北海道日高地方にある浦河町といえば、日本有数の競走馬の産地。町内では雄大な牧草地にたたずむ美しいサラブレッドの姿を至るところで目にすることができます。
そんな浦河だからこそ、他にはないユニークなワーケーションができるのです。サラブレッドの上でPCを開くビジネスマンの写真を見て思わず「えー!」と叫んでしまった方も多いかと思いますが、気分はまさにこんな感じ!(実際には危険なのでやめましょう笑)。
そう、それはワーケーションならぬ「ウマーケーション」。競争馬のみなぎる生命力や北海道の大自然がもたらす不思議なパワーで、ココロを癒し、アタマをクリアにして、カラダにエネルギーを充満させれば、きっと素晴らしいアウトプットができるはずですよ!
目次
北海道浦河町とは
東の日高山脈、西の太平洋に挟まれ、海も山も美しい浦河町は、札幌から高速バスで3時間40分、新千歳空港からは車で約2時間半の場所にあります。浦河には行ったことがない、と思っている人も、実はえりも岬に行く途中に通ったことがあるかもしれません。
ここは日本有数のサラブレッドのふるさと。北海道によくある「人口より牛の数が多い」みたいに、浦河も人口よりサラブレッドの方が多いんじゃないか?と思いましたが、役場の方に聞くと実際は人口約1万2千人に対しサラブレッドは3000頭(以上)と言われ、まだ人間の方が多いようです(笑)。とはいえ、日本のサラブレッド生産頭数が約7600頭(2021年)ということですので、浦河町のシェアの高さがわかりますよね。
今や日本全国の地域がワーケーションを通じて都会の人々を呼び込もうとしつつも、なかなか特徴が出せずに苦労している中、この浦河町には他の地域にはない絶対的な強みがあります。それは日本有数の馬産地だからこそできるワーケーション体験、すなわち「ウマ―ケーション(馬ーケーション?/マーケーション?)」。今回はそんな体験の一部をご紹介しましょう。
うらかわ優駿ビレッジAERUでのワーケーション
「うらかわ優駿ビレッジAERU(アエル)」は浦河町の郊外にある総合保養施設。レストランや大浴場、パークゴルフ場のほか、乗馬や曳き馬など、馬と触れ合う体験プログラムが揃っていて、この地域では最大級のホテルが併設されているため、ここに宿泊してワーケーションを行うのがもっとも便利です。
展望室からの絶景ワーケーション
AERUのメインとなるワークスペースは、最上階の4階にあったかつての展望室。ここがワーケーション用に改修され、宿泊者は予約すれば無料で利用することができます。
目の前に広がるのはJRAの日高育成牧場とその向こうに北海道の背骨と呼ばれる日高山脈。グリーンシーズンの美しさは説明の必要もありませんが、いやいや冬場の雪景色も侮りがたし、という感じです。
名馬と一緒にワーケーション?
AERUの敷地内にはもうひとつユニークなワークスペースがあります。それは「再現厩舎」と呼ばれる建物中に作られたワーケーション用の小部屋。
再現厩舎は明治40年に日高種馬牧場に建設された第一牝馬厩舎の外装を再現したノスタルジックな建物で、ここでは往年の名馬たちが余生を送っています。
中に入ってみるとそのまま厩舎!
1993年の日本ダービーや弥生賞を制した「ウイニングチケット」もここにいました!
そんな厩舎の中に突然ワークスペース作っちゃうなんて、浦河にしかできないですよね。競馬ファンにはたまらない空間だと思いますが、最近は「ウマ娘(ウマ娘プリティーダービー)」ファンも多く来るようですよ!
