入場料はありますが、鹿に会える建物外の部分は終日いつでも無料で入れます。
DATA
奈良国立博物館
アクセス:近鉄奈良駅より徒歩約15分/JR奈良駅・近鉄奈良駅から奈良交通バス(市内循環外回り)「氷室神社・国立博物館」下車すぐ
所在地:奈良県奈良市登大路町50
営業時間:9時30分~17時 (入館は閉館の30分前まで)※土曜のみ名品展・特別陳列・特集展示20時まで開館(年末年始除く)。他にも期間・行事の際は営業時間延長。詳細は公式サイト参照
休館日:年末年始(12月28日~1月1日)
料金:大人700円/大学生350円/高校生以下および18歳未満 無料/70才以上 無料(年齢のわかるもの提示)他割引あり。詳細は公式サイト参照
公式サイト:奈良国立博物館▶