現存する日本最古のリゾートホテル「日光金谷ホテル」の別館が、今年2023年7月15日に別館ロイヤルハウス(以下 別館ROYAL HOUSE)としてリニューアルオープンしました。
歴史的偉人も宿泊した日光金谷ホテル別館の伝統と記憶を残しつつ、快適でラグジュアリーなホテルへと進化したリニューアル。今回は金谷ホテルスタッフにご案内いただき、その魅力を徹底取材しました。
「日光金谷ホテル」別館ROYAL HOUSEに泊まってみたいなあ、と考えている方は、参考にしてくださいね。
目次
国際避暑地・日光の基を築いた「日光金谷ホテル」
「日光金谷ホテル」は現存する日本最古のリゾートホテル。今年2023年、創業150周年を迎えました。このホテルの歴史は、日光東照宮の若き雅楽師・金谷善一郎の温かな思いやりから始まりました。外国人を泊めてくれる宿が無く、困っていたへボン博士を、善一郎が温かく自宅に招いたのです。この善一郎とへボン博士の出会いは、明治6年(1873年)開業の民宿「金谷カッテージ・イン」、さらには明治26年(1893年)の「金谷ホテル」の開業へと広がっていきました。
今回リニューアルされた「金谷ホテル別館」は、昭和10年(1935年)に、耐震木造建築の第一人者・久米権九郎の設計により建てられました。権九郎は後に「軽井沢万平ホテル」も設計している建築家。この別館は重厚な和風の外観を持っていますが、2×4を思わす洋式の構造方式を用いて設計されています。
客室には格子天井の部屋や、浴室に猫足のバスタブが置かれていた部屋もあり、日本建築の美しさと洋のエッセンスを織り交ぜた、重厚で美しい空間は、多くの旅人を魅了してきました。
金谷ホテル「 別館ROYAL HOUSE 」どこが変わった?
今回のリニューアルでは、別館の全客室が「ROYAL CLASSICS」をコンセプトに、地域性や歴史を取り入れ、更なる高貴な空間へと昇華することを目指して改装されました。
外観はそのままに銅板屋根が新しく
今回の改装で一番最初に気づくのが屋根! 時を経て緑青がふいていた屋根が、輝く銅板葺の屋根に変わりました。別館が建った昭和10年は、このような屋根だったのです。
銅板屋根は施工当初は艶がある赤橙色をしていますが、その後は徐々に色が変化していきます。まず、赤みが濃くなり、褐色、黒褐色へと変化し、さらに年月を経るとやがて緑青をふき、緑青色へと変化していきます。時とともに変わっていく屋根の色もまた、楽しみですね!
さらに銅の欄干・雨どいも、新しくなり、塗り替えたばかりの白壁に美しく映えています。また、耐震・耐火に適した補強、経年劣化した箇所の補修、部屋の改装を行いましたが、外観の景観は別館が建てられた当初の姿のままです。
玄関の扉横には見事な彫刻が施されています。上部は尾長鳥、下部の扉には虎と獅子との彫刻。下部の彫刻は創建当初から存在していたようですが、上部の尾長鳥の彫刻は後から入れたものだそうです。
共有エリアは便利に
それでは早速、玄関から中へ入ってみましょう。エントランスもきれいに修復されていますが内装は以前のまま。絵画が飾ってあった壁には、金箔を使ったアートが新しくかけられていました。
今回の改修で大きく変わったことの一つがエレベーターの設置。今までは階段しかなかったためベビーカーや車いすユーザーは別館に泊まれませんでしたが、これからは大丈夫! これは嬉しい進化ですね。
神橋を思わせる朱塗りの階段部分も以前のままですが、塗り替えられたため、当初の美しさがよみがえりました。
客室はラグジュアリーな庭園ビュー!
今回の改装で、金谷ホテル「別館ROYAL HOUSE」の客室は、別館スイート2室・別館コーナー1室・別館デラックス19室の、総数22室となりました。もちろんwi-fiも使えます。
壁の和紙クロスは、金谷家の家紋でもある「笹竜胆」の花形をベースとしたデザインに変わり、やわらかな色合いが心地よい空間を生み出しています。ベッドは全室シモンズ社製。それぞれのベッドサイドにはコンセントやUSBポートもあり、充電にも便利になりました。
アメニティは全室共通。シャンプー、コンディショナー、ボディーソープは、ノンシリコン・無添加で爽やかなオレンジの香りの「ヴェーダロッソ・ボタニカルシリーズ」。メーク落とし・洗顔料・化粧水・乳液は、お肌に優しいOSAJIのライン。櫛や歯ブラシなどもプラスチックではなく、環境に配慮した素材のものが使われています。
テーブルは以前は丸テーブルでしたが六角形のものに変わりました。座ってみると、これがお茶を飲みながら窓辺の風景を楽しむのにとても便利! よく考えられているなあと感心しました。
「別館 スイート」限定2室のスペシャルな空間!
