滋賀県米原市にある青岸寺は、滋賀県でも注目の紅葉穴場スポットとして知られています。
場所は、JR米原駅から徒歩7分。
江戸時代に作庭された国指定の名勝庭園がある、庭園好きにも知られたお寺で、例年12月上旬になると、庭園と参道が紅葉に染まります。
お寺の紅葉といえば、シニア層中心の渋めなイメージがあると思いますが、青岸寺はちょっと違うんです。2018年に寺内カフェ「喫茶去」が登場してから、インスタスポットとして幅広い世代にファンが広がっています。
ひとり静かに楽しむのもよし、デートや女子旅にもオススメの滋賀県の穴場紅葉スポット「青岸寺」を紹介しましょう。
目次
紅葉に染まる青岸寺庭園と散り紅葉の参道
「曹洞宗 吸湖山(きゅうこさん) 青岸寺」の庭園は、江戸時代(1678年)に作庭された国指定の名勝庭園。実際より広く大きく感じる美しい枯山水庭園です。
青岸寺の紅葉は少し遅めで、11月末頃から12月上旬にかけて見頃を迎えます。
2023年は11月29日あたりから見ごろを迎え、12月初旬にピーク、12月6日あたりから落ち葉が楽しめる予定です。
見頃になれば鮮やかな色が加わり、参拝者の目を楽しませてくれます。
米原市は、雪が多いところなので、松の木を守るための雪吊りが季節感をより引き立ててくれます。どこから見ても美しい庭園ですが、後ほど紹介する喫茶がある広間からの風景は、まさに青岸寺の秋。
机を利用したリフレクション撮影も見事に決まっていますね。庭園に少し遅れて、参道では12月上旬に見頃を迎えます。
それほど長い距離ではありませんが、見応えは十分。
見上げる紅葉もいいですが、散り紅葉の絨毯も美しい。
メジャーな紅葉スポットとは違い、まだ穴場スポットなので混雑を避けながら撮影ができるはずですよ。
紅葉を見ながら青岸寺カフェ「喫茶去」で抹茶ケーキ
庭園の紅葉をただ眺め、写真を撮るだけじゃないのが、青岸寺のいいところ。「青岸寺カフェ」こと寺内茶寮「喫茶去kissa-ko」では、庭園を眺めながら、おいしいケーキや飲みものがいただけます。
喫茶去がオープンしたのは、2018年10月。コロナウィルスの脅威が叫ばれる1年ほど前のこと。
インスタ映えすると話題になり、若い参拝者が訪れるようになりました。今では、坐禅や写経といった寺本来の体験も増えたそうです。
写真は本堂となりの広間。庭がよく眺められる趣ある和室です。縁側にもテーブル席があり、人気の席になっています。手前のオシャレなカウンター席は、オープン時に改装されたもの。タイミングが合えば、住職自らサイフォン珈琲を淹れてくださいます。悩み事の相談も受けてくれるそうですよ。
さて、気になるメニュー。
人気の定番、喫茶去セット(抹茶ガトーショコラと飲み物)を抹茶(お薄)でいただきました。
この抹茶ガトーショコラ、ほんと美味しいんです。珈琲にもよく合います。
どこかのケーキ屋さんと提携しているのかと思いきや、店長(住職の奥様)が作られていました。調理師免許を持ち、クックパッドのレシピエーヌ(PR大使)を務める腕の持ち主。本格的なワケです。
こちらは住職も大好きだという、紅葉シーズンから冬季に登場する季節限定「抹茶テリーヌ」。甘さ控えめの上品な味わいが特徴とのこと。う〜ん、食べて見たい。
飲みものは、珈琲や抹茶の他に抹茶ラテやほうじ茶ラテなど。
人気は、抹茶ラテ。かわいいラテアートも奥様が担当。写真を撮りたくなるのがわかりますね。
他にも喫茶去プリンなどがあります。
予約をすれば、バウンドケーキなどの持ち帰り用商品も。詳しくは後で紹介するお寺の公式サイトでご確認ください。
紅葉以外にも注目!青岸寺の見どころ
青岸寺の歴史は、南北朝延文年間(1356〜1361)まで遡ります。中山道と北国街道が交わる交通の要衝だったこの地は、近江守護職・佐々木道誉(佐々木判官)が支配する地でした。
この人物、かなりおもしろい。室町幕府を開いた足利尊氏の盟友として知られるのですが、派手好きで型破り、それでいて文化的教養もある。南北朝時代の社会的な風潮をさす婆娑羅(バサラ)の代表格で、その行動から「バサラ大名」と呼ばれていました。
