関西で紅葉と言えば京都が人気ですが、紅葉のシーズンはいつにも増して大混雑。そんな時、観光にも宿泊にも穴場なのがお隣の滋賀県。滋賀は京都のように混雑せずにゆっくりと楽しめ、ホテルも京都ほど高騰することはありません。そして京都に負けず劣らず美しい紅葉が楽しめるので、関西人はあえて京都ではなく滋賀に紅葉狩りに行くことも。
2022年~2023年は聖徳太子薨去1400年事業で、普段はお目にかかれない秘仏の特別開帳や紅葉ライトアップもあり、特にオススメです!
紅葉の名所 湖東三山の一つ釈迦山百済寺
百済寺は1400年以上も前に聖徳太子が創建したといわれる寺院。聖徳太子薨去1400年に合わせ2022年10月1日(土)から16日(日)まで、現存する奈良時代最大級の木造仏であり百済寺の御本尊である十一面観世音菩薩(重要文化財)の特別参拝が開催されます。
広い境内にはかつては千もの坊があったといわれています。百済寺は織田信長の焼き討ちで焼失し、これらの坊も今では百坊跡、二百坊跡、七百坊跡と、形跡が残るのみ。
また、百済寺は関西では「湖東三山」の一つとして非常に有名な紅葉の名所。青紅葉ももちろん美しいのですが、グラデーション豊かな紅葉に包まれた景色は圧巻。
滋賀県を代表する人気の紅葉スポットで毎年多くの人が訪れますが、それでも京都に比べるとストレス少なく紅葉狩りを楽しめます。何よりインバウンドが復活しそうな今年の紅葉の季節は、海外に知れ渡っている京都よりも滋賀県の紅葉はいつにも増しておすすめです。
百済寺は広さがあり見どころも多いのですが、ぜひご覧いただきたいのがこの特徴的な仁王門。向かい合う金剛力士像(仁王像)は健脚で草鞋を履いた力士で、日本ではお寺の入口でよく見られます。
左右の大きな草履は仁王像のもので、夜間は草履を脱いで立って休んでおられるそうです。「仁王像より草履のほうが大きい」と思われる人もいるかもしれませんね。もともと草履の大きさは仁王像の大きさに合っていたようですが、健脚・長寿を願うのに「大きいほうがご利益も大きい」ということで、どんどん大きくなり、今では3mの大きさにまでなったのだとか。
「健康寿命」が注目されている昨今、訪れた際にはぜひ長寿だけではなく健脚もお祈りしておきましょう。
この仁王門をさらに上った場所に御本堂があり、秘仏御本尊の十一面観世音菩薩が安置されています。
“植木観音”とも呼ばれる百済寺の十一面観世音菩薩。その理由は、杉の大木の上半分が、十一面観音用に百済国へ渡ったことを知り、聖徳太子が根のついたままの下半分に十一面観音を刻んだと伝わっていることに由来します。紅葉には少し早いですが、2022(令和4)年10月1日(土)から16日(日)を目指して訪れると、通常は半世紀に一度程度しか開帳されない秘仏を拝むことができますよ。
本坊庭園の少し上の天下遠望の名園からは比叡山、比良山系の山並みとともに、安土城址や観音寺城址、太郎坊なども見渡せ、歴史ロマンあふれる景色が楽しめます。また、11月12日(土)から23日(水)にはライトアップや、この期間だけの夜間拝観や限定御朱印も。
DATA 百済寺 所在地:〒527-0144 滋賀県東近江市百済寺町323 電話:0749-46-1036 アクセス:能登川駅から湖国バス角能線「百済寺本町」下車、徒歩12分 公式サイト:百済寺
文化財の宝庫 石馬寺
石馬寺という名は、聖徳太子にまつわる1400年以上も昔の伝説に由来するもの。霊気をたどってこの地を訪れた太子が、馬を松の木にくくりつけて山を登り再び戻ってみると、馬が池に沈んで石と化していたと伝わっています。太子は瑞雲(吉兆を表す雲)がたなびく風光明媚な景色が見渡せるこの山を御都繖山(ぎょとさんざん)と名付け寺を建立し、「石馬寺」としたのが始まりです。
近江の寺社にはよくあることですが、石馬寺もやはり戦国時代に一度焼失し、徳川の世になってから復興されました。
太子の馬が石になったと伝わる「石馬の池」からかんのん坂を登ります。左右にはいろはモミジが美しく、紅葉のシーズンには色鮮やかなトンネルを作ります。写真を撮ると虹のシャワーのような映り込みが。太子が見た瑞雲にあやかって、私のカメラにも奇跡が起きたのかも!
