あじさいのお寺としても有名な古刹、鎌倉の長谷寺。2021年は、その御本尊である「十一面観世音菩薩」が造立1300年を迎えた年です。これを記念し、現在長谷寺では特別に「御足参り(みあしまいり)」を開催しています。名前からしてなにやら重厚そうなこの催し、一体どのようなものなのか、ライターが実際に体験してきました!2022年初詣期間中も、それ以降も「御足参り(みあしまいり)」は可能なので、この記念すべき年から新たな年に変わる節目に体験してみてはいかがでしょうか?
目次
始まりは鎌倉時代以前から!由緒ある長谷寺の歴史
長谷寺は正式名を「海光山慈照院長谷寺」といい、鎌倉時代以前からあったと伝えられる鎌倉有数の古刹です。奈良時代の736(天平8)年に開かれたとされており、聖武天皇の治世下には勅願所と定められました。鎌倉時代初期に開設された「坂東三十三観音霊場」の第四番に数えられています。
木造の仏像としては日本最大級の観音像
長谷寺の本尊の十一面観世音菩薩は、なんと高さが9.18mもあり迫力満点!木造の仏像では日本最大級といわれています。さらにお寺に伝わる縁起によれば、この観音像にはなんとも興味深い言い伝えがあるのです。
時は721(養老5)年。大和国(現在の奈良県)の長谷寺の開山である徳道上人(とくどうしょうにん)が1本の楠の霊木から2体の観音像を造りました。そのうち1体は大和長谷寺の本尊となり、もう1体は衆生済度の誓願を込めて海中へ奉じられました。
それから15年後、その観音像は相模国(現在の神奈川県)の沖合の海面に忽然と現れます。これを聞いた大和長谷寺の開基・藤原房前が駆けつけ、観音像は鎌倉へと遷座され、鎌倉の長谷寺開創の礎となったとされています。
長谷寺・初詣情報
長谷寺の年末年始の行事は下記の日程にて執り行われます。
拝観時間
12月31日(金)
・08:00~16:30 通常拝観(17:00閉山)
・23:00再開門、翌08:00まで自由拝観(入山無料)
1月1日(土)
・08:00~16:30 通常拝観(17:00閉山)
行事予定
除夜会
22:00頃:除夜の鐘をつけるのは先着108組。整理番号が配布されます
23:00:再開門
23:45頃:上境内鐘楼にて僧侶による読経の後、除夜の鐘
修正会
元旦0:00より観音堂にて、その年の国家安寧・五穀豊穣と参拝客の除災招福を祈念する新年初の法要が執り行われます。堂内に席が設けられますが、満席の場合はお参りのみとなります。
万灯祈願会
大晦日の夜から、奉納された約6,000個の祈願ロウソクが上境内さくら広場に灯されます。当日ロウソクを奉納することも可能ですが、数量限定のため注意してください(1願500円)。また、修正会の後にはロウソクの前で僧侶による読経祈願があります。
天気がよければ見晴台よりご来光が拝めます。一方で江ノ電・小田急線ともに大晦日から元日にかけての終夜運転は実施されない予定ですのでご注意ください。
特別参拝「御足参り」とは?
御足参りとは、参拝者が観音様の足先に触れてご縁を深めることができる特別な参拝のことです!例年は12月18日の「観音会」にのみ行われるものですが、2021年は観音様の造立1300年を記念して毎日実施されています。1300年の時を経た観音様の御足に直接手を触れられるというのは、非常にレアな機会!ただし、現在は感染症予防のため、授与品の手拭いを通じて御足に触れるようになっています。
「御足参り」
時間:通年 9:00~16:30(受付は9:00~16:00)
志納金:1,000円(記念授与品を含む)
※ 毎月18日と観音堂行事予定日は12:00以降の受付となります
※ 2022年12月18日まで実施予定
※年末年始も御足参りは実施。ただし、受付は上記の時間内に限ります
いざ御足参りに長谷寺へ!
