日本のニュースでもたびたび取り上げられる、オーストラリアへの出稼ぎ問題。コロナ禍以降円安が続く日本から、ワーキングホリデーのビザを提げて、オーストラリアへ旅立つ若者が後を絶ちません。その目当ては、最低賃金が日本の倍以上と言われるオーストラリアの魅力的な賃金です。
ただ、賃金が高いということは、もちろん物価も高い。
元々日本よりも物価の高いオーストラリアですが、さらに円安の煽りを受け、日本円に換算すると、さあ大変。
以前とは考えられない金額で買い物をし、食事をする状況になっています。
今回はそんなオーストラリアに渡航し、2023年11月現在の物価を調査したので、旅行に訪れる際の参考にしてください。
目次
オーストラリアの物価と最低賃金
日本との時差もほとんどない英語圏ということから、海外旅行先だけでなく留学先としても人気のオーストラリア。1年間(もしくはそれ以上)その地に滞在し、就学や就労ができる「ワーキングホリデー(通称ワーホリ)」先としても、不動の人気を誇っています。
30年近く経済成長を続けるオーストラリア
実はオーストラリアは28年間連続でGDPがプラス成長を続けている経済成長国。2020年にコロナショックの影響で一旦翳りは見えましたが、2021年以降は引き続きプラス成長に無事回復しています。
日本やアメリカなどのGDP成長率が軒並みマイナスになる中、オーストラリアのイケイケ状態は現在も続いており、物価や家賃なども高騰している状況です。
最低賃金$23.23と日本の約2倍以上
そんなインフレが絶賛進行中のオーストラリアでは、2023年7月から最低賃金が$23.23(¥2,270)にアップしました。対する2023年10月に発表された東京(日本最高値)の最低賃金は1,113円。その2倍以上ということを考えると、オーストラリアの景気の良さが伺えます。
週末や祝日には賃金が2倍になる「ダブルペイ」という制度もあるため、職種によっては週休を3日間取りつつ、週5日分のお給料がもらえることも。「専門職や肉体労働は、さらに稼げるチャンスもある!」ということで、最近は特にワーホリしたい人達のホットな渡航先として、たびたびニュースでも取り上げられています。
お給料が高いということは、もちろん生活にかかる諸費用も日本と比べてかなり高いです。今回はそんなオーストラリアの現在の物価を、ご紹介します。
オーストラリアのスーパーで感じる物価
まずはオーストラリア住民だけでなく、観光客も必ずお世話になるであろう、大手スーパーに並ぶ商品の価格について。その国のリアルを知る上で、スーパーは外せません。
オーストラリアの生鮮食品価格(パン・卵・牛乳・水・肉など)
パン
商品 | 価格 |
---|---|
食パン(750g) | $4.90(¥480) |
グルテンフリーブレッド(500g) | $7.50(¥733) |
毎日の食卓に欠かせない主食のパンは、定番ブランドのもので日本と同等程度、もしくは若干高い程度。もしこれがスーパーのプライベートブランドだと、さらに半額程度の爆安価格で購入できる、まさに庶民の強い味方です。
日本ではまだ珍しい小麦を使わないグルテンフリーブレッドも、オーストラリアのスーパーでは普通に並んでいます。少々割高ではありますが、食の選択肢が多いのは嬉しいですね。
卵
商品名 | 価格 |
---|---|
Cage Free(平飼い)卵 | $5.50(¥535) |
Free Range(放し飼い)卵 | $7.15(¥696) |
Organic(オーガニック)卵 | $12.50(¥1,217) |
卵はCage Free(平飼い)、Free Range(放し飼い)、Organic(オーガニック)など数種類に分類され、それぞれ値段も異なります。安価な平飼いのものでも$5.50(¥535)、1個当たり約45円と、日本の標準的な卵の約2倍の値段。因みに日本では10個入りが一般的ですが、オーストラリアは12個入りが基本です。
牛乳
牛乳は1L約$3.90(¥380)なので、1L¥200〜300の日本に比べて少々お高めですが、2〜3Lの大量ボトルが基本でお値段も$4〜5.00(¥450)程度なので、少量だと割高感がありますね。因みに植物性ミルクは日本でも定番の豆乳、オーツ、アーモンド以外にも、マカダミア、ヘンプ、ライスなど種類も豊富です。
ミネラルウォーター
ミネラルウォーターに関しては頻繁にセールをしていることもあるので、コンビニよりもスーパーの方が断然お得。お馴染みのセブンイレブンなどのコンビニは街中にありますが、切羽詰まっていない限りはスーパーで購入しましょう。ちなみにコンビニでポテチを買うと、1,000円以上する場合もありますよ!