お部屋自体は「とりあえず面白いから作ってみた!」という感じで、まだ眺望も開けていませんが、これからさらに整備される予定です。
ホテル客室でのワーケーション
ワーケーションを行うホテル客室の環境は大事なポイントですが、AERUの客室からは広大で自然豊かな「うらかわ優駿の里公園」や日高山脈の山々が見えるため、部屋からの眺望は合格点を大幅にクリア。
しかもノーマルタイプのツインルームでもすべて20平米以上の広さがあり、特に2階の客室は天井が3メートルと高く、天窓付きのため、そのまま客室で仕事をしても開放感がありますよ。
<うらかわ優駿ビレッジAERU> 住所:北海道浦河郡浦河町西舎141番40 TEL:0146-28-2111 アクセス:浦河バスターミナルから無料送迎あり(完全予約制/宿泊者のみ)
浦河町内でのワークスペース
浦河にはAERUのほかにもワークスペースやワーケーションに便利な宿泊施設があります。
GUEST HOUSE MASAGO(宿泊/ワークスペース)
地元のクリエイターの手によって、銭湯兼ラーメン屋の2階がぬくもりあふれる空間に生まれ変わってできたのが「ゲストハウスまさご」。浦河の町なかに近くて賑やかなので、「自然が売りのAERU」に対し、「人が売りのまさご」と言ってもいいかもしれません。
地元の廃材をリユースしたストーリー性のある内装、オーナーと行く自然あふれるアクティビティ、地元の人たちとのコミュニケーションの場となっているラウンジなど、あたたかくてやさしい日々を暮らしているようなワーケーションができますよ。
<ゲストハウスまさご> 住所:北海道浦河郡浦河町堺町東1丁目11-1 TEL:0146-22-2645
浦河町乗馬公園(ワークスペース)
浦河町民の乗馬普及推進の拠点である「浦河乗馬公園」のクラブハウス内にワークスペースがあり、無料で利用することができます。
広大な乗馬公園の敷地を望む部屋のため、乗馬の様子を見られることも多く、「馬を見ながらワークしたい」という方には一番いいスペースかもしれません。
また浦河乗馬公園では通常の乗馬体験のほか、乗馬をしたり馬とふれ合うこと通じて、精神的・身体的なリハビリテーションを行う乗馬療育(ホースセラピー)を行っています。現在は子供と高齢者に向けたプログラムが中心ですが、今後、一般の方も受けられるプログラムを整備する予定ですので、ホースセラピーを通じて心身のストレス軽減を行いながらワーケーションを行うこともできるかもしれません。
ちなみに、ここで乗馬療育馬として活躍しているかつての競走馬「スターイレブン」の名付け親はなんとあの大谷翔平選手。
北海道日本ハムファイターズ時代、浦河町応援大使として訪れた大谷選手に、当時の背番号「11」にあやかって名前をつけられた「スターイレブン」ですが、先日大谷選手が大リーグでMVPを受賞した際には、彼にも花束に見立てた昆布とニンジンのブーケが贈呈されたそうです。
<浦河乗馬公園> 住所:浦河郡浦河町字西幌別327番地の9 TEL:0146-28-1304 開園時間:9:00~17:00
このほか、町内の中心部にある畳屋を改造した「シェアスペース&オフィス tatamiya」もユニークなワークスペースとして利用できます。
浦河の体験プログラム
ワーケーションで長期滞在するからにはバケーションとして楽しめる体験プログラムも必須です。サラブレッドのふるさと浦河ですから、AERUや乗馬公園での乗馬体験はもちろん可能ですが、そのほかにもユニークな体験ができます。
イーグルウォッチングプログラム
希少なオオワシやオジロワシを見に行く、朝のバードウォッチングプログラム。オオワシ・オジロワシともに国際自然保護連合と環境省のレッドリストに絶滅危惧種と指定されていますが、北海道は重要な越冬地であるため、毎年この浦河でも見ることができるのです。
例年11月中旬から1月末頃までの催行ですが、2020年の開催期間中は、ワシ遭遇率100%!
大柄なオオワシ、オジロワシといえども、いきなり素人が見つけるのはかなり難しいのですが、ガイドさんと行けば、ほらこのとおり。
望遠レンズ付きのカメラを持っていけば、ご自身でも迫力ある写真を撮影することができますが、ガイドさんが見やすいように望遠鏡を設定してくれますので、手ぶらで行っても十分楽しむことができます。
<イーグルウォッチング> 問合せ先:一般社団法人 浦河観光協会 TEL:0146-22-3200 営業時間:9:00~18:00 (土日営業、不定休)
ひだかサラブレッドタクシー
ご当地タクシードライバーと一緒に馬産地をめぐる特別な観光ツアー、「ひだかサラブレッドタクシー」。
浦河にも多くの競馬ファンが牧場見学に訪れますが、中にはマナーを守れない観光客も多いため、牧場側もナーバスになり、見学受け入れを休止するところが増えています。そのため乗務員を通じてお客さまにマナーや衛生面でのルールを守っていただくことを条件に、普段は入れないコースを見ることができるのがこのツアーの特徴です。
生産牧場、ホースセラピー施設、功労馬施設、調教施設、養老牧場などへの訪問が中心で、コースは所要2時間の「さらっと牧場見学コース」と所要3時間の「じっくり牧場見学コース」がありますが、お客さまのリクエストに応じてアレンジが可能です。
このツアーは2021年度の実証実験として実施され、現在は受付を休止していますが、2022年度以降の商品化を目標に準備が進められています。
このほかにも浦河町では魚さばきや大漁旗つくり、地元の人気パン屋さんでのパン焼き体験など、長期の滞在でも楽しめる様々なプログラムを用意しています。
競走馬好きはもちろん、ちょっと都会に疲れた方におすすめ!
浦河でしかできないワーケーション、それはサラブレッドとのふれあいを中心にした「ウマーケ―ション」。競走馬が好き、動物が好き…そんな人には絶対におすすめですが、もうひとつ「ちょっと都会に疲れたな・・・」という方にもぜひ来てほしいのです。
「ホースセラピー」という言葉からもわかるように、馬と触れ合うことは、自然と心や体が癒される効果があるようです。本格的な療育プログラムではなくても、ちょっと乗馬をしたり、牧場でお気に入りの馬を見つけて毎日向き合うことで、こころにゆとりを取り戻しながらテレワークを行い、休日は浦河の豊かな自然体験プログラムを満喫する…。
ちょっと都会に疲れたかな、と思った瞬間が、あなたにとっての「浦河ウマ―ケーション」のベストなタイミングですよ!