世界三大カーニバルの一つであり、中世にベネチアで実際に行われていた仮面舞踏会が現在のベネチアに蘇る美しい祭りこそ、ベネチアカーニバル。
ベネチアカーニバルは新型コロナウィルス感染拡大がヨーロッパに広まった2020年、最も盛り上がるカーニバルの終盤にいきなり打ち切り。2021はオンライン、2022年は開催されたものの例年よりも大幅に縮小(涙)。2023年はほぼ従来の形になりましたが、まだコンテンツ数は完全に同じに戻っていない印象でした。
さあ、2024年のベネチアカーニバルはどうなるでしょうか!現地在住ライターが最新情報を随時更新してお届けします。
目次
ベネチアカーニバルとは?
イタリア好きの人ならだれでも知っているうえに、一度は行きたいと願うベネチアカーニバル。
時期は毎年2月~3月にかけての2週間ですが、開催時期は毎年変わります。そのため、この時期にイタリア旅行を考えている人は、カーニバルの予定に合わせようと必死。今興味を持って調べているあなたも、旅行前にその年の日程を必ず確認することが重要になります。
「カーニバル」自体はキリスト教のお祭りで世界中で行われており、ベネチアカーニバルはリオデジャネイロ、トリニダード・トバゴとともに世界三大カーニバルとされています。
その中でもベネチアカーニバルは、1162年ごろから始まったという世界で最も歴史のあるカーニバルです。
ベネチアカーニバルの主役は仮面と中世の衣装をまとった世界中から集まる「マスケラ(仮面舞踏会参加者)」たち。この人たちは大道芸人でもプロでもなく、全員、ごく普通のイタリア人や旅行者です。誰でも参加していいというベネチアカーニバルの史実に基づいていて「仮面を被れば誰でもこのカーニバルの間は平等に楽しめる」という粋な計らいがあり、毎年中世仮装に磨きをかけ「我こそは一番」と世界中から参加者がやって来ます。
何故誰でも参加できるようになったのでしょうか?…ベネチアカーニバルはいつから始まり、どのように今まで続いているのでしょうか?カーニバルの歴史を見てみましょう!
ベネチアカーニバルの歴史
ベネチアカーニバルの始まりは1162年頃。アクイレイア(現在も北イタリア・ウディネ県に町として残っています)との抗争で勝利したことを祝い、ベネチアの人々がサン・マルコ広場に集まり踊り始めたことが始まりと言われています。
この頃のベネチアは階級社会により、話せる人の階級が厳しく制限されていたため、自分の身分を隠して一市民になり、カーニバルを楽しむために仮面を付ける人が増えていきました。そのことから、カーニバルの期間だけは、庶民から貴族までが自分の身を隠し、誰とでも話し踊るという風習ができていきます。
14~16世紀のルネッサンス時代にはベネチアのカーニバルは全盛期を迎え、盛大で華やかな様子が世界中の人に知れ渡る大規模なものとなっていきます。その後、18世紀にはベネチア共和国の衰退とともにカーニバルの規模も小さくなっていき、ベネチア共和国が滅びるとカーニバルも消滅してしまいました。
長い間開催されていなかったベネチアカーニバルが復活したのは、なんと1979年!つい最近です。
ベネチア政府が伝統的なお祭りだったカーニバルを復活させ、ベネチアは再びカーニバルの町として世界中に知られるようになります。コロナウィルスが流行する前年の2019年まで、毎年カーニバルの2週間に約300万人がベネチアを訪れていました。2週間で300万人!すごい数ですよね。
コロナ禍のベネチアカーニバル2020年~2023年の様子
ベネチアカーニバルの歴史に新たに加わったものこそ、コロナ禍に行われたベネチアカーニバル。
通常のものとは大幅に異なり、ベネチアカーニバルファンの皆さんもとても悲しかったと思います。どのような状態だったか振り返ってみましょう。
ベネチアカーニバル2020
2020年2月中旬、アジアの出来事として「対岸の火事」としてヨーロッパでとらえられていた新型コロナウィルスがイタリアで一気に広がります。
奇しくもそれはベネチアカーニバル2020年の開催中でした。この時のカーニバル期間は2月9日から25日までの予定でしたが、23日にヴェネト州が中止を決定。23日以降のイベントはすべて中止になってしまいました…。