オージービーフはやっぱり安い?
オーストラリアと言えばオージービーフ。気になる本国オーストラリアの牛肉のお値段ですが、部位によって若干価格差はあるものの、ステーキ肉が100g300円程度と、実は日本とあまり変わらない印象です。
また日本では低脂肪・高タンパクで、さらにお財布にもやさしい鶏むね肉ですが、オーストラリアではもも肉とほとんど値段が変わらず、あまりリーズナブル感はありません。ただ、予め鶏皮が取られたものが多く、健康に気をつけている人には有難いかも?
農業大国の野菜のお値段は?
国を上げて「Product of Australia(オーストラリア産)」を推奨していることもあり、野菜やフルーツに関してはオーストラリア産のものが安く購入できます。じゃがいもや玉ねぎ、にんじんは日本よりも若干安いです。
レタスなどの葉物野菜は日本とほぼ同じですが、2022年の洪水の影響などで一時は1,000円を超えることもありました。一般家庭の食卓からはレタスが消えましたが、ファストフード業界は大打撃だったそうです。
オーストラリア産マンゴーやグレープなど、旬のフルーツは美味しいし安いです。夏が近づくとマンゴーが$2.00(¥195)程度、大玉のアボカドが$1.00(¥97)程度で購入できるようになります。
醤油などの日本食材
醤油やワサビ、海苔や味噌などの日本食材は、アジア人が多い都市部のスーパーだったら比較的簡単に手に入ります。もちろん種類は多くないし、日本では馴染みのないブランドも多いし、さらにお値段は高めです。ただ基本的に日本食材は高級な輸入品なので、あまり物価の参考にならないですね。
オーストラリアはお酒が高い!
旅行に訪れたら、その土地のお酒を楽しみたいですよね。ただオーストラリアの酒税は高いので、日本に比べるとお酒の値段は全体的に高めです。
またオーストラリアのスーパーやコンビニでお酒は販売していないので、酒屋さん(Bottle Shop / ボトルショップ)で購入しましょう。
リーズナブルなワインはお土産に
新世界ワインの生産国オーストラリアに訪れたら、ワインを飲まないわけには行きません。エリアごとに美味しいと言われるブドウはありますが、基本的にどの生産地、どのワイナリーでも、ほとんどのブドウの種類を網羅しています。ある意味「無差別」なのもオーストラリアならではです。
オーストラリアのワインにはGSTという10%の消費税と、WETという29%のワイン税がかけられています。アルコールの中でもワインだけは空港で免税できるので、一番お得に持ち帰ることが可能です。
話題のクラフトビールは若干割高
日本でも通常のビールよりもお高いクラフトビールですが、オーストラリアでは375ml缶で1本$5.00〜6.00(¥487〜584)程度とさらにお高め。ただ個性豊かなフレーバーと幅広い品揃え、さらにジャケ買いしたくなるようなパッケージが多いので、自分用のお土産についつい手に取ってしまいます。
クラフトジンやウィスキーは激高
アルコール度数で酒税の変わるオーストラリアでは、度数の高いスピリッツやウィスキーなど蒸留酒の価格は必然的に高くなります。旅の思い出に持って帰りたい美味しいスピリッツも多いですが、よほどのお気に入りでない限りは日本で購入した方が安いこともあるので要注意です。
最近人気のジャパニーズ・ジンも、ROKUは$75.99(¥7,407)、季の美は$100越え(¥9,950)します。日本からの輸入品なので、わざわざオーストラリアで購入する人はいないと思いますが。
オーストラリアのマクドナルドの価格
世界各国に展開するハンバーガーチェーン「マクドナルド」。日本では「マック」や「マクド」と呼ばれているマクドナルドですが、オーストラリアでは「Macca’s(マッカス)」の愛称で親しまれています。
ビッグマックのお値段は?