長谷寺に到着したら、まずは山門の向かって左側にある券売場で拝観券を購入します。拝観料は大人(中学生以上)400円、小学生200円です。受付横の自動券売機でも同様に購入できます。そのまま右手に進み、係員に拝観券を見せて境内に入ります。
長谷寺の敷地は広く、長谷寺の境内は上境内と下境内に分かれており、どちらも見どころ満載です。まずは丁寧に手入れされた下境内の庭をぐるりと散策しましょう。妙智池と放生池と名付けられた池があり、優雅に泳ぐ錦鯉の姿も見られます。
縁結びにご利益があると言われている「良縁地蔵」。境内の3ヶ所に安置されており、全ての良縁地蔵を見つけると良い縁に恵まれるという噂も。散策がてら、宝探し気分で探してみてください。
下境内から階段を上った先にある上境内には、観音様が鎮座する観音堂があるほか、お釈迦様の足の裏を象った「仏足石(ぶっそくせき)」もあります。また、観音堂が建っている平地には見晴台が設けられており、鎌倉の由比ヶ浜や材木座の町並み、遠く三浦半島までを望むことができます。
ついに、念願の御足参りに臨む!
ひとしきり境内を散策したところで、いよいよ本日のメインとなる御足参りです。御足参りは上境内の観音堂で行われます。内部は撮影禁止のため、ここからは私の解説およびイメージ写真でお伝えします。
しんとした観音堂に足を踏み入れた瞬間に、目の前には息を呑むほど大きな観音様のお姿が!金色に美しく輝くそのお姿は、普段よりも迫力があるように感じられます。それもそのはず、通常の観音様は仏具等によって膝から下の辺りは見えないようになっているのですが、今年は造立1300年を記念し、お顔から足先までを一目で拝むことができるよう、特別なしつらえとなっているのです。うう、ありがたや。
その全身のお姿を見られるだけでも十分に尊い気持ちになりますが、今日はここから更に一歩踏み込んで、その御足に触らせていただけるのです!御足参りには申込みが必要なので、観音堂の入り口左手にある授与所で受付を済ませましょう。志納金1,000円を納めると、記念品と手ぬぐいが授与されます。
授与品を受け取ったら、観音様の元に進みましょう。お坊さんが立っておられますので、御足参りの旨をお伝えすれば、観音様の足元に案内してくれます。めったにできない体験に緊張が高まるなか、案内に従っていそいそと御足の前へ。初めて拝見した観音様の御足。第一印象は、とにかく「大きい!」でした。観音様は台座の上に素足で立たれているのですが、親指の爪だけでも私のこぶし以上の大きさです!
そして、お坊さんに促されるまま観音様の足元に跪き、授与品の手ぬぐいを敷き手を置きます。今、観音様の御足に私の手が触れている……!ややひんやりとした表面の奥から、しっかりと伝わってくる重厚感……!1300年の時を経ていま、私の手が観音様に……!!などと静かに感激していたところ、お坊さんによる読経が始まりました。観音様の御足に触れながら、私のためだけに読経をあげていただいている……!まさにご利益のシャワー状態です。
読経が終わったら、再びお坊さんの指示に従って席を立ち移動します。観音様の足元には、御足参り参加者専用のベンチが設置されており、普段は近づくことのできない位置で、ゆっくりと観音様のお姿を拝見できます。いつも時間に追われ、つい余裕がなくなってしまう私も、静かな空間でしばし時を忘れて観音様のお顔を眺めているうちに、心が穏やかに落ち着いていくのが分かりました。
御足参りの後はお茶で一息
念願の御足参りでご利益を頂いた後は、境内の「海光庵」でちょっと一休み。こちらは動物性の食材を使わずに仕上げた「お寺のカレー」などの食事メニューが有名ですが、スイーツメニューも取り揃えています。見晴らしのいいカウンター席で景色を眺めながらほっとひと息。
残念ながら「さわり大黒天」には触れず
実は、境内の大黒堂には「さわり大黒天」なるものがあり、なでることで福を授かると言われています。この日も張り切ってさわりに行ったのですが、感染症予防のため、さわることはできませんでした。残念……!
貴重なチャンス「御足参り」でご利益をいただこう!
観音様の全身を拝見できるだけでも貴重なのに、御足にまで触れることができる特別な「御足参り」。普段は近寄ることすらできない観音様の御足元から、お顔をじっくり拝見できたのも貴重な体験でした。
「御足参り」は2022年12月18日まで実施予定のため、この1年の区切りとして年末に訪れるのはもちろん、気持ちを新たにしたい年初めに訪れるのもおすすめです。
DATA: 鎌倉 長谷寺 所在地: 神奈川県鎌倉市長谷 3-11-2 開門時間:3月~9月 8:00 〜17:00(閉山17:30)、10月~2月 8:00 〜16:30(閉山17:00) 拝観料:大人400円、小学生200円 ※御足参りは別途、志納金1,000円(記念授与品を含む) お問い合わせ:0467-22-6300 公式サイト:長谷寺