仮装コンテストの結果発表や、最終日の花火など、ベネチアカーニバルは後半に目玉のイベントが行われるため、世界中から集まったマスケラさん(仮面舞踏会のコスプレを楽しんでいる人)も、見学者たちもガッカリ…。
この後、北イタリア3州(ロンバルディア州、ヴェネト州、ピエモンテ州)の学校が24日から休校になるなど、イタリアは一気にロックダウンに突入していったのです。
ベネチアカーニバル2021
2021年のカーニバルは2月6日~16日に開催されました。
開催だけはできたものの、この時期も新型コロナウィルスの感染拡大が収まっていなかったため、いくつかのイベントがオンライン中継に。
仮装を楽しみたい人はカーニバルのバーチャルルームに参加すれば、着飾った世界中の人たちとカーニバルを楽しむことができるという計らいもあり、豪華絢爛な雰囲気をオンラインで楽しんだ、という人も多かったはずです。
ベネチアカーニバル2022
2年ぶりに復活か?と期待された2022年。
一応開催されたものの、例年より大幅に規模が縮小されたり開催されないプログラムがあったりと、以前のカーニバルとは程遠いものとなりました(涙)
ベネチアカーニバル2023
やっと「ほぼ」例年通りに開催されたものの、まだ完全な形ではない催しも。またEU諸国は入国制限の撤廃も進んでいましたが、20202年に行われたオープニングセレモニーは2回、2023年は1回でした。また、まだ見に行けない人も多く、ベネチアカーニバルの来場者も例年通りとはいかなかった模様。
ベネチアカーニバル2024年はいつからいつまで?
ベネチアカーニバル2024年は、やっとパンデミック以前の規模、スケジュールで開催されそうです。
全世界から集まるマスケラさんも、絢爛豪華なベネチアの景色を見ようと集まる観光客の皆さんも、2024年のカーニバルは以前のような豪華絢爛な中世絵巻を思いっきり楽しめますよ♪
2024年ベネチアカーニバル期間:1月27日~2月13日
2024年のカーニバル期間に開催されるイベント決定の有無ついては、後述するデータ欄の公式サイトでくわしく紹介しています。
2024年ベネチアカーニバル・スケジュール
ベネチアカーニバルで最も盛り上がる日はいつ?
毎年約2週間の期間、開催されるベネチアカーニバルですが、その中でも一番盛り上がるのは最後の週末から最終日。
メインイベントは週末に開催されるので「お祭りの雰囲気を存分に味わいたい!」という人は、特に最終日に一番近い土日がおすすめです。
2024年のスケジュールで行くと、ベネチアカーニバルで一番盛り上がるのは2月10日(土)~13日(火)の4日間。
週末のイベント目当てに行くなら2月10日(土)と11日(日)にベネチアを訪れましょう。
ただ週末はサン・マルコ広場が身動きができない程人で埋まるので、「人が多すぎるのはちょっと…」という人はわざと平日に行くのもあり。平日は週末に比べると人が少ないですが、衣装を身にまとっている人もたくさんいるのでカーニバルの雰囲気も楽しむことは可能です。
実は私はパンデミック以前に、実際に2月の平日を選んでいきました。やはり人がいない方が快適に見学できます。
ベネチアカーニバルの平日の様子
平日は「煌びやかな中世の仮面舞踏会」といった雰囲気は薄いですが、仮装している人がたくさん歩いています。中世の建物がそのまま残る世界遺産の町が、共和国時代に戻ったかのような錯覚を楽しめますよ。
平日でも衣装を身に着けているマスケラさんたちがたくさんいます。声をかければ気軽に写真を撮らせてもらえるので、ベネチアカーニバルの思い出に、バシバシ撮らせてもらいましょう。
本格的な衣装ばかりで、見ているだけでも楽しい!
ベネチアの町自体が中世とあまり変わらないせいか、町の風景とマスケラさんたちの姿の融合は、カーニバルが実際に行われていた光景とほとんど変わらないのです。
※私は経験しなかったのですが、写真を撮ると「勝手に撮るな!」と怒られたりチップを請求されりした人もいるみたい。写真を撮りたい時には一言「いいですか?」と声をかけると安心ですね。イタリア語で「いい?」と聞きたい時に便利な一言はこちら↓
Posso?(ポッソ?)=~してもいい?
