車の状態を確認し、査定を受け、「車を売る」と決めた後は、いよいよ手続きとなります。
時には、人の命にもかかわる”車”ですから、どんな車なのか、誰の車なのかを明確に管理する必要があるため、売却の手続きには、様々な書類が必要です。
とはいえ、突然「必要書類を持ってきて」と言われても困ってしまいますよね。
焦らず準備できるように、どんな書類が必要なのかをご紹介していきます。
中には、必要だと言われて探してみたら「見当たらない」「無くなってしまった」と言う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご安心ください。今回は、再発行の仕方も合わせてご紹介します。
車を売るときの必要書類
書類の種類 | 軽自動車 | 普通自動車 |
---|---|---|
自動車検査証 | ● | ● |
自賠責保険証明書 | ● | ● |
自動車納税証明書 | ● | ● |
印鑑 | 認印 | 実印 |
印鑑登録証明書 | ー | ● |
自動車リサイクル券 | ● | ● |
委任状・譲渡証明書 | ー | ● |
車を売るときに、必要な書類は、普通車で6種類、軽自動車は4種類あります。
どんな書類が必要なのか、一つ一つご紹介して行きますので、ちゃんと手元に揃っているか確認してみてください。
自動車検査証
国が定める”保安基準”を満たしていることを証明する書類である、自動車検査証。
皆さんの車に乗っている「車検証」のことです。
ナンバーや年式だけでなく、排気量や車体番号といった車に関する情報と、所有者の情報が記載されていますから、「だれ」の「どんな」車なのか、自動車検査証を見れば全てわかるようになっているのです。
道路運送車両法によって、必ず車に乗せておくことが義務づけられていますから、わざわざ用意する必要はありません。
車を売る時だけでなく、車検を取るとき、自動車保険に加入するとき、廃車の手続きをするときにも必要になります。
見当たらない、無くしてしまったという方は、管轄の運輸支局または軽自動車検査協会で再発行しましょう。
自賠責保険証明書
車を持ったら必ず加入する義務がある”強制加入保険”と言われる「自賠責保険」に加入していることを証明する、自賠責保険証明書。
自賠責保険証がなかったり、保険期間が切れていると、クルマを売却することができません。
車検証と同様、自賠責保険証不携帯には罰則があり、30万円以下の罰金が科せられます。
無くしてしまった場合は、保険会社に連絡してすぐに再発行してもらいましょう。
自動車納税証明書
自動車税を納付していることを証明する「自動車納税証明書」
名義変更に必要な書類ではありませんが、車を売却する時点で、自動車税の未納や滞納が無いことを証明しておくことで、トラブルを避けられますから、買取店は必須としているようです。
自動車税を納めていない車は、車検を受けられません。
車検に通っていない車は公道を走ることができませんから、売ることができないのです。
また、未納であることを知らずに売却して、次のオーナーに督促状が届いてしまうというようなトラブルも避けられます。
5月ごろ納付書が届き、銀行やコンビニで支払うと、ハンコを押された納付書の半券が「自動車納税証明書」として返却されているはずですから、無くなっていないか確認しておきましょう。
紛失した場合は、税事務所(軽自動車の場合は市区町村の役所)にて、再発行ができます。
印鑑登録証明書・実印
お使いの実印が「あなたのもの」であると公的に証明するのが、印鑑登録証明書です。
車を売るということは、登録されている”車の所有権を持つ人”を変更する事にもなりますから、変更のための書類手続きが発生します。
その際、書類には実印を押す必要があるのです。
その実印が”本物”であると証明するのが、印鑑登録証明書となります。
車の名義を変更する書類と、自動車税の権利譲渡のための書類に使用しますから、印鑑登録証明書は2通必要です。
