ペトロナス・ツインタワーに代表される高層ビルが立ち並ぶ首都クアラルンプール、世界遺産の街マラッカ、リゾートとグルメの宝庫ペナン島など見どころも多く、観光地として知られるマレーシア。
コロナ禍におけるムヒディン首相の辞任などの慌ただしいニュースも飛び込んできていますが、現在はどのような状況なのでしょうか。マレーシアへの渡航はいつから再開するのかなど、最新情報をお伝えします(2021年8月18日現在)。
目次
感染者数がピークを迎えたマレーシア!
マレーシアでは2021年5月以降、クアラルンプール首都圏およびスランゴール州を中心に、新型コロナウイルス感染者数が増加しており、同地域を含む一部地域では入院病床の逼迫が報告されています。
これを受けて今年6月から経済活動や人の移動を厳しく制限する「ロックダウン」を実施していましたが、8月に入っても新規感染者数が連日2万人前後に上り、歯止めをかけることができていません。
現在では1日2万人以上の新規感染者が報告されており、まさに今が感染のピーク!人口約3,270万人(2020年時点)のうち、累計感染者数は146万人、死者数は1万3,302人となっています(8月18日時点)。
さらには、新型コロナウイルスの感染対策で失敗したと政権への批判が高まる中、ムヒディン・ヤシン首相が8月16日に国王に辞表を提出し受理され、正式に辞任。次期首相選定に向けて各方面で動きが活発化しているものの、いずれの候補者も下院議会における過半数の支持獲得の決め手に欠け、混沌とした情勢となっているようです……。
マレーシアのワクチン接種状況は?
マレーシアでは2021年2月下旬から政府による「国家ワクチン接種計画(PICK)」を開始。これはワクチン接種時期を3つのフェーズに分け、医療従事者やエッセンシャルワーカーを皮切りに、高齢者、成人と属性によって段階を経てワクチンを接種していく計画です。マレーシアではファイザー、シノバック、カンシノ、スプートニクV、アストラゼネカのワクチンが接種されています。
当初は2022年2月までに人口の8割に対するワクチン接種を完了するという目標を掲げていましたが、カイリー・ジャマルディン科学・技術・イノベーション相は7月22日、インベスト・クアラルンプール主催の説明会で「国家ワクチン接種計画」の進捗状況と今後の方針について言及。その中で2021年10月から11月までに全成人への接種を完了することを発表しています。2021年8月16日現在、国内でワクチンを1回以上接種した人は約1,725万人で人口の約54%。必要回数のワクチン接種を終えた人は約1,106万人で人口の約34%です。
8月8日にはムヒディン首相が新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した個人に対する移動制限や強制隔離の緩和などの措置を発表し、8月10日から施行されています。これについては後ほど詳しく説明しますが、もしかしたら渡航再開への足がかりになるかもしれません。
マレーシアにはいつから渡航できそう?
マレーシアでは、2020年3月18日からマレーシア国籍を持たない外国人の入国が原則禁止されています。
後ほど詳しくご説明しますが、2021年8月現在では永住者や外交官とその扶養家族、学生ビザ保有者、MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)ビザ所持者など、特定のビザや許可を保有する人のみ入国が許可されています。さらに現在がまさに感染のピークのため、まだ先が見通せない状況にあります。
ただ、前述のようムヒディン首相が2021年8月8日、新型コロナウイルスのワクチン接種が必要回数完了した個人に対する移動制限や強制隔離の緩和などを発表しています。
施行は8月10日から行われており、ワクチンの種類によって接種完了日からの期間は異なるものの、州をまたいだ移動の容認や、一部の社会活動に対する制限の緩和、海外からの渡航者または帰国者に対する隔離措置の緩和などが挙げられています。
注目すべきは海外からの渡航者または帰国者に対する隔離措置。
ワクチン接種完了の証明があれば、政府が割り当てる施設での隔離ではなく、自宅での隔離が可能となります。現段階ではマレーシア国民とマレーシアに自宅を持つ外国人が対象ですが、この措置で大きな問題が起こらなければ対象者が拡大される可能性もあります。そうなってくれば、観光客の渡航再開が現実のものとなる可能性も……!
将来のマレーシア旅行のために見どころをチェック!
シンガポールやタイ、ベトナムと比べるとやや旅行先としてメジャー感のないマレーシア。しかし注目スポットはたくさんあるんです!マレー半島とボルネオ島の一部を有する国で、それぞれに違う特色があります。未来の海外旅行に向け、簡単に情報を整理しておきましょう!
マレーシアのビーチリゾートが素晴らしい
マレーシアは南シナ海をはさんで東西に分かれており、「マレー半島」部分は西マレーシア、「ボルネオ島」の北部は東マレーシアと呼ばれています。アンダマン海、インド洋、南シナ海に面し海岸が多いこと、またランカウイ島、ペナン島など離島も多く有し、ビーチリゾートの宝庫です。特にペナン島は美食の街としても知られており、チキンライスやご当地麺「ラクサ」などグルメも楽しめます。
カラフルでかわいい世界遺産マラッカ
マレー半島(西マレーシア)南部にあるマラッカは、2008年に「マラッカ海峡の歴史都市群」としてユネスコ世界文化遺産に登録されたマレーシア随一の観光スポット。かつてこの地に栄えたマラッカ王国が築いたマレー文化に、交易によって流入した中国文化、その後統治されたポルトガル、オランダ、イギリスのが混ざりあった複雑な建築や文化模様がみられます。
噴水を中心に、キリスト教会、スタダイスや時計台などオランダ当地時代の建物が並ぶ「オランダ広場」や、独特な様式の建物「ショップハウス」が並ぶ「ジョンカーストリート」など、写真映えする可愛いスポットも多くあります。
その他の世界遺産も多数
マラッカの他にもボルネオ島のキナバル自然公園、同島の北部にある「グヌン・ムル国立公園」、マレー半島の「レンゴン渓谷の考古遺産」が世界遺産として認定されています。キナバル国立公園には希少な動植物が生息しており、運が良ければ野生のオランウータンやテングザルにも出会えるかもしれません。
コロナ禍前は移住地としても注目されていた
ロングステイ財団の調査によると、マレーシアは14年連続で「日本人が移住したい国ナンバーワン」となっていました。都市型の生活を維持できるうえに物価が安いこと、1年を通して常夏の気候であること、比較的治安がよいなどさまざまな理由があり、マレーシア政府側も「マレーシアマイセカンドホーム(MM2H)ビザ」を用意しています。
マレーシアの詳しい観光スポットや魅力は今後お伝えしていきますが、魅力あふれる観光地であることは間違いありません!