石馬寺は重要文化財の多さでも知られています。11体の仏像が国の重要文化財に指定されていて、嬉しいことにこれらは宝物殿で常時一般公開。右を見ても左を見ても重要文化財という、目が回りそうな贅沢極まりない時間を過ごすことができます。
石馬寺では2023(令和5)年に前期と後期に分けて、御本尊(秘仏)の十一面千手観世音菩薩立像の御開帳が行われます。
御開帳は70年振りとのこと。多くの人がそうであるように、多分私にとってもこれが御本尊にお目にかかる最初で最後のタイミング!前期は2023(令和5)年6月10日(土)~25日(日)、後期は2023(令和5)年10月7日(土)~22日(日)です。
※2023(令和5)年6月12日(火)、19日(火)、10月10日(火)、16日(月)除く
不動堂前も美しい紅葉スポット。紅葉の盛りから少しずらして訪れると、敷き紅葉が楽しめますよ。
DATA 石馬寺 所在地:〒529-1401 滋賀県東近江市五個荘石馬寺町823 電話:0748-48-4823 アクセス:能登川駅から「八日市駅行き」のバスで約7分 公式サイト:石馬寺
2023年にもライトアップ!幽玄の山寺・瓦屋禅寺
瓦屋禅寺も美しい紅葉が見られるお寺。この地は良質の粘土が採れるため、聖徳太子が大阪の四天王寺の瓦造りに選んだ場所です。
瓦屋禅寺についてはコチラの記事をチェック!→あのパワースポットも!滋賀県・東近江エリアで聖徳太子の伝説をめぐる
境内の建物の多くは国登録文化財で、本堂・庫裡・地蔵堂・開山堂・経堂・賓頭盧堂・鐘堂が指定されています。御本堂は2022(令和4)年に大修理を終えたばかり。ヨシ葺きも真新しさが感じられる状態です。
表参道には約1000段の石段が続き、その中腹には聖徳太子が腰掛けたと言われる腰掛岩が残ります(近江バスの瓦屋寺口で下車が便利)。近江鉄道湖東近江路線の八日市駅から徒歩約40分でアクセスすることも可能。暑さ寒さが厳しくない季節ならハイキングを兼ねて歩くのも気持ち良さそう。
2023(令和5)年10月1日(日)から12月3日(日)までは聖徳太子薨去1400年事業として特別大開帳が行われます。聖徳太子御作と伝わる四天王像や聖徳太子南無佛二歳像も一緒に拝観できますよ。
来年の御開帳を逃すと、その次の御開帳は33年後の2056年とのこと。私、33年後に足腰丈夫か自信ないので(笑)、百済寺の仁王門で健脚祈願してこないと…。念のため来年の御開帳が生きているうちに御本尊を拝めるラストチャンスと思ってお参りしておきましょう!
瓦屋禅寺はイロハモミジや山モミジの紅葉も美しく、2023(令和5)年11月10日(金)から11月25日(土)までは紅葉に合わせて夜間ライトアップも行われます。ぜひ幽玄の山寺を彩る補陀落庭園(補陀落:観音菩薩が住まう南方にあるといわれる)の楓をご堪能ください。
今年、2022(令和4)年10月1日(土)から10月12日(水)の18時から21時までは、近江の聖徳太子ゆかりの寺社ライトアップ事業として、ライトアップと特別拝観が行われます。
DATA 瓦屋禅寺 所在地:〒527-0007 滋賀県東近江市建部瓦屋寺町436 電話:0748-22-1065 アクセス:八日市駅から徒歩約35分 公式サイト:瓦屋禅寺
2022年から2023年の東近江は特別!
紅葉狩りは毎年楽しめるイベントですが、2022年から2023年は聖徳太子薨去1400年事業で御開帳やライトアップも行われるので特に要チェック!この期間は注意して東近江情報にアンテナをたてておきましょう。
DATA Web:聖徳太子の足跡めぐり Web:東近江市観光Web