印鑑証明の発行には、登録した実印と本人確認書類が必要で、自治体によってまちまちですが、300円前後の手数料がかかります。
「実印なんて持ってない!」と言う方は、これを期に作成し登録しておくと良いでしょう。
軽自動車を売却する場合は、認印のみで手続きできるため、実印も印鑑登録証明書も不要です。
自動車リサイクル券
自動車リサイクル法と言う法律があります。
資源の無駄遣いをなくし、ごみを減らすことで、リサイクル社会を実現するために、車に関わる関係者それぞれに役割がある法律です。
誰が? | 何をする? | |
---|---|---|
所有者 | 最終所有者 | リサイクル料の支払いと車両の引き渡し |
関係者 | 解体や破棄をする業者 | 解体・分別をして引き渡す |
自動車メーカー/輸入業者 | 製造や輸入をする業者 | 解体・分別された車両を引取破棄やリサイクルを行う |
廃車やリサイクルの手続きを踏むために、廃車の際にかかる費用をあらかじめ負担しているという証明が、自動車リサイクル券です。
この表で行くと、あなたは”所有者”になります。
新車を購入したときの支払いと一緒に、リサイクル料を預託し、リサイクル券を渡されているはずで、その後車検証や自賠責保険証明書と一緒に保管されているはずです。
無くしてしまうと、再発行はできませんから、事前に確認しましょう。
委任状・譲渡証明書
委任状と譲渡証明書は、どちらも買い取り業者が用意してくれるので、こちらで用意する必要はありませんが、実印を押す必要がありますから、忘れず準備しましょう。
委任状とは、売却の手続きを買い取り業者に一任する旨が記載されているもので、譲渡証明書は、車の名義を業者に変更することを証明する書類です。
どちらも軽自動車の売却時は不要です。
該当者のみ必要になる書類

車検証に記載の情報と、身分証などに記載されている”実際の情報”や”現状”が異なる場合に必要な書類があります。
1回引っ越し後住所変更した人
”車検証に記載の住所”から引っ越しをした人は、住民票の提出が必要です。
住民票には、今現在の住所だけでなく、一つ前の住所も記載されていますから、引越しをしたばかりで、車検証に記載されている住所を変更しておらず、本人確認書類と住所が異なる場合、車検証に記載されてる”所有者”である証明をする必要があるためです。
各自治体の役所にて、発行が可能ですし、マイナンバーカードをお持ちの方は、コンビニエンスストアでも発行できます。
2回以上引っ越し後住所変更した人
”車検証に記載の住所”を変更しないまま、数回引っ越しをした人は、戸籍の附票が必要になります。
戸籍の附票とは、複数回に渡って住所変更をしているとき、住所のつながりを確認するための書類です。
上の項目でご紹介した通り、住民票は”一つ前の住所”までしか記載されていませんから、2回以上引越しをしている場合、車検証に記載されている住所は書かれていないので、車検証に記載されてる”所有者”である証明ができないのです。
戸籍の附票(住民票の附票)は、住民票の移り変わりが全て記載されているので、車検証に記載されてる”所有者”であると証明することができます。
入手するためには、本籍地の役所で発行する必要があります。
姓が変わった人
結婚などで”姓”が変わった人も、車検証に記載されてる”所有者”であると証明することが必要になりますから、本人確認書類が追加で必要になります。
このとき必要なのが”戸籍謄本”です。
出生から続柄、元の戸籍というような、その人の一生を記録した書類で、パスポートの申請などでも必要になるため、ご存じの方も多い書類なのではないでしょうか。
戸籍謄本を見れば、変更前の氏名を確認でき、車検証に記載されてる”所有者”であると証明することができます。
こちらも、入手するためには、本籍地の役所で発行する必要があります。
必要書類の再発行手順

ここまでにご紹介した、車を売る際に必要な書類は、毎日のように手にするものではありませんし、車を持った日から一度も見てないなんて方も多いはずです。
無くしてしまったらどうすればいい?
再発行できる?