彼がこの地に米泉寺を建立します。その後、大火に見舞われ本尊(聖観世音菩薩像)のみが難を逃れて小堂に祀られる日々が長く続きました。
江戸時代に入り、慶安3(1650)年に再興。その際に尽力した人の諡(おくりな)から「青岸寺」と名付けられ、彦根藩井伊家から寺領や援助を受けて、現在へと受け継がれています。
庭園は、再興時に作庭されたものの彦根城に楽々園(二の丸御殿、槻御殿)が築かれる時、石組みごと供出されて消滅。延宝6(1678)年に現在の庭園が築かれました。明治6(1873)年に書院「六湛庵(ろくたんあん)」が建立され、今に至ります。昭和9(1934)年、国から名勝庭園に指定されました。
日本庭園には、水を蓄えた池を中心に造形する池泉庭園と、水を使わないで砂や石、植物で水を表現した枯山水庭園があります。ここ青岸寺の庭園は、苔で表現した枯山水庭園ですが、新緑の季節になると年に数回、水を蓄えた池泉庭園へと姿を変えます。全国的にも珍しく、江戸時代に意図的に作庭されたものとしては、極めて希少な庭園なんです。
青岸寺のInstagramに写真がありました。
水底に映える苔の庭。これは見てみたい。
庭園は、どこから見ても美しいように造られています。入ってすぐに見られる絵画のようなアングルもいいのですが、特にオススメなのが書院からの眺め。住職も好きな眺めだそうです。
立ったり座ったり、縁側に出てみたり、どこで見ても美しく時間を忘れてしまいそうになります。
書院「六湛庵」を建立した森田悟由禅師(永平寺64世貫首、曹洞宗5代管長)は、宿泊場所として利用していました。
今は少しくすんでいますが、赤土を使った真っ赤な内壁が特徴的です。曹洞宗では、真っ赤な部屋は良い部屋とされ、お客様を迎える部屋として使われていました。
同じく書院から見た雪の風景。身も心も引き締まるこの季節もいいですね。
常に積雪しているわけではありませんが、冬に東海道新幹線がよく遅れるのは、米原・関ケ原での積雪が理由。大雪に見舞われることもあります。
坐禅や写経体験、紅葉ジーズン限定御朱印も
青岸寺では、庭園拝観やカフェの他に体験できるメニューがあります。
写経や写仏は予約制。坐禅会は、毎月第2土曜日の16時から開かれています。こちらは予約不要です(8月と11月はお休み)。名勝庭園を眺めながら、心静かに自分と向き合いましょう。
もちろん御朱印もいただけます。期間限定の御朱印もありますよ。
2021年紅葉バージョンは、日本画家・西川礼華さんとのコラボ。本尊の聖観世音菩薩坐像を1枚1枚手書きの数量限定品(1200円)です。詳しくは公式サイトや公式SNSをチェックください。
青岸寺へのアクセス方法
「曹洞宗 吸湖山 青岸寺」へは、滋賀県のJR米原駅東口から徒歩7分。ちょっと緩やかな登りが続くその先にあります。
JR米原駅の印象といえば「滋賀県で唯一新幹線が停車する駅」「東海道本線と北陸本線に加え近江鉄道が乗り入れる駅」といったところではないでしょうか。
電車旅が好きな人なら、きっと乗り換えで利用したことがある駅です。でも、途中下車して立ち寄れそうなところを聞かれても、何があるのか答えにくかったのではないでしょうか?
これからは「青岸寺っていう庭がスゴくて、カフェもやっているお寺があるんだ」「紅葉がキレイなお寺があるんだ」と言って大丈夫ですよ。
DATA 曹洞宗 吸湖山 青岸寺 所在地 : 〒521-0012 滋賀県米原市米原669 アクセス: JR米原駅 東口より徒歩約7分 駐車場 : 10台ほど(無料) 電話番号: 0749-52-0463 営業時間: 9時~17時(冬季のみ16時迄) 休園日 : 火曜日・第4月曜日・第5月曜日 大人拝観料: 300円 小人拝観料: 100円(小学生~高校生) 寺内茶寮「喫茶去kissa-ko」 営業時間: 9時~17時 LO.16時30分 定休日 : 毎週月・火曜日(不定休あり) 公式サイト:曹洞宗 吸湖山 青岸寺