その国の物価を知る上で重要な目安になると言われる、マクドナルドの価格。特に看板メニューのビッグマックの金額は「ビッグマック指数」と言われ、為替相場と購買力を比較する指標になっているとか。
オーストラリアのビッグマックの金額は1個$7.50(¥736)で、1個450円の日本の約1.63倍。最低賃金が日本の2倍程度と考えると、若干安い価格設定なのかもしれません。因みにオーストラリアのマクドナルドのハンバーガーパティは、もちろん100%オージービーフです。
オーストラリアのご当地メニュー
その土地ならではのご当地メニューは、カフェ文化が盛んなオーストラリアらしく、こんがり焼いたパンにハムやチーズを挟んだサンドイッチ「トースティー(Toastie)」や「バナナブレッド(Banana Bread)」など、カフェの定番メニューが並びます。
さらに100%オーストラリア産アンガス牛を使ったリッチなグルメバーガー「Classic Angus(クラシック・アンガス)」は、$9.65(¥960)と高めなお値段ながらも、ジューシーで贅沢な味わいが人気です。
豪州版バーガーキング「ハングリージャックス」
オーストラリアでよく見かける、「ハングリー・ジャックス(Hungry Jack’s)」というバーガー屋さん。「何だかロゴがバーガーキングに似ているし‥‥パクリかも?」と思いきや、正真正銘のバーガーキングなんです。
バーガーキングがオーストラリア上陸時、既に地元レストランが同じ名前で商標登録済みだったため、オーストラリアでのみハングリー・ジャックスという名前で親しまれています。
オーストラリアのスターバックスの価格
世界最大のコーヒーブランド「スターバックス」は、日本だけでも約1800店舗を構える人気大コーヒーチェーンですが、オーストラリア国内にはわずか60店舗ほどしかありません。実はカフェ文化が盛んなオーストラリアでの店舗拡大はなかなか上手くいかず、一時は70%の店舗を閉店するなど苦戦を強いられたとか。
スターバックスラテのお値段は?
スターバックスのトールラテの価格も「スタバ指数」と呼ばれ、最近では「ビッグマック指数」と共に各国通貨の購買力を比較する指標として使われています。オーストラリアのトールラテの価格は$5.30(¥516)と、日本の490円とあまり変わらず、マクドナルドよりは価格差を感じません。
ただカフェ天国のオーストラリアでは美味しいコーヒーがよりリーズナブルに飲めてしまうので、やはりスターバックスの更なる拡大は難しいかなという印象です。
オーストラリアのダイソーの価格
日本でお馴染みの100円均一のダイソー(Daiso)は、オーストラリアでも大人気。ただ輸入品になるため、お値段は「$3.30(¥321)」均一とかなりお高めです。
それでもオーストラリアでは手に入らない便利グッズが他にはない品揃えで並び、オーストラリアでは購入できないお手頃価格で手に入る、ということで根強いファンが多い人気店です。
オーストラリアの平均的なランチの価格
オーストラリアの平均的なランチの価格は$15.00〜20.00(¥1,462〜1,949)だそう。ただこちらはあくまで平均値なので、筆者個人的にはもう少し高くなる印象です。
ランチはワンコインでは食べられません
オーストラリアでワンコインでランチを食べるなんて、まず不可能です。
先日、普通のカフェでランチに訪れ、プレート一皿とコーヒーをオーダーしましたが、3人で1万円を超えてしまいました。丼チェーンやファミレス、お蕎麦屋さんなど、お手頃価格で手軽にランチが食べられるお店がないことが残念です。
オーストラリアでお手軽なランチ
それでも出来る限り節約しながらランチを楽しみたい!という方におすすめなのが、フードコートや持ち帰り専門のお店。ワンコインではありませんが、日本円で1,000円ちょっとあればランチが楽しめます。
チキンカツ&アボカドやテリヤキビーフなどの個性豊かな巻き寿司は、お手頃ながらボリュームもあってランチにぴったり。因みに一風堂などの人気ラーメン店はフードコートの中でも高級店にあたるので、安く済ませたいのであればおすすめしません。
また海に囲まれたオーストラリアに訪れたら、是非新鮮なシーフードを食べておきたいですよね。レストランでは高めなオイスター(生牡蠣)も、フィッシュマーケットに行けばワインやビールと一緒にリーズナブルに楽しめます。
オーストラリアでショッピングを楽しむなら
元々オーストラリアの物価は高いので、残念ながら日本よりお得にショッピングを楽しむことはできないかもしれません。さらに最近は円安も進んでいるので、尚更旅行でお金を使うのも大変です。
ただ、日本では味わえないような個性的なカフェでのブランチや、採れたてのシーフード(オイスターが最高)、ローカルのワインやクラフトビールなど、他ではできないオーストラリアならではの過ごし方がたくさんあります。
スーパーのセール商品やリーズナブルなお店、無料でも楽しめるイベントなどを賢く利用しつつ、オーストラリアの旅を楽しみましょう!