バーカロって聞いたことはありますか?少し前からその名前が日本でも知られてきて、最近ではバーカロガイドなる本も出版されているので「名前は聞いたことがある」という人も多いかもしれません。地方ごとの食文化が根強く残るイタリアで、バーカロはベネチアだけの食文化!ベネチア以外の町に行ってもバーカロを見つける事ができません。
この記事では「ベネチアに行ったらバーカロに行ってみたい!」というあなたのために、イタリア在住ライターがバーカロについて詳しく紹介。ライターが実際に行ったおすすめのバーカロも紹介しちゃいます!
ベネチア名物バーカロとは?
広いイタリアの中でもベネチアにしかない食文化、それが「バーカロ(Bacaro)」です。バーカロとはお店の名前ではなく、「気軽にお酒を飲みながら軽く食べられる場所」のこと。レストラン・トラットリア・エノテカ(※)などカテゴリーの名前なんです。
※イタリアではお店の規模や料金、提供するものによってカテゴリー分けされています。例えば、レストラン(Ristorante│リストランテ)は少し高級なお店。トラットリア(Trattoria)はリストランテよりも気軽に入れるお店。食堂のような雰囲気のお店が多いです。エノテカ(Enoteca)はワインやおつまみを提供するお店。「軽く飲みながらつまみたい」という時にぴったり!
大体このようなカテゴリー分けになっていますが、お店によってはカテゴリーに当てはまらないことも…
バーカロの特徴
- もともとは地元の人たちがワインを楽しむ場所
- 朝からワインを楽しめる
- ベネチア人は「オンブラ(Ombra)」とワインを注文する
- ワインに合うおつまみがいっぱい!
- ワイン1杯が安い!
バーカロって何が食べられるの?
バーカロではワインに合ういろんなおつまみが楽しめます。朝からワインが注文できるので、朝から小さなワイングラスでワインを飲みながらおしゃべりしているおじさん達の姿が見られるのもベネチアならでは。昔はベネチア人たちのための場所でしたが、現在は観光客が入っても嫌な顔をされることなくおいしいワインとおつまみを楽しむことができます。
バーカロではカウンターに色々なおつまみが並んでいるので、ワインと一緒に注文します。あるバーカロで見かけたおつまみはこんな感じ。
多くのバーカロでは、写真のようにパンの上に様々な具材を乗せたものが売られていることが多いです。その他、イワシ等の小魚の酢漬けや各種フライが並んでいることも。チケッティは1つからでも注文できるので、異なるジャンルのチケッティを1つずつ味わえるのも楽しい♪
ぜひ、野菜、魚、肉など違うジャンルのチケッティを少しずつ試してみてくださいね!
バーカロでの注文方法は?
バーカロでの注文方法はとっても簡単!小さなバーカロは店内外に席が少ないので、席がない場合、店外の運河沿いなどに座って食べてもOK。そのため、バーカロはキャッシュオンデリバリー。店内に入ったらまずはカウンターで注文&支払いを済ませます。
ワインとチケッティをもらったら好きな席または店外の好きな場所で乾杯!食べ終わったらワイングラスは店内に持って行き返却を。店を出る時の挨拶(※)も忘れずに!
※イタリアではお店に入る時&出る時の挨拶は基本中の基本。挨拶するだけで無愛想な店員さんの愛想が良くなったりします(笑)。挨拶をするだけで楽しい旅行になる確率が上がりますよ♪
挨拶と言っても難しいフレーズを覚える必要はなし!観光客なら1日中使える「Ciao!(チャオ)」と、ありがとうを意味するイタリア語「Grazie!(グラツィエ)」を覚えておけばOKです。店に入る時には「Ciao!」、出る時には「Ciao, Grazie!」と言ってみましょう。
バーカロでのマナー&やってはいけない事は?
バーカロはもともとベネチア在住者のもの。今でも朝から地元のおじさんやおじいさん達がバーカロで、ワインやチケッティを楽しんでいる姿を見ることができます。特に観光客を対象としていない(地元のお客さんが多い)バーカロでは、観光客が来るのをあまり良く思っていない人も。とは言え彼らも客商売なので、暇な時間帯に観光客が来てくれるのはありがたいはず。
というわけで、ここではバーカロでのマナーとやってはいけない事について紹介します。「これだから観光客は…」と言われないよう、現地のマナーを知って楽しくバーカロ体験をしましょう!