そんな疑問にお答えして行きます。
自動車検査証の場合
自動車検査証、いわゆる”車検証”を無くしてしまった場合は、管轄の運輸支局または軽自動車検査協会にて再発行の手続きをしてください。
再発行は、汚してしまって読めなくなってしまっていたり、破けてしまったりしている場合も必要です。
再発行には、申請書類代と手数料がかかります。さらに、お店や修理工場に依頼する場合は委任状も必要になり、依頼するための手数料がかかる場合があるようです。
身分証や理由書が必要になりますから、まずは登録ナンバーを管轄する運輸支局を調べて問い合わせてみましょう。
自賠責保険証明書の場合
強制加入保険と言われる「自賠責保険」は、加入を法律で義務付けられている保険ですから、加入していなければ車を走らせことはできません。
加入していることを証明する「自賠責保険証明書」は必ず車に乗せておく必要があります。
無くしてしまった。汚れや破損で内容が見えなくなってしまった。と言う方は、契約している保険会社に連絡して再発行してもらう必要があります。
再発行までの期間や申請方法は、保険会社によって異なるので、確認が必要です。
契約先がわからないと、手続きも出来ませんから、保険会社とその連絡先は別の場所にメモしておいた方が良いでしょう。
自動車リサイクル券の場合
”再発行”はできません。
自動車リサイクルシステムのWebサイトにアクセスし、、車検証に記載の「車両区分」「車体番号」「登録・車両番号」「リサイクル券番号」「リサイクル券の利用目的」などの入力をすることで、自動車リサイクル料金の預託状況という用紙をプリントアウトすることができます。
リサイクル券が無い場合、「自動車リサイクル料金の預託状況」がリサイクル券の代わりになります。
軽自動車・自動車納税証明書の場合
各都道府県の税事務所にて、再発行が可能です。
自治体によって手数料がかかる場合もありますが、400円程度となっており、税事務所に本人確認書類と車検証を持っていき、納税証明書交付請求書に記入して、再発行を依頼します。
車検証は原本は必要ありませんが、登録番号と車体番号の記入が必要となりますから、持って行った方がスムーズに手続きでます。
マイナンバーカードをお持ちの方は、スマートフォンから申請することも出来ますし、少し時間はかかりますが、郵送でのやり取りも可能ですから、平日は時間が取れないという方でも、休みをとらずに再発行が可能です。
軽自動車の場合は、本人確認書類と車検証を持ってお住いの市区町村の役所にいき、申請書を書いて提出することで再発行が可能です。
車を売るときに準備しておくと良いもの

車を売る時に、無くても売れるけれど、あった方がよりよい物があります。
どれも、意識して捨ててしまわないかぎり残っているはずですから、事前にあるか確認しておくことをおすすめします。
メンテナンス記録
車検証と一緒に保管している方が多い、メンテナンス記録簿は、車検や点検の整備内容が記載された冊子です。
無いからと言って査定が大きく下がることは無いようですが、メーターの改ざんを疑われる場合もあります。
メンテナンス記録として、今までどんな整備を受けてなんの部品を交換してきたのかがわかるということは、売る側も買う側も安心して利用できるという点で大きなメリットとなるのです。
各保証書
車自体の保証書は、点検記録簿と一緒になっています。
保証内容や免責事項、保証期間が記載されていて、たとえ保証期間外になってしまっていても、新車購入時からきちんと保管されていることが、重要です。
他にも、車には様々なオプション品が付いていますから、それぞれの”保証書”があるかも確認しておいた方が良いでしょう。
カーナビやオーディオの保証書も一緒に保管し、売却の際には車両に載せておくことをおすすめします。
車の取扱説明書
車の説明書は、各部の名称や操作方法が書かれているマニュアルです。
必ず読むと言う人は少ないかもしれませんが、工具やスペアタイヤの収納場所を知りたいとき、見慣れない警告灯が付いた時など、緊急事態にこそ活躍します。
ほとんど使用しないとは言え、説明書がしっかりと揃っていて、新車の状態にできるだけ近い状態であれば、査定額も上がりやすいのです。
純正品のパーツ
カスタムのために取り外した、純正パーツは保管しておくことをおすすめします。
納車時に装備されていた純正パーツが、全て社外品のパーツになってしまっていると、査定額が下がってしまう可能性があります。
また、ディーラーで取り付けた”純正オプション”が装備されている車両は人気が高く、査定額も高くなる傾向があります。
ユーザーの趣味が強く出る社外品のパーツを使ったカスタムをした状態よりも、純正品のパーツやオプションは、その車との親和性が高く、見た目の違和感もないためです。
売却の際には、純正品のパーツに戻しておくか、車両にパーツを積んでおきましょう。
事前に必要書類を確認し、スムーズに手続きを行おう

車の管理に関する証明として必要な書類、税金や保険など必要な手続きを踏んでいることを証明する書類、そしてあなた自身の本人確認と言うように、車を売るためには、公的な書類がたくさん必要になります。
再発行をするにしても、「いつでもすぐに」と言うわけには行きませんから、事前に必要な書類が揃っているか確認しておくことをおすすめします。
万が一、見当たらないものがある場合や、汚れや破れがひどい場合は、焦らず再発行をおこなって、スムーズに手続きができるように準備しておきましょう。