見渡す限り洞窟住居が広がる南イタリアの街「マテーラ」。何千年もの歳月をかけて人類と自然が作り上げた奇跡の絶景として、近年人気急上昇中の世界遺産です。2021年には映画「007」のロケ地として、その名声は一気に世界レベルになりました。
コロナ後はじめての海外旅行はマテーラに!とワクワクしている人も多いのでは?
ですが、昔から「陸の孤島」と呼ばれてきたこの街はアクセスがちょっと厄介。だからこそ、今回はマテーラをよく知る筆者がマテーラへの行き方をご紹介します。
マテーラへ行く王道ルート「お隣りプーリア州(バーリ)」、イタリアの首都「ローマ」、南イタリア最大の街「ナポリ」、合計3つの街からの行き方です。アクセスが不便な分、あのセピア色の街並みを見たときの感動はひとしおですよ。イタリアへ出発する前にこの記事でマテーラへのアクセスを予習しましょう。
目次
近年注目の街「マテーラ」
マテーラは南イタリア・バジリカータ州東部に位置する人口約5万6千人の都市です。「サッシ」と呼ばれる洞窟住居がどこまでも並ぶ絶景が魅力で、1993年にはユネスコの世界遺産に認定されました。近年はその存在が世界中に知られ、南イタリアでも人気の観光地です。
ただし、マテーラは昔からアクセスが不便な旅人泣かせの土地。空港に関しては、バジリカータ州には1つもないため、最寄りの空港はお隣りプーリア州の「バーリ空港」です。そして、電車は私鉄アップロ・ルカーネ線が「マテーラ中央駅」まで運行していますが、日曜日は運休になるため代替バスを利用します。
決してアクセスが快適な街ではありませんが、この記事で分かりやすく解説していくので最後までご覧ください。
そして、マテーラは映画のロケ地として幾度も取り上げられ、メルギブソン監督の「パッション」(2004年)や「007」シリーズ最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021年)で一躍注目の街に。2022年6月には女優アンジェリーナ・ジョリーが監督をつとめる最新作「Without Blood(原題)」の撮影が行なわれています。
マテーラ中央駅から洞窟住居へ
まず最初に「マテーラ中央駅」から洞窟住居が建ち並ぶ「サッシ地区」への行き方をご説明します。後ほどご紹介する、プーリア州(バーリ)とローマから電車でアクセスする場合はこの駅を利用します。
マテーラはその知名度とは裏腹に、驚くことに国鉄が通っていないため、この「マテーラ中央駅」(私鉄アップロ・ルカーネ線)が洞窟住居への最寄り駅になります。
駅からサッシ地区までは歩くと10分程度。この距離なら大きなスーツケースをもっての移動も許容範囲といえます。ただし、暑い夏や雪の降る冬の日は駅前からサッシ地区を周遊するシャトルバス(ミッコリス社)を利用するのが賢明です。
シャトルバスの詳細は、駅前にある「マッテオッティ広場」(Piazza Giacomo Matteotti)の停留所から乗車し、目的の停留所で降ります。運行時間は朝7時30分から夜20時25分(夏季は23時55分)まで30分間隔で、乗車料金は80セント。近隣のタバコ屋やバールで乗車券を購入します。
尚、このマッテオッティ広場は、プーリア州(バーリ空港)から空港バスを利用して到着する場合にも降り立つ停留所です。
DATA マテーラ中央駅からサッシ地区へのシャトルバスの詳細はこちら⇒「ミッコリス社」
プーリア州(バーリ)からの行き方
さて、ここからは街ごとにマテーラへの行き方をご紹介していきます。最初は王道ルートの「お隣りプーリア州の州都バーリから入る方法」です。空港がないバジリカータ州ではプーリア州に一度降り立ち、そこから電車やバスでマテーラに行くルートが最も利用されています。
空港バス
一目散にマテーラを目指したい人は、バーリ空港に到着したら空港バス(Pugliairbus)に乗りましょう。マテーラの降車場所はマッテオッティ広場です。