ここからは3つのタイプの客室を詳しくご紹介します。
日光金谷ホテル「別館 ROYAL HOUSE」の中で最もゴージャスなお部屋は、2階と3階に1室ずつある「別館スイート」。 以前のコーナーツインルームと隣の部屋を一つに合わせて改装し、71.6平米の広さを持つラグジュアリーな客室へと進化しました。
上の写真は昭和天皇がお泊りになったコーナーツインを改装した、3階の「別館スイート122号室」のリビング部分。大きな2面の窓からは、日光の社寺越しに、雄大な景色を楽しめます。
視線を下に落とすと新館と庭園。春にはツツジ、秋の紅葉シーズンには色鮮やかな木々を目の前に楽しめます。
リビングの木製の扉をスライドすると、扉の奥が寝室になっています。テレビはリビングルーム側と寝室側と2台あるので、寝ながらテレビを見ることもできます。
ベッド回りやエアコンカバーなど木材がふんだんに用いられた室内は、優しい間接照明の光に照らされ心安らぐ空間。
木製のキャビネットの上段にはお水とお茶のセット、中段の引き出しにはコーヒーセット、下の扉の中には冷蔵庫が入っています。
別館スイートにはクローゼットルームも備えられています。スペースも広くハンガーもたくさんあるので、着替えるのも荷物を置くのも楽そうですね。バスローブも室内履きもフワフワの肌触りです。
パウダールームは大理石のタイルが美しい、高級感あふれる空間。ダブルシンクで使い勝手もよさそうです。
バスタブの上には手すりもあり、足腰の弱いシニアにも嬉しい作りになっています。
ヘレンケラーが泊まったコーナーツインは「別館コーナー」へ
こちらはヘレンケラーが滞在した1階のコーナーツインを改装した「別館コーナー(44.2平米)」。別館スイートと同じく格子天井になっています。ソファーもお洒落で、座り心地も抜群です。
別館コーナーと別館デラックスの部屋には、広い収納スペースがあるサイドボードと、クローゼットが備えられています。クローゼットの右側には、お茶・コーヒーセット・冷蔵庫が入っています。家具もソファーもクラシカルな趣きで高級感あふれる空間を楽しめます。
「別館デラックス」は、一部の客室のみ3人まで宿泊可能!
別館スイート、別館コーナー以外のお部屋は「別館デラックス(35.2~41.3平米)」になります。このタイプの一部の客室のみ、補助ベッドを使って3人まで宿泊可能です。私が以前泊まったのは、改装前のこのタイプの部屋。
上のリニューアル後の写真と比べてみると、ベッドサイズやテーブル&ソファーなど、変わったところがいろいろ発見できると思います。
別館スイート以外の部屋のバスルームは、こちらの写真のタイプ。白で統一された心地よい空間です。
歴史の記憶を残しつつ新たな時を刻んでいく「別館ROYAL HOUSE」
昨年、この美しい金谷ホテル別館に泊まって大感激した筆者。その別館が歴史上初めて大幅な改装をすると知り、ちょっぴり心配だったのが、歴史が刻まれたあの美しい空間がどんな風に変わってしまうのだろう…ということでした。しかし今回取材をして、それは全くの杞憂であったことがわかりました。
今回の改装でラグジュアリーな空間へと進化した別館ですが、150年の歴史を持つ金谷ホテルならではの伝統と歴史も、きちんと継承されています。たとえば別館のすべての部屋の天井の照明は、当初から使われているものをリニューアル後も使っています。
また新しく変わったところも、改装前の趣きを感じられるものとなっています。
皇室の方々や歴史的偉人を含む、たくさんのゲストの旅時間を優しく包んだ「金谷の時間」の記憶はこれからも引き継がれ、また、新たに訪れる旅人と共に、美しい「金谷の時間」を紡いでいくでしょう。
葺き替えられたばかりの輝く銅板屋根は、また、ゆっくりと時間をかけて、赤銅色・褐色・黒褐色・緑青色へと変化していきます。その変化もまた、日光金谷ホテルを訪れる楽しみになりそうですね。
ラグジュアリーな金谷ホテル「別館ROYAL HOUSE」。今回取材をして、いつかは泊まってみたい憧れのホテルになりました。その時、別館の屋根は何色になっているでしょう。いつかこの美しい空間で、私の「金谷時間」を紡ぐことのできる日を、楽しみに待ち焦がれます。
DATA
日光金谷ホテル
所在地:栃木県日光市上鉢石町1300
TEL:0288₋54₋0001
公式HP:日光金谷ホテル
日光駅から金谷ホテルへのアクセス
シャトルバス:有り(ホテルHP参照)
※バス乗り場は「定期観光バス乗り場」付近。東武日光駅を出て左へ徒歩1分
路線バス:東武・JR駅前から、世界遺産巡りバス、東照宮、清滝、中禅寺湖方面のバスに乗り約7分「神橋下車」徒歩約5分
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