バーカロでのマナー
バーカロに入ってから出るまでの流れはこんな感じ。この通りにすればマナー違反になることはありません。
- バーカロに入る時には挨拶(Ciao!)を忘れずに
- バーカロに入ったらカウンターで飲み物とチケッティ(おつまみ)を注文しましょう
- ベネチア人はワインを注文するのに「オンブラ(Ombra)」と言うようですが、観光客が言うのはちょっと恥ずかしい…。普通にワインを注文すればOK!
- チケッティ(おつまみ)はカウンターやガラスケースの中に並んでいるので、好きなものを注文しましょう。チケッティは一つからでもOK!
- 飲み物とチケッティが来たら、支払いは先に済ませましょう
- 支払い後は空いている席に飲み物とチケッティを持っていきましょう。店外に出て飲食してもOK!運河沿いでワインとチケッティを楽しむのもあり♪
- 空になったグラスはカウンターまで持っていきましょう。店を出る時にも挨拶(Ciao, Grazie!)を忘れずに!(Grazie!だけでもOKです)
- バーカロは「軽く飲む」ための場所なので長居は禁物!1~2杯飲んで食べたらさくっと店を出ましょう。くれぐれも「飲み物が終わってもず~っと席でしゃべっている」なんて事にならないように…。
注文したいチケッティの名前が分からない時は?
バーカロでチケッティを注文する時、チケッティの名前が分からないことが良くあります(汗)。そんな時に使える便利なイタリア語の一言はこちら。
Questo, per favore. (クエスト・ペル・ファヴォーレ)=これください
欲しい物を指さしながら言えばOK!買いたい物の名前が分からない時に使える一言なので、バーカロだけでなくスーパーや市場などでも使える便利な一言です♪
バーカロでやってはいけない事
上記でも少し紹介しましたが、バーカロでやってはいけない事は「飲み物が終わったのにず~っと席でおしゃべりしている事」。バーカロはもともとベネチア人が軽く飲むための場所なので、「1~2杯飲んだら店を出る」のが正解。「いろんなバーカロを試してみたい!」という人は、1杯ずつバーカロ巡りをするのもあり。軽く飲んで食べたらさくっと店を出るようにしましょう。
おすすめバーカロ2軒を紹介!
こでは、筆者が実際にベネチアで行ってみたバーカロ2軒を紹介します。本当はもっと行ってみたかったものの、バーカロによってはすごく混んでいたり、あまりおいしそうなチケッティがなかったりと、何か所も巡ることがきませんでした(涙)。次回はバーカロ巡りだけを目的にベネチアに行きたい!
Osteria Al Squero(オステリア・アル・スクエーロ)
アカデミア橋やアカデミア美術館の近くにあるバーカロ。2021年7月のベネチア旅行の際、評判が良かったので行ってみました。
運河沿いにある小さなお店。外の席は少しだけなので、気候が良い時期なら運河沿いに座ってワインとチケッティを楽しむのも素敵♪
ガラスケースの中にはたくさんのチケッティが。その中からおいしそうなものを2つずつ選び、ワインを1杯ずつ頼みました。この日は暑かったのでさっぱりとプロセッコ(白の発泡ワイン)を。
今回選んだチケッティ4種類はこちら。
- バッカラ(Baccala│干しダラ)
- スモークサーモン、クリームチーズ
- ドライトマト、クリームチーズ
- リコッタチーズ、蜂蜜
この日はなかったのですが、このお店に行ったことがある人によれば、バッカラやイワシのチケッティも日によってはたくさん種類があるようです。
ちなみにプロセッコは、アペリティーボ(食事前に軽くのむ習慣)にもよく飲まれる軽めの発泡ワイン。ベネチアがあるベネト州で作られているワインなので、ベネチアで飲むにはぴったりのワインです。
注文して支払いを済ませたら、店内の空いているカウンター席へ。店内の席が空いていない場合は外に持って行ってもOK!店内には観光客しき人達に交じって地元のおじさんもちらほら。昼食より早めの時間帯(11時半ごろ)に行ったのですが結構混んでいました。ゆっくりワインとチケッティを楽しみたいなら、もう少し早く行くか15~16時頃に行ってみるといいかも。混んでいるとカウンターで注文するのも大変なので、中途半端な時間に行くのがおすすめです。
