かつて奈良県は、ホテルの客室数が47都道府県で一番少ない(2013年厚生労働省衛生行政報告)という驚きの「宿泊する人が少ない県ぶり」を見せつけてくれたことがあります。そのころは京都や大阪と一緒に「ちょっと大仏さんを見ることができればいい」と考えている人が多かった、という旅のスタイルもあったからかもしれません。
しかし!日本政府が訪日外国人に向けてのPRを積極的に行うようになって以来、外国人観光客が爆発的に増え始めたあたりから、奈良は変わりました。高級ホテルや高級旅館、おしゃれなゲストハウスや、町屋を改装した民泊など、わずか10年でその姿を様変わりさせたのです。
今回紹介する「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」も2021年に誕生。「ならまち」も含め、奈良市内は一気におしゃれな世界遺産のお膝元になった印象がありますが、その一翼を担うホテルです。
2泊3日の世界遺産「古都奈良の文化財」巡りの旅で、ゆっくり寛がせてもらったので、このホテルを拠点に世界遺産を巡りたい人は、以下のモデルコースをお読み下さいね。
世界遺産「古都奈良の文化財」は8か所あるのですが、その半分以上にあたる5か所が徒歩圏という、世界遺産巡りには最強の立地も、選択すべきポイントかと。
せっかく奈良に来たら世界遺産をまわりたいという人には、おすすめのホテルです。
目次
世界遺産のど真ん中!MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS
奈良市内の観光地は、ほぼ世界遺産登録の寺院となり、立地が重要。
とはいえ、女子旅、カップル旅ならお部屋やホテルの施設でゆっくり過ごす時間も欲しいということで、居心地よく、おしゃれで、立地最強。そしてできれば、お得なホテルを探していたところ「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」を発見。
というよりも、町を自然に歩いている鹿に会いたい、鹿せんべいをあげたい…と、うわごとの様に呟きながら、奈良旅行を計画していた筆者の目に飛び込んできたのはこの画像…。
なんだこりゃ!?
どうやらホテル併設のカフェらしく、この画像で、多くの鹿ファンが「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」を目指しているとかいないとか!筆者はこの画像を見た時点で、このホテルの宿泊を70%あたりまで固めたのでした。
さらにこのホテルの予約ボタンを押させてしまった最終的な理由は、比較的コンパクトなホテルなのに、7タイプも客室があり、どの客室もすっきりとしたデザインながら、かなり特徴的であったこと。ホームページを舐めるように見回した結果、どの客室も自分の家に取り入れたいくらいセンスがあるんですよ。
ひとり旅、カップル、友達同士、ファミリー、そしてちょっと贅沢に寛ぎたい人まで、ニーズに合わせて細やかに造られたホテルなのでしょう。
さらに、予算と言う壁があるため、身の丈に合ったお部屋を選択しました!おしゃれな上に、この立地の価格帯とは思えないリーズナブルさは、至る所で感じられるサスティナブルな取り組みから可能となっているようです。
とまあ、予約の段階で一気にテンションアップさせてくれるホテルですが、いよいよ到着です。
到着して驚きました。MAPでは確認していたもののここまで便利だとは。
近鉄奈良駅から徒歩約10分、東大寺、春日大社、興福寺、元興寺、ならまちを徒歩で巡れるという世界遺産のど真ん中にあるといってもいい最強の立地!
ホテルステイも、観光もとことん楽しめそう!
ほぼ対面なしのチェックイン
チェックインは15時から。アーリーチェックインを希望する場合は、追加料金を払えば可能です。
ただ、こちらのホテルは興福寺まで徒歩5分、東大寺も、元興寺も、ならまちも徒歩圏です。よほど疲れていない限りは、荷物を預けてチェックインまでに数か所世界遺産を巡っておくのも良いですよ。
チェックイン、チェックアウトもマシン一つでOK!もちろんフロントには常にスタッフがいるので、わからないことは聞けますよ!
フロントスタッフさんたちのユニフォームまでとても素敵だったので、チェックインの際に、ちらりと見てあげて!私服でほしくなってしまいました。
性別選ばず楽に着られるナイトウェアと、必要なアメニティグッズはアメニティバーで調達していきます。
必要な物を必要なだけ。足りなくなったらホテルの方をいちいち呼ばなくてもフロントで調達できるのは気楽で便利。最近はこういったサスティナブルな試みが多くのホテルで行われていますが、こちらのホテルはそれだけではなく、デザイン性にもこだわっていて、プラスチック削減のアメニティと言う歯ブラシはブラシ部分が黒でかっこいい!