バスは毎日5本運行しています。空港からの出発時間は9時15分、13時40分、15時、19時15分、24時30分。マテーラまでの所要時間は1時間15分、料金は6ユーロ。
下記のサイトで日付と行き先(出発地:バーリ/目的地:マテーラ)を選択すると、バスの時刻が一覧表示されます。その中から希望の出発時間を選びサイトの乗車券を購入してください。
DATA バーリ空港からマテーラ行きのバスの乗車券購入はこちら!⇒「Pugliairbus」
電車
次は、プーリア州まで来て州内を観光してからマテーラへ行く人へ。バーリ中央駅から電車でマテーラ中央駅へ移動するのが最適です。 ちなみに、プーリア州には世界遺産のアルベロベッロやカステル・デル・モンテ、「南イタリアのフィレンツェ」と呼ばれるレッチェなどの観光地があります。
バーリが始発の私鉄アップロ・ルカーネ線に乗ると、約1時間45分でマテーラへ到着。ただし、途中のアルタムーラ駅で乗り換えが必要なのでご注意を。運行は月曜~土曜(祝日除く)。時間帯は朝5時~夜22時まで、ほぼ1時間に1本の割合です。乗車料金は5.2ユーロ。
日曜日は電車の代わりにバスがマテーラ中央駅まで運行。乗り場は駅舎とは反対側のカプルッツィ通り(via Capruzzi)にあり、朝8時台から夜21時台まで計6本です。所要時間は約1時間30分、料金は電車と同じ5.2ユーロ。
乗車券は電車とバスともにアップロ・ルカーネ社のサイトで購入可能。
DATA バーリとマテーラを結ぶ電車・代替バスの乗車券購入はこちら⇒「アップロ・ルカーネ線」
タクシー
最後に少し費用がかかりますが、バーリ空港やバーリ市内からタクシーでマテーラを目指す方法を。
「NCC」(Noleggio con conducente/ノレッジョ・コン・コンドゥチェンテの略)と呼ばれる事前予約制の観光タクシーを利用するのがオススメです。所要時間は約50分、料金は1台(最大6名)で80~100ユーロが目安。料金が事前定額制で運転手が英語を話せるのが特徴。ぼったくりに遭ったりせず言葉の面でも安心です。
NCCの会社はたくさんあるのでインターネットで「NCC/Matera」で検索を!尚、プーリア州は大都市に比べて流しのタクシーが少ない土地。なぜなら、公共交通機関が不便なので自家用車の保有率が高いため。タクシーよりも自家用車で移動するのが日常です。よって、旅に出る前に手配を済ませておくと安心ですよ。
ローマからの行き方
永遠の都である、イタリアの首都ローマからの行き方は「飛行機」「電車」「長距離バス」の3種類です。さっそく見ていきましょう!
飛行機
最初は、ローマから飛行機を使ってマテーラに行く場合です。ローマのフィウミチーノ空港からバーリ空港へは飛行時間約1時間。バーリ空港からは前出のマテーラ行きの空港バスに乗車しましょう。
ローマからバーリまではいろんな航空会社が運行していますが、最安値はローコストエアーの代表格ライアンエアー(Ryanair)で6ユーロ!なんと1000円以下で移動が可能。ただし、この料金には大きなスーツケースの持ち込みは含まれないため、ローマを拠点に短期でイタリア各地を旅行する人におすすめです。
日本からローマに入り、バーリへ移動する人はITA(旧アリタリア航空)が安心安全です。大きなスーツケースを持ち込める料金(エコノミークラシック)は80ユーロ程度からあります。さらに、1日当たりの便数がローコストよりも多いので、フレキシブルに予定を組み合わせられます。
DATA ローマからバーリ行きの飛行機はこちら!⇒「ライアンエアー(Ryanair)」/「ITA(旧アリタリア航空)」
電車
電車を利用する場合は、ローマの陸の玄関口「テルミニ駅」からバーリ中央駅へ。そこから、前出のアップロ・ルカーネ線に乗車してマテーラ中央駅へ。ただし、アップロ・ルカーネ線の駅舎は国鉄(写真)とは別。オレンジ色の国鉄の駅舎の斜め前にあるので乗換え時に注意してください。