料金はプロセッコ7ユーロ(1杯3.5ユーロ)、チケッティ7ユーロ(1つ1.5ユーロのもの2つ+1つ2ユーロのもの2つ)で合計14ユーロ(2021年8月のレートで約1800円)。
バーカロについてはガイドブックに「安く飲んで食べられる!」と書かれている事が多いですが、2021年7月に行った時の感想は「思ったより安くない…(涙)」でした。
プロセッコはBIOのものを選んだので少し割高。他のワインならもう少し安い物もありました。ワインにこだわらないなら、ハウスワイン(Vino della casa│ヴィーノ・デッラ・カーザ)を頼むともう少し安くなりそう。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、1年以上も観光客が全くいない状態からの再開なので、コロナ禍以前に比べると値段が少し上がっているのかもしれません。その後も多くのバーカロを覗いてチケッティを見てみましたが、2021年7月時点ではあまり惹かれるチケッティがなかったこともあり、予定していたバーカロ巡りを断念しました。
コロナ禍が落ち着き、観光客がまた増えれば以前の様に様々な種類のチケッティを置くバーカロが増えるかもしれません。
DATA Osteria Al Squero(オステリア・アル・スクエーロ) 所在地:Dorsoduro, 943, 30123 Venezia VE, Italia 公式サイト:無し 営業時間:月~土曜日10時~20時30分、日曜日は定休日
Osteria dei Zemei(オステリア・デイ・ゼメイ)
次は、コロナ以前にベネチアに行った時に立ち寄ったバーカロを紹介します。ここは外にも多くの席があるので食事の時間帯でも立ち寄りやすいですよ!
Osteria dei Zemei(オステリア・デイ・ゼメイ)はリアルト橋付近のバーカロ激戦区にある人気のお店。外にもテーブル席がいくつもあり、チケッティ以外にもパスタ等の料理も楽しめます。
チケッティと飲み物なら、中のカウンターで立ったまま食べてもOK!外の席に座るとサービス料(Coperto)がかかるので注意(サービス料は2019年の時点で1人3ユーロ)。
カウンターに並ぶいろんな種類のチケッティ。いろいろあるので、どれにしようか迷ってしまいますね。私が訪れたのはパンデミック以前なのでラインナップは異なると思いますが、最近このお店を訪れた人によれば、以下の料理がパンに乗ったチケッティがあるようです。
- バッカラ(干しダラ)
- バッカラ、セロリ、ルッコラ、ニンニク
- スペック(スモークした生ハム)、オリーブのクリーム
- ラード、チーズ
- パンチェッタ、チーズ
- ラディッキョ、イワシ
- フェタチーズ、玉ねぎの酢漬け
- ゴルゴンゾーラ
私が訪れた当時はとてもお手頃なお店でしたが、前述のバーカロのように、観光客の激減のあおりを受け、現在は値段が上がりしている可能性もあります。ちなみに、2020年にこのお店を訪れた人によれば、チケッティは1つ2~2.3ユーロ(2021年8月のレートでおよそ257円から300円)のようです。1つ目に紹介したお店より割高…(涙)。
節約派の方は、席に座って食べるとサービス料がかかってしまうので、「チケッティを少しだけ味見してみたい」という場合は、カウンターで食べてさくっと出るのが良さそうです。
DATA Osteria dei Zemei(オステリア・デイ・ゼメイ) 所在地:San Polo 1045, b, 30125 Venezia VE, Italia 公式サイト:http://www.ostariadaizemei.it/inaugurazione.htm 営業時間:月曜日・水~土曜日8時30分~20時30分、日曜日8時30分~19時、火曜日は定休日
ベネチアに行ったらぜひバーカロに行ってみて!
筆者も大好きなベネチアのバーカロ。世界遺産数が世界一の観光大国イタリアの中でも、バーカロ文化があるのはベネチアだけ!ベネチアに行ったら、ぜひ地元の人に交じってバーカロ体験をしてみてくださいね!
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