お部屋はModerate(モデレート)をチョイス
ひとり旅なので、スタンダードなお部屋でも良かったものの、居心地の良い大きなソファが大好きな筆者。ホテルに泊まるときにはリーズナブルでもソファがあるお部屋を選択するのが唯一のこだわり。
では、おじゃましまーす…。
障子風の窓が和室の雰囲気を醸し出しているせいか、ホテルというより旅館のような上質な和情緒。あらやだ、素敵ー!
まるで小上がり!大きなソファがポイント大
「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」を選んだのは、あの鹿さんの訪れるカフェのテラスの写真だけ、ではなく、この巨大なソファーに惹かれたから!
ソファの下にスリッパを置いてあるせいか、小上がりのように使ってしまいました。滞在中は眠る以外の時間をこのソファの上でぐんにゃりと過ごし、うたた寝も。
3人での旅行の場合はベッドに早変わり。
ミニマムだから部屋が広く感じる
ロッカーはなくハンガーのみ。極力部屋を広く使えるよう工夫されていました。長期滞在の場合はロッカーがしっかりあるタイプの方がありがたいですが、1泊、2泊くらいだと、このハンガーとトランクがあればそう困らないはず。
照明器具、コンセント周りが夜の読書タイムやスマホタイムに便利すぎ。とても考えられて作られています。
サスティナブルだけどほしいものは痒い所に手が届く
シンプルとかサスティナブルを掲げるホテルって、時々「ええっ?あれもないの?そこまでサスティナ?」って思ってしまうこともなきにしもあらず。それってサスティナに乗っかった、サービス軽減じゃーん、なんてことよくありますよねえ。
でも「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」はそういうホテルとは一線を画しています。…あらっ?これ持って来なくて良かったじゃない!と驚いてしまう備品が置いてあったりして、なんでもかんでも無駄を省くホテルとは真逆の面があってありがたい。
スマホの充電器、忘れちゃった、なんて言わなくても大丈夫!お部屋の備品として用意してくれています。これは助かりますねー。
最近導入するホテルも増えてきた動画配信サービスが楽しめるテレビ。気になっていたドラマの続きを旅先の大きなテレビ画面で見ることができるのは意外とうれしい♪。
ただし、お水については、かなりサスティナブルな取り組みが。客室にボトルが置いてあり、地下のウォーターサーバーからなくなったらくんで組んでくるというシステム。ただですね、筆者、都心の自宅でも水道水で過ごしてます。奈良の水道水は自宅の水道水より、十分美味しく感じましたので、何度もバンバン通うことはしませんでした。
バス・トイレ・洗面所とも別。スペース使いが秀逸
日本には当たり前のようにびっくりするほど狭いお部屋のビジネスホテルがあります。実は筆者、閉所恐怖症気味のため、そういったホテルのお部屋には泊まれないんです。
「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」のホテルは最もスタンダードなお部屋で17平米と、ビジネスホテルやシティホテルのシングルルームより広め。
筆者のチョイスしたモデレートなお部屋は25平米と広く、空間使いがうまいので更に広く感じます。
中でも部屋の一番奥にある水回りのレイアウトが、とてもよく考えられているんです。
25平米程度のホテルの部屋って、広めのユニットバス、もしくはトイレ、もしくは洗面所だけ別、ということが多いのですが、コンパクトなスペースを引き戸で仕切ることで、バス・トイレ・洗面所が全て個室になるんです!
これ便利ですね。誰かがトイレに入っていても、洗面所が使え、誰かがお風呂に入っていても、トイレが使えるんです。
お友達や大切な人、家族と旅行すると、洗面所兼・バス、トイレでメイクしている人が出て来ないとか、歯を磨きたいのにダーリンのトイレが長いとか、「あっ、しまった、私の友達って予告なく朝風呂はいる人だったんだ!」とか、色々あるじゃないですか。
切羽詰まると泣きたくなりますがこれなら大丈夫!
バスルームもバスタブが深く、洗い場がある日本人なら嬉しいタイプ。ちなみにバスアメニティは100%オーガニック。空間にも備品にも一つひとつにこだわりを感じます。
清掃の内容も自分で選べる配慮がうれしい
客室の清掃については、宿泊者が選べる自由度の高さもポイント。筆者は2泊だったので、部屋ごと清掃してもらうよりも、使ったものだけ交換してもらうことにしました。朝の10時までに「清掃」「DO NOT DISTURB(起こさないで)」「タオル交換とごみ回収」のマグネットがあり、ドアに貼ればOK。
ホテルの清掃は、客室に入られるとなると時間を気にしてしまうもの。何せ立地が良すぎるホテルなので、観光しては戻って休憩したくなります。「今掃除してるかなあ?」というのが2泊程度だと面倒。交換したいものはタオルくらいじゃないですか?効率の良い方法であれば、ゲストにもホテルにも良い試みです。
次に来たときはもっとランク上の客室に泊まりたーい!