マレーシア2021年8月現在の入国情報まとめ
2021年8月現在、マレーシアは特別な理由がない外国人の入国を拒否しており、日本在住者が旅行でマレーシアに行くことはできません。※入国を伴わないトランジットは対象外
現在入国できる限られた人と、その入国方法は次のとおりです。
入国できる外国人は以下の目的がある人のみ
◎マレーシア駐在が必要不可欠な現地駐在者
◎大学や大学院、インターナショナルスクールの留学生
◎マレーシアの医療関係治療を求める医療ツーリズム目的
上記の入国可能な人の入国条件
◆マレーシア到着時にPCR検査
◆出国72時間前の新型コロナウィルス感染症陰性証明書の提出
※マレーシア政府が承認する公式な証明書の書式はありません。
※英語またはマレー語で書かれていること
※検査機関フォームのハードコピー(紙などにプリントアウトしている状態)での提出
※氏名、パスポート番号
※検査手法(RT-PCRまたはRapid Molecular)、検体採取法(鼻咽頭スワブもよび口腔咽頭スワブ)の
結果が陰性であること
※医師の自筆サイン
◆強制隔離14日間
※隔離終了日に陰性結果が出た場合も、熱があるなど疑わしい兆候のある場合は同じ隔離場所で7日間隔離が延長
マレーシアが許可する条件の方で、近々マレーシア入国が決まっている方は、在マレーシア日本国大使館の公式サイトの入国できる駐在員などの条件をご確認ください⇒在マレーシア日本国大使館
重ねてお伝えしますが、観光を含む短期滞在者や上記の条件に当てはまる人以外は、入国できません。ワクチン接種証明などで少しでも緩和される日が来ましたら、また新たな記事で最新情報をお知らせしますね!
マレーシアから日本への帰国時も大変
2021年8月現在、観光目的での渡航者は間違いなくマレーシアに入国できませんが、現地に駐在しているなど必要不可欠な条件で渡航した方が帰国した場合、どうなるのか見てみましょう。なお、詳細は日々変わるため、近々日本への帰国を予定しているマレーシア渡航中の方は、厚生労働省の公式サイトで常に最新情報を把握するようにしてください。
マレーシアで日本政府指定の陰性証明を取得
マレーシア出国前72時間以内に新型コロナウイルス感染症の検査を受け、医療機関または検査機関から「陰性」を証明する検査証明書を取得。
注1)どこの検査施設でも良い訳ではなく日本政府指定の陰性証明書が出せる施設でなければなりません。日本政府指定の陰性証明書のダウンロードはこちら⇒厚生労働省公式サイト
注2)マレーシアでの搭乗便でのチェックイン時に日本政府指定の陰性証明書が提示できない場合、または記載漏れがあった場合は、帰国便に搭乗できない「日本入国拒否」をされる場合があります。また、運よく搭乗できても、日本の入国時に拒否され強制送還される場合もあります。
検閲所が指定する施設で3日間隔離に近い待機
マレーシア帰国者は検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で3日間待機し、入国後3日目に改めて検査を受けることになります。帰国日は期間に含まれないため計4日間の待機が必要となるため、帰国時はその間の着替えなどの準備も必要です。
公共交通機関は使えない&14日間の自己待機
・施設での待機を終え、検査を受け、PCR検査で陰性と判定された場合は、入国後11日間は自宅等で待機し、不要不急の外出はできません。
・空港から自己待機場所へは公共交通機関は使用できません
注)帰国者の帰宅の乗車を可能としているハイヤー、レンタカー、家族の迎えの車のみ
誓約書の提出
以下の内容を制約する誓約書の提出(機内で配布される場合が多いようです)
・入国後14日間の自宅等での待機
・公共交通機関の不使用
・メール等での健康フォローアップ
・地図アプリ機能等による位置情報の保存
・入国者健康確認センターから位置情報の提示を求められた場合には応じる
・接触確認アプリの利用
等
注)誓約に違反した場合は氏名(外国人の場合は氏名及び国籍)や感染拡大の防止に関する情報が公表されることがあります。外国人の場合は出入国管理法に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となることがあります
マレーシア旅行ができる日を夢見て……
マレーシアの入国制限の厳しさ、日本のマレーシア帰国時の水際対策の厳しさ、おわかりいただけたでしょうか?
料理は美味しく、都市型滞在とリゾート滞在、ジャングル探検が楽しめるマレーシア。現在は感染が広がっていますが、収束する日はやってきます。そのときのためにも、行きたい場所や食べたい料理などをピックアップして、旅行気分を盛り上げておきましょう!