カメラやスマホを見せながら「ポッソ?」と聞いてみましょう。「写真を撮りたいんだな」とすぐに分かってもらえますよ♪
ベネチアカーニバルの主なイベント&2024年のスケジュール
「せっかくならベネチアカーニバルでイベントを楽しみたい!」という人のために、2024年の主なイベントとスケジュールを紹介。……しようと思ったのですが、イタリアなので直前にならないとイベントの詳細が発表されず、まだ多くのイベントのスケジュールは発表されていません。2023年11月27日現在わかっているイベントのスケジュールはこちら。
※公式サイトで発表があり次第、イベントの詳細を追記していきます。
1月27日 (土) | ・Carnival Opening Parade(オープニングセレモニー) |
1月28日 (日) | ・Carnival rowing parade(水上パレード) |
2月3日 (土) | ・マリア達の行進 ・サン・マルコ広場でおこなわれる仮装コンテスト(2月3日~13日まで) |
2月4日 (日) | ・サン・マルコ広場でおこなわれる仮装コンテスト(2月3日~13日まで) ・天使の飛翔 |
2月12日 (月) | ・サン・マルコ広場でおこなわれるイタリア各地の伝統的なカーニバル衣装のパレード ・サン・マルコ広場でおこなわれる仮装コンテスト(2月3日~13日まで) |
2月13日 (火) | ・2023年マリア賞発表 ・サン・マルコ広場でおこなわれる仮装コンテスト(2月3日~13日まで) |
その他、カーニバルの期間にはたくさんのイベントが開催されます。詳細はベネチアカーニバル公式サイトを確認してくださいね。
ベネチアカーニバル公式サイト:Carnevale di Venezia(英語ページ)
Carnival Opening Parade
Canal Grande(大運河)で夜間に行われる水上パレード。見どころの多いカーニバル後半に行けない人は、オープニングセレモニーを目指すとよいでしょう。
パレードに参加している人々がベネチアの華やかなりし時代の服装をしているため、自分がいつの時代のベネチアにいるのか、一瞬わからなくなってしまうほど幻想的。ベネチアの中世の雰囲気を心ゆくまで楽しめるパレードです。
開催日時:2024年1月27日(土)20 :00 ~ 21:00
開催場所:Canal Grande(大運河)
Carnival rowing parade
オープニングセレモニー翌日に行われる水上パレード。大運河を埋め尽くすほどたくさんのボートが行き交います。土曜日の夜に行くのが難しいという人は、日曜日の11時からおこなわれるこのパレードを目指すとよいでしょう。
開催日時:2024年1月28日(日)11 :00 ~ 12:00
開催場所:Canal Grande(大運河)
Carnival rowing parade(ベネチアカーニバル公式サイト)
Festa delle Marie(マリア達の行進)
オープニングセレモニーの翌週土曜日に行われるイベント。ベネチア市民の中から選ばれた12人のマリアたちがベネチアの町(サン・ピエトロ・ディ・カステッロ~サン・マルコ広場)を行進します。12人の中に選ばれることは、ベネチア市民にとってとても名誉のあることだとか。最終日に12人のマリアの中から優勝者が1人選ばれます。
開催日時:2023年2月3日(土)15 :00 ~ 16:30
仮面コンクール
カーニバルの期間中、サン・マルコ広場に設置された特設会場で毎日行われる仮面・衣装のコンクール。毎日その日の優勝者が決まり、最終日に「ベネチアカーニバル2023」の優勝者が発表されます。サン・マルコ広場に行けば誰でも見学することができますよ!
開催日時:2024年2月3日~13日 10 :30 ~ 17:30
開催場所:サン・マルコ広場
ベネチアカーニバルの楽しみ方
ベネチアカーニバルに行ってみたい!という人のために、ここではカーニバルの楽しみ方を3つ紹介します。
1.マスケラさんを撮影してカーニバルの雰囲気を楽しむ
「カーニバルの雰囲気は楽しみたいけど、自分で衣装を着るのは恥ずかしい…」という人は着飾っている人の写真をたくさん撮って楽しみましょう!
気さくに一緒に写真を撮ってくれる人も多いので、中世の景色に溶け込ませてもらうことも良い思い出になります。
2.自分も仮面を買って付けてみる
カーニバルの時期には町中で仮面を売っているので、気に入った仮面があれば付けてみましょう。
派手な仮面を付けられる機会なんて、一生のうちでこの時くらい。
特に週末は多くの人が仮面を付けたり衣装を身に着けたりしてカーニバルを楽しむので、仮面を付けて楽しんでみましょう!これでハマってしまい、毎年ベネチアカーニバルへ…なんて人もいるようですよ!