これは後日談になるんですが、あまりにも「MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS」が素敵だったので、奈良家族旅行を計画していた友人に教えたところ、家族3人でSuperior with Japanese-styleと言うタイプの部屋に泊まったそうで、写真を送ってもらいました。
これまた素敵!ベットエリアと、リビングスペースが分かれていて使い勝手が良さそう。ベットエリアの畳も素敵ではないですか。
窓からは鹿が草を食む姿が眺められたそうで、息子さんも目をキラキラさせていたのだそう!
今度はワンランク上のホテルに泊まって、もう少しお部屋にいる時間を作りたかったなあ、等と思わせる友人の写真でした…。
共有施設にも奈良の地との共存を感じさせるこだわりが!
共用スペースにはこんなに素敵な空間も。ピカピカに磨かれたガラステーブルを支えるのは、飛鳥石、カウンターは吉野杉と、奈良の素材を使用した宿泊者専用のラウンジです。
お部屋に近いので大声で話すのは控えたいところですが、グループ旅行でお部屋が分かれている場合に、「明日の予定を計画しましょう!」なんて言う旅行の作戦会議に良し。
土壁と吉野杉の質感が、スタイリッシュなホテルにいるのを忘れさせ、古民家にいるようなほっこりとした気持ちに。ティーセットも置いてあったので、家族で来ていてちょっとひとりになりたい時や、考え事にも使えそう。
カフェ&バーが素敵すぎ!CAFE & BAR MIROKU TERRACE
冒頭でテンション高く説明させていただいた通り…
筆者はこの写真を見て、ホテル併設のCAFE & BAR MIROKU TERRACEのテラスで鹿さんを見ながらお茶したい、お酒を飲みたいなどの妄想を繰り返しつつ「奈良に泊まるなら絶対にココに泊まりたい!」と夢に描いていたのですが…
惜しい!鹿さんたちは今回の宿泊中、テラス前からほんの十数メートル離れたホテルエントランス付近で、のんびりと芝を食んでいました。もしかしたら鼻息荒く鹿さんをテラスで待ち続ける、恐い人間の信号を察知したのかもしれません。なんと言っても奈良の鹿は神の使いですからね。
テンション高いまま鹿さんへの愛を書き連ねた記事はこちらをご参照にして、鹿さんに会いに行ってみてください♪。
それでもこの非日常感ですよ。奈良公園へと続くなだらかな芝と、青空!
例えボッチで話し相手がいなくても、いつまでもいたくなってしまう癒しのカフェです。
こちらのカフェのオーダーはQRコードを読み取るタイプ。アナログな筆者は「忘れられてたらどうしよう」とか、真っ青な空を眺めてぼんやりと考えていましたが、そんなことはなく、スタッフの方がにこやかにケーキとコーヒを運んできてくれました。
オーダーしたのはタルトショコラとコーヒー。甘いものが苦手で、このところスイーツの名の付くものを一切口にしていなかった筆者ですが、この日はぶっ通しで4,5時間歩きっぱなしの奈良観光で疲れ果ててしまい、脳内から「頼むから糖質を入れてくれ!」という凄いお達しが。
オーダーして正解!何このチョコレート。甘さ控えめな上に、もの凄く濃厚。一生口の中にいてください、とプロポーズしたくなるくらい。
タルトはシンプルでしっとりしているので、気が付いたらお皿からなくなっていました。あれ?スイーツってゆっくり楽しむもんじゃなかったっけ。
店内のインテリアもシンプルモダンかつ、さりげなく奈良の手工芸品や奈良の素材を使ったアートが飾られていて、ほっこりする雰囲気。アートが目立ちすぎるとコンセプトによっては落ち着かない空間になる場合もある中で、やはり古都・奈良っていうのは、日本の始まりのような存在。土地の物が日本人になじむのでしょうか。でもこの感覚は、奈良へ旅行に来た訪日外国人の方にも、魅力的に映るに違いありません。
バータイムが素敵!ホテル内にあると助かる最高の場所
こちらのCAFE & BAR MIROKU TERRACE、夜になると、鹿さんたちの訪れるテラスの雰囲気は一転!