最も速い高速電車フレッチャ・アルジェント(Frecciargento)とフレッチャ・ロッサ(Frecciarossa)に乗車すると、所要時間約4時間でローマからバーリ中央駅へ到着。次に速いインターシティ(intercity)では所要時間6時間45分。
料金はどれも15ユーロ程度からあります。尚、国鉄を予約する場合は、時期が早ければ早いほど割引が高い乗車券を購入できます。イタリア全土で同じ条件なので覚えておくとお得に旅行ができますよ。
DATA ローマとバーリを結ぶイタリア国鉄のサイトはこちら⇒「トレニイタリア」
長距離バス
長距離バスを利用する場合は、ローマの大型バスターミナル「ティブルティーナ・バスターミナル」から出発します。所要時間は、乗換えがない場合で約6時間30分、ナポリで乗換えがある場合は約7時間30分です。
運行時間はヨーロッパ大手のバス会社フリックスバス(FLIXBUS)の場合だと、朝3時、10時30分、14時、16時、深夜23時30分にローマを出発します。ただし、日によって早朝便がないこともあるので予約時に公式サイトで確認を。料金は18ユーロからとお手頃です。
ただし、FLIXBUSを含めどの会社の長距離バスを利用する場合も、目的地マテーラの降車停留所に注意が必要です。
洞窟住居が集まる旧市街から遠い新市街のバス停に到着します。ここからサッシ地区までは歩くと30分以上かかるため、宿泊先などに事前に送迎のお願いをしておくのが賢明です。お得なバス旅ですが、これを知らずに到着すると苦労するので、事前に心の準備と送迎の手配をしておきましょう(笑)。
DATA ローマとマテーラを結ぶ長距離バスのサイトはこちら⇒「フリックスバス社(FLIXBUS)」
ナポリからの行き方
続いては、南イタリア最大の都市ナポリからの行き方です。ずばり、長距離バスの1択のみ。電車とバスを組み合わせて辿りつくこともできますが、乗換えの手間と待ち時間、所要時間を考えると、ナポリとマテーラを直結する長距離バスに軍配が上がります。
ナポリのバス乗り場は、ナポリ中央駅の横にあるバスターミナルから。最速3時間でマテーラへ!こちらも、FLIXBUSの運行時間は朝2時15分、7時30分、18時、18時40分の1日4便(日によって早朝便のみの場合も)。料金は11ユーロから。
ただし、この場合もマテーラ到着時のバス停はローマからの長距離バスと同じになるため、サッシ地区に快適にアクセスしたい場合は事前にバス停からの送迎を手配する必要があります。
おまけ:ボローニャからの行き方
最後に、イタリア中部のボローニャ(エミリア・ロマーニャ州)からマテーラへ移動する長距離バスがあるので、おまけとしてご紹介します。
フリックスバスでは、ボローニャから早朝便(4時20分発)と深夜便(23時30分発)を毎日運行。早朝便は所要時間が12時間以上と長くなりますが、深夜便はそれに比べると8時間30分と割りと短めです。お得な旅行をしたい人は深夜便を利用してマテーラまで移動すると、ホテル代も浮いて一石二鳥かもしれません。
ただし、この場合も降車停留所はローマやナポリからの場合と同じ。事前に洞窟住居が集まるサッシ地区までの送迎手配を忘れずに。
苦労が報われる絶景がマテーラにはある!
古代から人が洞窟に住み生活してきたマテーラの魅力は、昔の姿が現代にまで完璧な状態で保存されていること。冒頭でもご説明したとおり、マテーラは決してアクセスがよい世界遺産ではありません。でも、これは交通が不便な場所だったからこそ、他の侵略者の影響を受けずに独自の文化を残せた理由でもあります。
人気急上昇中の世界遺産マテーラへ出発する前に、この記事を読んで自分の旅行プランにうまく活用してください。苦労して辿りついた先には絶景が待っています。現地では昼と夜の両方のマテーラを堪能してくださいね。
尚、マテーラを含め南イタリアでは電車もバスも時刻表どおりに来ないのが当たり前。スケジュールを立てる際は時間にゆとりをもちましょう。
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