3.貸衣装でカーニバルの主役になってみる
この時期には貸衣装もレンタルできるので「思いっきりカーニバルを楽しみたい!」という人は思いっきり着飾ってみましょう。煌びやかな衣装を身にまとえば、非日常の世界にトリップできます♪
いろんな人がカメラを向けてくるので、モデルになったような気分になれるかも!?
※カーニバル期間中の舞踏会イベントは、衣装を身に着けた人だけが参加できるものも。貸衣装で着飾ったら、少々お高いものの、舞踏会などのイベントにも参加してみましょう!
4.カーニバルの時期にしか食べられない限定お菓子を食べる!
カーニバルの時期にイタリアに来たら、ぜひ食べてみて欲しいのが「カーニバルの時期限定のお菓子」。この時期ならお菓子屋さんやスーパーなどどこでも売っているので、見つけたらぜひ食べてみてください。とってもおいしいので、一度食べたら病みつきになりますよ!
Chiacchiere(キアッケレ)
地方によりいろいろな名前があるカーニバルの時期のお菓子。よく知られている名前は「キアッケレ」や「フラッペ」ですが、ベネチアのあるヴェネト州では「ガラーニ」と呼ばれています。
サクサクな食感が病みつきになる危険なお菓子なので要注意!(笑)イタリア全国どこでも売っているので、カーニバルの時期(2~3月)にイタリアに来たらぜひ食べてみてくださいね!
Frittelle(フリッテッレ)・Castagnole(カスタニョーレ)
どちらも揚げドーナツのようなお菓子。大きさが少し違います(カスタニョーラの方が少し小さめ)が、どちらもフワフワな食感がおいしい!中に何も入っていないプレーンなものから、クリームやチョコレートクリームが入った甘~いものまで様々な種類があります。これはベネチア限定のお菓子(他の地域にも似たようなお菓子はあります)なので、カーニバルの時期にベネチアに来たらぜひ食べてみて!
ベネチアカーニバル開催期間は毎年変わる
毎年開催期間が変わるベネチアカーニバル。毎年同じ日程なら予定も立てやすいのに、と思ったことがある人も多いかもしれません(毎年カーニバルの時期を検索するのは面倒くさいですよねぇ…)。
なぜ、ベネチアカーニバルの時期は毎年変わるのでしょうか?ここでは、カーニバルの時期がどのように決められているのかを解説します。
ベネチアカーニバルの時期の決め方
カーニバルの時期を決めるのに重要になるのが「復活祭の日付」。復活祭(イースター)とは、キリストが死後3日で蘇った事をお祝いする日です。日本ではクリスマスほど知られていませんが、キリスト教徒にとっては、キリストが誕生したクリスマスよりも、大切なお祝いの日になります。
カーニバルの時期は復活祭の日付が重要になりますが、では復活祭の日付はどのように決まるのでしょうか?
復活祭の日は「春分の日の後の初めての満月を過ぎた日曜日」となります。春分の日が毎年変わることで復活祭の日も変わり、その結果毎年カーニバルの時期も変わる、というわけなんですね(ややこしい…涙)。
復活祭の日は、「春分の日になった⇒満月になった⇒次の日曜日が復活祭だ!」このように決定されます。
キリスト教では「復活祭に入る前の46日間は節制期間」と決められています。その46日間の節制期間に入る前に好きなものを食べたり飲んだりして大騒ぎしよう!というのがカーニバルの始まりなので「カーニバルの最終日が復活祭の46日前になる」ようにカーニバルの時期が決められるんですね。(本当にややこしい…涙)
ベネチアカーニバル2024年以降の開催予定は?
毎年変わるカーニバルの時期ですが、復活祭の日は暦を読めばあらかじめ分かるので、カーニバルの時期も計算すれば、何年先でもあらかじめ分かるようになっています。
ここでは2024年以降のカーニバルの日程を紹介しますね。
ベネチアカーニバル近年のスケジュール | |
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2024年 | 1月27日~2月13日 |
2025年 | 2月15日~3月4日 |
2026年 | 2月1日~2月17日 |
2027年 | 1月24日~2月9日 |
2028年 | 2月13日~2月29日 |
2029年 | 1月28日~2月13日 |
2030年 | 2月4日~2月21日 |
一度はベネチアカーニバルに参加してみよう!
2020年から2022年まで日本からの参加が難しかったベネチアカーニバル。しかし!2024年はカーニバルの完全復活となりそうです。
2024年はちょっといけないかも、という人は、いつか冬の時期にイタリアへ行く際に、ぜひ一度ベネチアカーニバルに参加してみてくださいね!
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