しんと静まり返った古都世界遺産の里を見渡しながら、夕食後の一杯なんて最高じゃないですか?
テラスには桜の木が1本。春になると、その1本の夜桜を愛でつつ、お酒が楽しめるそうです。
実は奈良市内の夜はとても早く、居酒屋さんですらラストオーダーが20時、なんて言うことも珍しくはありません。せっかくの旅の夜、なんだか物足りないですよね?
そんな時にホテル併設のCAFE & BAR MIROKU TERRACEがあるって、本当にありがたい!しかもホテルゲスト用というわけではなく、外部の方も使えるカフェ&バーなので、そこまで料金が高くないという点もありがたい。
筆者の場合は、世界遺産を巡り、ちょっと部屋で休憩しようと思ったら、そのまま爆睡。気が付いたら20時だったという日があり、着替えてメイクして…などと考えていたら、外に出るのが面倒になり、「おお!CAFE & BAR MIROKU TERRACEがあるっじゃないか!」と思い出し、利用。
奈良の名産、三輪のそうめんを使ったにゅう麺や、大和ほうじ茶のお茶漬けといった、奈良の食材を使用した夜食もあるので「何か食べたい」と言う人も、気軽に利用できます。
メニューにある「夜のほうせき」こと、おつまみをつまみながら、お酒を飲んで、もう寝るだけの筆者はつるつるっとにゅう麺をいただきました。やさしいお出汁に大満足。
お酒のメニューも奈良県にこだわったお酒、そして手作りの果実酒もあります。洋ナシやミカンの果肉がそのままドボンと漬け込んであるので、そりゃあ美味しいに決まっています。しかもこの果実酒たち、季節によってフルーツが変わるそうですよ!
そして夜のムーディーなライティングになると、昼間のカフェとはまた違った趣きなんですよね。
外来の方も、ホテルに泊まっている方もいるはずだけど、この時間、この日は誰もおらず筆者ひとり。他の宿泊客の皆さんは、外食して、客室に戻る前に立ち寄るのでしょう。
奈良の旅で驚いたのは意外と女子ひとり旅が多いということ。奈良と言う町が一人でも浮かないっていう渋さを持ち合わせているんでしょうけど、お酒を飲むときはまた別の勇気がいります。
でもここはカフェ兼バーなので、女性ひとりでのんびりと飲んでいても、カフェの延長線ということもあり、全く浮きません。あとは飲んだら寝るだけという安心感。客室に戻るだけという環境は、女子ひとり旅でもお酒を飲みたいという人におすすめしたいホテルです!
朝食も好評!奈良の食材でパワーチャージ
実は朝食をほとんど食べない筆者。1日だけ朝食をいただいたのですが、寝ぼけていて写真を撮り忘れました。
和食洋食選べますが、和食をチョイス。
空間コーディネーターの石村由起子さんが手掛けるカフェ「くるみの木」が監修した朝食ということで、奈良の食材を、おしゃれにいただけました。洋食も同じく奈良の食材を使っています。どちらかというと洋食の方がボリュームありな写真の印象。
和食は日ごろの不摂生を実感するほどに、土地の野菜がいかに美味しいか気づかされました。ああ、野菜食べよう。子供のころは苦手だった奈良漬も、大人になるとその魅力に気づくもの。ただ、お酒が飲みたくなったので、少しでいいかな(笑)。
連泊する方は和食も洋食もどちらも試してみてくださいね!
リピートしたい丁度よさが魅力・奈良のホテルは探検しがいあり
チェックアウトも自動チェックイン・アウトマシンで行うので、丁寧に見送ってもらいたいとか、フロントで挨拶しながらチェックアウトをして、しっかりご挨拶してお別れしたいという人には少し物足りないかもしれません。だとしたら、旅館や五つ星ホテルをおすすめします。
ただなるべく早くチェックアウトを終わらせたい、とか、あまり人と接したくないなんていう人も少なからずいます。好みに合わせてホテルをチョイスするのが旅の醍醐味。だからこそ旅って、準備が一番楽しかったりしますよね。
たびハピではホテルが大好きなライターさんたちによる、奈良のホテルもいくつか紹介しています。参考にしながら、次のあなたの奈良旅を組み立ててくださいね。
DATA
MIROKU 奈良 by THE SHARE HOTELS
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約10分
所在地:奈良県奈良市高畑町1116-6
公式サイト:MIROKU奈良by THE SHARE HOTELS▶